2017年02月22日
鹿と猫の太刀と鎧
ようやくここから今年行ったもの。東博の春日大社展に行ってきた。春日大社が約20年に一度の式年造替を行うので,その間に神宝が外に出てきた形である。展示物は春日大社を描いた掛け軸や彫刻,過去に奉納されてきた品々や,神事・祭儀に用いる道具類が主であるが,奉納された品々では勇ましいことに太刀や鎧が多いのが特徴的である。主祭神が武甕槌であるので,武具が多いのであろう。おそらく,企画展の目玉の一つが鎧というのも珍しい話ではなかろうか。
春日大社を描いた作品群は,見渡す限り鹿しかいないという様相で(ダジャレではない),これは春日大社創建の由来による。武甕槌が鹿島から春日大社のある御蓋山の移動する際に白鹿に乗ってきたという伝説から,春日大社は鹿をシンボルとしている。現在の奈良公園に連中が跋扈しているのも,こうした事情から丁重に扱っているためである。なお,奈良県としても鹿が増えすぎていて食害等の被害が大きくなっているので,きっちり狩猟区域・狩猟期間を設けていて,その制限の中では狩猟を奨励していたりする。それはそれ,これはこれ。鹿以外では,大社の全景を描いたものが多かった。これは現在の観光案内パンフレットや土産の役割を果たしたので,多く描かれたという事情がある。所蔵元も多種多様で,これを機会に一堂に会したということなのだろう。
奉納武具では金地螺鈿毛抜形太刀が最もピックアップされていて,目立つ位置に。鞘が見事な金粉に蒔絵と螺鈿で装飾されており,当時としては珍しい意匠で,猫が竹林で雀を追っている様子が描かれている。これ自体見事な細工で保存状態も良く見応えがあったのだが,おもしろかったのはこれを今回の企画展がゆるキャラ化してしまったことで(キャラクターグッズのところにいるニャデンとチュン),弱肉強食の場面がゆるくなっているのが最高にシュールだった。ぬいぐるみなんて完全に捕食のシーンなのだが……何をとち狂ってこの場面をチョイスしたのか。他にも何本か国宝・重文の太刀が展示されていた。そして目玉はやはり鎧で,実際見事なものである。ぶっちゃけて言うと同じようなものは常に東博の常設展で見れるのだけれど,奉納品ゆえか保存状態が良い。フライヤー等で前面に出して宣伝するだけのことはあった。
あとは文献史料が多めに展示されていたところはいかにも東博の企画展で,『延喜式』(いわゆる延喜式神名帳),『続日本紀』(768年の創建について),『小右記』『御堂関白記』『栄花物語』(藤原道長関連),『中右記』(式年造替の記述がある)等。展示されたところで結局ほとんど読めないのだが,あーこれが高校日本史で習ったり古文に出てきたあれ,という気分にはなれるので,気になる人はぜひ。
春日大社を描いた作品群は,見渡す限り鹿しかいないという様相で(ダジャレではない),これは春日大社創建の由来による。武甕槌が鹿島から春日大社のある御蓋山の移動する際に白鹿に乗ってきたという伝説から,春日大社は鹿をシンボルとしている。現在の奈良公園に連中が跋扈しているのも,こうした事情から丁重に扱っているためである。なお,奈良県としても鹿が増えすぎていて食害等の被害が大きくなっているので,きっちり狩猟区域・狩猟期間を設けていて,その制限の中では狩猟を奨励していたりする。それはそれ,これはこれ。鹿以外では,大社の全景を描いたものが多かった。これは現在の観光案内パンフレットや土産の役割を果たしたので,多く描かれたという事情がある。所蔵元も多種多様で,これを機会に一堂に会したということなのだろう。
奉納武具では金地螺鈿毛抜形太刀が最もピックアップされていて,目立つ位置に。鞘が見事な金粉に蒔絵と螺鈿で装飾されており,当時としては珍しい意匠で,猫が竹林で雀を追っている様子が描かれている。これ自体見事な細工で保存状態も良く見応えがあったのだが,おもしろかったのはこれを今回の企画展がゆるキャラ化してしまったことで(キャラクターグッズのところにいるニャデンとチュン),弱肉強食の場面がゆるくなっているのが最高にシュールだった。ぬいぐるみなんて完全に捕食のシーンなのだが……何をとち狂ってこの場面をチョイスしたのか。他にも何本か国宝・重文の太刀が展示されていた。そして目玉はやはり鎧で,実際見事なものである。ぶっちゃけて言うと同じようなものは常に東博の常設展で見れるのだけれど,奉納品ゆえか保存状態が良い。フライヤー等で前面に出して宣伝するだけのことはあった。
あとは文献史料が多めに展示されていたところはいかにも東博の企画展で,『延喜式』(いわゆる延喜式神名帳),『続日本紀』(768年の創建について),『小右記』『御堂関白記』『栄花物語』(藤原道長関連),『中右記』(式年造替の記述がある)等。展示されたところで結局ほとんど読めないのだが,あーこれが高校日本史で習ったり古文に出てきたあれ,という気分にはなれるので,気になる人はぜひ。
Posted by dg_law at 11:00│Comments(0)│