2013年11月10日

テルマエ・ロマエ(映画)

やっと見た。前評判通り,阿部寛他濃い面々のローマ人はそれほど違和感が無かった。これは配役の完全勝利である。賛否両論だった上戸彩の演じる女性の登場は,原作の終わった今となっては,これも違和感がない。映画が放映された当時の原作は女性が登場していなかったか,さつきが登場し始めた頃で,「映画のために女性を出した」と批判されたこともあった。しかし,終わってみれば原作のさつきと映画の女性は全く違う女性であり,これはこれでキャラが立っていた。ストーリーのオチも原作と違った。結局,あれは謂れ無き誹謗であった。この辺り,世評を気にせず見ることができたのは,遅れて見た唯一のメリットだったと言える。それにしても,当時の批判は,あれなんだったのか。

バカバカしい作品として振り切っていたのが功を奏していた。この点は誰からも異論あるまい。ルシウスが流されるたびに登場するイタリア人の歌手のおっさんは非常に良い味を出していた。オペラもイタリア語のものでそろえられており,それなりにこだわりを感じた。ウォシュレットのシーンではワンダーウェーブ洗浄のイメージ映像が出てきて爆笑したのだが,あれはTOTOから映像をもらってきたんだろうか。

原作からのストーリー変更も悪くなかった。原作では,オンドル小屋を建てて兵士を癒やすのはユダヤ属州の反乱になっていたが,映画ではパンノニア属州でのゲルマン人との戦争に変わっていた。この変更にともなって帝位継承が話に絡み,うまいこと原作よりも短く話を締めることができている。こういう映画はバカバカしさを優先し過ぎて考証をすっ飛ばしてしまいコケるというパターンをよく見るが,本作はこうるさい私から見ても史実をねじまげてる感は特に無かった。本筋がバカバカしい以上,こういうところで締めるのは案外と大事で,制作陣の気合が暗に伝わってくるところでもあるかなと。続編は期待して待ちたい。





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この記事へのコメント
阿部寛が「平たい顔族」と言ってるだけで既に面白いから卑怯(褒め言葉)

ところで作中のラテン語に関してはありえないミスがあると語学の先生が言ってました。まあ気づける人が少なすぎるしそれで興ざめするようなレベルではないでしょうが。
ちなみにその先生が古典式に「テルマイ・ロマイ」と発音しててわろた
Posted by Buddha at 2013年11月10日 16:14
ラテン語履修してたのに気が付かなかったんだぜ……まあ○年前のことなので許して欲しいところだわ。(ちなみに私は大貫先生でした。)
東大の先生方も案外ちゃんとそういうのチェックしてるようで,うちの某教授も「『へうげもの』の織部は違和感ある」とか言ってましたね。


>阿部寛が「平たい顔族」と言ってるだけで既に面白いから卑怯(褒め言葉)
「お前も平たい顔族だろwwwwww」というツッコミ不可避。

>ちなみにその先生が古典式に「テルマイ・ロマイ」と発音しててわろた
試しに"テルマイ・ロマイ"でぐぐってみたが,さっぱり引っかからなかった。まあつづり通り読めば「テルマエ・ロマエ」になるよなぁ。
Posted by DG-Law at 2013年11月10日 22:23
僕は本郷で初級取ったので学外の方でした。
aeの発音はブレがあって、日本語の本だと古典式でも「アエ」あるいは「アイに近いアエ」と書かれていることが多いんですが、その授業で使ってたOxfordの教科書だとhighのighと同じ、と説明されています。その先生は学部からイギリスにいたみたいなので英国的古典式(?)なのかも

そういえばaisthesisがaestheticaとなるからやっぱアイが正統なのかな
Posted by Buddha at 2013年11月11日 15:09
なるほど,ギリシア語からの輸入語を見るとそう判断できるかも。
難しいのう。
Posted by DG-Law at 2013年11月12日 01:14