2018年03月06日

最近読んだもの・買ったもの(『明日ちゃんのセーラー服』他)

またしても四ヶ月くらいさぼっていたらしいぞ?


・『狼と羊皮紙』2巻。北方の異端信仰編。
→ 理論屋が厳しい現実に打ちのめされて己を省みるというよくある話ではあるが,本作のテーマが宗教改革である以上はどこかで主人公にこの体験をさせないと前に進まないので,2巻という早めのタイミングで持ってきたのは驚いたけど,良い通過儀礼だったのではないかと思う。読者としても,展開が完全にわかっていてもなかなか痛い強烈なパンチだった。
→ 本作はイギリス(っぽい島国)が聖書主義の宗教改革を国家主導で行ったら? という世界史的な動きを主軸にしつつ,数奇な運命を辿る神学者視点の物語で,コルの立ち位置は決して歴史の流れの周辺ではない。1巻もそうだったが,コルやミューリ当人たちにとってはその場の命がかかっていて窮地を脱するためだけの動きではあれ,それをパトロンのウィンフィール王族ハイランド視点にたまに戻してみると,ど真ん中で歴史を動かしている感が強く,この点意外と新鮮である。前作『狼と香辛料』同様,武力ではなくて口先と奇抜な発想で何とかしているだけに。本巻の展開だけでも,コルくんは十分にウィンフィール王国史に名前出てくるじゃろ。
→ ただ,この話の解決は現地の異端的信仰を無理やり一神教の奇跡に認定して文脈に組み込んでしまうという『狼と香辛料』でも見られたやり方であり,終章が異様に短いこともあってネタ切れ感はあった。まあ,本巻について言えばコルの人生経験が話の中核であって,落ちは大して重要ではないのだけれども。


・『狼と香辛料』19巻Spring Log2。本編後日談短編集の2巻。
→ 本編の時期の思い出話という形にすればどれだけでも旅の途中のエピソードが追加できるので,この方式は便利だ。
→ ホロさんがろくに牧羊犬の役目を果たせなかったり,文字を書くのが下手だったり,代わり映えのしない日々に倦んでいたり,ロレンスの死後のことを考えてしまったりと,珍しく彼女が多くの弱みを見せる巻。そして最後に書物は滅びないということでタイトルとサブタイトル回収。お見事。


・『クソゲーオンライン(仮)』3巻。
→ そうそう,こういうのでいいんだよこういうので,というトンデモ設定が飛び出てきた回。サブタイトルの「このクソゲーが現実だと私だけが知っている」が全て。VRMMORPGのPC同士で結婚して子供が産まれたら,その子はPCなのかNPCなのかを考えてみると,バグが無いゲームでも確かにこういうことになるのかもしれない。そしてクソゲーはクソゲーであるがゆえに,ユーザーの減少に耐えられず,終焉を迎える。その時,娘はどうなるのか。「サービス終了まであと7日」となっていたが,これ4巻で終わる感じですかね。


・『明日ちゃんのセーラー服』1・2巻。
→ 才色兼備の田舎っ子,明日(あけび)小路さんが,中学からお嬢様学校に通うことになる話……というメインストーリーは別にいいとして,身体部位と衣服に対するフェティシズムが変態的に強い漫画。特に脚とセーラー服に対するこわだりに狂気を感じる。アーティスティックな意味で美しいと思うか,基本的に女の子しか出てこないのに目線がヘテロ男性すぎて引くか。双方の要素が高レベルにまとまっているので,このなんとも言えない感情に襲われるのだと思う。私はまあそういうの好きなオタクなのであまり気にならないけど,合わない人は全く合わなさそう。




もうAmazonのレビューを見ても「ああ……ここには“わかってしまった”変態たちがわかってしまったことに後悔しながら集合している……」という状況で,一方で☆1のレビューで言われていることも理解でき,どうすればいいんでしょうねこの漫画。