2011年11月08日

クドわふたー レビュー

評価そのものは割と早期に固まったが書くまでの踏ん切りがつかず,クリアからレビューまで4ヶ月も放置してしまった。端的に言って,一般に言われているよりも良い作品であると感じたが,そう褒めるほどの印象もなく,凡作と良作の間という評価になる。65点くらいかな。

そうは見えないかもしれないが,「襲いかかる不条理」に対して人間がせいいっぱいの努力をした結果,奇跡が起きるというKEY特有の構造は,本作でも一応維持されている。ただし,本作はFDらしく小さな作りであるためか,具体的なシステムを用意している分量的余裕がなく,かと言ってリトバス本体から流用するわけにもいかず(本編は終了している),結果的に一つの特殊なシステムを構築しているわけではない。そこにあるのは,「正体不明だが確実に起きる奇跡」ではなく,天文学的確率で起きる一般的な奇跡であり,その点ではリトバス本体やその他KEY作品と一線を画すだろう。これを革新的と見る向きも可能と言えば可能だが,どちらかというと,中途半端にKEY作品の構造をずらしたせいで,奇跡がより陳腐化してしまった感もなくはなく(ただでさえKEYの奇跡は陳腐化しやすいのに),「だったらKEYである必要がない」と,ファンディスクであるにもかかわらず思わせられてしまった。

短くまとまってたのは確かで,前半はペットボトルロケット大会とクドとのいちゃラブ,後半は宇宙飛行士になるという夢を掲げたクドのがんばりと,とある事件の顛末について。ペットボトルロケット制作は正直眠かったので,「終始飽きさせないように」とはいかずとも,まあ無駄なく詰め込んだかなとは思う。しいて削るならペットボトルロケット制作しかないが,あそこはライターが一番書きたかった空気を感じるしな……後半の宇宙に関する話も含めて,ライターの趣味が大きく出たんだろう。クドといちゃいちゃしてた時間よりも,ペットボトル切ってた時間のほうが,体感時間的に長かった。『リトバス』本編のクドシナリオからしてそんな空気を感じていた。眠かったのは,私がそこらへんに全く興味がないからというのもないわけではない。興味をひかれるほど,テキストがうまかったわけでもない。

クドが好きならもちろんやるべきだろうが,そうでなくとも宇宙関係に興味があるなら,いろいろクドに共感できるところがあるかもしれないので,やってもよいだろう。注意点として,『リトバス』とはほぼ完全に分離しており,恭介も謙吾も真人も鈴も全く出てこない。というか,佳奈多以外のキャラはほぼ『リトバス』から引き継いでいないと思ってよいし,佳奈多にしても葉留佳との和解が済んでいるのか,それとも葉留佳もなかったことにされてるかいずれかの設定だと脳内補完しておくと良い。クド以外とのキャラの存在は相当ぼかされていて,どこかで公開されているのかもしれないが,少なくとも作中ではあいまいなまま話が進む。そのくらい『リトバス』からは分離した作品であるということは,先に頭に入れておかないといろいろ混乱すると思う。

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