2015年07月17日
モンゴル文字あれこれ
・オゾンホールは今世紀末に消滅する:NASA発表(WIRED.jp)
→ 私の幼少期にフロンの使用が急激に減少していった。気付けば社会に浸透しきって,フロンの使用禁止自体聞かない言葉になっていったが,高校生くらいの頃からだろうか,もう少し前だろうかという時期だと思う。これは私にとって完全に同時代史と言えるだろう。
→ いずれにせよ,人類が自らの環境破壊を努力で食い止めた良い事例にはなるだろう。できることからやっていきましょう。
・内田弘樹先生が「ヒトラーの国民国家」を読んでいるというところから始まる目からどんどんハイライトが消えていく地獄のお話(Togetter)
→ ヒトラーの経済政策が決して褒められたものではないのが知られていって,「とはいえナチスは世界恐慌からドイツを回復させた」系の擁護ができなくなっていくのはとても良いことだと思う。とりわけシャハトがいなくなってからは完全に自転車操業で,オーストリア併合以後は蛮族経済だからね……
→ はよ世界史の教科書も書き換わらんかな。どの教科書もポジティブな書き方ではないにせよ,「経済政策で人気を得た」程度のことは“留保抜きに”普通に書いてあるので。それ自体は事実ながら,Togetterにあるような留保が必要なんだけどなぁ。
・週刊少年ジャンプ(2015年25号)の感想(北区の帰宅部 )
→ ジャンプの新連載の『『背すじをピン!と』について。これは全く同じ事を思った。
>本作『競技ダンス部へようこそ』は「お前らの考える社交ダンスとは違うんだよ!!」というスタンスですけど、『Shall we ダンス?』『ウリナリ』で社交ダンスのイメージが形成されてる層に対しては無力なんですよ。空振り。ここのすれ違いが今後変なことにならないといいんですけどね。
→ と同時にこのセルフツッコミも正しいかもしれない。「おいおい,知ってるよそんなことは」と思っているのはおっさん・おばさん漫画読みだけかもしれぬ。
>まぁ、『Shall we ダンス?』も『ウリナリ』も結構昔の作品(番組)ですからね。今現在学生の人たちにとっては観たことなかったりするのかしら。むむむ、それはそれで悲しいですよw
・旭天鵬、支度部屋の素顔 白鵬に「これ、何て読むの?」(朝日新聞)
→ これはめちゃくちゃおもしろい話。モンゴルは1920年代に人民共和国となってから,モンゴル語の文字をモンゴル文字からキリル文字に切り替えて,これが今でも使われている。1990年代に民主化してからもキリル文字が使われているが,同時にモンゴル文字復興運動が始まり,古文のような形で教育過程に入った。だから21世紀になってからモンゴルで義務教育を受けた世代になるとモンゴル文字を読めるのだが,旭天鵬は1974年生まれの1992年来日であるから,モンゴル文字を習っていない。というよりも記事中に出てくる白鵬だって1985年生まれの2000年来日だから,義務教育で習ったかどうかと言われるとけっこう際どい。もっとも,白鵬はエリート層出身なので,義務教育でなくともモンゴル文字くらい読めるのかも。1991年生まれで2010年来日の照ノ富士は完全に小学校で習った世代だろう。旭天鵬の義務教育時代はまだ社会主義国と考えると,ソ連崩壊はまだ遠い過去でもないなと感慨深くなった記事であった。照ノ富士は平成生まれ初の大関だが,それ以上にモンゴル民主化後生まれ初の大関と言った方が意義深いのではないか。
→ ちなみに,意外かもしれないがモンゴルの識字率は高く,先進国並である。旧社会主義国の意地か。
→ 画像にある通り,モンゴル文字は縦書き。ただし,左から右に読む。だから左の行がチンギス,右の行がハーンになるのである。モンゴル文字はウイグル文字を元に13世紀に考案されたもので,ウイグル文字は日本のかな文字同様に縦書き・横書きのどちらでも可能な珍しい文字であったが,モンゴル文字は基本的に横書きしない。ウイグル文字の系統は遊牧民で広く使われたが,当のウイグル語自体がイスラーム化によってアラビア文字を使うようになったのをはじめ,史上あれだけ繁栄したウイグル文字の系統は現在ほとんど使われていない。その意味で,古文的扱いとはいえ,現在のモンゴルの義務教育は貴重である。
→ モンゴル語を表記する文字としては同じく13世紀にチベット文字を元に作られたパスパ文字があるが,こちらは廃れてしまった。ところがこのパスパ文字,字体がハングル(訓民正音)に似ているので,ハングルの原型になったのではないかという説がある。高麗はモンゴルの影響を強く受けたので,無い話ではなかろう。
→ それぞれの文字の原型をたどっていくと,モンゴル文字→ウイグル文字→ソグド文字→アラム文字となってこちらは西アジアは地中海沿岸に辿り着き,ハングル?→パスパ文字→チベット文字→ブラーフミー文字とこちらはインドに辿り着く。何とも壮大な移動であろう。
→ 私の幼少期にフロンの使用が急激に減少していった。気付けば社会に浸透しきって,フロンの使用禁止自体聞かない言葉になっていったが,高校生くらいの頃からだろうか,もう少し前だろうかという時期だと思う。これは私にとって完全に同時代史と言えるだろう。
→ いずれにせよ,人類が自らの環境破壊を努力で食い止めた良い事例にはなるだろう。できることからやっていきましょう。
・内田弘樹先生が「ヒトラーの国民国家」を読んでいるというところから始まる目からどんどんハイライトが消えていく地獄のお話(Togetter)
→ ヒトラーの経済政策が決して褒められたものではないのが知られていって,「とはいえナチスは世界恐慌からドイツを回復させた」系の擁護ができなくなっていくのはとても良いことだと思う。とりわけシャハトがいなくなってからは完全に自転車操業で,オーストリア併合以後は蛮族経済だからね……
→ はよ世界史の教科書も書き換わらんかな。どの教科書もポジティブな書き方ではないにせよ,「経済政策で人気を得た」程度のことは“留保抜きに”普通に書いてあるので。それ自体は事実ながら,Togetterにあるような留保が必要なんだけどなぁ。
・週刊少年ジャンプ(2015年25号)の感想(北区の帰宅部 )
→ ジャンプの新連載の『『背すじをピン!と』について。これは全く同じ事を思った。
>本作『競技ダンス部へようこそ』は「お前らの考える社交ダンスとは違うんだよ!!」というスタンスですけど、『Shall we ダンス?』『ウリナリ』で社交ダンスのイメージが形成されてる層に対しては無力なんですよ。空振り。ここのすれ違いが今後変なことにならないといいんですけどね。
→ と同時にこのセルフツッコミも正しいかもしれない。「おいおい,知ってるよそんなことは」と思っているのはおっさん・おばさん漫画読みだけかもしれぬ。
>まぁ、『Shall we ダンス?』も『ウリナリ』も結構昔の作品(番組)ですからね。今現在学生の人たちにとっては観たことなかったりするのかしら。むむむ、それはそれで悲しいですよw
・旭天鵬、支度部屋の素顔 白鵬に「これ、何て読むの?」(朝日新聞)
→ これはめちゃくちゃおもしろい話。モンゴルは1920年代に人民共和国となってから,モンゴル語の文字をモンゴル文字からキリル文字に切り替えて,これが今でも使われている。1990年代に民主化してからもキリル文字が使われているが,同時にモンゴル文字復興運動が始まり,古文のような形で教育過程に入った。だから21世紀になってからモンゴルで義務教育を受けた世代になるとモンゴル文字を読めるのだが,旭天鵬は1974年生まれの1992年来日であるから,モンゴル文字を習っていない。というよりも記事中に出てくる白鵬だって1985年生まれの2000年来日だから,義務教育で習ったかどうかと言われるとけっこう際どい。もっとも,白鵬はエリート層出身なので,義務教育でなくともモンゴル文字くらい読めるのかも。1991年生まれで2010年来日の照ノ富士は完全に小学校で習った世代だろう。旭天鵬の義務教育時代はまだ社会主義国と考えると,ソ連崩壊はまだ遠い過去でもないなと感慨深くなった記事であった。照ノ富士は平成生まれ初の大関だが,それ以上にモンゴル民主化後生まれ初の大関と言った方が意義深いのではないか。
→ ちなみに,意外かもしれないがモンゴルの識字率は高く,先進国並である。旧社会主義国の意地か。
→ 画像にある通り,モンゴル文字は縦書き。ただし,左から右に読む。だから左の行がチンギス,右の行がハーンになるのである。モンゴル文字はウイグル文字を元に13世紀に考案されたもので,ウイグル文字は日本のかな文字同様に縦書き・横書きのどちらでも可能な珍しい文字であったが,モンゴル文字は基本的に横書きしない。ウイグル文字の系統は遊牧民で広く使われたが,当のウイグル語自体がイスラーム化によってアラビア文字を使うようになったのをはじめ,史上あれだけ繁栄したウイグル文字の系統は現在ほとんど使われていない。その意味で,古文的扱いとはいえ,現在のモンゴルの義務教育は貴重である。
→ モンゴル語を表記する文字としては同じく13世紀にチベット文字を元に作られたパスパ文字があるが,こちらは廃れてしまった。ところがこのパスパ文字,字体がハングル(訓民正音)に似ているので,ハングルの原型になったのではないかという説がある。高麗はモンゴルの影響を強く受けたので,無い話ではなかろう。
→ それぞれの文字の原型をたどっていくと,モンゴル文字→ウイグル文字→ソグド文字→アラム文字となってこちらは西アジアは地中海沿岸に辿り着き,ハングル?→パスパ文字→チベット文字→ブラーフミー文字とこちらはインドに辿り着く。何とも壮大な移動であろう。
Posted by dg_law at 12:00│Comments(0)│