2018年12月08日
一般入試の信頼性を損ねた影響は大きいと思う
・ゆるキャン△聖地な「夜叉神ヒュッテ」(旧 夜叉神の森)に泊まってくつろいできた話(I AM A DOG)
→ 夜叉神ゲート単体だと聖地巡礼地として微妙だけど,ヒュッテへの宿泊・夜叉神峠へのハイキングも兼ねてなら1泊2日まるっと楽しめそう。今夏は行きそびれてしまったが,来夏にはぜひとも行きたいところ。
→ なお,鳳凰三山の出発点としても紹介されているが,その鳳凰三山(最高点標高2841m)のグレーディングは山梨県基準で6B。テント不要ならチャレンジしてもいいが……と思って調べてみたら標準タイムが行き8時間・帰り6時間だったので,これ6Bじゃなくて7Bでは? という顔になった。アタックするなら,泊まるのはもっと奥の山小屋になろう。体力レベルが6なのに技術レベルがBということは,おそらく富士山レベルに整備されているか,傾斜がある程度緩いことが予想される。さすがは百名山。山クエの評価はレベル75。グレーディング6Bと比較すると過大評価に見えるが,実際はどうか。
・「百年戦争―中世末期の英仏関係 (刀水歴史全書)」城戸 毅 著 (Call of History ー歴史の呼び声ー)
→ 当該書籍は読んでいないという前提で,高校世界史側からの感想。高校世界史では個々の歴史事象には深入りできず,「嘘は教えられないが,完全な嘘にならない範囲での省略は可」というのが基本的な方針になる。だからこそ配慮で省略した部分を暴いて正誤判定問題を作ってしまう一部の入試は大問題だと思うのだが,ここでは本題ではないので割愛。
→ その視点で言えば,開戦の口実であったことと,ヘンリ5世以降の展開を考えるに,百年戦争の前半は王位継承戦争の性格が薄かったという点を無視して「百年戦争はフランス王位継承戦争であった」と言い切ってしまうのは教育上の配慮として問題がないと今のところは考える。この点,用語集の説明は王位継承を省いている点が過剰配慮で,教科書や資料集等の他の教材との摩擦が生じてしまうし,事情を説明できるほど百年戦争に詳しい高校の教員はそういないことを考えても,この説明の不一致はかえって問題である。
→ 終点の1453年について。上記のような教え方をしている都合上は,やはりイギリスの実質的な退場をもって百年戦争の終結と言ってよく,特にアキテーヌ公領の主権獲得がイギリスの主要目的であったのならこれをフランスに恒久的に奪還された時点で終戦と見なさないのはかえって矛盾するのではないかという疑問は拭えない。アキテーヌ公領の問題を軽んじる高校世界史をその視点で批判しておいて,それは無いだろうとも思うので余計に。確かにブルゴーニュ・ブルターニュ両公国は生き残っているし,正式な和平が結ばれているわけでもないのだが,これらは「フランスの絶対王政化と戦後処理」として百年戦争とは別個に処理した方が綺麗であり,少なくとも高校世界史上で百年戦争に組み込む必要性が見えてこない。
→ 以上を踏まえると,百年戦争に関する最新の研究の成果は,高校世界史に下ろすには時期尚早なのだなというのが,本書未読時点での感想。あとは,読んでから感想が変わるかどうか。
・大学受験だけは裏切らないと信じていた(くじら糖)
→ 東京医科大の女子・多浪生差別事件で一番同意した記事がこれ。大人になってからは,以前から差別はあると言われていたことや,実際に合格率が明らかにおかしい大学があることは知っていたが,受験生だった当時は,まさに「大学受験だけは裏切らないと信じていた」。公平に戦える戦場で力を発揮したかったから,大学受験の一般入試(筆記試験)は格好の場所であった(推薦やAOや面接があるものはまた少し別)。自分は男性で現役という立場だったので不利益を被った直接の経験は無いが,この方のような女性はもっとその思いが強かっただろうと心中お察しする。こうした人々の心を後から折りにいく形になったという意味で,点数操作による不公正は裏口入学よりも社会の風潮に対する悪影響が大きいと思う。単に女性差別というだけにとどまらない,とんでもない所業を白日の下に晒してしまったという自覚は当事者にあるのだろうか(無論のことながら晒されないほうが良かったというわけではないし,女性差別だけで十分社会にとって害悪である)。
→ 夜叉神ゲート単体だと聖地巡礼地として微妙だけど,ヒュッテへの宿泊・夜叉神峠へのハイキングも兼ねてなら1泊2日まるっと楽しめそう。今夏は行きそびれてしまったが,来夏にはぜひとも行きたいところ。
→ なお,鳳凰三山の出発点としても紹介されているが,その鳳凰三山(最高点標高2841m)のグレーディングは山梨県基準で6B。テント不要ならチャレンジしてもいいが……と思って調べてみたら標準タイムが行き8時間・帰り6時間だったので,これ6Bじゃなくて7Bでは? という顔になった。アタックするなら,泊まるのはもっと奥の山小屋になろう。体力レベルが6なのに技術レベルがBということは,おそらく富士山レベルに整備されているか,傾斜がある程度緩いことが予想される。さすがは百名山。山クエの評価はレベル75。グレーディング6Bと比較すると過大評価に見えるが,実際はどうか。
・「百年戦争―中世末期の英仏関係 (刀水歴史全書)」城戸 毅 著 (Call of History ー歴史の呼び声ー)
→ 当該書籍は読んでいないという前提で,高校世界史側からの感想。高校世界史では個々の歴史事象には深入りできず,「嘘は教えられないが,完全な嘘にならない範囲での省略は可」というのが基本的な方針になる。だからこそ配慮で省略した部分を暴いて正誤判定問題を作ってしまう一部の入試は大問題だと思うのだが,ここでは本題ではないので割愛。
→ その視点で言えば,開戦の口実であったことと,ヘンリ5世以降の展開を考えるに,百年戦争の前半は王位継承戦争の性格が薄かったという点を無視して「百年戦争はフランス王位継承戦争であった」と言い切ってしまうのは教育上の配慮として問題がないと今のところは考える。この点,用語集の説明は王位継承を省いている点が過剰配慮で,教科書や資料集等の他の教材との摩擦が生じてしまうし,事情を説明できるほど百年戦争に詳しい高校の教員はそういないことを考えても,この説明の不一致はかえって問題である。
→ 終点の1453年について。上記のような教え方をしている都合上は,やはりイギリスの実質的な退場をもって百年戦争の終結と言ってよく,特にアキテーヌ公領の主権獲得がイギリスの主要目的であったのならこれをフランスに恒久的に奪還された時点で終戦と見なさないのはかえって矛盾するのではないかという疑問は拭えない。アキテーヌ公領の問題を軽んじる高校世界史をその視点で批判しておいて,それは無いだろうとも思うので余計に。確かにブルゴーニュ・ブルターニュ両公国は生き残っているし,正式な和平が結ばれているわけでもないのだが,これらは「フランスの絶対王政化と戦後処理」として百年戦争とは別個に処理した方が綺麗であり,少なくとも高校世界史上で百年戦争に組み込む必要性が見えてこない。
→ 以上を踏まえると,百年戦争に関する最新の研究の成果は,高校世界史に下ろすには時期尚早なのだなというのが,本書未読時点での感想。あとは,読んでから感想が変わるかどうか。
・大学受験だけは裏切らないと信じていた(くじら糖)
→ 東京医科大の女子・多浪生差別事件で一番同意した記事がこれ。大人になってからは,以前から差別はあると言われていたことや,実際に合格率が明らかにおかしい大学があることは知っていたが,受験生だった当時は,まさに「大学受験だけは裏切らないと信じていた」。公平に戦える戦場で力を発揮したかったから,大学受験の一般入試(筆記試験)は格好の場所であった(推薦やAOや面接があるものはまた少し別)。自分は男性で現役という立場だったので不利益を被った直接の経験は無いが,この方のような女性はもっとその思いが強かっただろうと心中お察しする。こうした人々の心を後から折りにいく形になったという意味で,点数操作による不公正は裏口入学よりも社会の風潮に対する悪影響が大きいと思う。単に女性差別というだけにとどまらない,とんでもない所業を白日の下に晒してしまったという自覚は当事者にあるのだろうか(無論のことながら晒されないほうが良かったというわけではないし,女性差別だけで十分社会にとって害悪である)。
Posted by dg_law at 23:07│Comments(2)
この記事へのコメント
裏口入学よりも点数操作による不公正が悪影響があるというのはそのとおりでしょうね。
スポーツで例えるのならば裏口入学が選手が何としても勝ちたいために行うドーピングなのに対して点数操作による不公正はオーナーサイドが勝たせたいやつを何としても勝たせる出来レースみたいなものですからね。
スポーツで例えるのならば裏口入学が選手が何としても勝ちたいために行うドーピングなのに対して点数操作による不公正はオーナーサイドが勝たせたいやつを何としても勝たせる出来レースみたいなものですからね。
Posted by hts at 2018年12月12日 00:31
スポーツで例えるなら,裏口入学は大勢にあまり影響が出ないところでの八百長ですかね。点数操作は不公平なジャッジですかね。
書いてて思ったのは,昔のフィギュアスケートですね。点数の付け方に人種差別が見え隠れしたら糾弾されるわけで,やはり「差別」というのは動かしがたいキーワードであろうと思います。
書いてて思ったのは,昔のフィギュアスケートですね。点数の付け方に人種差別が見え隠れしたら糾弾されるわけで,やはり「差別」というのは動かしがたいキーワードであろうと思います。
Posted by DG-Law at 2018年12月12日 23:12