2016年09月12日

エロゲレビューまとめて(『乙女理論とその周辺』他)

レビューを書こうとして10行くらいにならず,それで1記事にするのもどうかと思って放置していた文章を,あきらめて一斉放出。ネタバレは一応伏せ字にしておいたが,見えてしまったらごめんなさいということで。プレイ期間は2013〜16年頃だが,新作とは限らない。

扱っている作品は『乙女理論とその周辺』,『月に寄りそう乙女の作法2』,『大図書館の羊飼い Dreaming Sheep』,『グリザイア』シリーズ,『ねこぱら』vol1,2。

・『乙女理論とその周辺』
これのレビューを書きあぐねてたのが全ての元凶かも。面白かったけど,どうも批評が難しい作品だったかなと。もちろん好きな作品で評価もしており,でなければわざわざパリまで聖地巡礼には行かない。しかしながら,どうにも話自体が複雑すぎたかなと。大蔵家の和解に関する話と「才能」の話,さらには人種差別の話まで混ぜたものだから,かなりテーマが混線していた。レビュアー泣かせである。一方で,これをかなり強引ながらまとめて大団円にしてしまったりそなルートは,その力技っぷりも含めておもしろかった。

作品の雰囲気は前作とかなり対照的で,前作は暖かな雰囲気の中で「こんな時が永遠に続けばいいのに」と思わせられ,だからこそ男バレが致命傷となりうる恐怖もよく出ていた。一方で本作は,まず長くても3年という留学という前提に加えて,ひきこもりだったりそなが登校する不安感にパリという故郷から離れた土地,あからさまにさらされる人種差別に,衣遠兄様からの逃亡劇,さらには次男一家との争いと,男バレ以外にも致命傷や不安を煽る状況が多い。その中での信頼できる人たちとの交流があり,「心細い中で,この貴重な時間を少しでもこの時間を長く」という雰囲気がよく出ていたと思う。(以下ネタバレ)だからこそ,最も追い詰められたところでルナ様が登場するシーンはエロゲ史上でも屈指の名シーンと言っていいだろう。ぶっちゃけて言うと,本作の価値はあそこと,衣遠との和解のシーンの二箇所に結集されている。(ネタバレ終わり)

超短かったエッテルートは『その後』で救済されたものの,友人のある人曰く「『つり乙』シリーズはファッションの話と大蔵家の話がクロスするからおもしろいのであって,服飾作らないヒロインのルートはどうしても無理が生じるからシナリオの構造が不自然になる。その良い例が無印の湊と,本作のエッテ」と。なるほど。


・『月に寄りそう乙女の作法2』
一作目の神々しさは無かったけど,逆に言って無難にまとまった良作だったとは思う。散々他の方のレビューでも言われている通り,『つり乙』がまさにルナ様だとすると,本作は才華くんのよう。

パル子のシナリオが典型的だったけど,明らかに尻切れトンボで,シナリオの側が原因で作品のヴォリュームが縮んだことが見受けられることが時折あり,それに比例してシナリオの完成度も下がっていったのが残念だった。というよりも,エストルート以外は全部ヴォリューム不足でしょう……「おもしろかったけど,物足りない」という世評が非常に多いのはうなづける話。また,設定は非常によく練ってあって,東ノ助氏ならここからどれだけでも物語をひねり出せそうなのに,これで一度完成品というのはもったいないように感じた。続編なりスピンアウトなりが欲しいところ。

エストのルートはさすがに出色の出来。(以下ネタバレ)「天才に一歩足りない秀才が,開き直って裏技を駆使してでも立ち向かう話」という点で1作目のユーシェシナリオのやり直しと言われればそれまでながら,差異も大きい。ユーシェシナリオは財力に頼ったし,ルナとユーシェはあくまで同年齢のライバルで,開き直りに意外と葛藤がなかった。一方,本作の才華くんは両親へのコンプレックスが多重に存在していて,苦しみ抜いた末に,文字通り「その身を犠牲にした」ので,シリーズとしてテーマを重ねてきた意味はあった。それも1作目のメイン中のメインたるルナではなく,ユーシェに重ねたところは実にひねくれた話である。(ネタバレ終わり)



・『大図書館の羊飼いDreaming Sheep』
可も不可もなさすぎたファンディスク。オーガストというメーカーへの期待度や,『大図書館の羊飼い』本体のおもしろさを考えると,もう一捻り二捻り欲しい作品ではあったかなと。夏野イオ原画のHシーンが見れたのが最大の収穫だったかも。


・『グリザイア』シリーズ
アニメを見てからやり始めたのだけど,アニメは上手いことまとめたのだなぁというのが正直な感想。けっこう間延びしたテキストだったかな。作品自体の感想はアニメと重なるので割愛(『果実』『迷宮』・『楽園』)。「エンジェリック・ハウル」と「カプリスの繭」は噂に違わぬ出来だった。これだけでもやってよかったとは思えた。


・『ねこぱら』vol.1・vol.2
E-moteが異様なまでにかわいい&エロいので,とにかく萌え転がりたいなら全力でお勧め。特にHシーンはすごかった。

シナリオは可も不可もないというか,そこに期待する人はあまりいないと思うし,不快だったりつまらなかったりするわけではないので十分に及第点であろう。ただ,世界設定が『わんことくらそう』によく似ていて,そっちをプレイ済みだと,おそらく制作者側が全く意図していないであろう隠れた狂気をプレイヤーの側が勝手に読み取ってしまう可能性はあるかもしれない。というよりも白状すると私がそうだった。“ペットなのか人間なのか位置づけが曖昧なせいで人権があるのかないのかも曖昧で,かつ「愛玩」や「労働力」に使えてしまう存在”って確実に社会壊すやろ……

ところで,台湾人のさよりさんが中心になって作っているだけあって,テキスト文が「日本語・English・繁体中文」から選べるインターナショナル仕様。音声は日本語なので,あえて英語文で読みながらプレイするとけっこう英語の勉強になる。また,Steamで購入できるが,Steamは全年齢版しか頒布できないという事情から,Steam版購入者にはR-18仕様追加パッチが配布されるという“抜け穴”を使ったゲームとしても有名。



以下はメモとして。
・クリア済,レビュー未完成:『美少女万華鏡3』,『奴隷との生活 Teaching Feeling』,『乙女理論とその後の周辺』,『EXTRAVAGANZA 蟲狂編』
・現在プレイ中または一旦停止中:『きみはね』(優先プレイ中),『うたわれるもの 偽りの仮面』,『すみれ』
・やる予定はある:『サクラノ詩』,『凍京ネクロ』
・発売したらすぐに手を付ける予定:『千の刃濤、桃花染の皇姫』
・予約はした(積む予定):『うたわれるもの 二人の白皇』(延期しないとは思ってなかった……)

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