2014年08月04日
指の数が足りない
西美の指輪展に行ってきた。2年前に大量の寄贈を受けたのが企画の契機とのこと。元は個人のコレクションだそうだが,よくこれだけ集めたものだという量である。約870点だそうだが,展示に出ていたのは300点ほど。一個おいくら万円なんだ,というのがこれだけ大量となると,寄贈された資産だけでものすごい金額になるのでは。なお,寄贈者はご存命(90歳)。
展示はおおよそ時代順で,最初は古代エジプトから始まる。約4千年前の指輪だが,しょっぱなからスカラベである。さすがはエジプト。材質は紫水晶であったが,加工しやすいらしい。輪の部分は最初から金である。それからギリシア・ヘレニズム・ローマが出てくるが,他のオリエントの指輪は持ってないか,展示しなかったということなのだろう。ローマまで来ると,コインから想像されるように彫刻が細かくなり,宝石も多様化する。ラピスラズリ・ガーネット・オニキス・カーネリアンなど。今回の展示には無かったが,ルビー・サファイア・エメラルドも古代からあった素材だ。中世ヨーロッパは特徴的な形のものが多い。台座の部分が異様に大きかったり,むしろ台座と輪の部分が一体化していたり。ローマ教皇の指輪も展示してあったが,輪の部分が大きすぎてあれは入らないような……で,中世末からとうとうダイヤモンドが出てくる。後から調べたら,研磨の方法がなかなかわからなかったそうだ。さすが最高硬度。
近世以降は流行を除けば大体我々が知っているような形の指輪が出てくる。ただし,ダイヤモンドについては削る技術の発展があるので,知っておくと見るときにおもしろいかも。なかなか見慣れた(と言っても美術館で見た時間が圧倒的に長いが)ブリリアントカットが出てこず,あれは近代も末になってからなんだなというのがよくわかるし,やっぱりテーブルカットやローズカット等に比べてブリリアントカットは恐ろしく輝いているのもよくわかると思う。そして19世紀末からはアーツ・アンド・クラフツ,アール・ヌーヴォー,アール・デコが来て,カルティエやブルガリが出てきて現代に至る。今回の画像はアール・デコのもの。いかにもという直線。
あと,一点注目しておきたいのは展示にあった「星が浦」という宝石。夜空に星が輝いているのを表現した,青いガラスとダイヤモンドによる大きめの台座を持った指輪だが,「星が浦」と名付けられた由来がとても物悲しい。これはぜひともエピソード付で鑑賞したい一品である。
歴史をたどったゾーン以外では,テーマ別の展示があった。印章としての指輪や,お守りとしての指輪など。「男根が浮彫りにされた指輪」という珍しいものもあった。ローマという制作年代を見て納得する。台座の上に,宝石の代わりにネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の形をした金細工がのっかっている。ちなみに黄金製なのでこれが本当の金玉状態なのだが,男性鑑賞客にどの程度このギャグを連想したか大変アンケートを取ってみたい。私だけだったら憤死しかねないがそんなことはあるまい……ないよね……あとヒキガエル石というものを初めて知った。お守りとして珍重された石でイギリスで流行し,ヒキガエルの頭から取れると信じられていたらしい。言うまでもなく,実際にはただの鉱石である。色は黒っぽい。というか,ただの石にしか見えない。こんな石でも呪術的価値があると信じられれば宝石になるんだなというのは少し意外であった。
最後の方は服装(ドレス)の流行の変遷と,その当時に作られた指輪をセットで展示するゾーンであった。別にドレスを中心とした展覧会ではないので軽く感想をまとめると,ヴィクトリア朝の堅苦しさとシャネルの大転換すげーなとは改めて。一方,指輪はやっぱりあまり変わっている感じがしない。あとは自殺用の毒薬を隠したポイズンリングなるものが展示されており,なるほどそこに隠されているとは思うまい。「アメリカ陸軍空挺部隊のバッジが付いたポイズンリング(1940年頃)」というのもあり,使われたのが太平洋戦争だとすると,日本人としてはOh.....としか言えない。
タイトルはサガフロンティアネタで何かぼけようとしたが,思いつかなかったことを白状しておく。
展示はおおよそ時代順で,最初は古代エジプトから始まる。約4千年前の指輪だが,しょっぱなからスカラベである。さすがはエジプト。材質は紫水晶であったが,加工しやすいらしい。輪の部分は最初から金である。それからギリシア・ヘレニズム・ローマが出てくるが,他のオリエントの指輪は持ってないか,展示しなかったということなのだろう。ローマまで来ると,コインから想像されるように彫刻が細かくなり,宝石も多様化する。ラピスラズリ・ガーネット・オニキス・カーネリアンなど。今回の展示には無かったが,ルビー・サファイア・エメラルドも古代からあった素材だ。中世ヨーロッパは特徴的な形のものが多い。台座の部分が異様に大きかったり,むしろ台座と輪の部分が一体化していたり。ローマ教皇の指輪も展示してあったが,輪の部分が大きすぎてあれは入らないような……で,中世末からとうとうダイヤモンドが出てくる。後から調べたら,研磨の方法がなかなかわからなかったそうだ。さすが最高硬度。
近世以降は流行を除けば大体我々が知っているような形の指輪が出てくる。ただし,ダイヤモンドについては削る技術の発展があるので,知っておくと見るときにおもしろいかも。なかなか見慣れた(と言っても美術館で見た時間が圧倒的に長いが)ブリリアントカットが出てこず,あれは近代も末になってからなんだなというのがよくわかるし,やっぱりテーブルカットやローズカット等に比べてブリリアントカットは恐ろしく輝いているのもよくわかると思う。そして19世紀末からはアーツ・アンド・クラフツ,アール・ヌーヴォー,アール・デコが来て,カルティエやブルガリが出てきて現代に至る。今回の画像はアール・デコのもの。いかにもという直線。
あと,一点注目しておきたいのは展示にあった「星が浦」という宝石。夜空に星が輝いているのを表現した,青いガラスとダイヤモンドによる大きめの台座を持った指輪だが,「星が浦」と名付けられた由来がとても物悲しい。これはぜひともエピソード付で鑑賞したい一品である。
歴史をたどったゾーン以外では,テーマ別の展示があった。印章としての指輪や,お守りとしての指輪など。「男根が浮彫りにされた指輪」という珍しいものもあった。ローマという制作年代を見て納得する。台座の上に,宝石の代わりにネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の形をした金細工がのっかっている。ちなみに黄金製なのでこれが本当の金玉状態なのだが,男性鑑賞客にどの程度このギャグを連想したか大変アンケートを取ってみたい。私だけだったら憤死しかねないがそんなことはあるまい……ないよね……あとヒキガエル石というものを初めて知った。お守りとして珍重された石でイギリスで流行し,ヒキガエルの頭から取れると信じられていたらしい。言うまでもなく,実際にはただの鉱石である。色は黒っぽい。というか,ただの石にしか見えない。こんな石でも呪術的価値があると信じられれば宝石になるんだなというのは少し意外であった。
最後の方は服装(ドレス)の流行の変遷と,その当時に作られた指輪をセットで展示するゾーンであった。別にドレスを中心とした展覧会ではないので軽く感想をまとめると,ヴィクトリア朝の堅苦しさとシャネルの大転換すげーなとは改めて。一方,指輪はやっぱりあまり変わっている感じがしない。あとは自殺用の毒薬を隠したポイズンリングなるものが展示されており,なるほどそこに隠されているとは思うまい。「アメリカ陸軍空挺部隊のバッジが付いたポイズンリング(1940年頃)」というのもあり,使われたのが太平洋戦争だとすると,日本人としてはOh.....としか言えない。
タイトルはサガフロンティアネタで何かぼけようとしたが,思いつかなかったことを白状しておく。
Posted by dg_law at 00:45│Comments(0)│