2018年08月26日
世界史上の諸君主の出題頻度グレーディング:イングランド王(ランカスター・ヨーク朝まで)編
「イギリス王」でもいいのだけれど,スコットランド王等は扱わないのでイングランドとしておいた。イギリスとイングランドの関係は高校世界史上面倒な話題であるので,ここでは触れない。
基準はこれまでと同様に以下の通り。
A:基礎知識。センター試験世界史B以上の入試を受けるなら知ってないとダメ。
B:国立二次・MARCH以上の私大を受けるなら必要。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。
C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
D:高校世界史範囲外だが,早慶上智でなら見たことがある。満点が欲しいなら覚えてもいい(が当然推奨しない)。
E:完全な高校世界史範囲外で,早慶上智ですら10年に1回未満のレベルでしか見たことがない。
視認性を高めるために,グレーディングのアルファベットに沿って☆を付した。Aなら6個,Eなら1個である。ズレがあったら☆の数の方が間違いなのでアルファベットの方を信じてほしい。意外と思われそうな人は赤で表示した。また,感覚には個人差があるので☆半分くらいは異論があると思われる。特に綿密にデータを収集してデジタルな判断をしたわけではないので,DとEの差については多く異論がありそうだが,そこはご寛恕いただきたい。以下,本編。
《ノルマン朝以前》
アルフレッド大王は,人によってはBにするかもしれないが,エグバートに比べると出題されやすいのは確か。エドワード証聖王(懺悔王)はちょうど2018年の慶應大で出たところだが,Cにはできない。ハロルド2世も,個人的にはこんなん覚えんでも早慶上智には十分受かるだろうと思うので心情的にはDにしたいのだが,用語集の説明文にあるし,早慶上智対策の参考書ではたまに見るのでCにしておいた。
《ノルマン朝》
圧倒的一人勝ち状態。メリハリがありすぎる。ウィリアム征服王は当然A。ヘンリ1世は,2世以降がメジャーなのに1世は出題されない。受験生に「そういえば1世ってどこで出てきたっけ?」とか言われてしまうパターンである。
《プランタジネット朝》
高校世界史としてはメリハリが非常に大きくて面白い王朝。皆キャラが濃い。上3人は説明不要だろう。ジョン王に至っては,マグナ=カルタのせいで中学の社会科で登場するので,Sにしておいてもいいくらい。ヘンリ3世はなぜ高校世界史での重要度が高いのか,すぐに思いつかない人もいるかもしれない。それもそのはず,彼自身の功績ではなく,シモン=ド=モンフォールの反乱とその帰結としての身分制議会の成立によって名前が登場するため。エドワード1世もその関連で,身分制議会が彼の治世のうちに模範議会と呼ばれるようになったという事績で名前が登場する。こういう制度史にかかわると高校世界史上の出題頻度は高くなるというのは,社会人の歴史好きとのズレが出る面白い特徴だろうと思う。エドワード3世は模範議会の二院制化,百年戦争の勃発にクレシーの戦いと話題に事欠かない。この華やかな王朝にあって高校世界史上全く名前を見ない人が二人いるが,残念ながら当然というところか。リチャード2世はワット=タイラーの乱当時の国王なので,そのうち範囲外の難問として出題されそう。なお,君主ではないので省いたが,エドワード黒太子はBかCかというところだと思う。以前なら間違いなくBと言い切れたが,最近入試でめったに見ない。
《ランカスター朝・ヨーク朝》
百年戦争とバラ戦争の混迷の時代の王朝。ものの見事にA・Bがいない。私もやってみて気づいたのだが,確かに王朝の名前だけ出てきて王様の名前は誰一人出てこない。英文学畑の人が卒倒しそうな結果になってしまった(特にリチャード3世)。なんでやヘンリ5世はアジャンクールの戦いで出るやろとお思いの方。悲報ですが,アジャンクールの戦いは現行の課程で範囲外です。まだCくらいかなと思うが,多分遠からずDに転落しそう。ヘンリ6世はDにしてもよかったかもしれないが,ぱっと出題例は思い出せない。
テューダー朝以降現在までは,次回でやる予定です。
基準はこれまでと同様に以下の通り。
A:基礎知識。センター試験世界史B以上の入試を受けるなら知ってないとダメ。
B:国立二次・MARCH以上の私大を受けるなら必要。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。
C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
D:高校世界史範囲外だが,早慶上智でなら見たことがある。満点が欲しいなら覚えてもいい(が当然推奨しない)。
E:完全な高校世界史範囲外で,早慶上智ですら10年に1回未満のレベルでしか見たことがない。
視認性を高めるために,グレーディングのアルファベットに沿って☆を付した。Aなら6個,Eなら1個である。ズレがあったら☆の数の方が間違いなのでアルファベットの方を信じてほしい。意外と思われそうな人は赤で表示した。また,感覚には個人差があるので☆半分くらいは異論があると思われる。特に綿密にデータを収集してデジタルな判断をしたわけではないので,DとEの差については多く異論がありそうだが,そこはご寛恕いただきたい。以下,本編。
《ノルマン朝以前》
君主名 | グレーディング | |
---|---|---|
エグバート | B | ☆☆☆☆☆ |
アルフレッド大王 | A | ☆☆☆☆☆☆ |
クヌート | A | ☆☆☆☆☆☆ |
エドワード証聖王 | D | ☆☆ |
ハロルド2世 | C | ☆☆☆ |
上記以外全員 | E | ☆ |
アルフレッド大王は,人によってはBにするかもしれないが,エグバートに比べると出題されやすいのは確か。エドワード証聖王(懺悔王)はちょうど2018年の慶應大で出たところだが,Cにはできない。ハロルド2世も,個人的にはこんなん覚えんでも早慶上智には十分受かるだろうと思うので心情的にはDにしたいのだが,用語集の説明文にあるし,早慶上智対策の参考書ではたまに見るのでCにしておいた。
《ノルマン朝》
君主名 | グレーディング | |
---|---|---|
ウィリアム1世 | A | ☆☆☆☆☆☆ |
ウィリアム2世 | E | ☆ |
ヘンリ1世 | E | ☆ |
スティーヴン | E | ☆ |
圧倒的一人勝ち状態。メリハリがありすぎる。ウィリアム征服王は当然A。ヘンリ1世は,2世以降がメジャーなのに1世は出題されない。受験生に「そういえば1世ってどこで出てきたっけ?」とか言われてしまうパターンである。
《プランタジネット朝》
君主名 | グレーディング | |
---|---|---|
ヘンリ2世 | A | ☆☆☆☆☆☆ |
リチャード1世 | A | ☆☆☆☆☆☆ |
ジョン | A | ☆☆☆☆☆☆ |
ヘンリ3世 | B | ☆☆☆☆☆ |
エドワード1世 | B | ☆☆☆☆☆ |
エドワード2世 | E | ☆ |
エドワード3世 | A | ☆☆☆☆☆☆ |
リチャード2世 | E | ☆ |
高校世界史としてはメリハリが非常に大きくて面白い王朝。皆キャラが濃い。上3人は説明不要だろう。ジョン王に至っては,マグナ=カルタのせいで中学の社会科で登場するので,Sにしておいてもいいくらい。ヘンリ3世はなぜ高校世界史での重要度が高いのか,すぐに思いつかない人もいるかもしれない。それもそのはず,彼自身の功績ではなく,シモン=ド=モンフォールの反乱とその帰結としての身分制議会の成立によって名前が登場するため。エドワード1世もその関連で,身分制議会が彼の治世のうちに模範議会と呼ばれるようになったという事績で名前が登場する。こういう制度史にかかわると高校世界史上の出題頻度は高くなるというのは,社会人の歴史好きとのズレが出る面白い特徴だろうと思う。エドワード3世は模範議会の二院制化,百年戦争の勃発にクレシーの戦いと話題に事欠かない。この華やかな王朝にあって高校世界史上全く名前を見ない人が二人いるが,残念ながら当然というところか。リチャード2世はワット=タイラーの乱当時の国王なので,そのうち範囲外の難問として出題されそう。なお,君主ではないので省いたが,エドワード黒太子はBかCかというところだと思う。以前なら間違いなくBと言い切れたが,最近入試でめったに見ない。
《ランカスター朝・ヨーク朝》
君主名 | グレーディング | |
---|---|---|
ヘンリ4世 | E | ☆ |
ヘンリ5世 | C | ☆☆☆ |
ヘンリ6世 | E | ☆ |
エドワード4世 | E | ☆ |
エドワード5世 | E | ☆ |
リチャード3世 | E | ☆ |
百年戦争とバラ戦争の混迷の時代の王朝。ものの見事にA・Bがいない。私もやってみて気づいたのだが,確かに王朝の名前だけ出てきて王様の名前は誰一人出てこない。英文学畑の人が卒倒しそうな結果になってしまった(特にリチャード3世)。なんでやヘンリ5世はアジャンクールの戦いで出るやろとお思いの方。悲報ですが,アジャンクールの戦いは現行の課程で範囲外です。まだCくらいかなと思うが,多分遠からずDに転落しそう。ヘンリ6世はDにしてもよかったかもしれないが,ぱっと出題例は思い出せない。
テューダー朝以降現在までは,次回でやる予定です。
Posted by dg_law at 21:57│Comments(0)