2013年04月09日

最近読んだもの(主に『月とにほんご』,『チェーザレ』10巻)

・『月とにほんご』:『中国嫁日記』の作者による,日本語学校に通う月さんを中心とした話と,日本語に関する話が二本柱になっている。そもそも大学生になるわけでもない月さんが,留学生向けの高等な日本語学校に通うことになった経緯については本書の冒頭で説明される。結果として本書が誕生したことは僥倖なのだが,HPでの編集作業の様子や,存在だけ告知されて延々と発売日が決まらず編集期間が長大になっていったことを考えるに,かなり井上さんは苦労したのではないかと思われる。読んでみると,どこで苦労したのかが今ひとつわからなかったりするのだけど。
→ 本書の二本柱のうち,日本語に関する話については矢澤真人教授(筑波大学)の監修を受けている。ATOKの開発に携わった人と書いたほうがわかりやすいかもしれない。まずまずおもしろかったが,日本語ネタの本自体が氾濫しているのでインパクトは薄い。一方,月さんの日本語と中国語の相違と,それに対する矢澤教授の解説は新鮮味があっておもしろかった。ひらがな・カタカナで詰まる,音読み・訓読みがあるのが不自然に感じる。「というか日本は”にほん”と”にっぽん”で読みが二つあるのはおかしい」など,言われてみれば納得する日本語の変なところが指摘されていて,なるほどと。地味なところで「続投が中国人に通じない」。野球人気が高まれば通じるようになるのかなぁ。
→ もう一本の「月さんの日本語学校の話」の方は,嫁日記同様おもしろかった。特に大震災についての話は『嫁日記』2巻でもあったしWeb上の連載でもあったが,本書でも続き・裏話が書かれている。あんなに近いのに韓国人・中国人が地震に慣れていないというのは,やはり日本人として少しショックだったかもしれない。まあ,あんなものないに越したことはないのだが。この辺は,日本人はチリ人かトルコ人あたりと感覚を共通すべきだろうか。そして震災後,日本語学校の生徒数は一気に減ってしまった。それでなくとも日本語学校は修養期間の関係上「どんなに長くいたとしても一年半 だから『その時』はすごく短いのだ」とあって,とてもしんみりしてしまった。
→ ところで,前にブックレビューのほうで紹介したいとか書いてしまったが,意外と文章が伸びなかったのでやはりこちらで紹介した。文章の分量を量るのはなかなか難しい。


・ぷちます5巻:安定しておもしろくて,ぷちたちがかわいいと,アニメと全く同じ感想しか書きようがない。ただ,どのぷちがどこに住んでるのか,主に誰にひっついているのかがちょっと混乱してきたので,そろそろ公式のほうでまとめてほしいとは思った。
→ まんじゅう屋のおばちゃんが唐突にレギュラー化しており,前にどこかで出てたっけ?と4巻を読みなおしてみたがやっぱり出ていない。
→ 4巻の感想でも書いたけど,ぷちたちの知能差,能力差が激しい。身体能力は全体的に高いが,やよ・まこちー・たかにゃの3匹が別格か。知能面ではちっちゃん・ぴよぴよ・たかにゃは字の読み書きができて別格,あとははるかさん以外は人間と意思疎通が大体できる感じ。ぷちたち互いの意思疎通もできるらしいことが今回判明したが,それでもはるかさんだけは全くできていなかった。……ひょっとしてはるかさんだけ別種なんじゃ。


チェーザレ10巻:主要メンバーがピサ大学卒業で離れていく,つなぎのような1巻。実際,この巻が出てから全然連載が再開せず,完全に仕切りなおしているようである。9巻はフラグだらけだったので事細かに解説記事を書いたが,今回は解説するところが少ない。
→ virtu84の卒業諮問で「すでに結婚した男性が離婚して修道士になれるか」と聞かれている場面,ジョヴァンニは「結婚には形だけ合意が成立したものと,夫と妻が交渉を持ち真に成就したものがある」とし,前者ならば離婚できると回答した点は,後のルクレツィア・ボルジアにまつわる話の伏線か。
→ もう一つvirtu85,同じく卒業諮問でジョヴァンニに「私は美しくないが,美しさを感じる心はある。この心は神の恩寵であり,美術を生むために富はある」と言わせている。これ自体は同意しなくもないものの,後に教皇レオ10世となった彼がなした散財を考えると,これも伏線であろうか。もっとも,その頃にはとっくの昔にチェーザレが亡くなっているのだが。
→ そのvirtu85でチェーザレが会っているメディチ家の傭兵隊長エルコレ・ベンティヴォリオは,後にチェーザレに従軍し征服活動に従っている。が,本編がそこまで行くのにあとどれだけ話数がかかるのやら。ついでに言うとベンティヴォリオ家はボローニャの領主でもある。
→ あとはしいて言えばvirtu91でロレンツォがジョヴァンニに「兄弟で仲間割れはするな」と言っているが,確かに彼は後にフィレンツェを奪還した際,親族をフィレンツェの支配者に戻している。


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この記事へのコメント
このブログでチェーザレ10巻が出てるのを知って買いに走りました。

しかし、チェーザレといいヒストリエといい終りが全く見えないですね・・・。あと何年かかるんだろ、まだお父さん教皇にもなってないよ(10巻)。
これでサヴォナローラのフィレンツェまで描写あったら。。。
Posted by maki at 2013年04月16日 07:58
記事にもちらっと書きましたが,休載期間がやや長めなのと,なにやらそれっぽい副読本が出るので,仕切り直しで話が飛ぶ可能性もあります。教皇選直後あたりに。
そこでチェーザレに髭を生やすのであれば,作画上の都合も解消できてうまい戦略だなと思うんですが,実際どうなるんでしょうね。

ヒストリエも心配ですね……終わりが見えない以前に,いつ東征が始まるやら。
Posted by DG-Law at 2013年04月16日 14:25
副読本・・・、そんなの出るんですね。
サイト見てきたら10巻で序章って書いてあったので、11巻以降の展開に期待してます。
個人的にはフランスのイタリア侵攻あたりからいきなり始まるとテンションあがあがります、髭もその辺で生えてほしいです。ないと思いますが(笑)。
Posted by maki at 2013年04月17日 07:49
一応出るのはこれですね。
『チェーザレ・ボルジアを知っていますか?』
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B-%E5%8E%9F-%E5%9F%BA%E6%99%B6/dp/406218284X/ref=pd_ys_ir_all_30

>フランスのイタリア侵攻あたりからいきなり始まると〜〜
確か塩野七生のチェーザレがそこから始まるんですよね。切れ目としてちょうどいいので,ありうるかもしれません。
Posted by DG-Law at 2013年04月17日 22:58
情報ありがとうございます。
早速amazonで買ってきました。

読まれるようであれば、ブログでの感想を楽しみにしてます。
Posted by maki at 2013年04月18日 08:13