2013年08月25日
『東方コミュニティ白書2013』覚書(1) pp.1〜48
2012はこちら。4巻目となった本巻だが,今までのコミュニティ白書と決定的に違うのは,元としたデータが東方Wikiの人気投票ではなく,ニコ童祭の人気投票であるという点である。投票層そんなに違わないんじゃないの?と思っていたのだが,実際には大して重なっていないことが判明し,それ自体が大きな驚きであった。それゆに,本巻に対する考察としては以下の2点になる。
・定点観測としての人気投票の分析
・人気投票の投票層が例年と違うことによる分析
問題は,起きている変化がどちらを理由としたものか今ひとつ判然としないことで,まあその区分けを適切にできるかどうか自体が分析者の腕の見せ所なのではないかと思う……と書きつつも,根拠を持った判断は極めて難しい。(ちなみに,そこら辺もあって本稿のタイトルは毎回「分析」ではなく「覚書」としている。多くの読者は気にしてないと思うけど。)先に全体の結論だけ言ってしまうと「意外と東方界隈は均質なのではないか」ということになる。
そういうわけで,今回も著者の久樹輝幸氏に感謝しつつ,いつもと違うコミュニティ白書に,いつもと違う覚書をどうぞ。
・定点観測としての人気投票の分析
・人気投票の投票層が例年と違うことによる分析
問題は,起きている変化がどちらを理由としたものか今ひとつ判然としないことで,まあその区分けを適切にできるかどうか自体が分析者の腕の見せ所なのではないかと思う……と書きつつも,根拠を持った判断は極めて難しい。(ちなみに,そこら辺もあって本稿のタイトルは毎回「分析」ではなく「覚書」としている。多くの読者は気にしてないと思うけど。)先に全体の結論だけ言ってしまうと「意外と東方界隈は均質なのではないか」ということになる。
そういうわけで,今回も著者の久樹輝幸氏に感謝しつつ,いつもと違うコミュニティ白書に,いつもと違う覚書をどうぞ。
pp.12-13
>> 投票者の平均年齢と年齢分布
平均年齢は本家第9回の人気投票22.20歳から22.49歳に,0.29歳老化した。これはおおよそ例年のペースであり,ここ数年ずっと老化が続いている。ニコニコ動画の投票層は比較的若いのではないかと思われていたが,そうでもなかった。これは「イメージと違い,ニコニコ動画も他の東方コミュニティと大して変わらない」と考えるのが一つある。考えてみるとニコニコ動画で東方が流行し始めてからすでに5〜6年経過しており,最初期の人たちは中学生から入ったとしてもすでに大学生である。もう一つ考えられるのは「界隈全体はもっと急激に老化しており,ニコ動だから0.3歳くらいしか変化がないように見えるだけ」というもの。これは第10回の人気投票結果が出てみないことにはわからない。
一方,年齢分布は非常に興味深い。例年の人気投票では20・21歳を中心としたなだらかな山型の曲線を描いていた。しかし今回のニコ童祭の投票ではやや山が若い方へ動いており,ピークは19歳に来ている。11〜17歳までの全ての年齢で,投票者の割合が第9回よりも高い。にもかかわらず前述の通り平均年齢はほぼ変わらないのだ。どういうことかと言えば,従来の人気投票に比べて20代前半が極端に少なく,10代も30代もニコ童祭のほうが多く占めているのだ。つまり,界隈全体よりもニコ動のほうが年齢が散っているという意外な結果が読み取れる。加えて言えば,これは私の主観的な感想になるが,思っていたよりも10代が多くない。未成年率が43.8%だそうだが,通常の人気投票でも35%前後はあるため,飛び抜けて多いというわけではない。むしろ50%くらいまで行くんじゃないかと思っていた。
最後に「本家の人気投票に投票したことがあるか」というアンケートの結果として,41.2%が「投票していない」と答えていた。意外と重ならないものである。これにも本当に驚いた。項目をさらに細かく見ると,知ってはいるけど投票はしていない,ということらしい。本家の投票は別のクラスタだと思われている節があるのではないか。ニコ動の住民からそう思われているのなら悲しいことだ。
pp.14-15
>>原作所持率
これは,意外なほど明確な差が出た。所持率は全作品で10%程度減少している。ちなみに新しい作品ほど所持率が高いかというとそうでもなく,紅魔郷が一番所持率が高い。入るなら古いものからプレイ,というものらしい。ちなみに,所持率の差が少ないのは緋想天・非想天則だったりする。
pp.16-17
>>その他アンケート
普段の人気投票にはないので興味深いものが多い。特にイベント参加率。例大祭が25%程度で,夏コミ・冬コミが約20%,紅楼夢で約10%である。これを高いと見るか低いと見るか。また,聖地巡礼経験率のアンケートもあり,こちらも25%程度。これは意外と高いと思う。本家でアンケート取ったらどうなるか興味がある。ニコ動の層はアクティブなのか,そうでないのか。
pp.18-21
>>横断分析
主催者の協力で,横断分析が可能になったそうだ。これも今回ニコ童祭だったことの意義として大きかろう。東方を知った時期と好きなところでは全く偏りがなかった。一方,年齢層別では,年齢層が高くなるに連れてストーリー・ゲーム性・作品を通じた交流の項目が微減,40代になると激減する。じゃあおっさんは何を楽しんでいるかというと,これが意外にも二次創作である。二次創作の項目は年齢層が高くなると微増していた。二次創作ネタも界隈の蓄積があって,確かに十全に楽しんでいるのは最古参の方々かもしれないが……高年齢層ほど二次創作に興味ないかと思っていたら,そうでもなかった。そもそも高年齢層がニコ動に多かったこと自体も加え,なんだよあんたら,バリバリにニコ動楽しんでんじゃん。
所属コミュニティでは,知った時期によって有意に差が出た。ニコ動はどの年齢層でも変わらないが,したらば,そして意外にもpixivとtwitterは新参ほど利用していない。ニコ動とpixivは1セットだと思っていたのだが,そうでもないようだ。ニコ動だけ見てると,pixivまで辿り着かないようだ。最近だとニコニコ静画があるのも大きいかもしれない。twitterも同様で,若い子なんて皆twitterとLINEをやっているもんだと思っていたが,そうでもないようだ。これが年齢層別になると,それほど大きな差は見られない。しいて言えば20代はpixiv,30代はふたばという傾向は見られるものの,どの年代でも結局ニコ動・pixiv・twitterが圧倒的で,ふたばやしたらばは低調である。
年齢別の原作所有率も意外な結果でおもしろい。おっさんほど持ってるのが当然と思いきや,所持率のピークはどれも20〜30歳であり,高年齢層は10代並に持っていない。そりゃゲーム性やストーリーを評価しない(できない)はずである。それで二次創作が好きって嫌な予感しかしないんだが……にわか嫌いは10代叩くよりも40代を叩いたほうがいいんじゃないか。さらに,本家のアンケートよりニコ童祭のアンケートのほうが高年齢層の割合が高かったことも踏まえるに,「ニコ厨はにわか」の悪評の原因はひょっとして。
pp.30-31
>>pixivにおける記念日
乱立していて,とりあえずよく一覧にしたなという感じ。定着しているものは少ない,というか命名が自然なもの自体も少ない。投稿数が多いのはやはり「毎月7日はルーミアの日」,「雛祭り」,「こいしの日(5/14)」,「パチュリーの日(6/9)」,「チルノの日(9/9)」あたり。ルーミアは突出して多く,1万近い。ルーミアは1ボスにしては人気が高いキャラだが,それに一役を買っていると思う。
pp.34-37
>>ニコニコ動画における東方コミュニティ
投稿数は微減傾向。前回の覚書で「投稿数が減らないまま,伸びる動画は減っているのであれば,それはアイマスの通った道」と書いたが,投稿数も減ってきたのでまずいかもしれない。
その中で投稿が多いのはやはりMMDと,あとはマインクラフトである。どちらも自由度が高く,再現する喜びがあるので東方向きではあった。この辺は二次創作に強い東方の面目躍如と言えるところか。あとはテーブルトークRPGも人気な模様。これはアイマスでも同じ傾向で,キャラが多く皆個性的だから使いやすいのであろう。異世界にぶっ飛ぶのが不自然でないという利点もある。(ちなみに,アイマスで異世界は自然ってなんで?と思われるかもしれないが「765プロではいつものこと」というタグさえ存在する。)以前は音楽中心だったが,二次創作中心になっていったのは長い目で見れば大きな変化だ。
pp.42-43
>>同人誌即売会参加の継続率
継続した観測。前回の覚書で「継続率5割は驚くほど低い」と書いたが,今回も大体同じ。第9回例大祭から第10回例大祭への継続参加率は60%程度である。8→10なら約42%とさらに下がる。定着して出て行かないことが多いと思われている東方でも,継続率は意外と高くない。これも前回の覚書に書いたが,大手サークルほど出て行かないから,そういうイメージが強くなっているのかもしれない。サークル配置別の追加調査が必要であろう。お前がやれ,と言われそうだが。
(2)へ続く。
>> 投票者の平均年齢と年齢分布
平均年齢は本家第9回の人気投票22.20歳から22.49歳に,0.29歳老化した。これはおおよそ例年のペースであり,ここ数年ずっと老化が続いている。ニコニコ動画の投票層は比較的若いのではないかと思われていたが,そうでもなかった。これは「イメージと違い,ニコニコ動画も他の東方コミュニティと大して変わらない」と考えるのが一つある。考えてみるとニコニコ動画で東方が流行し始めてからすでに5〜6年経過しており,最初期の人たちは中学生から入ったとしてもすでに大学生である。もう一つ考えられるのは「界隈全体はもっと急激に老化しており,ニコ動だから0.3歳くらいしか変化がないように見えるだけ」というもの。これは第10回の人気投票結果が出てみないことにはわからない。
一方,年齢分布は非常に興味深い。例年の人気投票では20・21歳を中心としたなだらかな山型の曲線を描いていた。しかし今回のニコ童祭の投票ではやや山が若い方へ動いており,ピークは19歳に来ている。11〜17歳までの全ての年齢で,投票者の割合が第9回よりも高い。にもかかわらず前述の通り平均年齢はほぼ変わらないのだ。どういうことかと言えば,従来の人気投票に比べて20代前半が極端に少なく,10代も30代もニコ童祭のほうが多く占めているのだ。つまり,界隈全体よりもニコ動のほうが年齢が散っているという意外な結果が読み取れる。加えて言えば,これは私の主観的な感想になるが,思っていたよりも10代が多くない。未成年率が43.8%だそうだが,通常の人気投票でも35%前後はあるため,飛び抜けて多いというわけではない。むしろ50%くらいまで行くんじゃないかと思っていた。
最後に「本家の人気投票に投票したことがあるか」というアンケートの結果として,41.2%が「投票していない」と答えていた。意外と重ならないものである。これにも本当に驚いた。項目をさらに細かく見ると,知ってはいるけど投票はしていない,ということらしい。本家の投票は別のクラスタだと思われている節があるのではないか。ニコ動の住民からそう思われているのなら悲しいことだ。
pp.14-15
>>原作所持率
これは,意外なほど明確な差が出た。所持率は全作品で10%程度減少している。ちなみに新しい作品ほど所持率が高いかというとそうでもなく,紅魔郷が一番所持率が高い。入るなら古いものからプレイ,というものらしい。ちなみに,所持率の差が少ないのは緋想天・非想天則だったりする。
pp.16-17
>>その他アンケート
普段の人気投票にはないので興味深いものが多い。特にイベント参加率。例大祭が25%程度で,夏コミ・冬コミが約20%,紅楼夢で約10%である。これを高いと見るか低いと見るか。また,聖地巡礼経験率のアンケートもあり,こちらも25%程度。これは意外と高いと思う。本家でアンケート取ったらどうなるか興味がある。ニコ動の層はアクティブなのか,そうでないのか。
pp.18-21
>>横断分析
主催者の協力で,横断分析が可能になったそうだ。これも今回ニコ童祭だったことの意義として大きかろう。東方を知った時期と好きなところでは全く偏りがなかった。一方,年齢層別では,年齢層が高くなるに連れてストーリー・ゲーム性・作品を通じた交流の項目が微減,40代になると激減する。じゃあおっさんは何を楽しんでいるかというと,これが意外にも二次創作である。二次創作の項目は年齢層が高くなると微増していた。二次創作ネタも界隈の蓄積があって,確かに十全に楽しんでいるのは最古参の方々かもしれないが……高年齢層ほど二次創作に興味ないかと思っていたら,そうでもなかった。そもそも高年齢層がニコ動に多かったこと自体も加え,なんだよあんたら,バリバリにニコ動楽しんでんじゃん。
所属コミュニティでは,知った時期によって有意に差が出た。ニコ動はどの年齢層でも変わらないが,したらば,そして意外にもpixivとtwitterは新参ほど利用していない。ニコ動とpixivは1セットだと思っていたのだが,そうでもないようだ。ニコ動だけ見てると,pixivまで辿り着かないようだ。最近だとニコニコ静画があるのも大きいかもしれない。twitterも同様で,若い子なんて皆twitterとLINEをやっているもんだと思っていたが,そうでもないようだ。これが年齢層別になると,それほど大きな差は見られない。しいて言えば20代はpixiv,30代はふたばという傾向は見られるものの,どの年代でも結局ニコ動・pixiv・twitterが圧倒的で,ふたばやしたらばは低調である。
年齢別の原作所有率も意外な結果でおもしろい。おっさんほど持ってるのが当然と思いきや,所持率のピークはどれも20〜30歳であり,高年齢層は10代並に持っていない。そりゃゲーム性やストーリーを評価しない(できない)はずである。それで二次創作が好きって嫌な予感しかしないんだが……にわか嫌いは10代叩くよりも40代を叩いたほうがいいんじゃないか。さらに,本家のアンケートよりニコ童祭のアンケートのほうが高年齢層の割合が高かったことも踏まえるに,「ニコ厨はにわか」の悪評の原因はひょっとして。
pp.30-31
>>pixivにおける記念日
乱立していて,とりあえずよく一覧にしたなという感じ。定着しているものは少ない,というか命名が自然なもの自体も少ない。投稿数が多いのはやはり「毎月7日はルーミアの日」,「雛祭り」,「こいしの日(5/14)」,「パチュリーの日(6/9)」,「チルノの日(9/9)」あたり。ルーミアは突出して多く,1万近い。ルーミアは1ボスにしては人気が高いキャラだが,それに一役を買っていると思う。
pp.34-37
>>ニコニコ動画における東方コミュニティ
投稿数は微減傾向。前回の覚書で「投稿数が減らないまま,伸びる動画は減っているのであれば,それはアイマスの通った道」と書いたが,投稿数も減ってきたのでまずいかもしれない。
その中で投稿が多いのはやはりMMDと,あとはマインクラフトである。どちらも自由度が高く,再現する喜びがあるので東方向きではあった。この辺は二次創作に強い東方の面目躍如と言えるところか。あとはテーブルトークRPGも人気な模様。これはアイマスでも同じ傾向で,キャラが多く皆個性的だから使いやすいのであろう。異世界にぶっ飛ぶのが不自然でないという利点もある。(ちなみに,アイマスで異世界は自然ってなんで?と思われるかもしれないが「765プロではいつものこと」というタグさえ存在する。)以前は音楽中心だったが,二次創作中心になっていったのは長い目で見れば大きな変化だ。
pp.42-43
>>同人誌即売会参加の継続率
継続した観測。前回の覚書で「継続率5割は驚くほど低い」と書いたが,今回も大体同じ。第9回例大祭から第10回例大祭への継続参加率は60%程度である。8→10なら約42%とさらに下がる。定着して出て行かないことが多いと思われている東方でも,継続率は意外と高くない。これも前回の覚書に書いたが,大手サークルほど出て行かないから,そういうイメージが強くなっているのかもしれない。サークル配置別の追加調査が必要であろう。お前がやれ,と言われそうだが。
(2)へ続く。
Posted by dg_law at 12:00│Comments(0)│