2016年02月17日
入試問題の地図もひどいのたくさんありますしね
仕事忙しすぎていろいろ放置してたけど,ちょっと目処が立ってきたので復旧しよう。
・おいしい紅茶抽出飽和砂糖水溶液の作り方(なんたらかんたら)
→ 甘党で紅茶好きのワイでもさすがに引くレベル。でも,けっこう作ってみたいという本音もある。……少なくとも,倒れても仕事に差し支えない時期にしよう。覚えてたら。
→ 緑茶版やコーヒー版も見てみたい気もする。なお,コーヒーについては
・【致死量】一瓶まるごとインスタントコーヒー飲んだ(TuiTui)
→ こんなのもあった。砂糖の側が度を越してる分には即死はないが,カフェインの側が度を越してたら死にます。はい。
近藤暁夫. 中学校社会科歴史的・公民的分野教科書の掲載地図にみられる初歩的な誤りに関する報告 [PDF]
→ 以前から言われていた中学社会科教科書の地図がひどい,という話の地理プロパーによる本格的な調査。本当にひどかったという。
→ 他の教科書会社はともかく,帝国書院は地図メーカーとして死活問題では。
→ 自由社・育鵬社は基礎からやり直せとしか。 特に東欧関係の国境線がガバガバで,君ら自国の国境には気を使うのに他国はどうでもいいのか。ついでに言うと,彼らの目線からして「旧東側諸国」だからというある種の蔑視は存在しているのではないか,と邪推している。それにしても育鵬社の「ルーマニアの北に謎の独立国」はすごい。ガリツィアかな? 「シベリア鉄道の終点が海中」に至っては,地理の問題というより校正の問題という気が。いやまあ,自由社の教科書なのに「大東亜戦争(太平洋戦争)の展開」のページで「対馬・済州島・沖縄が日本領ではなく連合国領になっている」そうなので,それ以前の問題の可能性も高いけど。
→ 八郎潟については許してやってほしい気も。おそらく,気にしだすときりがないので,現在の海岸線で仕方なくやってしまっているところはあると思う。
→ 世界史の教科書・資料集も,黄河とアラル海をチェックされたらほとんど死滅するんじゃないか。黄河はご存じの通り歴史上何度も流路が変わっているが,割りと現在の流路で書いてしまいがちで,特に明・清朝前期の黄河は渤海湾に注いでいないという決定的な違いがあるのだけれど,あまり気を使われていない気が。アラル海も同じで,あちらもアムダリヤ・シルダリヤとの関係やカスピ海との関係だけど,おそらく黄河以上に気を使われていないので,大惨事になっている予感が。たまに21世紀の地図なのに干上がってないのを見ると,やや残念な気持ちにはなる。今度徹底的に調べてみてもいいかも。
・【艦これ】グラ子の出撃ボイスの「リーヒテンサーカー」みたいな発音の言葉ってどういう意味?(あ艦これ)
→ Lichten des Ankers! と言っているのは間違いないっぽい。以下,ドイツ語の文法的なお話。いろいろ調べてみたけど,基本的に元スレの>>17の指摘は正しくて,「抜錨!」の慣用句としては Anker auf! あるいは Anker Lichten! の方が自然と思われる。lichtenは動詞であり4格を取るので,2格を取っている時点でおかしい(des Ankersはどう見ても2格)。というよりも,2格はいわゆる所有格・属格のこと,と書けばドイツ語を知らなくとも異常さがわかるだろう(4格は対格)。そしてこういう例外が本当に存在するならば必ず辞書に載っているが,調べた限りでは出てこなかった。ついでに言うと,duden(ドイツ語正書法に則った権威的辞典)にジャストまんまの例文があったので引いておく。das Schiff lichtete die Anker. das Schiffは「船」の1格(主格),die Ankerは「錨」の複数形の4格である(Anker自体は男性名詞なので単数で4格を取るとdenになる)。
→ ただし,lichtenを動詞とするなら,そもそも命令形ではないのが不自然というひっかかりはあり(lichtenの命令形はlichtetになるはず),とすると二重の誤りか,またはlichtenが動詞ではなく名詞,ということになる。確かに,Lichtenという名詞は存在していないものの,動詞の名詞化:不定詞と強引に考える事はできる。では,これなら文法的に不備がないかというとそうでもないのが困り物で,ドイツ語は通常「zu」をつけることで不定詞を示す(zuはまんま英語のtoと同じ)。今回の場合,Zu Lichtenなら間違いなく不定詞になるが,zu(ツー)なんてGraf Zeppelinは言っていないので当てはまらない。もっとも,不定詞であることが自明な場合はzuを省略するということはあるようなので,これで納得しておくのが穏当な落とし所ではないか。実際にドイツ語版Googleで「Lichten des Ankers」で検索すると,数は4桁とそれほど多くないが,抜錨の意味で使用した文章がちゃんと見つかるので(命令語として使っているものは最初の5ページのうちに1つも見つからなかったけど)。
→ なお,そもそも動詞を名詞化する一番手っ取り早い方法は語尾にungをつけてしまうというのがある。「傾注!」の訳で有名なAchtung! はこの例で,元はachtenという動詞である。そこで,Lichtungという名詞があるのかどうか,同様にdudenで引いてみたら普通に存在したものの,Lichtungの意味は「伐採」であった……なるほど,lichtenにungをつけて名詞化すると大変なことになる。
→ 結論を申し上げると,おそらく慣用句や文法をしっかり調べずに「抜錨!」を完全に直訳し,「Achtung! は名詞だけど命令用語として成り立ってるから,これも名詞のままで行けるやろ」と勘違いして通した結果,文法的には成り立っているけど,若干珍妙な表現になったのではなかろうか。
・おいしい紅茶抽出飽和砂糖水溶液の作り方(なんたらかんたら)
→ 甘党で紅茶好きのワイでもさすがに引くレベル。でも,けっこう作ってみたいという本音もある。……少なくとも,倒れても仕事に差し支えない時期にしよう。覚えてたら。
→ 緑茶版やコーヒー版も見てみたい気もする。なお,コーヒーについては
・【致死量】一瓶まるごとインスタントコーヒー飲んだ(TuiTui)
→ こんなのもあった。砂糖の側が度を越してる分には即死はないが,カフェインの側が度を越してたら死にます。はい。
近藤暁夫. 中学校社会科歴史的・公民的分野教科書の掲載地図にみられる初歩的な誤りに関する報告 [PDF]
→ 以前から言われていた中学社会科教科書の地図がひどい,という話の地理プロパーによる本格的な調査。本当にひどかったという。
→ 他の教科書会社はともかく,帝国書院は地図メーカーとして死活問題では。
→ 自由社・育鵬社は基礎からやり直せとしか。 特に東欧関係の国境線がガバガバで,君ら自国の国境には気を使うのに他国はどうでもいいのか。ついでに言うと,彼らの目線からして「旧東側諸国」だからというある種の蔑視は存在しているのではないか,と邪推している。それにしても育鵬社の「ルーマニアの北に謎の独立国」はすごい。ガリツィアかな? 「シベリア鉄道の終点が海中」に至っては,地理の問題というより校正の問題という気が。いやまあ,自由社の教科書なのに「大東亜戦争(太平洋戦争)の展開」のページで「対馬・済州島・沖縄が日本領ではなく連合国領になっている」そうなので,それ以前の問題の可能性も高いけど。
→ 八郎潟については許してやってほしい気も。おそらく,気にしだすときりがないので,現在の海岸線で仕方なくやってしまっているところはあると思う。
→ 世界史の教科書・資料集も,黄河とアラル海をチェックされたらほとんど死滅するんじゃないか。黄河はご存じの通り歴史上何度も流路が変わっているが,割りと現在の流路で書いてしまいがちで,特に明・清朝前期の黄河は渤海湾に注いでいないという決定的な違いがあるのだけれど,あまり気を使われていない気が。アラル海も同じで,あちらもアムダリヤ・シルダリヤとの関係やカスピ海との関係だけど,おそらく黄河以上に気を使われていないので,大惨事になっている予感が。たまに21世紀の地図なのに干上がってないのを見ると,やや残念な気持ちにはなる。今度徹底的に調べてみてもいいかも。
・【艦これ】グラ子の出撃ボイスの「リーヒテンサーカー」みたいな発音の言葉ってどういう意味?(あ艦これ)
→ Lichten des Ankers! と言っているのは間違いないっぽい。以下,ドイツ語の文法的なお話。いろいろ調べてみたけど,基本的に元スレの>>17の指摘は正しくて,「抜錨!」の慣用句としては Anker auf! あるいは Anker Lichten! の方が自然と思われる。lichtenは動詞であり4格を取るので,2格を取っている時点でおかしい(des Ankersはどう見ても2格)。というよりも,2格はいわゆる所有格・属格のこと,と書けばドイツ語を知らなくとも異常さがわかるだろう(4格は対格)。そしてこういう例外が本当に存在するならば必ず辞書に載っているが,調べた限りでは出てこなかった。ついでに言うと,duden(ドイツ語正書法に則った権威的辞典)にジャストまんまの例文があったので引いておく。das Schiff lichtete die Anker. das Schiffは「船」の1格(主格),die Ankerは「錨」の複数形の4格である(Anker自体は男性名詞なので単数で4格を取るとdenになる)。
→ ただし,lichtenを動詞とするなら,そもそも命令形ではないのが不自然というひっかかりはあり(lichtenの命令形はlichtetになるはず),とすると二重の誤りか,またはlichtenが動詞ではなく名詞,ということになる。確かに,Lichtenという名詞は存在していないものの,動詞の名詞化:不定詞と強引に考える事はできる。では,これなら文法的に不備がないかというとそうでもないのが困り物で,ドイツ語は通常「zu」をつけることで不定詞を示す(zuはまんま英語のtoと同じ)。今回の場合,Zu Lichtenなら間違いなく不定詞になるが,zu(ツー)なんてGraf Zeppelinは言っていないので当てはまらない。もっとも,不定詞であることが自明な場合はzuを省略するということはあるようなので,これで納得しておくのが穏当な落とし所ではないか。実際にドイツ語版Googleで「Lichten des Ankers」で検索すると,数は4桁とそれほど多くないが,抜錨の意味で使用した文章がちゃんと見つかるので(命令語として使っているものは最初の5ページのうちに1つも見つからなかったけど)。
→ なお,そもそも動詞を名詞化する一番手っ取り早い方法は語尾にungをつけてしまうというのがある。「傾注!」の訳で有名なAchtung! はこの例で,元はachtenという動詞である。そこで,Lichtungという名詞があるのかどうか,同様にdudenで引いてみたら普通に存在したものの,Lichtungの意味は「伐採」であった……なるほど,lichtenにungをつけて名詞化すると大変なことになる。
→ 結論を申し上げると,おそらく慣用句や文法をしっかり調べずに「抜錨!」を完全に直訳し,「Achtung! は名詞だけど命令用語として成り立ってるから,これも名詞のままで行けるやろ」と勘違いして通した結果,文法的には成り立っているけど,若干珍妙な表現になったのではなかろうか。
Posted by dg_law at 00:31│Comments(4)
この記事へのコメント
早稲田大学 出題ミスのリンクを発見しにくくしているようです。
早稲田大学 大学のトップのお知らせや全学の入学試験センターのHPでは、出題ミスがなかったかのようにしている姑息。
例えば、国際教養学部のHP仁行って、右の方にある入学試験関係のリンクを押さないと、出題ミスがあったかもわからない仕掛けになっている。
http://www.waseda.jp/sils/jp/
http://www.waseda.jp/sils/jp/common/pdf/2016_exam_w_0217.pdf
法学部 英語と世界史で出題ミス
http://www.waseda.jp/folaw/law/assets/uploads/2016/02/20160221_exam.pdf
あと、別が誰が悪いというわけではありませんが、代ゼミが今年から解答速報から上智大学を外してきました。東進で見られるようです。
早稲田大学 大学のトップのお知らせや全学の入学試験センターのHPでは、出題ミスがなかったかのようにしている姑息。
例えば、国際教養学部のHP仁行って、右の方にある入学試験関係のリンクを押さないと、出題ミスがあったかもわからない仕掛けになっている。
http://www.waseda.jp/sils/jp/
http://www.waseda.jp/sils/jp/common/pdf/2016_exam_w_0217.pdf
法学部 英語と世界史で出題ミス
http://www.waseda.jp/folaw/law/assets/uploads/2016/02/20160221_exam.pdf
あと、別が誰が悪いというわけではありませんが、代ゼミが今年から解答速報から上智大学を外してきました。東進で見られるようです。
Posted by ろうやー at 2016年02月22日 23:34
報告ありがとうございます。ちなみに今早稲田の法学部の部分を書いている真っ最中です。
早稲田大の出題ミス告知は,入学センターのページからなら,まあわかりやすいとまでは言わずとも,わかるとは思います。
確かにトップページからだとわかりづらいですね。
そもそもトップページから入学センターのページへのリンクがややわかりづらいのは当局としていいんでしょうか? 良い悪いではなく,もったいない気がします。
代ゼミが上智大の解答速報を止めた件については,今年ので触れるつもりです。
規模縮小したので経営上のリソースがそこに割けなかったか,提携先の読売新聞が何らかの理由で上智大の掲載を断ったか,いずれかだと思いますが,残念ですね。
早稲田大の出題ミス告知は,入学センターのページからなら,まあわかりやすいとまでは言わずとも,わかるとは思います。
確かにトップページからだとわかりづらいですね。
そもそもトップページから入学センターのページへのリンクがややわかりづらいのは当局としていいんでしょうか? 良い悪いではなく,もったいない気がします。
代ゼミが上智大の解答速報を止めた件については,今年ので触れるつもりです。
規模縮小したので経営上のリソースがそこに割けなかったか,提携先の読売新聞が何らかの理由で上智大の掲載を断ったか,いずれかだと思いますが,残念ですね。
Posted by DG-Law at 2016年02月23日 20:15
>Lichten des Ankers!
珍妙さを残しつつ日本誤訳するなら「錨の引揚!」とでも書けばいいでしょうかねえ。
しかし何で誰も気付かずに世に出たんだこれ・・・
その地図をまんまパクって問題に使うとこが出たら大惨事ですよコレ。
珍妙さを残しつつ日本誤訳するなら「錨の引揚!」とでも書けばいいでしょうかねえ。
しかし何で誰も気付かずに世に出たんだこれ・・・
その地図をまんまパクって問題に使うとこが出たら大惨事ですよコレ。
Posted by エア提督 at 2022年05月05日 14:59
こちらも返事が遅れてすみません。
教科書の地図は校正漏れで,校正者たちが誰一人気にしなかった箇所が多いのだろうと思います。八郎潟なんかは典型的で,もちろん誤りなのですが気にしない人は指摘しないでしょうから。
それにしたって致命的なミスが多い教科書は,出版社が校正に力を入れていないのでしょう。
教科書の地図は校正漏れで,校正者たちが誰一人気にしなかった箇所が多いのだろうと思います。八郎潟なんかは典型的で,もちろん誤りなのですが気にしない人は指摘しないでしょうから。
それにしたって致命的なミスが多い教科書は,出版社が校正に力を入れていないのでしょう。
Posted by DG-Law at 2022年05月12日 00:18