2017年02月01日

C91同人誌感想・お勧め

コミケ終わって1ヶ月も経ってしまったが,たまには読んでおもしろかった同人誌の感想でも書き残しておく。基本的に自分が読んでおもしろかった,感想が頭に浮かんだというのが選定基準なので,必ずしも他人へのお勧めになりうるとは限らないものが含まれているが,一つの基準にはなりうるだろう。100冊くらい買った中から10冊ほどを選定。R-18作品有り。サークルHPやpixivへのリンクは面倒なのでやらないから,各自ググってほしい。


・評論貴族『この杏仁豆腐がすごい!』
→ 厳密に言うとC90の同人誌。マジで延々と市販の杏仁豆腐の食レポが続くすごい同人誌。スイーツ好き男子のご多分にもれず自分も杏仁豆腐は大好きなので,この同人誌はすばらしく重宝しそう。
→ 杏仁豆腐は大きく「寒天系」と「プリン系」に分かれる。これは原料の寒天やゼラチンの違いもあるが,牛乳を入れるかどうかにもよる。本場の杏仁豆腐は牛乳が入っていなかったが,これは入手の難しかった杏の種の代わりに,大体同じ香りのするアーモンドを使ったところ,完成品が白濁しなかった。そこで着色料として牛乳を入れてみたところ,味が美味となり,杏の種を使った杏仁豆腐にも逆輸入されたという経緯とのこと。この経緯は知らなかった。
→ 現在でもコンビニ売の安い杏仁豆腐は杏ではなくアーモンドが使われている。私は寒天系よりもプリン系の方が好きだが,プリン系の杏仁豆腐は,マジでただのプリンで全く杏仁豆腐でなく腹立たしくなることがしばしばある。この同人誌でも筆者たちも同じいら立ちを共有していて,これは信頼できる食レポであるなと。
→ 本書によると花小金井に杏仁豆腐の専門店があり,そこは麻婆豆腐も美味いらしい。同行者緩募。そういえば江戸東京たてもの園もまだ行ったことないな。


・定時退者『2006年ノベルゲーム10周年批評本』
→ 2004・2005年と買っているので今回も。ラインナップとしては『この青空に約束を』『フォセット』『H2O』『StarTRain』『蒼天のセレナリア』『Scarlet』『D.C.2』『彼女たちの流儀』『もしも明日が晴れならば』,そして『遥かに仰ぎ,麗しの』等。
→ 『フォセット』の批評があったのは嬉しいところ。やっぱり里伽子抄ですよね。私も今再プレイしても泣くと思う。『はぴねす!りらっくす』も含めて,確かにファンディスクが元気な年でもあった。一方で『マブラヴオルタネイティヴ』の批評が無かったが,これを批評するのは10周年とはいえ今更か。
→ 2006年発売に限定すると,私的ベスト3は『マブラヴオルタネイティヴ』『EXTRAVAGANZA』,入れていいなら『うたわれるもの PS2版』,これを外すなら『この青空に約束を』かな。『かにしの』が5番手になるのだから,すごい年だ……


・『宇宙の死を見た不老不死 永遠編 プレビュー版』
→ このシリーズの続編,といえば大体どんな感じがわかるかと。
→ 以下,前作のネタバレ。要するに咲夜さんが死んでしまったのでビッグクランチを起こせず,二度と幻想郷を復活させられなくなった蓬莱人たちが,本当に宇宙の死につっこんでいくという。とりあえずプレビュー版では西暦42兆7千億年まで。ネタバレ終わり。作者があとがきで「現代宇宙物理学が示す未来の宇宙の姿」を正確に描写すべく英語文献を読み漁っていると書いている。お疲れ様です……


・〔R-18〕TUKIBUTO『二度咲き椿』
→ 鳳翔さんに未亡人属性を植え付けた極めて罪深い同人誌。どうしてそんなに萌える設定を載せてしまったんだ……! 後任の提督と再婚した鳳翔さんが大変に幸せそうで良かったです。


・まにまに。『加賀嫁7』
→ 言わずと知れた有名シリーズだが,このシリーズは継続しておもしろい。今回だと,「結婚して丸くなった加賀さん」を受け入れられない瑞鶴が,実際に幸せそうな加賀さんの姿を見て自分を納得させる話は端的に言って良かった。


・az+play『うつくしすいぼ』
→ 赤りんご氏の美しいカラーイラスト同人誌。水母しか出てこない珍しい同人誌で,一定層のファンがいる瑞穂やコマンダン・テストは置いておくとしても,秋津洲にこれだけの愛情が注がれている同人誌は唯一無二ではw。


・乱痴気乙女「不束者の恋模様」
→ エンジニア(オリキャラ)と艦娘たちのラブコメ短編3編。艦娘は加賀・妙高・蒼龍。本サークル特有のオリキャラ提督勢は一応東雲提督が出てくるが,本作では脇役。
→ 加賀さんがエンジニアの今時の好青年に惚れてしまったという設定もおもしろいが,加賀さんが今時の好青年を振り向かせようと四苦八苦する構図がめちゃくちゃおもしろい。どこから出てきたその発想。


・〔R-18〕吉野『春衡伯爵家の事情』シリーズ
→ 勝手に今回の掘り出し物だと思っていたら普通に有名なサークルだった。一応知らない人向けに解説すると,明治20年の日本,華族の春衡伯爵家の豪邸を舞台に,伯爵一家とメイドたちの恋愛劇を描く。C91で出たものでシリーズ3作目となり,現在大概のメロブ・とらでシリーズまとめて売っているが,なぜか1作目だけ品薄である。一応2作目から買ってもストーリーはわかる。個人的には1作目のメイドさんが一番好みだったので,気になる人は要確認のこと。
→ 本シリーズの特徴を2つ挙げると「メイドさんたちがとにかくめちゃくちゃエロい」のと,「考証が異様なまでに充実している」。前者はまあ説明不要として,後者についてはまず,春衡伯爵家の豪邸は見る人が見たら一発でわかる前田侯爵邸のアレンジ,内装や調度品も明治・大正あたりのものでそろえていて,作中の人物が読んでいる本がディケンズだったり。メイド服も大体ヴィクトリアンな感じだがややフリルが多め……かわいいのは正義。なお,考証の様子はご本人のpixivでも一部投稿されている。


・Cyclo-『二人三腕』
→ デレマス,ままゆのプロデューサーが左手を失って義手となり,ままゆと二人で新たな生活に慣れていくお話。テーマに対して過剰にシリアスではなく,なるべく明るくなるよう配慮した旨があとがきに書かれているように,ギャグも挟みつつ,ストーリーを流すというよりは日常を描くことに徹しているのが好印象。その中でままゆの献身がままゆらしくてすばらしい。このプロデューサーの担当がままゆで本当に良かった。
→ なお,本作はほぼ全ページがpixivに上げられていて(現在は部分のみ),「それでも欲しい人は紙媒体の方を買ってほしい」という実験的な売り方をしていた。私はサンプルを読んですばらしいと思ったので買いました。


・マウンテンプクイチ『ななゆり野球』
→ 延々と気の狂ったオリジナル百合漫画を書いているマウンテンプクイチであるが,本作も「18.44mも離れたくない!」のようなセリフが飛び出すなど,たいがい頭がおかしい(最大限の賛辞)。

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