2015年05月24日

SHIROBAKO見ました

・『SHIROBAKO』をニコ生一挙放送で見た。話題になるだけはある名作だった。この感想は冬アニメ感想に足しておく。

自分が敬遠していた理由は,単純なアニメ業界裏話だったら別にそんなに興味ないなと思った点と,P.A.WORKSは『花咲くいろは』を3話で切ってから合わないと思っていたという点が大きい(例外的に『有頂天家族』だけ見てる)。後者に関しては後追いで感想を読んでいくと同じようなことを言っている人が多数見つかり,自分が言うのもなんだが京アニ並にアレルギー発生させとるんやなあの製作会社,と思った。で,1話も見てなかったわけだが,1話を見て名作臭しかしなかったので,食わず嫌いは良くないなと反省した限りである。

で,個人的にはアニメ業界裏話だったというよりは,お仕事アニメだったと評価すべきで,前者としてはもちろん後者としても非常によくできていた。労働者の皆様は身につまされる思いをしながら見ていた人も多かったのではないか。いろんな意味で。私は1クール目の本田さん,2クール目のみゃーもりに心底共感するし同情しますわ。ほんともうね,出すものを出さずに連絡絶つ奴は死ねと(サボってましたごめんなさいができる人は実のところ許せる)。あとそのことを隠すスタッフはほんと死ねと(幸い現実でこの目に遭ったことは今のところ無い,優秀な部下たちで助かってます)。しかし,作中一番共感した台詞は本田さんのものでもみゃーもりのものでもなく,矢野先輩の「私,この業界入るまで,大人ってちゃんと仕事するのが当たり前だと思ってました。」だったりする。就活生や新入社員にしばしば「社会人の責任(感)」が要求されるのは,日本社会で貴重でそれがあることの裏返し的側面もあるんやなと。騎士道的精神がなかったからこそ持っている人が尊重された中世西欧と同じで。

共感する話で言えば,絵麻が自分の絵を見失ってたり,監督がストーリー展開を見失ってたりしたときの現象。「長時間その作業をしていると,自分の作っているものが,これで他人におもしろいのかどうかわからんくなってくる」は本当にある。拙著を書いていてネタを挟もうとする時に「このネタ,他人におもしろいのか?」とはよく悩んだものだった。結局,クオリティとかかった時間のバランスを見定めて折り合いをつけていくしかないのだろう。

また,仕事をしてると自分の最終地点とか,当初の目標を見失うけども,それを思い出すのが結局仕事を続ける原動力になっている,というのは一つの真理ではあり,少なくとも自分にはとても共感できるものであった。みゃーもりの苦悩も,ずかちゃんの苦悩も。23話は泣きました。みゃーもりにつられて,そりゃもうボロボロに。

好きなキャラはゴスロリ様(当然過ぎておもしろみがねぇ! という読者の声が聞こえてきたが断固として無視する)。ゴスロリ様については実年齢と実態のギャップが話題になってたが,宝野アリカという実例を考えるとむしろほとんど違和感ない,という点は指摘しておこう。歴史上にもエリザベス1世っておるしな。あの人,晩年はやりすぎて白すぎて怖いって言われてたようだが。あと,小笠原のバッティングフォームには大爆笑した。ゴスロリ甲子園アニメ化はよ。5人の中だとりーちゃん。これは単純に文学少女萌えということで。今度ドストについて語り合いたいですね。

あまりアニメのスタッフには詳しくないし,語る気もないのだが,本作については演出と音楽周りが明確に『ガルパン』とまるで同じで,案の定水島努監督に浜口史郎音楽担当であった。あんだけあからさまだとさすがにわかるもんだなーと,これは自分への新たな発見か。

一点だけケチをつけると,無能な人物を作ってヘイトを集めつつピンチを作るのは,多用されすぎてちょっと安直だったのは否めない。特に16話,物語の都合上仕方がないとはいえ,ナベPが茶沢の体たらくっぷりを夜鷹書房のもうちょっと偉い人に直接訴えるか,井口さんが最初にゴスロリ様に相談していれば早期に解決した話ではあって,特に後者をしなかったのは違和感強い。その後,茶沢の上司もなかなか腐ってたことがわかるものの(とはいえ茶沢の上司はサラリーマンとして仕方ない部分もあってまあ責めれん),後者は説明なく流れてしまったのは少々残念だった。

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