2013年04月05日

美少女万華鏡2 −忘れな草と永遠の少女− レビュー

1のほうから続けて。 

シナリオは1の方でちらっと書いたが,2の方は割りとしっかり怖かった。主人公が白昼夢を見ているらしきことは序盤からしばしば現れてくるのだが,それ自体単純に怖いし,プレイヤーは真相が非常に気になるのにもかかわらず主人公はなかなか重い腰を上げず,その乖離もまた怖い原因だと思われる。で,その真相なのだが少し難解なこともあってか評価が分かれているようで,おもしろかったという意見もあればこのシリーズに凝ったシナリオは不要だろうという意見も多いようだ。確かに怖がる一方で実用するというのは困難かもしれない。ついでに言うと「シナリオが矛盾している」という声もあり,なんのことはなく本作は主人公が白昼夢を見ていることに加えておそらく……なのだろうが,この辺りはネタバレに隔離しておきたい。バッドエンド・ノーマルエンド・ハッピーエンドと3つあるので,攻略する際は気をつけよう。全部見ないとCGもシーンも埋まらない。

メインヒロインのキャラはどちらのどっちのほうが好きかと言われたら,属性も性格も1の霧枝のほうになる。が,Hシーンのエロさはどちらかと言うと2のほうが優れていたと思う。八宝備仁氏の原画だと,こういうむっちりした子のほうが合うのではないか。アニメーションもよりしっかりと動くようになっていたし,数も多かった。ただし,前作は吸血鬼という設定を生かしていろいろ特殊な衣装やシチュエーションに挑んでいたのに対し,こちらは単純なイチャラブの和姦が多く,シチュエーションには若干乏しい。また,卑語の乱舞は本作も変わらず,ただし設定的に本作のほうが違和感がなかった。しかし,とあるシーンは卑語乱発というレベルではなく,もう笑わせようとしてやってるだろうあれは。やった人はどのシーンを指しているかわかると思う。

CGは33枚でうち26枚がHシーンのもの。やや割合が下がったのは通常のイベントCGが増えているためで,要するにエンディングが分岐するせいだろう。回想数は16で,前回の1シーン1枚体制よりもややマシになっている。多くのHシーンが前作よりもやや長く,CGを2枚使うようになったため,さらにボリューム感がある。音楽は曲数こそ変わらないが質は悪くないと言ってよい。怖いシーンはちゃんとBGMも怖い。システムは進化した,というか既読スキップが増えてようやくまともなシステムになったと思う。前作はエンディングが1つしかなく,CG埋めるためにやるとしても2周すれば十分だったが,今作はエンディングが3つあるから,既読スキップがないと耐えられなかっただろう。

プレイ時間は前作よりも少し長くなっていて,それでもHシーンをじっくり読んでエンディングをコンプしたら6・7時間はかかると思う。3000円弱でよくこれだけのボリュームをもたせたものだと本当に思う。点数は80点をつけておく。少しだけ下がったのはキャラの好みの差なので,実質的に差は無い。


以下はシナリオについて。完全ネタバレ。ひょっとして解釈が間違っている可能性もあるので,容赦なく「こうなんじゃ」と指摘していただきたい。

本作のシナリオは少しややこしい。共通するのは

1.仲のいい幼馴染が4人いたが,進学してからバラバラになっていく。(が,多忙で疎遠になっただけで互いを嫌いになったわけではない)
2.その中で本作のヒロイン,雫は学園のアイドルになり,主人公には手の届かない子になっていく。
3.ある日の主人公は雫を思い出の場所に連れ出してレイプしてしまう。

問題はこの先で,ここからバッドエンドだと

4.主人公はそのままヒロインを殺してしまうが,恐怖からその事実を忘れてしまう。「雫は転校していなくなった」と彼の記憶が書き換わる。
5.主人公は引きこもりになって鬱鬱として生活しており,残りの二人とも完全に縁が切れてしまう。
6.主人公はある日から「雫が再度転校して戻ってきて,付き合うようになった」「残りの友人二人も引きこもりから社会復帰した主人公を温かく迎えてくれた」という白昼夢を見ながら過ごすようになる。
7.雫とH三昧の生活を送っていたが,しかし次第に世界の矛盾が目立つようになり,自分が白昼夢を見ているということに気づいていしまう。
8.しかし,結局自分が雫を殺したという事実に耐えられず,再び白昼夢を見て過ごす生活に戻る。

となり,4〜8は全て事実として扱われる。つまりこの場合,

A.彼の白昼夢の世界(幼馴染4人の仲が良いまま) = 白昼夢なので当然幻想
B.彼が雫を殺し,引きこもっていた世界 = 現実

である。一方ノーマルエンドの世界では,1〜3のあと,

9.主人公は雫をレイプ後,雫から「ずっと好きだった」と告げられると,自責の念に苛まれ,思い出の場所にある泉に飛び込んで自殺を図る。が,それを雫が助けようとして泉に飛び込む。
10.主人公は水中の混濁した意識の中で夢を見る。夢の内容はバッドエンドの5〜7と同じ。
11.主人公は死の直前に意識を取り戻し,雫と抱き合って水底に沈んでいく。二人は溺死し,友人二人が墓参りに訪れるシーンでエンディング。

つまりこちらの世界線では,

A.彼の白昼夢の世界 = 同様に当然幻想
B.彼が鬱々として引きこもっていた世界 = Aと同様に幻想
C.彼がレイプ後に入水自殺した世界 = これだけが現実

となる。つまり最大のポイントとして,時系列から言って5〜7の内容は現実たりえず,ゲームの内容の大半が幻想ということになる。ゆえに5〜7の内容は小説内小説ならぬ「妄想内白昼夢」とでも言うべきで,入れ子構造になっている。ABCの違いは友人関係に注目してもわかる。Aの世界では「4人の幼馴染はずっと仲が良いまま」,Bの世界では「4人の幼馴染は完全に疎遠」で現実よりも状況が悪く,唯一現実であるCは「多忙で連絡を取り合っていないが,友情がないわけではない」状態である。またこれはすなわち,バッドエンドかノーマルエンドかでBの世界が幻想か現実か変わってくる=遡及的過去形成を採用しているのが本作,ということにもなると思う。

最後にトゥルーエンドだが,これも1〜3の後

12.主人公は雫をレイプ後,雫から「ずっと好きだった」と告げられると,自責の念に苛まれ,やはり自責の念から,雫を脅すために持ってきていたナイフで割腹自殺を図る。
13.雫は意識を失った主人公を急いで病院へ連れて行き,一命を取り留める。が,その後2年間眠り続ける。
14.眠り続ける主人公は,無意識下で長い夢を見る。夢の内容がやはりバッドエンドの5〜7にあたる。
15.雫の懸命の看病のかいあってか,2年経って主人公は夢から覚め,二人は再会を果たす。

となる。ノーマルエンドと基本的には同じ構造をしているので,

A.彼の白昼夢の世界 = 同様に当然幻想
B.彼が鬱々として引きこもっていた世界 = Aと同様に幻想
C.彼がレイプ後に割腹自殺し,2年間眠っていた世界 = これだけが現実

となる。入れ子構造も友人関係の変化もノーマルエンドと同じだが,唯一自殺方法の違いがやはり遡及的過去形成となっている。選択肢の選択によって完全に現実世界の出来事が書き換わっている。


よくもまあ,これだけややこしい設定を,あんなHシーンだらけのつなぎの文章だけで描いたものだ。

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この記事へのコメント
ナイス考察でした。

私もキリエ派だったので続編!?キリエか!キリエなのか!?と、思ってたんですが(笑)とんだ幻想でした。

でも、楽しめました。

ルート分岐がありエンディングもさまざまで泣かされたりしました。

それと、雫ちゃんも可愛いんですが(キリエには勝てないが)、めぐみちゃんも可愛いんですけどね〜Hシーンでフェラはすごい良いのに本番でアクメ(笑)今まで雫ちゃんとHしてたと思ったら、めぐみちゃんだったという展開にはω starさんには驚かされるばかりです。

美少女万華鏡-3-次はどんな世界になるのかとても楽しみです。

では、アリーヴェデルチ!
Posted by jact hagen at 2013年05月25日 13:01
ありがとうございます。本作のシナリオ考察をしているレビューって案外見ないんですよね。

キリエさんはどこかで再登場してほしい気もしますが,美少女万華鏡シリーズのコンセプトからいってなさそうですね。寂しいですが。
Posted by DG-Law at 2013年05月28日 00:49