2011年11月16日

第198回『美女と竹林』森見登美彦著,光文社

森見登美彦のエッセイ。タイトルを読んで「どうせ美女なんて出てこないんだろwwwww」と思い,前半半分読み終わったところで案の定だわざまぁって言ってたら突然登場してびびったでござるの巻。

エッセイではあるが,いつもの森見登美彦節はなんら変わらず健在である。一応,竹林の伐採を職場の同僚から請け負い,そこから話が展開していくはずだったのだが,実際のところ森見自身の多忙によりまるで竹林の伐採を行なっておらず,自然話も弁明中心になり,挙句の果てにはどんどん全く関係のない話にそれていき,(まるでイカ娘の侵略のごとき)適当極まりない扱いを受けるのが本作の竹林伐採の扱いである。伐採を除いた竹林自体の話はそれよりは話題に上るが,ここはまあそれなりにエッセイになっている。美女のほうは一瞬出てくるが,あとはまあ関係ない。取ってつけたように「美女と竹林は等価交換」とかいつもの調子で吹いているが,まあ平常営業である。

というように,基本的には竹林伐採に出かける余裕がないことに対する弁明からつながる妄想トークで,「それならお前,エッセイじゃなくても普段の小説と変わらんじゃないかい!」というツッコミが入ることは間違いない。「もしも、同作家の別の小説を知らずに最初にコレを手にしてしまったら、大変危険」ということを書いている書評があったが,全力で同意しておく。文章中で自ら『四畳半神話大系』のパロディをしているように,あらかじめ森見登美彦がどういった文章を書くかを知っている人向けのエッセイである。でなければ,どこまでがマジでどこからがギャグなのか判別がつくまい。

……しかし,多分本当は本当に,妄想エッセイにする予定はなくて,ちゃんと竹林伐採記をやりたかったんだろうなぁ。ちゃんと締切を守っている以上,本当はこの人スケジュール管理がしっかり出来てしまうんだろうけど,お人好しに仕事を請け負ううちに溜まっていって「この状況はそれはそれでおいしい」などと考えているうちに,半ば確信犯的にこういうエッセイになっていっただろうことは容易に想像できる。なお,80〜81ページの説明は,ある種の大学生の精神の描写としてこの上なく適切であるので必読である。これは,彼の小説読解にも役に立つだろう。

いやあ,いいよね竹林。私も大好きですよ。俺も週末遁世を流行させて,隣の庵のイケてる乙女と「世の捨て方」について議論したいわー。んで,かぐや姫発見したら結婚するわー。


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