2015年10月06日
最近読んだもの・買ったもの
・『火ノ丸相撲』5巻。監督辻桐仁の登場,猛特訓編の始まり。
→ 心で勝ってて技が互角なら体の差で負ける。心と体はこれ以上鍛えようがない。ではどうすればよいか,というところでやはり「技」にたどり着く。本作のタイトルにして大テーマ「史上最“小”の横綱相撲」火ノ丸相撲の爆誕である。その核心が「リスクを背負った必殺技」というあたり,一周回って少年ジャンプに戻ってきた感ある。
→ 佑真の空手道場の話は良かった。単純なヤンキー更生物にするなどということをこの漫画はやらないと思っていたが,これほど「覆水盆に返らず」として突っぱねた漫画は過去にほとんどなかろう。
→ 潮本人は相撲部屋へ。最近はめっきり減ったけど,中卒でも制度上は入門できるわけだし,漫画中の描写から言って三段目以下の力士よりも高1の潮は強そうだから,それ以上の相手となると確かに大学相撲の強豪か,関取のいる相撲部屋しかなかろう。実際に作中で「三段目クラスでは歯が立たない」と説明されるが,そういう意味では少年漫画らしからぬリアリティである(もっとも,久世に至ってはすでに幕下上位級か十両級だろうが,元ネタの一人であろう貴乃花になぞらえるならこれも実は現実的とさえ言える)。
→ と同時に,後回しにしてきた大相撲の制度説明も出来て一石二鳥という。柴木山親方は,現実なら今の嘉風のような力士だったか。小兵で変化せず関脇って相当な変人だよなぁ。
・『アルテ』3巻。ウベルティーノからの発注の納品が終わり,宮殿のフレスコ画制作が始まる。
→ 布教のかいあって最近いろんな人が読んでくれているし,自分の布教とは関係なく評価もされているようで何よりである。女性であることによる社会的差別を主とした様々な困難を,自らの持ちうる武器と度胸と根性と清冽な人格で打ち破り,一歩一歩前進していく様は大変に痛快かつ清々しくてよい。引き続き表題通り「技術は嘘つかない」は本作を象徴する言葉であるだろう。
→ これも引き続きになるが,本作の時代考証についても言及しておく。画家ギルドが「聖ルカ組合」だったのは史実通り,というよりもどこの都市も大体,芸術家の守護聖人である聖ルカをギルド名に置く。登場人物たちがしきりに「最近のフィレンツェは不況が長続きしている」と語っているが,当時(16世紀初頭)のフィレンツェはメディチ家追放とサヴォナローラの奢侈禁止令,続くチェーザレ・ボルジアによるイタリア統一戦争(とその破綻),さらに続くイタリア戦争により,政治・社会・経済ともに動乱の真っ最中である。2巻の感想に「アルテの生家は下級都市貴族だが,よくこれらを乗り切ったなぁ」と書いた通り,繁栄を謳歌していたフィレンツェはどちらかというと「不況が長続き」どころの話ではないのである。
→ これまた前回の感想で書いた通り,正直に言ってなぜにフィレンツェが好況だった15世紀末ではなく,繁栄が陰った16世紀初頭に時代を設定したのか,不可解とまでは言わずともよくわからなかったのだが,陰りのあるフィレンツェだからこそ輝くアルテが活躍する余地があると考えると,むしろ練った時代設定なのかもしれない。
→ 時代考証といえば,巻末のおまけにあるようにパンが膨らんでいた。個人的には時代考証的に正しいつぶれたパンでもいいと思うが,そう思って読み返してみると本作の食事描写の多いこと。「絵が上手くなる秘訣は,まず肉を食うこと」という迷言を思い出すところである。
・『東方鈴奈庵』4巻。
→ 宮負定雄は平田篤胤門人の国学者だそうで,江戸後期・幕末の人物。本作では「やすお」とルビが振ってあるが,普通に「さだお」と読んでもいいようだ。『民家要術』は本来農本主義と人口増加を基盤とした富国策を農民向けに説いたものであるが,農業技術書『農業要集』も書いている。また,平田篤胤がオカルト研究にのめり込んでいったのと同様に,晩年の宮負定雄がオカルトにはまっていたのは事実であり,『幽冥界秘録集成』なんていう著書もある。相変わらずすごいところから拾ってくるな……
→ 霊夢さんが「幻想郷では里の人間が妖怪になることが一番の大罪」と述べていて,これが主に魔理沙クラスタの方向に衝撃を与えたのだけれど,神主さんは魔理沙が妖怪になるところまで東方projectを続ける気があるのかどうか。なさそうな気はするものの,妖怪になった魔理沙と霊夢の対決が弾幕勝負で決着(つまり,一番の大罪と言いつつお遊びで決着させる)というのは,案外東方projectの幕引きとしてふさわしい場面かもしれない。
→ ウィジャ盤で遊戯王を思い出した同世代は多いはず。
→ 幻想郷の技術水準は案外現代に近いことがわかっているのに,製本は江戸時代水準かい! という。胡瓜の栽培技術も遅れてるようだし,幻想郷の技術水準が歪すぎる。さすがは「幻想郷」。
→ 心で勝ってて技が互角なら体の差で負ける。心と体はこれ以上鍛えようがない。ではどうすればよいか,というところでやはり「技」にたどり着く。本作のタイトルにして大テーマ「史上最“小”の横綱相撲」火ノ丸相撲の爆誕である。その核心が「リスクを背負った必殺技」というあたり,一周回って少年ジャンプに戻ってきた感ある。
→ 佑真の空手道場の話は良かった。単純なヤンキー更生物にするなどということをこの漫画はやらないと思っていたが,これほど「覆水盆に返らず」として突っぱねた漫画は過去にほとんどなかろう。
→ 潮本人は相撲部屋へ。最近はめっきり減ったけど,中卒でも制度上は入門できるわけだし,漫画中の描写から言って三段目以下の力士よりも高1の潮は強そうだから,それ以上の相手となると確かに大学相撲の強豪か,関取のいる相撲部屋しかなかろう。実際に作中で「三段目クラスでは歯が立たない」と説明されるが,そういう意味では少年漫画らしからぬリアリティである(もっとも,久世に至ってはすでに幕下上位級か十両級だろうが,元ネタの一人であろう貴乃花になぞらえるならこれも実は現実的とさえ言える)。
→ と同時に,後回しにしてきた大相撲の制度説明も出来て一石二鳥という。柴木山親方は,現実なら今の嘉風のような力士だったか。小兵で変化せず関脇って相当な変人だよなぁ。
・『アルテ』3巻。ウベルティーノからの発注の納品が終わり,宮殿のフレスコ画制作が始まる。
→ 布教のかいあって最近いろんな人が読んでくれているし,自分の布教とは関係なく評価もされているようで何よりである。女性であることによる社会的差別を主とした様々な困難を,自らの持ちうる武器と度胸と根性と清冽な人格で打ち破り,一歩一歩前進していく様は大変に痛快かつ清々しくてよい。引き続き表題通り「技術は嘘つかない」は本作を象徴する言葉であるだろう。
→ これも引き続きになるが,本作の時代考証についても言及しておく。画家ギルドが「聖ルカ組合」だったのは史実通り,というよりもどこの都市も大体,芸術家の守護聖人である聖ルカをギルド名に置く。登場人物たちがしきりに「最近のフィレンツェは不況が長続きしている」と語っているが,当時(16世紀初頭)のフィレンツェはメディチ家追放とサヴォナローラの奢侈禁止令,続くチェーザレ・ボルジアによるイタリア統一戦争(とその破綻),さらに続くイタリア戦争により,政治・社会・経済ともに動乱の真っ最中である。2巻の感想に「アルテの生家は下級都市貴族だが,よくこれらを乗り切ったなぁ」と書いた通り,繁栄を謳歌していたフィレンツェはどちらかというと「不況が長続き」どころの話ではないのである。
→ これまた前回の感想で書いた通り,正直に言ってなぜにフィレンツェが好況だった15世紀末ではなく,繁栄が陰った16世紀初頭に時代を設定したのか,不可解とまでは言わずともよくわからなかったのだが,陰りのあるフィレンツェだからこそ輝くアルテが活躍する余地があると考えると,むしろ練った時代設定なのかもしれない。
→ 時代考証といえば,巻末のおまけにあるようにパンが膨らんでいた。個人的には時代考証的に正しいつぶれたパンでもいいと思うが,そう思って読み返してみると本作の食事描写の多いこと。「絵が上手くなる秘訣は,まず肉を食うこと」という迷言を思い出すところである。
・『東方鈴奈庵』4巻。
→ 宮負定雄は平田篤胤門人の国学者だそうで,江戸後期・幕末の人物。本作では「やすお」とルビが振ってあるが,普通に「さだお」と読んでもいいようだ。『民家要術』は本来農本主義と人口増加を基盤とした富国策を農民向けに説いたものであるが,農業技術書『農業要集』も書いている。また,平田篤胤がオカルト研究にのめり込んでいったのと同様に,晩年の宮負定雄がオカルトにはまっていたのは事実であり,『幽冥界秘録集成』なんていう著書もある。相変わらずすごいところから拾ってくるな……
→ 霊夢さんが「幻想郷では里の人間が妖怪になることが一番の大罪」と述べていて,これが主に魔理沙クラスタの方向に衝撃を与えたのだけれど,神主さんは魔理沙が妖怪になるところまで東方projectを続ける気があるのかどうか。なさそうな気はするものの,妖怪になった魔理沙と霊夢の対決が弾幕勝負で決着(つまり,一番の大罪と言いつつお遊びで決着させる)というのは,案外東方projectの幕引きとしてふさわしい場面かもしれない。
→ ウィジャ盤で遊戯王を思い出した同世代は多いはず。
→ 幻想郷の技術水準は案外現代に近いことがわかっているのに,製本は江戸時代水準かい! という。胡瓜の栽培技術も遅れてるようだし,幻想郷の技術水準が歪すぎる。さすがは「幻想郷」。
Posted by dg_law at 07:00│Comments(0)