2011年11月05日
第197回『世界各国女傑列伝』山本昌弘著,社会評論社
本書は『ダメ人間の世界史』,及び『ダメ人間の日本史』の著者たちによる第四弾である。社会評論社の悪乗りはさらに続く。本書のコンセプトは明確で「全国家から一人ずつ女傑を挙げていく」というもの。全国家とは現代基準であるため,無論のことながら本来複数挙げられて然るべき国家もあり,逆にむりくり現代史の女性運動家・政治家からひねくり出さないとどうにもならない国家まで存在している。南スーダンまで含めて総勢194人,なかなかの大著である。
本書はまえがきにて,現代の国家という枠組が恣意的である点,しかしそこからひねりだされて作られた人為的な列伝であることは重々自覚していることが説明されており,そのようなミクロ国家や文字史料の希薄な国については,「その国の紙幣や切手になりそうな女傑は誰か」ということに重点を置いて楽しんで欲しいことが説明されている。結果的に,モナコはグレースケリーになっている。一方,もっと他に候補がたくさんいただろう中国は呂后だし,アメリカは吝嗇で有名な実業家ヘティ・グリーンが選ばれていて,メジャーな国家は逆に著者の趣味が出過ぎているとは言える。(アメリカならストウ夫人なりアメリア・イアハートなりのほうがよかったんじゃ。ヘティ・グリーンは奇をてらうにしても,正直インパクトに欠ける人選である。)
おもしろいのはコンセプトに則ったマイナー国家群で,アフリカや中南米,東欧となるとエヴァ・ペロンやハトシェプスト,ヤドヴィガのような例外を除くと多くの人物は全く知られていない。彼女らを大きく分けると,前近代の王朝においてなんらかの事情で活躍せざるを得ず,政治的に活躍させられた王族。もしくは,近現代において,民族運動や独立運動で活躍した政治家の2グループに分けられる。著者はどうも,探せる限り探して前者が見つからなかった場合,後者を紹介することにしているようだ。まあ,ジャンヌ・ダルクやエカチェリーナ2世のような存在がいる国のほうが少ない。なお,本邦を代表しているのは北条政子である。
世界各国女傑列伝―全独立国から代表的な女性を一人ずつ紹介
著者:山田 昌弘
販売元:社会評論社
(2011-09)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
本書はまえがきにて,現代の国家という枠組が恣意的である点,しかしそこからひねりだされて作られた人為的な列伝であることは重々自覚していることが説明されており,そのようなミクロ国家や文字史料の希薄な国については,「その国の紙幣や切手になりそうな女傑は誰か」ということに重点を置いて楽しんで欲しいことが説明されている。結果的に,モナコはグレースケリーになっている。一方,もっと他に候補がたくさんいただろう中国は呂后だし,アメリカは吝嗇で有名な実業家ヘティ・グリーンが選ばれていて,メジャーな国家は逆に著者の趣味が出過ぎているとは言える。(アメリカならストウ夫人なりアメリア・イアハートなりのほうがよかったんじゃ。ヘティ・グリーンは奇をてらうにしても,正直インパクトに欠ける人選である。)
おもしろいのはコンセプトに則ったマイナー国家群で,アフリカや中南米,東欧となるとエヴァ・ペロンやハトシェプスト,ヤドヴィガのような例外を除くと多くの人物は全く知られていない。彼女らを大きく分けると,前近代の王朝においてなんらかの事情で活躍せざるを得ず,政治的に活躍させられた王族。もしくは,近現代において,民族運動や独立運動で活躍した政治家の2グループに分けられる。著者はどうも,探せる限り探して前者が見つからなかった場合,後者を紹介することにしているようだ。まあ,ジャンヌ・ダルクやエカチェリーナ2世のような存在がいる国のほうが少ない。なお,本邦を代表しているのは北条政子である。
世界各国女傑列伝―全独立国から代表的な女性を一人ずつ紹介著者:山田 昌弘
販売元:社会評論社
(2011-09)
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Posted by dg_law at 17:45│Comments(0)│