2016年07月11日

最近読んだもの・買ったもの

・『ゼロの使い魔』21巻。
→ ご存じの通り,ヤマグチノボルが亡くなったため,この巻から代打による執筆となったが,違和感は無かった。よく「味」を引き継いでいると思う。前巻(20巻)の発刊から5年ぶり,ヤマグチノボルの逝去から3年経っての発刊となったが,きっちりと売れたようで,皆完結を待ってたんだなぁと。発売自体が話題になったのは嬉しいことである。
→ 物語の本筋はおおよそ予想通りの展開ではあり,最終巻に向けてのつなぎとしか言いようがない。サイトくん,元の地球に帰れるのか。ハルケギニアは助かるのか。最終巻に乞うご期待だが……そんなことよりルイズとサイトがラブラブで良かった,本当に良かった。なんかもう萌えとかそういうものじゃなくて安心感しかないんだけど,これは共感する人が多かろう。
→ 『ゼロの使い魔』は人名や地名でかなり凝っている(妙な小ネタがしこんである)が,エルフは元ネタがアラブ圏から採っていることが多いと思われ,けっこうわからない(ビダーシャルもルクシャナもわからない)。今回初出の人名ではエスマーイルで,ファティマ・アリィー・シャジャルともどもわかりやすい。マッダーフは職業名の模様。おもしろかったのは地名で,小アジアっぽい地方にある都市の名前がエウメネスて。基本的に近世から人名も地名もとっていることが多いのだけれど,まさかの古代。


・『冴えない彼女の育てかた』9巻&GirlsSide2。恵と英梨々の冷戦解決編。
→ 9巻のテーマが恵と英梨々の冷戦解決編なのは読む前から予想が付いてたが,読み終わった時に「解決しなかったんかい!w」としかつっこめなかった。9巻のあとがきで丸戸が『ゴメン9巻で決着つかなかったわ!』ってぶっちゃけててさらに笑ってしまったが,そりゃGS2に延長戦しないと読者は納得すまい。実は私は9巻は発売してから世評も効かずに放置していて,GS2とあわせて読んだので待たされた感じはしなかったが,まじめに発売直後に読んでいた人たちはさぞかし煮え切らない4ヶ月ほどだっただろう。
→ 今回で英梨々との思い出話を1ヒロインルートにしてしまったわけだが,ひょっとしてこのまま残りの面々も作中のヒロインにされていくのでは……? 丸戸がそこまで単純なことはしない気もしつつ。作者に完全に踊らされているが,期待して待とう。
→ GS2の中では,今までありそうでなかった詩羽と美智留の絡みが一番おもしろかった。恵と英梨々の解決編自体は,英梨々の負い目を,恵が負い目を作ることで解決したということになるが,同時に恵に正妻の座の自覚が出てきていて,ますます英梨々の戦線離脱感も。もっとも詩羽もすでに戦線離脱した形だし,美智留と出海は前2人ほど倫也を狙っているわけでもないので,このまま恵が正妻に居座って完結まで行きそうな雰囲気だ。意外とそういう雰囲気は本巻で初めて感じたかも。


・『涙の乙女』。『乙女戦争』の大西巷一の短編集で,実在の女性による復讐譚が3つ,創作話が1つ。
→ このうち創作話は大西巷一のデビュー作で,作画が今よりかなり未熟であり,その意味ではおもしろい。
→ 実在の人物はマネット・ボヌール,ジャンヌ・ド・ベルヴィルキスペ・シサの3人である。3人のうち2人は日本語版Wikipediaにページが無く,マネット・ボヌールに至っては英語版にもフランス語版にもページが無いという徹底的にマイナーな人物を取り上げている。キスペ・シサは多少なりとも知名度があろうが,残りの2人は私自身全く知らず,何というかすごいところからすごいエピソードを持った人を拾ってきたと思う。というかマネット・ボヌールはManette Bonheurでググってさえ10件前後なんですが……
→ もちろんこれらの作品では作者による創作がかなり入っていて,注意が必要である。たとえば,本作におけるジャンヌ・ド・ベルヴィルはイギリスの支援を得るためにエドワード3世の愛人となっており,作中の描写も二人の息子が成人していてもかなり若い。しかし実際には,作者本人がブログで明かしているように,戦っていた期間の年齢は43〜56歳であり,仮に美魔女だったとしてもエドワード3世の愛人になるのはかなり無理がある。しかし,この創作も含めてこれが本巻んで一番おもしろかったかな。
→ キスペ・シサもピサロの暗殺にかかわった何て証拠はどこにもない。これは上手い歴史の空白を埋める創作だったと思う。




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