2015年01月11日
「タリバーン幹部からマララへの手紙」雑感
・タリバーン幹部からマララへの手紙、全訳(TokyoScenery)
よく読んだらびっくりするほど事実関係から言ってツッコミどころだらけなんだけど,感心してる人がそこそこいて驚いている。
>タリバーンとムジャーヒディーン(ジハードの為の民兵組織)は男女や子供に関わらず教育に反対してはいない
→ タリバーンはパキスタンで女子の教育を禁止してますやん。
>パキスタン軍や辺境警察も関与しているのだ。彼らの目的は同じで、学校が敵のの隠れ家かつ輸送キャンプであるからだ
→ ガザ地区のパレスチナ人も“同じ名目で”イスラエルから攻撃を受けてたんですが,タリバーンはイスラエルの攻撃を正当化するんですか?
>インド亜大陸は、イギリスの侵略以前は教育水準も高く、殆ど全ての人が読み書きができたのだ。
→ 大嘘。そもそも前近代にそんな地域は無い。大体,その「ほとんど全ての人」って女性とヒンドゥー教徒って入ってます?
>ほぼ全てのモスクは学校としても機能していて、ムスリムの皇帝は教育に多大な予算を使っていた。
→ ほう,ムガル皇帝が全インドを支配していたかのような言い方ですなぁ。ついでに,ムガル統治下にはヒンドゥー教徒が不在だったかのような。
>貧困や犯罪、宗教間や文明間の衝突もなかった。教育のシステムが高貴な思想とカリキュラムに基づいていたからだ。
→ はあ,ムガル帝国ってアウラングゼーブのヒンドゥー弾圧策から解体したんじゃなかったでしたっけ? 宗教観の衝突がなかったなんてすごい歴史修正主義ですな。そもそもイギリスはほとんどムガル帝国とほとんど戦っておらず,分裂した小国諸国をなぎ倒して植民地化したわけですが。根本的に,オスマン帝国やカージャール朝は紛いなりにも耐えたのに,インドが真っ先にああなった原因の一つは仲間割れですよね,としか言いようがない。庶民に罪を着せようがないが,当時の為政者の無能になら原因と責任を求めてもよかろう。無論,それで植民地主義の悪さが軽減されるということはないが。
>T.B.マコーリー(イギリスの歴史家・政治家)が1835年にイギリス議会に書いた書簡の抜粋を紹介しよう。〜〜
→ 近代イギリスが植民地で推進した教育と,現代の西洋諸国が求めている「近代的な教育」は全く別物だろうに,都合よく混同している。
>それはイギリス人が誠実な支持者であり、ユダヤの奴隷だからだ。あなたはインドにイギリス式教育を作ったと言われるサイド・アフメド・カーンがフリーメイソンだということを知っているだろうか。
→ ユダヤ陰謀論にフリーメイソン陰謀論。
>国連が非人道的や残虐だと言ったイスラームの戒律、イスラームの法の入り込む場所があるのだろうか?
→ ありますよ。あなたの言う「イスラーム」とは別のイスラームですけど。
人権を自明視する西側先進国の人間として言わせてもらうと,別に近代教育のグローバル化はローカルな伝統教育を駆逐するわけではない。そこで駆逐されるものは伝統というよりも陋習であって,そもそも近代教育というより人権と衝突するものだ。アメリカの横暴は別問題で,これをもって女子教育の破壊を行うタリバーンの正当化しようというのは単純な詭弁に過ぎない。全体としてイスラーム狂信者の戯言であり,これを支持するのはイスラームの近代化にとって後ろ玉であろう。
よく読んだらびっくりするほど事実関係から言ってツッコミどころだらけなんだけど,感心してる人がそこそこいて驚いている。
>タリバーンとムジャーヒディーン(ジハードの為の民兵組織)は男女や子供に関わらず教育に反対してはいない
→ タリバーンはパキスタンで女子の教育を禁止してますやん。
>パキスタン軍や辺境警察も関与しているのだ。彼らの目的は同じで、学校が敵のの隠れ家かつ輸送キャンプであるからだ
→ ガザ地区のパレスチナ人も“同じ名目で”イスラエルから攻撃を受けてたんですが,タリバーンはイスラエルの攻撃を正当化するんですか?
>インド亜大陸は、イギリスの侵略以前は教育水準も高く、殆ど全ての人が読み書きができたのだ。
→ 大嘘。そもそも前近代にそんな地域は無い。大体,その「ほとんど全ての人」って女性とヒンドゥー教徒って入ってます?
>ほぼ全てのモスクは学校としても機能していて、ムスリムの皇帝は教育に多大な予算を使っていた。
→ ほう,ムガル皇帝が全インドを支配していたかのような言い方ですなぁ。ついでに,ムガル統治下にはヒンドゥー教徒が不在だったかのような。
>貧困や犯罪、宗教間や文明間の衝突もなかった。教育のシステムが高貴な思想とカリキュラムに基づいていたからだ。
→ はあ,ムガル帝国ってアウラングゼーブのヒンドゥー弾圧策から解体したんじゃなかったでしたっけ? 宗教観の衝突がなかったなんてすごい歴史修正主義ですな。そもそもイギリスはほとんどムガル帝国とほとんど戦っておらず,分裂した小国諸国をなぎ倒して植民地化したわけですが。根本的に,オスマン帝国やカージャール朝は紛いなりにも耐えたのに,インドが真っ先にああなった原因の一つは仲間割れですよね,としか言いようがない。庶民に罪を着せようがないが,当時の為政者の無能になら原因と責任を求めてもよかろう。無論,それで植民地主義の悪さが軽減されるということはないが。
>T.B.マコーリー(イギリスの歴史家・政治家)が1835年にイギリス議会に書いた書簡の抜粋を紹介しよう。〜〜
→ 近代イギリスが植民地で推進した教育と,現代の西洋諸国が求めている「近代的な教育」は全く別物だろうに,都合よく混同している。
>それはイギリス人が誠実な支持者であり、ユダヤの奴隷だからだ。あなたはインドにイギリス式教育を作ったと言われるサイド・アフメド・カーンがフリーメイソンだということを知っているだろうか。
→ ユダヤ陰謀論にフリーメイソン陰謀論。
>国連が非人道的や残虐だと言ったイスラームの戒律、イスラームの法の入り込む場所があるのだろうか?
→ ありますよ。あなたの言う「イスラーム」とは別のイスラームですけど。
人権を自明視する西側先進国の人間として言わせてもらうと,別に近代教育のグローバル化はローカルな伝統教育を駆逐するわけではない。そこで駆逐されるものは伝統というよりも陋習であって,そもそも近代教育というより人権と衝突するものだ。アメリカの横暴は別問題で,これをもって女子教育の破壊を行うタリバーンの正当化しようというのは単純な詭弁に過ぎない。全体としてイスラーム狂信者の戯言であり,これを支持するのはイスラームの近代化にとって後ろ玉であろう。
Posted by dg_law at 22:00│Comments(0)│