2014年10月14日

AIRネタと矜羯羅童子

矜羯羅童子サントリー美術館の高野山展に行ってきた。正直に言ってそんなに興味のある展覧会ではなかったのだが,前回のボヘミアングラス展に行きそびれていたのと,『AIR』ネタとして消化できればまあいいかという気持ちがあったという事情はある。おのれ高野山。

展示自体はけっこう豪華なもので,国宝・重要文化財が多く展示されていた。秘仏で普段は公開されていないものもあるため,「現地に行ったからいいや」というものでもないのが今回の展示のすばらしいところであろう。密教の総本山らしく,金剛杵のような道具と曼荼羅が多かった。曼荼羅は最近嫁曼荼羅ばかり見ているので,本物を目の前に若干なり申し訳ない気持ちに。仏の姿の代わりに梵字を配したものもあり,興味深い。

それ以外では普通に仏像や仏画が展示されていたが,ほとんどの作例が鎌倉時代以降である。運慶・快慶ご本人たちの作品も含めて,金剛峯寺も南都仏教の一部なんだなぁと思わせられる。しかも金剛峯寺の場合,大日如来とその化身である不動明王が強く信仰された関係か,勇ましい仏像が多かった。四天王も執金剛神も八大童子も激しい形相のものが多い。鎌倉美術が好きなら非常に楽しめる展覧会であろう。一方,仏像中心で一つ一つが大きいとはいえ,展示数がわずか60,しかも展示替えが多くて1回で見れるのが実質40しかないというのは,さすがにちょっと少ない。1時間半〜2時間の見込みで来たが,1時間かからずに見終わってしまった。

で,「おいおい,開山1200年周年記念の展覧会なんだろ? 平安初期の作品は無いのかよ」と多少なりとも残念な気分になっていたところ,帰りがけの売店で図録を立ち読みしていたら「高野山は落雷が多い。特に994年の落雷による大火で伽藍は全焼し,復興は鎌倉時代までかかった。」というようなことが書いてあり,あっ・・・(察し)。あれ,復興に200年かかるような,マジでそんな大火事だったんだな。14年目くらいの真実である。おのれ高野山してる場合ではなかった。ともあれ世の鍵っ子は本展覧会に来て思う存分許すまじ金剛峯寺していくべき。

最後に,本展覧会最大の目玉というと,八大童子の展示であろう。これ自体秘仏でめったに生で見れないというのもあるが,何より八大童子には矜羯羅童子が含まれている。断じて某声優ではない。やっぱりネタ展覧会じゃねーか。



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