2013年11月16日
洛中洛外図。あと中国絵画とはてブの関係性
東博の洛中洛外図展と,上海博物館展に行ってきた。前者は特別展,後者は常設展なので,1枚のチケットで両方見ることができる。ただし,どちらも前後期展示だったので,都合2回行った。洛中洛外図展は,普段よりも展示作品数が相当少ないにもかかわらず,いつも通り平成館をフルに使った挙句前後期展示という点で強烈なインパクトがある。これは屏風の一点一点が大きいということと,展示の工夫がスペースを取っていたということの両方に理由がある。京都の広範囲を描く洛中洛外図なのだから,どうしても作品サイズは大きくなる。前後期に分けてあるとはいえ,主要な洛中洛外図は全員集合といった趣で,上杉本と舟木本(岩佐又兵衛筆)は当然として,歴博甲本と乙本が両方あり,福岡市博物館本に池田本,勝興寺本と7作品である。画中のどこに何があるのか,それぞれの作品が京都をどう切り取っているのか探すのが楽しく,それぞれ名所を入れるためかなり空間を歪めているのが見て取れる。舟木本では三十三間堂で通し矢をしており,非常にわかりやすかった。また,1615年の作品なので,豊国神社も方広寺も無事である。二条城には巨大な天守もある。道端には南蛮人(の格好をした人)もいた。
ここでも4Kテレビが大活躍しており,超巨大画面で舟木本の細部を写していた。そんなに4Kテレビ押しなのか,それともミケランジェロ展と打ち合わせ抜きにネタかぶりか。いずれにせよ,これは企画として良かったと思う。単眼鏡があると言っても,これほど細部まで楽に見られるわけではない。洛中洛外図屏風以外では二条城のものを中心に障壁画が展示され,二条城や龍安寺の実際の配置が再現されていた。
上海博物館展は,中国絵画史が綺麗に整理されており,詳しくない人でもわかりやすかったのではないかと思う。展示作品は実に豪華で,これ特別展料金じゃなくていいの?という感じ。郭熙をスタートに馬麟,銭選,倪瓚,王蒙,沈周,文徴明,仇英と鼻血吹くような面々である(今回の画像は倪瓚から)。五代から清初まで全て扱っている。その分一つ一つの時代での厚みには欠けるが,それはもはやないものねだりだろう。特に郭熙の作品はよく持ってこれたなと。さすがに小品であったが。
ところで,中国絵画というと鑑蔵印と賛の文化であって,所有者や鑑賞者が見た証拠に印鑑を押し,賛をつける。ほとんどが士大夫なので,見事な賛がつくわけである。これは「俺という文化人がこれを見た」という自負の念であって,賛自体もまた芸術作品だ。しかし,重なっていくので中には数十個も鑑蔵印が押してある作品もあり,そうなってくると余白が埋まった挙句作品中におもいっきり押してあったり賛があったり,それでも足りなければ紙を継ぎ足してそこに賛を書いたり,結局賛で継ぎ足された紙の方が長かったりと,とある種の無秩序がそこに広がっている。とかいう話を同行者に説明していたところ,同行者が「鑑蔵印と賛ってはてブじゃね?」と言い出し,納得してしまった。なるほど,鑑蔵印はブクマで賛はブコメだ。もっとも,ブコメは必ずしも褒めておらず,むしろ「これはひどい」と批判している場合のほうが多いが。多くの作品に賛をつけまくった中国絵画界の超大物というと清朝乾隆帝だが,さしずめ彼は村長か。
Posted by dg_law at 17:55│Comments(0)│