2012年01月10日
第201回『きつねのはなし』森見登美彦著,新潮文庫
森見登美彦にしては珍しい,怪奇譚。珍しいとは言っても,時系列的には二作目にあたるので,当時としては「第一作の『太陽の塔』からがらりと作風を変えたな」という印象だったのだろう。
個人的にはあまり楽しめなかったのだが,amazon等の評判は高いので,単純に私だけ合わなかったのだろうと思う。その理由は,世間の評価が高いのを知ってから考えてみて気づいたのだが,端的に言って私はあまり怪奇譚を読み慣れていないというか,書物であまり怖がる性質ではないということが関係しているのではないかと思う。ホラー自体は割りと嫌いではないのだが,大概は映画やゲームで怖がったのであって,小説で怖がったことは振り返ってみるとない。『リング』シリーズは『ゼロ/バースデイ』まで含めて全部読んでいてかなり好きなのだが,実際のところあれも話の筋がおもしろかっただけで,怖かったわけではない。一方,映画の『リング』は絶望的に怖かった。話を筋を知ってても怖かったのだから相当なものだ。
本書も,誰もが書評でそう書いている通り,京都という場所の妖しさをうまく使い,暗い路地に魅入られてうっかり入り込むと出て来れなくなる雰囲気は巧みに表現されていると思う。その点では評価が高いのはわかる。しかし,私が小説で怖がらない点を考慮してもしっくりこなかったのは,描写がやや淡々としていて,また(森見作品ではいつものことだが)話が脇にそれて行ってから本筋になかなか戻ってこず,いつもならそれでもよいのだが,結果的に本作の「京都」に私が入り込みきれなかったのが原因だったのではないかと思う。情景描写が濃かったせいか,「水神」が一番入り込めた。特に「きつねのはなし」がそうだったのが,怖いとかおもしろいよりも,きつねの正体が気になりすぎて煙に巻かれたように感じられたのが,自分側の敗因ではないかと思う。
まあ,「いつもの」の正反対な森見が読めた,ということで。
きつねのはなし
著者:森見 登美彦
販売元:新潮社
(2006-10-28)
販売元:Amazon.co.jp
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個人的にはあまり楽しめなかったのだが,amazon等の評判は高いので,単純に私だけ合わなかったのだろうと思う。その理由は,世間の評価が高いのを知ってから考えてみて気づいたのだが,端的に言って私はあまり怪奇譚を読み慣れていないというか,書物であまり怖がる性質ではないということが関係しているのではないかと思う。ホラー自体は割りと嫌いではないのだが,大概は映画やゲームで怖がったのであって,小説で怖がったことは振り返ってみるとない。『リング』シリーズは『ゼロ/バースデイ』まで含めて全部読んでいてかなり好きなのだが,実際のところあれも話の筋がおもしろかっただけで,怖かったわけではない。一方,映画の『リング』は絶望的に怖かった。話を筋を知ってても怖かったのだから相当なものだ。
本書も,誰もが書評でそう書いている通り,京都という場所の妖しさをうまく使い,暗い路地に魅入られてうっかり入り込むと出て来れなくなる雰囲気は巧みに表現されていると思う。その点では評価が高いのはわかる。しかし,私が小説で怖がらない点を考慮してもしっくりこなかったのは,描写がやや淡々としていて,また(森見作品ではいつものことだが)話が脇にそれて行ってから本筋になかなか戻ってこず,いつもならそれでもよいのだが,結果的に本作の「京都」に私が入り込みきれなかったのが原因だったのではないかと思う。情景描写が濃かったせいか,「水神」が一番入り込めた。特に「きつねのはなし」がそうだったのが,怖いとかおもしろいよりも,きつねの正体が気になりすぎて煙に巻かれたように感じられたのが,自分側の敗因ではないかと思う。
まあ,「いつもの」の正反対な森見が読めた,ということで。
きつねのはなし著者:森見 登美彦
販売元:新潮社
(2006-10-28)
販売元:Amazon.co.jp
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Posted by dg_law at 20:07│Comments(0)│