2016年12月01日
最近読んだもの・買ったもの
・『君の名は。 Another Side:Earthbound』。本編『君の名は。』を補完する短編集。三葉の中に入った瀧くん視点の糸森の生活,テッシー視点の糸森の話,四葉視点の不審な三葉を観察する話,そして宮水父視点の過去編(二葉と出会って結婚し,二葉が死んで現在まで)。
→ どれもおもしろいが,やはり出色の出来だったのは宮水父の話で,本書のレビューでは散々言われている通り,本編のラストでそのシーンがばっさりカットされた,三葉がどうやって父親を説得したのかということを補完する話になっている。以下少々ネタバレ:あれは説得されたのではなく,宮水父が自分自身で納得したのだなと。宮水父が大学の研究者→神職→町長という謎すぎる経歴をたどったという設定がようやく生きてきた。背景となる日本神話の話が意外としっかりしていて驚いたし,確かにこれを本編に出すと違和感が強くなる。青春物にいきなり伝奇物がぶちこまれることになり,それは食合せがあまりにも悪い。それに,せっかく若年層に受けているのに,小難しい話はやはり引かれよう。それゆえばっさりカットせざるを得なかったという事情は納得がいった。それにしても,天香香背男とは。私的には『アカイイト』の印象が非常に強い神だが,知名度の割によく見るのは,やはり使いやすい神ということなのだろう。
→ また,本編作中でテッシーが「腐敗の臭いがするなー」と言っていたが,実はほんの10年前までの糸水はむしろ宮水神社を頂点とする近世的な社会秩序で,これでも宮水父が町長になってから急速に近代化した(その副産物として一般的な日本の地方に存在する政治と土建の癒着も生じた),ということがわかって,本編の印象が少し変わった。
→ 一時期はどこの本屋も品切れでAmazon等も品切れの状態だったが,さすがに11月くらいから在庫が復活して入手が用意になった。本編もそうだが,こんなに売れるなど全く予想していなかったのだろう。
・『マリー・アントワネット』(惣領冬実)。
→ 『チェーザレ』の連載が止まっているのに何新しい連載始めてるんですか惣領先生,と始まったときは大いに戸惑ったが,無事短編4話で終わって安心した。一方で,この4話は,ルイ16世とマリーの結婚から打ち解けるまでという,非常に中途半端なところで終わっており,これはこれで本腰入れてもう少し読みたかった。マリーの刑死までとは言わないから,革命前夜くらいまで。
→ テーマとしては近年のルイ16世の再評価,啓蒙専制君主としての側面に焦点を当てたものだが,それこそ彼の改革意欲が描かれる前に話が終わるので,「意外と博識で悪い人物じゃなかったんだよ」アピールにしかなっていないのが,いかにも画竜点睛を欠く。一方のマリーは「彼女がなぜ孤立したか」について描かれていて,そもそも歓迎されていなかったことに加えて,フランス宮廷のガチガチのしきたり・儀式に耐えられなくなっていったところ,ルイ16世に助けられたがゆえに,かえって夫婦として孤立した,という形になっている。だからこそこちらもプチ・トリアノンが建設されて家庭生活安定する反面,社会情勢はそれを許さなくなっていくところまで描いて欲しかった。高評価するには短すぎるのが何とも惜しい作品。とはいえ,これ以上『チェーザレ』の連載が止まるのも困るしな……
・『聖☆おにいさん』13巻。
→ 聖母とはいえ一般庶民には違いないことにコンプレックスがあるマリアさんと,高貴な生まれながら「産んだけど育ててない」ことにコンプレックスがあるマーヤーさんという二人の対比がけっこうおもしろかった。なんだかんだ打ち解けていたが,確かに聖母たるもの同士,独特の悩みを共有していそうである。
→ 父さん「一発芸,Twitter」はアカンでしょwwwwww。13巻で一番笑った。
→ イエスがコーヒーの淹れ方がわからなくてひどいことになってたけど,イエスが生きていた頃にコーヒーはなかったからね。仕方ないね。原産地エチオピア自体はキリスト教圏だが,伝播の事情を鑑みるに,聖人の中ではムハンマドさんが一番うまそう(時代的に考えるとこちらもコーヒーの存在は知らないことになるが)。
→ そういえば「坊主がBOSE」という鉄板ネタ,13巻まで使ってなかったのだなというのはちょっと驚いた。意外なところにネタがまだ残っている作品である。
・『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です』7巻。表紙は知波単学園。黒森峰の出番はいつ来るのか。
→ 西住父こと西住常夫さん,この漫画で初登場どころか,漫画媒体全体で初登場か(アニメにも出ていないが)。戦闘民族西住家で唯一その血を引いてないから,まあこういう役割になるよなw
→ 確かに左衛門佐さんは今年の大河のおかげで一年中テンション高かっただろうなとw。おりょうさんと左衛門佐はそういう機会があるが,エルヴィンとカエサルは機会が少なそう。
→ 細見さんのあの髪型,この漫画ならネタにしてくると思っていた。しかしなんでまたあのデザインになったのか……
→ どれもおもしろいが,やはり出色の出来だったのは宮水父の話で,本書のレビューでは散々言われている通り,本編のラストでそのシーンがばっさりカットされた,三葉がどうやって父親を説得したのかということを補完する話になっている。以下少々ネタバレ:あれは説得されたのではなく,宮水父が自分自身で納得したのだなと。宮水父が大学の研究者→神職→町長という謎すぎる経歴をたどったという設定がようやく生きてきた。背景となる日本神話の話が意外としっかりしていて驚いたし,確かにこれを本編に出すと違和感が強くなる。青春物にいきなり伝奇物がぶちこまれることになり,それは食合せがあまりにも悪い。それに,せっかく若年層に受けているのに,小難しい話はやはり引かれよう。それゆえばっさりカットせざるを得なかったという事情は納得がいった。それにしても,天香香背男とは。私的には『アカイイト』の印象が非常に強い神だが,知名度の割によく見るのは,やはり使いやすい神ということなのだろう。
→ また,本編作中でテッシーが「腐敗の臭いがするなー」と言っていたが,実はほんの10年前までの糸水はむしろ宮水神社を頂点とする近世的な社会秩序で,これでも宮水父が町長になってから急速に近代化した(その副産物として一般的な日本の地方に存在する政治と土建の癒着も生じた),ということがわかって,本編の印象が少し変わった。
→ 一時期はどこの本屋も品切れでAmazon等も品切れの状態だったが,さすがに11月くらいから在庫が復活して入手が用意になった。本編もそうだが,こんなに売れるなど全く予想していなかったのだろう。
加納 新太
KADOKAWA / 角川書店
2016-08-01
・『マリー・アントワネット』(惣領冬実)。
→ 『チェーザレ』の連載が止まっているのに何新しい連載始めてるんですか惣領先生,と始まったときは大いに戸惑ったが,無事短編4話で終わって安心した。一方で,この4話は,ルイ16世とマリーの結婚から打ち解けるまでという,非常に中途半端なところで終わっており,これはこれで本腰入れてもう少し読みたかった。マリーの刑死までとは言わないから,革命前夜くらいまで。
→ テーマとしては近年のルイ16世の再評価,啓蒙専制君主としての側面に焦点を当てたものだが,それこそ彼の改革意欲が描かれる前に話が終わるので,「意外と博識で悪い人物じゃなかったんだよ」アピールにしかなっていないのが,いかにも画竜点睛を欠く。一方のマリーは「彼女がなぜ孤立したか」について描かれていて,そもそも歓迎されていなかったことに加えて,フランス宮廷のガチガチのしきたり・儀式に耐えられなくなっていったところ,ルイ16世に助けられたがゆえに,かえって夫婦として孤立した,という形になっている。だからこそこちらもプチ・トリアノンが建設されて家庭生活安定する反面,社会情勢はそれを許さなくなっていくところまで描いて欲しかった。高評価するには短すぎるのが何とも惜しい作品。とはいえ,これ以上『チェーザレ』の連載が止まるのも困るしな……
・『聖☆おにいさん』13巻。
→ 聖母とはいえ一般庶民には違いないことにコンプレックスがあるマリアさんと,高貴な生まれながら「産んだけど育ててない」ことにコンプレックスがあるマーヤーさんという二人の対比がけっこうおもしろかった。なんだかんだ打ち解けていたが,確かに聖母たるもの同士,独特の悩みを共有していそうである。
→ 父さん「一発芸,Twitter」はアカンでしょwwwwww。13巻で一番笑った。
→ イエスがコーヒーの淹れ方がわからなくてひどいことになってたけど,イエスが生きていた頃にコーヒーはなかったからね。仕方ないね。原産地エチオピア自体はキリスト教圏だが,伝播の事情を鑑みるに,聖人の中ではムハンマドさんが一番うまそう(時代的に考えるとこちらもコーヒーの存在は知らないことになるが)。
→ そういえば「坊主がBOSE」という鉄板ネタ,13巻まで使ってなかったのだなというのはちょっと驚いた。意外なところにネタがまだ残っている作品である。
・『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です』7巻。表紙は知波単学園。黒森峰の出番はいつ来るのか。
→ 西住父こと西住常夫さん,この漫画で初登場どころか,漫画媒体全体で初登場か(アニメにも出ていないが)。戦闘民族西住家で唯一その血を引いてないから,まあこういう役割になるよなw
→ 確かに左衛門佐さんは今年の大河のおかげで一年中テンション高かっただろうなとw。おりょうさんと左衛門佐はそういう機会があるが,エルヴィンとカエサルは機会が少なそう。
→ 細見さんのあの髪型,この漫画ならネタにしてくると思っていた。しかしなんでまたあのデザインになったのか……
Posted by dg_law at 07:30│Comments(0)│