2013年04月04日

美少女万華鏡1 −呪われし伝説の少女− レビュー

こっそりクリアしていた。お前大図書館のレビューどうしたんだよという声は聞かなかったことにして,先にこっちのレビューを書いておきたい。

ロープライスの抜きゲーである。その意味ではレビューもくそもなく「やっぱり吸血鬼は最高だった」の一言で終わらせてもいいのだが,それだけでは終われないのでもう少々何か書いておきたい。吸血鬼物のエロゲーというと『彼女たちの流儀』にしろ『FORTUNE ARTERIAL』にしろ大体エンディングが2つあって,一つは普通の人間である主人公が最後まで人間のままで終わるものと,主人公がヒロインの眷属となり,永遠にともに生きていく,というもの。片方が個別エンドでもう片方がトゥルーに配置されることが多い。上に挙げた以外では『こなたよりかたなまで』や『とらいあんぐるハート1』で吸血鬼が出てくるが,これらは1つしかエンディングが無く,強制的に片方のパターンしかない。で,本作『美少女万華鏡1』もエンディングが1つしかないわけだが,これが(ネタバレ)後者の「永遠」エンドであった。私個人の嗜好としては,どちらも好きだがその中で選べばこちらなので,ここは好感を持った。プレイ途中ではもう片方の方で終わるのか,もしくはバッドエンドかと思っていたので,終盤の展開は少し意外であった。(追記:『こなかな』の両方エンドがあるようだ。やったのが昔過ぎて記憶が無い……)

本作のジャンルはオカルティック官能AVGである。実は2もすでにプレイ済みで,あちらはけっこう怖かったのだが,こちらは全く怖くなかった。シリーズ通してホラー物というわけではないらしい。しかし,ちっとも怖くないことと古典的な構成の吸血鬼物であること,かつ物語自体の方向性から言って,ゴシック小説的と言えるかもしれない。ここまでの文章で分かる通り,物語はあってないようなものというわけでは決して無い。無論基本的には抜きゲーなので,Hシーンに継ぐHシーンであり,それ以外の文章はシチュエーションのつなぎに徹している状態である。が,キャラクターの心の機微,変化はそれでもきちんと表現されており,よくこの短いつなぎの文章でがんばってるものだと思う。かつ,最小限なのでHシーンの邪魔にはなっていない。とはいえシナリオに期待して本作をやるのは完全にお門違いなのでお勧めしない。あくまで吸血鬼のお嬢様とのH三昧を送りたければ本作をやるとよい。

肝心のHシーンについては,ド直球に言えばキャラに萌えられれば実用性は抜群と言っておけば十分だろう。シチュエーションもコスチュームもバリエーション豊かだ。ただし,これは本作を私に勧めた友人からも言われていたことだが,非常に卑語が多く,場面にあわなくても乱発するのでそこだけは萎えるポイントである。このような不満は『Before Dawn Daybreak』や『Euphoria』あたりでも感じたので,抜きゲー(とそれに付随する黒箱系)に共通する欠点かもしれない。とりあえず卑語を言わせておくというのが抜きゲーのある種の流儀だとするなら,それは安易すぎる流儀だと思う。卑語連発でも物語に即していれば別に問題ないので,『美少女万華鏡2』のような設定ならまだしも納得するのだけれど。

CGは23枚中21枚がHシーンのもの。シーン回想は15。この辺りからも推測できるように,ほとんどの場合で1シーン1枚である。そこで区切るのはシーン回想の水増しだろうというなものもなくはないので,数字はあまり信用しないほうがいい。もっとも,それでも本作は十分にHシーンのボリューム満点だが。CGは差分が非常に多く,こまめに表情が変わることも含めて,この価格にしては十分がんばっている。音楽はやや曲数が少ないものの,プレイ時間を考えれば聞き飽きるということはないだろう。システムも軽くて使いやすいが,既読スキップが存在していない気がするのは気のせいか。

プレイ時間はHシーンも割りとじっくり読んで5時間ほど。点数は80点強をつけておく。


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