2014年09月01日
東方コミュニティ白書2014覚書
今回の東方コミュニティ白書は,2014年の単年度的な意味合いもあるが,それと同時に総集編である。東方コミュニティ白書に興味はあったけどこれだけシリーズになってるとなぁ,とお考えの方がおられたら,本書から買っていけば十分であるので,お勧めしておく。
さて,毎回やっているこの覚書だが,本書のそうした特徴上,これまでのコミュニティ白書の内容とだぶっている内容が多い点,また2013から2014であまり東方界隈に変化が見られない点から,「覚書」すべきことがあまり無かった。よって例年の覚書より少し短い内容になるが,ご容赦願いたい。なお,2013の覚書はこちら。
pp.40-41
>>投票者の平均年齢と年齢分布
投票者平均年齢が22.37歳で,二年前の22.20歳とあまり変わっていない。コミュニティが若干ずれるが,昨年のニコ童祭でのアンケートでは22.49歳だったのので,これを加味するならむしろ下がっている。例年,毎年0.2歳ずつ老化しているコミュニティだったが,老化が止まってきている。
これに関連して,コミュニティの年齢分布を見ると,これまでは20代前半主要な年齢層だったのに対し,少しずつ年齢層がなだらかになってきている。また,久樹氏は丁寧にも加齢分を調整した年齢別増減グラフを載せている。これを見ると,22・23歳で投票に来なくなっている人が非常に多いのがわかる。あー,なるほど就職or院進学ね,と。逆説的に言って,10代後半と20代後半以降の割合が増加しており,要するに「新規参入者は引き続き多いものの,コミュニティに長居する人は減ってきている。逆に大学生期を乗り切ればそのまま居つくやつも増えている。」というようなことは言えそうで,この傾向が続くなら来年のグラフはさらになだらかになりそう。実際,20代後半のおっさんとして言わせてもらうと,今の東方界隈は以前にもまして居心地がよく,おっさん率の高いアイマスのコミュニティに似てきている気がする。
その意味では10代後半の流入が未だもって高いというのは意外と言えば意外で,私個人の肌感覚よりもコミュニティ全体は老化していないんだなぁと認識を改めた。若い子の楽しめる東方であってほしいと思います。
pp.42-43
>>東方を知った時期
自分のことを完全に棚に上げて言うが,とうとう「ニコニコ動画」以後の参入者がコミュニティの8割超に。まあ風神録から7年経ってるんだもんなぁ。神霊廟〜輝針城で参入した人が最多数で,これが10代後半の層,そして風神録〜地霊殿で参入した人が二番目に多い層だが,これが前述の「コミュニティに長居する人」の主力になっているのだろう。いずれも年齢分布とうまく合致する話だ。50%でスパッと切るなら地霊殿から参入した人でさえ古参の部類に入る,というのは覚えていて損はない。ニコ新参も遠くになりにけり。
pp.68-69
>>ニコニコ動画における東方
二年前のコミュニティ白書覚書で「仮に『投稿数を維持・増加したまま,伸びる動画は減っている』のであれば,それはアイドルマスターが通った道」と書いたが,どうやらちょっと違うようだ。東方の場合は投稿数自体が如実に下がっている。具体的に言うと,2011年頃は月間5000作品だったのが,2014年の上半期は月間3000に近い。再生数やマイリスト数に関するデータが無いのでこれ以上はなんとも言えないが,本書pp.72-73に載っている半期ごとのランキング(再生数)を見ると,20万再生超の大きく伸びた動画の数は減っていない。2012年頃に比べると総合ランキングで目立たなくはなったが,まだまだ一定の影響力は保持していると言える。
pp.82-83
>>コミケでの東方・転入元と転出先
今回のコミュニティ白書では,C77〜C86での,東方で申し込んだ人が前はどこのジャンルで活動していたか=転入元と,東方で申し込んだ人が次回どこのジャンルで活動しているか=転出先のデータが載っている。これ調べるのめちゃくちゃ大変だったのでは。頭が下がる。
閑話休題。転入元を見ると一貫して「創作(男性向け)」と「デジタル(その他)」が多い。前者はわかるが,後者はミクさんってことか。ニコニコ動画的には親和性が高いし,双方とも音楽サークルが多いという事情もあるだろう。また,C77-79(2009-10年頃)は転入量が非常に大きかった時期で,この時期に限ると「オンラインゲーム」と「ギャルゲー」からの転入が非常に多い。これは東方がどうこうというより向こう側の事情によるところが大きく,栄枯盛衰としかいいようがない。
転出先も「創作(男性向け)」と「デジタル(その他)」が多い。転出先の大きな特徴が出てくるのはここ2年ほどで,まずC83-84では「ギャルゲー」への転出が多く,どう見てもアイマス(モバマス)。ここ1年の「艦これ」への転出ばかりが目立つものの,その前段階としてモバマスへの移動が多かったことは特筆すべき現象であろう。と思って探してみたら自分でもこんなことを当時つぶやいていた。
あとまあ,言うまでもなくC85-86では艦これへの転出が多いものの,たとえばC86での艦これ1500サークルのうち,東方からの転出は約200サークル。これをどう見るかは意見が分かれそう。私的には,世間的に言われているほど多くはないなと。
pp.106-113
>>人気投票キャラ部門,キャラ同士の相関関係
今回は総集編ということで,第7回から第10回までの結果が全て載っている。キャラの相関関係は全4回でさしたる変化がないことが多いものの,その中で変わった点があるキャラだけピックアップして言及していく。
魔理沙は霊夢・アリス・チルノ・霖之助・魅魔様で熾烈な争いで変動が激しい。第8回人気投票以降にチルノが強いのは,妖精大戦争の発売時期を考えると納得できる。そのチルノはバカルテット中心から,三妖精への変化が見られる。これも妖精大戦争効果だろう。橙は1位が藍様という点は変わってないが,2位以下を椛・てゐ・お燐で争っていたところ,神霊廟発売で響子が乱入してさらに混戦模様となった。なんというか,ここだけケモい。アリスは7・8・10回では1位が神綺様だが,第9回だけ魔理沙。どう考えてもSweet Magic効果。みすちーもバカルテットが強かったが,第9回からここに響子が登場。鳥獣伎楽効果である。
秋姉妹は他の組み合わせと比較しても突出して二人まとめて投票している人が多いが,よくよく考えてみるとこれ秋サンド狙い勢だ。今気づいた。こいしはさとり+ぬえ+フラン+お燐で安定していたが,第10回ではお燐が脱落して代わってこころが4位にランクイン。第11回ではさらに票が伸びそう。一輪は第9回まで他キャラとの相関関係自体が薄かったが,第10回では九十九姉妹との関連性が強かった。空飛んでるつながり?
pp.134-141
>>pixivにおけるキャラ同士の相関関係
pixivに投稿された東方キャラが複数人描かれている画像で,一緒に写っている割合を示したもの。人気投票よりもさらにかちっとしたカップリングの傾向が見え,経年では変動がほとんどない。また,たとえば魔理沙は人気投票に反して霊夢とアリスの二強に,パチュリーと咲夜が追いすがる形。チルノも大妖精・ルーミア・魔理沙・霊夢と一緒に描かれることが多く,バカルテットも三妖精も出てこない。かくのごとく,人気投票での相関関係とは各キャラ違うところがちらほらある。この違いはおもしろい。
さて,毎回やっているこの覚書だが,本書のそうした特徴上,これまでのコミュニティ白書の内容とだぶっている内容が多い点,また2013から2014であまり東方界隈に変化が見られない点から,「覚書」すべきことがあまり無かった。よって例年の覚書より少し短い内容になるが,ご容赦願いたい。なお,2013の覚書はこちら。
pp.40-41
>>投票者の平均年齢と年齢分布
投票者平均年齢が22.37歳で,二年前の22.20歳とあまり変わっていない。コミュニティが若干ずれるが,昨年のニコ童祭でのアンケートでは22.49歳だったのので,これを加味するならむしろ下がっている。例年,毎年0.2歳ずつ老化しているコミュニティだったが,老化が止まってきている。
これに関連して,コミュニティの年齢分布を見ると,これまでは20代前半主要な年齢層だったのに対し,少しずつ年齢層がなだらかになってきている。また,久樹氏は丁寧にも加齢分を調整した年齢別増減グラフを載せている。これを見ると,22・23歳で投票に来なくなっている人が非常に多いのがわかる。あー,なるほど就職or院進学ね,と。逆説的に言って,10代後半と20代後半以降の割合が増加しており,要するに「新規参入者は引き続き多いものの,コミュニティに長居する人は減ってきている。逆に大学生期を乗り切ればそのまま居つくやつも増えている。」というようなことは言えそうで,この傾向が続くなら来年のグラフはさらになだらかになりそう。実際,20代後半のおっさんとして言わせてもらうと,今の東方界隈は以前にもまして居心地がよく,おっさん率の高いアイマスのコミュニティに似てきている気がする。
その意味では10代後半の流入が未だもって高いというのは意外と言えば意外で,私個人の肌感覚よりもコミュニティ全体は老化していないんだなぁと認識を改めた。若い子の楽しめる東方であってほしいと思います。
pp.42-43
>>東方を知った時期
自分のことを完全に棚に上げて言うが,とうとう「ニコニコ動画」以後の参入者がコミュニティの8割超に。まあ風神録から7年経ってるんだもんなぁ。神霊廟〜輝針城で参入した人が最多数で,これが10代後半の層,そして風神録〜地霊殿で参入した人が二番目に多い層だが,これが前述の「コミュニティに長居する人」の主力になっているのだろう。いずれも年齢分布とうまく合致する話だ。50%でスパッと切るなら地霊殿から参入した人でさえ古参の部類に入る,というのは覚えていて損はない。ニコ新参も遠くになりにけり。
pp.68-69
>>ニコニコ動画における東方
二年前のコミュニティ白書覚書で「仮に『投稿数を維持・増加したまま,伸びる動画は減っている』のであれば,それはアイドルマスターが通った道」と書いたが,どうやらちょっと違うようだ。東方の場合は投稿数自体が如実に下がっている。具体的に言うと,2011年頃は月間5000作品だったのが,2014年の上半期は月間3000に近い。再生数やマイリスト数に関するデータが無いのでこれ以上はなんとも言えないが,本書pp.72-73に載っている半期ごとのランキング(再生数)を見ると,20万再生超の大きく伸びた動画の数は減っていない。2012年頃に比べると総合ランキングで目立たなくはなったが,まだまだ一定の影響力は保持していると言える。
pp.82-83
>>コミケでの東方・転入元と転出先
今回のコミュニティ白書では,C77〜C86での,東方で申し込んだ人が前はどこのジャンルで活動していたか=転入元と,東方で申し込んだ人が次回どこのジャンルで活動しているか=転出先のデータが載っている。これ調べるのめちゃくちゃ大変だったのでは。頭が下がる。
閑話休題。転入元を見ると一貫して「創作(男性向け)」と「デジタル(その他)」が多い。前者はわかるが,後者はミクさんってことか。ニコニコ動画的には親和性が高いし,双方とも音楽サークルが多いという事情もあるだろう。また,C77-79(2009-10年頃)は転入量が非常に大きかった時期で,この時期に限ると「オンラインゲーム」と「ギャルゲー」からの転入が非常に多い。これは東方がどうこうというより向こう側の事情によるところが大きく,栄枯盛衰としかいいようがない。
転出先も「創作(男性向け)」と「デジタル(その他)」が多い。転出先の大きな特徴が出てくるのはここ2年ほどで,まずC83-84では「ギャルゲー」への転出が多く,どう見てもアイマス(モバマス)。ここ1年の「艦これ」への転出ばかりが目立つものの,その前段階としてモバマスへの移動が多かったことは特筆すべき現象であろう。と思って探してみたら自分でもこんなことを当時つぶやいていた。
同人作家が大量に東方からモバマスに流れており,民族の大移動を感じる。
— DG-Law (@nix_in_desertis) 2013, 4月 29
あとまあ,言うまでもなくC85-86では艦これへの転出が多いものの,たとえばC86での艦これ1500サークルのうち,東方からの転出は約200サークル。これをどう見るかは意見が分かれそう。私的には,世間的に言われているほど多くはないなと。
pp.106-113
>>人気投票キャラ部門,キャラ同士の相関関係
今回は総集編ということで,第7回から第10回までの結果が全て載っている。キャラの相関関係は全4回でさしたる変化がないことが多いものの,その中で変わった点があるキャラだけピックアップして言及していく。
魔理沙は霊夢・アリス・チルノ・霖之助・魅魔様で熾烈な争いで変動が激しい。第8回人気投票以降にチルノが強いのは,妖精大戦争の発売時期を考えると納得できる。そのチルノはバカルテット中心から,三妖精への変化が見られる。これも妖精大戦争効果だろう。橙は1位が藍様という点は変わってないが,2位以下を椛・てゐ・お燐で争っていたところ,神霊廟発売で響子が乱入してさらに混戦模様となった。なんというか,ここだけケモい。アリスは7・8・10回では1位が神綺様だが,第9回だけ魔理沙。どう考えてもSweet Magic効果。みすちーもバカルテットが強かったが,第9回からここに響子が登場。鳥獣伎楽効果である。
秋姉妹は他の組み合わせと比較しても突出して二人まとめて投票している人が多いが,よくよく考えてみるとこれ秋サンド狙い勢だ。今気づいた。こいしはさとり+ぬえ+フラン+お燐で安定していたが,第10回ではお燐が脱落して代わってこころが4位にランクイン。第11回ではさらに票が伸びそう。一輪は第9回まで他キャラとの相関関係自体が薄かったが,第10回では九十九姉妹との関連性が強かった。空飛んでるつながり?
pp.134-141
>>pixivにおけるキャラ同士の相関関係
pixivに投稿された東方キャラが複数人描かれている画像で,一緒に写っている割合を示したもの。人気投票よりもさらにかちっとしたカップリングの傾向が見え,経年では変動がほとんどない。また,たとえば魔理沙は人気投票に反して霊夢とアリスの二強に,パチュリーと咲夜が追いすがる形。チルノも大妖精・ルーミア・魔理沙・霊夢と一緒に描かれることが多く,バカルテットも三妖精も出てこない。かくのごとく,人気投票での相関関係とは各キャラ違うところがちらほらある。この違いはおもしろい。
Posted by dg_law at 01:35│Comments(0)│