2016年07月13日
2016参院選雑感
ざっくりと。
[全体として]
予想通りすぎて何ともコメントしがたい,というコメントを残しておきたい。
[東京都選挙区について]
個人的には満足した結果。表現規制反対の立場から言えば民進党の蓮舫・小川敏夫ご両名,共産党の山添拓氏が通ってくれれば一番良い展開で,その通りになったからである。蓮舫はほっといても受かりそうな気がして,山添拓氏と小川敏夫氏で相当に迷って,まあどっちに投票したかはあえて伏せておこう。民進党の表現規制に対する態度は,枝野がこう言ってるなら(Togetter中段小川敏夫の項),それを信用しようかなと。
[山田太郎氏について]
何か私が熱烈な支持者だと勘違いしている人もいるようだが,それへの反論を含めて私の投票行動の方針と,山田太郎氏周辺の言論について書いておく。確かに私のアイデンティティはどちらかというと右派だが,単純に立憲君主制支持,国旗・国歌は現状のものでよい,思考基盤は古典的な意味での保守主義に則っているというのが大きな理由で,その他の分野では人権・労働政策中心に左派の考えに近く,近年は後者に沿った左派政党への投票行動が多い。そもそも私は社民党で国政に出ていた時代の保坂展人氏の支持者である。彼が世田谷区長として安定して二期目に入ったのは喜ばしいことである。
山田太郎氏への支持も「右派から出てきた表現規制反対派」だから乗ったわけではなくて,単純に彼が表現規制で大きな功績を上げており,忌避感を覚えるほどの(南京虐殺否定等の)アレな思想は持っていない・少なくとも表には出していないからである(実のところ後者は大きい要素なのだけれど,あまり指摘されない)。ついでに言うと,彼は同性婚・選択的夫婦別姓にも賛成である。一方,氏が時折見せる胡散臭さや政治的センスの無さも了承しているし,だからこそ熱烈には支持していない。
なので,ネット上の左派に見られる「右派が支持しやすい待望の表現規制反対派だから,実態以上に持ち上げられている」という主旨の主張は,「少なくとも私の支持理由は違うのだが……」という困惑した気分にさせられた。おそらく似たような感想の人は私以外にも少なからずいるだろう。もっとも,実際に一部の支持者が非常に後ろ弾撃ちたがる人たちだというのは選挙期間中まざまざと見せつけられて,非常に辟易した。いずれにせよ山田太郎氏界隈における最大の感想は表現規制反対における左右の溝の深さで,左派アレルギーの右派には言わずもがな,左派には何もそこまで山田太郎氏を嫌わなくても,という悲しい感想をもたざるを得なかった。まあ左派はともかくとして,山田太郎氏本人が表現規制反対は連帯してと言っているのだから,左派アレルギーを発している場合ではないだろうと右側には言っておきたい。
その中で氏の得た約29万票をどう評価すべきかは難しいところだが,おおよそ全部代弁してくれているブログ記事があるので,リンクを張ってお茶を濁しておく。
・山田太郎、29万票の衝撃(グレッグ山田の文句百万回)
[改憲について]
改憲派が期待するほど上手くはいかず,護憲派が悲観するほど急速には進まないと思っている。改憲派の中でも溝はあり,内ゲバが始まって,妥協までにかなり時間がかかるのではないか。少なくとも自民党草案のままでは一歩も前進するまい。また,実際に国民投票まで行き着いたとして,改憲の内容がアレなものだった場合,あっさり否決される程度には日本人全体の良識を信頼しているのだけど,甘いだろうか。また実際に否決された場合,改憲の気運は一気に退潮し,次に高まるのはおそらく10年単位で後になると予測される。これは改憲派もそう予測するだろうから,慎重にならざるを得ないだろう。
[全体として]
予想通りすぎて何ともコメントしがたい,というコメントを残しておきたい。
[東京都選挙区について]
個人的には満足した結果。表現規制反対の立場から言えば民進党の蓮舫・小川敏夫ご両名,共産党の山添拓氏が通ってくれれば一番良い展開で,その通りになったからである。蓮舫はほっといても受かりそうな気がして,山添拓氏と小川敏夫氏で相当に迷って,まあどっちに投票したかはあえて伏せておこう。民進党の表現規制に対する態度は,枝野がこう言ってるなら(Togetter中段小川敏夫の項),それを信用しようかなと。
[山田太郎氏について]
何か私が熱烈な支持者だと勘違いしている人もいるようだが,それへの反論を含めて私の投票行動の方針と,山田太郎氏周辺の言論について書いておく。確かに私のアイデンティティはどちらかというと右派だが,単純に立憲君主制支持,国旗・国歌は現状のものでよい,思考基盤は古典的な意味での保守主義に則っているというのが大きな理由で,その他の分野では人権・労働政策中心に左派の考えに近く,近年は後者に沿った左派政党への投票行動が多い。そもそも私は社民党で国政に出ていた時代の保坂展人氏の支持者である。彼が世田谷区長として安定して二期目に入ったのは喜ばしいことである。
山田太郎氏への支持も「右派から出てきた表現規制反対派」だから乗ったわけではなくて,単純に彼が表現規制で大きな功績を上げており,忌避感を覚えるほどの(南京虐殺否定等の)アレな思想は持っていない・少なくとも表には出していないからである(実のところ後者は大きい要素なのだけれど,あまり指摘されない)。ついでに言うと,彼は同性婚・選択的夫婦別姓にも賛成である。一方,氏が時折見せる胡散臭さや政治的センスの無さも了承しているし,だからこそ熱烈には支持していない。
なので,ネット上の左派に見られる「右派が支持しやすい待望の表現規制反対派だから,実態以上に持ち上げられている」という主旨の主張は,「少なくとも私の支持理由は違うのだが……」という困惑した気分にさせられた。おそらく似たような感想の人は私以外にも少なからずいるだろう。もっとも,実際に一部の支持者が非常に後ろ弾撃ちたがる人たちだというのは選挙期間中まざまざと見せつけられて,非常に辟易した。いずれにせよ山田太郎氏界隈における最大の感想は表現規制反対における左右の溝の深さで,左派アレルギーの右派には言わずもがな,左派には何もそこまで山田太郎氏を嫌わなくても,という悲しい感想をもたざるを得なかった。まあ左派はともかくとして,山田太郎氏本人が表現規制反対は連帯してと言っているのだから,左派アレルギーを発している場合ではないだろうと右側には言っておきたい。
その中で氏の得た約29万票をどう評価すべきかは難しいところだが,おおよそ全部代弁してくれているブログ記事があるので,リンクを張ってお茶を濁しておく。
・山田太郎、29万票の衝撃(グレッグ山田の文句百万回)
[改憲について]
改憲派が期待するほど上手くはいかず,護憲派が悲観するほど急速には進まないと思っている。改憲派の中でも溝はあり,内ゲバが始まって,妥協までにかなり時間がかかるのではないか。少なくとも自民党草案のままでは一歩も前進するまい。また,実際に国民投票まで行き着いたとして,改憲の内容がアレなものだった場合,あっさり否決される程度には日本人全体の良識を信頼しているのだけど,甘いだろうか。また実際に否決された場合,改憲の気運は一気に退潮し,次に高まるのはおそらく10年単位で後になると予測される。これは改憲派もそう予測するだろうから,慎重にならざるを得ないだろう。
Posted by dg_law at 02:38│Comments(4)│
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この記事へのコメント
参議院選に関して言えば巷のマスコミがいうのとは裏腹に予想よりは野党が粘ったかなとはいえるところ。
2/3の件に関しても達成できたのは無所属の改憲派を含めた改憲勢力の2/3で改憲4党による2/3に関してはギリギリ達さなかったわけで…。
>表現規制反対における左右の溝の深さ
全くそのとおりで今はそんなことをいっていられる余裕はないでしょうね。
>改憲について
改憲勢力以前に与党内で改憲草案をまとめるのに時間がかかりそう。
公明※に関してはある意味民進以上に改憲に対しては慎重だから自民党草案に関しては与党内の時点でほとんど修正されるのは間違いないところ。
※:公明は基本的には加憲という考え方で現行憲法を尊重しつつ、時代に合わせた細かい修正のみを行なう立場で改憲といえば改憲だが自民のように現行憲法を否定するわけではない。
2/3の件に関しても達成できたのは無所属の改憲派を含めた改憲勢力の2/3で改憲4党による2/3に関してはギリギリ達さなかったわけで…。
>表現規制反対における左右の溝の深さ
全くそのとおりで今はそんなことをいっていられる余裕はないでしょうね。
>改憲について
改憲勢力以前に与党内で改憲草案をまとめるのに時間がかかりそう。
公明※に関してはある意味民進以上に改憲に対しては慎重だから自民党草案に関しては与党内の時点でほとんど修正されるのは間違いないところ。
※:公明は基本的には加憲という考え方で現行憲法を尊重しつつ、時代に合わせた細かい修正のみを行なう立場で改憲といえば改憲だが自民のように現行憲法を否定するわけではない。
Posted by hts at 2016年07月13日 06:28
>>表現規制反対における左右の溝の深さ
>全くそのとおりで今はそんなことをいっていられる余裕はないでしょうね。
ですよね。これからも表現規制問題における大きな課題の一つだなぁと。
残念ながら山田太郎氏は落選しましたが,当選した表現規制反対の議員も多いので,応援していきたいところです。
>>改憲について
>改憲勢力以前に与党内で改憲草案をまとめるのに時間がかかりそう。
>公明※に関してはある意味民進以上に改憲に対しては慎重だから自民党草案に関しては与党内の時点でほとんど修正されるのは間違いないところ。
私もそう思っていて,自民党内や与党内でまず本当に意見が一致するのか訝しんでいるのですが,やはり左派の方々はそこを楽観視できないようです。
注視しておくに越したことがないのは確かですね。
>全くそのとおりで今はそんなことをいっていられる余裕はないでしょうね。
ですよね。これからも表現規制問題における大きな課題の一つだなぁと。
残念ながら山田太郎氏は落選しましたが,当選した表現規制反対の議員も多いので,応援していきたいところです。
>>改憲について
>改憲勢力以前に与党内で改憲草案をまとめるのに時間がかかりそう。
>公明※に関してはある意味民進以上に改憲に対しては慎重だから自民党草案に関しては与党内の時点でほとんど修正されるのは間違いないところ。
私もそう思っていて,自民党内や与党内でまず本当に意見が一致するのか訝しんでいるのですが,やはり左派の方々はそこを楽観視できないようです。
注視しておくに越したことがないのは確かですね。
Posted by DG-Law at 2016年07月13日 20:40
この記事を書いたたったの2日でだいぶ情勢が変わりましたね。
自民草案による改憲の可能性は非常に遠のいたといえそうです。
理由は以下の2つ
1.天皇の生前退帝問題
2.自民の後出し参議院単独過半数達成
以降改憲が遠のいた理由
前提条件として自民党の内規上安倍の任期は2018年いっぱいで終わるということがある。したがって安倍政権で改憲するにはそこまでに行わなければならない。
まず天皇陛下が生前退帝を希望されていることが明らかになった関係で皇室典範の改正を行わなければならなくなる。
ここで皇室典範の改正は憲法改正よりも優先されるらしく皇室典範改正に時間を取られることになる。
結果内閣再編や経済政策等も加えると少なくとも2017年いっぱいは改憲に着手するのは難しくなる。
ここで2018年から改憲へ向けて急発進するのではと思われるがおそらくその頃には自民と公明の仲が冷え切る可能性が高い。
理由は自民が衆参両院で単独過半数をとったことで露骨な公明はずしをしてくる可能性が非常に高いと思われるからである。
上手くいけば公明が連立解消をする可能性が出てくるしそこまでいかなくても与党内の改憲審議は自民と公明とで仲違いする可能性が高くなるわけで…。
長々と書きましたがこんなところでしょうか。
自民草案による改憲の可能性は非常に遠のいたといえそうです。
理由は以下の2つ
1.天皇の生前退帝問題
2.自民の後出し参議院単独過半数達成
以降改憲が遠のいた理由
前提条件として自民党の内規上安倍の任期は2018年いっぱいで終わるということがある。したがって安倍政権で改憲するにはそこまでに行わなければならない。
まず天皇陛下が生前退帝を希望されていることが明らかになった関係で皇室典範の改正を行わなければならなくなる。
ここで皇室典範の改正は憲法改正よりも優先されるらしく皇室典範改正に時間を取られることになる。
結果内閣再編や経済政策等も加えると少なくとも2017年いっぱいは改憲に着手するのは難しくなる。
ここで2018年から改憲へ向けて急発進するのではと思われるがおそらくその頃には自民と公明の仲が冷え切る可能性が高い。
理由は自民が衆参両院で単独過半数をとったことで露骨な公明はずしをしてくる可能性が非常に高いと思われるからである。
上手くいけば公明が連立解消をする可能性が出てくるしそこまでいかなくても与党内の改憲審議は自民と公明とで仲違いする可能性が高くなるわけで…。
長々と書きましたがこんなところでしょうか。
Posted by hts at 2016年07月15日 01:24
天皇の生前退位問題は突然出てきましたね。
本当に皇室典範を変えるならかなり政治の動きに影響を与えそうですね。
自公連立はどうなりますかね。
選挙装置として手放せなくて,ずるずると連立し続けそうな気もします。
いずれにせよ,公明党の存在は数に入れないと2/3にはならず,とはいえ改憲にそこまで乗り気でもないので,自民党としては扱いに困ってそうな(贅沢な悩みですが),
本当に皇室典範を変えるならかなり政治の動きに影響を与えそうですね。
自公連立はどうなりますかね。
選挙装置として手放せなくて,ずるずると連立し続けそうな気もします。
いずれにせよ,公明党の存在は数に入れないと2/3にはならず,とはいえ改憲にそこまで乗り気でもないので,自民党としては扱いに困ってそうな(贅沢な悩みですが),
Posted by DG-Law at 2016年07月16日 01:26