2019年05月24日

最近読んだもの・買ったもの(『りゅうおうのおしごと!』6〜9巻)

・『りゅうおうのおしごと!』6・7・8・9巻。
→ 5巻までの感想を描いた時点で読み終わってはいたのだけれども,テレビアニメ版の感想も描きたかったのと,物語的に第一部完結の感が強い5巻で区切るべきだろうと考えてそうした。
→ 5巻までは,作者自身がここで打ち切りになってもいいようにと考えていたように,基本的に八一が名人との竜王防衛戦に勝つまでの大きな物語が主軸にあって,その厚みを増すべく他の登場人物の物語が添えられている形になっている。それに対して6巻以降は明確に焦点が動いていて,6巻は姉弟子(正確に言うと6巻以降のフラグ立てのためにいろいろあったが姉弟子が最後に全部持っていった巻),7巻は清滝師匠他のおっさんたち(渋い巻であった),8巻は短編集の消化なのでちょっと例外だが,やはり供御飯さんの物語だったと言うべきか。そして9巻は夜叉神天衣の物語。初めて壁にぶつかった彼女が,初めて他人に手を伸ばす物語として美しかった。当ブログは八一争奪戦は天衣ちゃんを応援しています。6〜9巻の間のベストバウトを選ぶなら9巻の女王戦第三局になる。奇しくも5巻までのベストバウトと同じく千日手が成立しているが,そこも含めて似たもの師弟と思わせる上手い作りである。ここに来て,誰も見たこともない才能という点で共通する雛鶴あいと,棋風が似ていてダイレクトに八一の技術を継承していく夜叉神天衣という差異が見えてきたのもまた面白い。天衣は一度振り切れたらあらゆる奇襲を使ってでも勝ちに行く勝負師なところも八一とよく似ている。ちょっと先走るが,10巻であいが暴力的な演算能力で窮地を打開したのも八一が通った道ではあり。
→ いずれの巻も面白かったし,熱い勝負ではあったのだけど,そろそろ八一の勝負が見たい気も。ちょっと毛色が違うので外したけど10巻も言ってしまえば雛鶴あいとJS研の物語なのであるし。もちろんこの間も八一も打っているのだけど,それぞれが本筋への布石としての勝負に過ぎないので。竜王戦以外のタイトル戦とかどうですかね。りゅうおう仕事しろ,いやしてるけど。
→ ところで,6巻で椚創太が「頭の中に将棋盤はなく,符丁で考えている」と言っているが,現実での藤井聡太も「脳内に将棋盤は不要」と言っていた。なにそれこわい。

りゅうおうのおしごと! 9 (GA文庫)
白鳥 士郎
SBクリエイティブ
2018-08-09