2014年06月20日

エロゲ版「屈辱」は可能か,及び無差別級お試し版

元ネタはこちら(正確に言えばこちらも元ネタの引用だが)。で,この記事を書いたMukkeさんが「エロゲクラスタやミステリクラスタでやってくれてもええんやで?」と書いていたので少し構想してみたが,「エロゲ」でやるのは非常に難しいのではないか,というのが残念ながら結論になる。ルールに一部手を加えればいけるかもしれない。そう考えた理由を以下に列挙しておく。


1.「エロゲ」という括りがとんでもなく広いため
実は何よりこれじゃないかと。SFやラノベの方が作品数が膨大だって? おそらくそれは間違いない。しかし,エロゲというのはその裾野の広さに特徴があるもので,エロゲで括るというのは実際のところ「小説」で括るのと近いものがあると思う。そりゃまあSFもあればミステリーもあるしファンタジーもあるし普通の恋愛劇もあるしクトゥルーもあるしロボット物もあるしサイバーパンクもあるしマカロニウェスタンだってある。困ったことにそれぞれのジャンルに「やってないと屈辱的な名作」があるが,そのジャンルにこだわりがない人にとってはやってなくても屈辱にはならない。

そういえばMukkeさんのとこで『Stein's Gate』を挙げている人は一人もおらんかったなと今更ながら。皆読んでいるというよりは誰も思いつかなかったんだろうけど。SFエロゲ者であれば『Stein's Gate』(非18禁だけど)や『マブラヴオルタネイティヴ』はもちろん,『R.U.R.U.R』あたりをやってなくても十分,相当な「屈辱」になるだろうが,おそらく平均的なエロゲーマー(そんなものあるのかというツッコミはさておき)からすると「『R.U.R.U.R』? 聞いたことすらねぇなぁ」ってことになりかねない。なお私は『R.U.R.U.R』未プレイ。SFクラスタではないので。

そこまで細かく分けなくても,おそらく白箱中心か黒箱中心か,抜きゲーか非抜きゲーかの4区分(実質3)だけでも相当ユーザーの分散が観察できるのではないかと思う(白箱・黒箱という概念の是非自体は横においておく)。自分は割と雑食ではあるが,どの系統の作品が一番多いかと言われれば多分白箱の非抜きゲーにはなると思う。ゆえに,抜きゲーの名作であるところの『姉汁』他かぐやの作品は大体全部未プレイだし,『カミカゼ☆エクスプローラー!』もやってない。また,シナリオが良いとされる作品を中心にやっているユーザーでも,黒箱を忌避する人なら『EXTRAVAGANZA』や『螺旋回廊』は避けていると思われる(私は両方プレイ済)。これらはそれぞれ,その人にとってはやってなくても,全く屈辱でもなんでもない。いやまあ,「ほう。シナリオにこだわる割に,黒箱というだけで名作を避けるんですね?」という煽りは可能なんだけども。

どころか,やってないことを誇る文化さえある。抜きゲーマーからすると非抜きゲーなんてやらないに越したことはないものなわけで,かなりの数をクリアしてる人でも「『AIR』? プレイ避けてますよ(ドヤァ」というのをたまーに目にする。もちろんこれでは「屈辱」が成立しない。

ああ,一応書いておくと「どこまでがエロゲか」という問題もある。これはでも「どこまでがSFか」問題の方も相当根が深いようなので,言及するまでもないか。いい加減クラナドをエロゲと勘違いしている奴うぜぇ,エロゲじゃないし。一つの基準として「エロゲー批評空間に登録されているもの」という定義を作ることは可能だが,この定義でいくと『GALAXY ANGEL』あたりまでエロゲ扱いになるのでかなり無理が。


2.性癖に左右されるところが大きいため
1番の問題点とかかわりが大きいが,たとえば「陵辱じゃないと抜けません」って人は白箱に手を付けていない可能性が高い。もしくは「ロリゲーしか勃ちません」という人にとっては『はじるす』や『娘姉妹』は聖典かもしれないが,平均的なエロゲーマー()からすると普通にやってない可能性が高い作品だと思う(私は『はじるす』途中挫折,『娘姉妹』未プレイ)。もっと極端に言えば「伝奇ゲーは好きですが聖水はドン引きですわ」って人に『水月』は避けるところかもしれない等,名作と名高くとも避けても許される条件が非常につきやすいのが,エロゲというジャンルではないかと思う。


3.技術的な問題・金銭的な問題
これも非常に大きい。あまりに古いゲームはプレイ環境を整えるのが非常に困難になる。『雫』や『痕』のようにリメイクされるものもあるが,リメイクの際に大きくテイストが変わってしまい,結局古参ユーザーから「原典やってないの?」と煽られてしまうようなパターンもあり。今から『YU-NO』や『同級生』や『バーチャルコール』をやれというのも酷な話で(私自身全部未プレイ),とはいえ古参ユーザーからすれば「やってないの?」と煽れる材料でもあり。金銭的な問題という点では『書淫』とか(未プレイ)。これもたまに某エロゲ雑誌が廉価で再販してくれることがあり,そのおかげで『Forest』も『SWAN SONG』もかなり価格が下がった。それでもまだまだ高額のエロゲはある。


4.いわゆる「3年で卒業する」問題
なぜかエロゲーマーは3年で卒業する,もしくは全盛期のペースが続かないという謎の法則があり,確かにネット上を眺めていると「あれだけエロゲに情熱を注いでいた人がころっと卒業している」というのをけっこう目にする。私のリア友も割とこのパターンであった。原因としては「大学1年ないし2年でやり始め,卒業すると時間がなくなるorやる気が減退する」というものが有力な説として考えられている。

で,私自身「そんなわけあるかい」と考えていたんですが,やっぱり仕事には勝てなかったよ(定型句)になってしまった。2004-08年頃は年間25〜30本ペースでプレイしていたものの,09年には年間20本ペースに落ち,09-12年は約15本,13年に至ってはなんと8本(=月1ペース未満)に落ち込んでしまった。この14年も上半期でまだ3本とかいう体たらくである。07年に総プレイ本数が100を越えたときには「こりゃ200本も楽勝だな」とか考えていたのだが,結果的に200本を越えたのは割と最近だ。やる気は減退してないんだけどなぁ。

これによって何が起きるかというと,たとえば趣味嗜好が似ている二人の歴戦のエロゲーマーがいたとしても,実は全盛期がずれていて常識的な名作でさえ全く重ならないといった事態である。私自身,これは本当に「屈辱」ではあるが,2011年以降になると本当に常識的な名作さえやってない。ホワルバ2……知らない子ですね(全力で目をそらす)



などなどの理由から「提示する作品を発売年で縛る」や「作品傾向で縛る」と,ちゃんとできるかもしれない。それでもまあ試しに,今回は無差別級でやってみようと思う。まじめに考えると,私が切れる最強のカードはホワルバ2を含めて3つくらい考えうるが,ここは『戦国ランス』にしときます。恥ずかしながらやってません。ルールは漫画版に則り,

・参加条件は「エロゲ好き」であること。
・この記事をはてなブックマークして,コメントで「自分は読んでいないけどみんなは読んでいそうなエロゲ」を一作品あげる。読みかけで挫折したとかではなく,本当に1クリックも進めていない作品をあげる。エロゲの定義は各個人にお任せします。投票したいけどアカウントとってない人はこれを気にはてなIDとってください。
・かぶったら早い者勝ち。あとからブコメをした人が別作品に変える。
・他の人のブコメをみて,読んだことがある作品にスターをつける。読んだことない奴じゃないので注意。
・スターを一番たくさん集めた人が勝ち。

ブクマが何十か集まったら結果発表します。集まらなかったら,やっぱりルールに無理があったということで無かったことに。


この記事へのトラックバックURL