2019年06月09日
最近読んだもの・買ったもの
・『ゴールデンカムイ』16巻。根室の土方一行視点で人斬り用一郎編。樺太に戻って杉元一行のサーカス編。さらにアシㇼパ一行視点でウィルタ民族との接触,トナカイ狩。
→ 人斬り用一郎のモデルは普通に岡田以蔵か。幕末は詳しくないのでざっと調べたところの話でしかないが,司馬遼太郎の書いた岡田以蔵の影響下にあるのではないかという指摘はあった。それが正しいとすると,人斬り仕事をやっていて後に消された創作上の先輩というと志々雄真実がいる。本作ではむしろ土方が独立国を作ろうとしているが。
→ サーカス一行もまんまヤマダサーカスという元ネタがある模様。ただし,ロシアに渡航していたのは1910年なので日露戦争後である。ハラキリショーも実際にやっていて,「海外でやったときなんか観客が本当に私が死んだと思って警察が乗り込んできた」のは事実らしい。さらに紅子先輩の元ネタらしき人までいて,しかも彼女の手記がヤマダサーカスの一級品史料になっている。実際のヤマダサーカスはそのままロシアに居残って現地で解散,紅子先輩の元ネタの方はそのままロシアで別のサーカス団に入ったが,バクーに滞在中にロシア革命が勃発し……というところで,気になる方は以下リンク先へ。本当によく調べて描かれている漫画やでぇ……
→ ウィルタはツングース系だそうで,少数ながら南樺太にも住んでいて,戦後北海道に移住した人々も極少数ながらいたようだ。生業は作中の通りトナカイ牧畜と狩猟・漁労。
・『乙女戦争』11巻。シャールカのボヘミア帰還,「華麗なる騎行」の実態,最後の成功となったバルト海遠征。
→ 12巻での完結が予告されており,雑誌連載ではすでに完結している。年号を見ても本当に終わりが見えてきた。特に12巻は史実から言ってあとはフス派が解体する一方なので,ここがフス派の,というよりもターボル・オレープ派の最後の輝きと言える。
→ 中世のレベルとはいえ一国まるごとの経済封鎖となると,やっぱり効くんだなと。食糧難から略奪しか道がなくなり,遠征に出かけると軍事力はあるから大勝するが,当然周辺地域からの反感は激しくなり,抵抗も次第に強くなるという悪循環で,ワゴンブルク戦術は完成されてはいるが,ヤン・ジシュカも死んでいるから革新もなく,典型的なジリ貧になっている様子が描かれる。こうなると和平を考えざるをえないというところで,次巻に。
・『乙嫁語り』11巻。スミス視点でトルコ滞在,タラスと再会,再び中央アジアに向けて出発。
→ 何も考えずに読むと「タラスさんがとにかくかわいかった」だけで終わってしまう巻。だがそれがいい。
→ カルルク・アミルのご一家がどこにあるのか問題,長らく様々な推測がなされてきたが,この巻で「ブハラ近郊」としれっと正解が出てきた。さらっと流されすぎていて一読では気づかなかったぞ……作者としてやっと地理的な設定が固まったのかもしれない。時代も前巻でやっと1860年代で固まったし(多少の矛盾はあれど)。
→ 1860年代のカメラが登場。知ってはいたけどめちゃくちゃ大変である。そりゃこんなもの持って,女性連れて紛争が起きるかもしれない場所に戻ろうというのだから正気の沙汰ではない。動揺しないどころかやり方を覚えてしまうアリさんがさすがに見聞が広い。
→ アンカラに滞在しているホーキンズさんは軍属でクリミア戦争からずっといる人だった。スミスとはパブリックスクールからの付き合いだそうだが,さすがにそれがどこかまでは設定されてなさそう。
→ ホーキンズの手伝いをしているニコロフスキはクリミア戦争従軍時にホーキンズの舞台の案内をしていて,命を助け合った仲だった。あまりトルコ人っぽくない名前に聞こえたが,「ニコロフスキ」でぐぐっても『乙嫁語り』と作曲家しか出てこず。「Nikolovski」でググってみるとマケドニアに多い姓だそうで,なんとなく納得した。この人もまだまだ広げられるストーリーがありそう。「マケドニア出身」「すでに娘はすべて嫁いでいて,妻は親戚が多く不自由しない」「クリミア戦争時には通訳・案内としてイギリス軍に従軍」「テヘランの辺りまでなら友人がいる」……何者なんでしょうねこの人。
→ 人斬り用一郎のモデルは普通に岡田以蔵か。幕末は詳しくないのでざっと調べたところの話でしかないが,司馬遼太郎の書いた岡田以蔵の影響下にあるのではないかという指摘はあった。それが正しいとすると,人斬り仕事をやっていて後に消された創作上の先輩というと志々雄真実がいる。本作ではむしろ土方が独立国を作ろうとしているが。
→ サーカス一行もまんまヤマダサーカスという元ネタがある模様。ただし,ロシアに渡航していたのは1910年なので日露戦争後である。ハラキリショーも実際にやっていて,「海外でやったときなんか観客が本当に私が死んだと思って警察が乗り込んできた」のは事実らしい。さらに紅子先輩の元ネタらしき人までいて,しかも彼女の手記がヤマダサーカスの一級品史料になっている。実際のヤマダサーカスはそのままロシアに居残って現地で解散,紅子先輩の元ネタの方はそのままロシアで別のサーカス団に入ったが,バクーに滞在中にロシア革命が勃発し……というところで,気になる方は以下リンク先へ。本当によく調べて描かれている漫画やでぇ……
→ ウィルタはツングース系だそうで,少数ながら南樺太にも住んでいて,戦後北海道に移住した人々も極少数ながらいたようだ。生業は作中の通りトナカイ牧畜と狩猟・漁労。
・『乙女戦争』11巻。シャールカのボヘミア帰還,「華麗なる騎行」の実態,最後の成功となったバルト海遠征。
→ 12巻での完結が予告されており,雑誌連載ではすでに完結している。年号を見ても本当に終わりが見えてきた。特に12巻は史実から言ってあとはフス派が解体する一方なので,ここがフス派の,というよりもターボル・オレープ派の最後の輝きと言える。
→ 中世のレベルとはいえ一国まるごとの経済封鎖となると,やっぱり効くんだなと。食糧難から略奪しか道がなくなり,遠征に出かけると軍事力はあるから大勝するが,当然周辺地域からの反感は激しくなり,抵抗も次第に強くなるという悪循環で,ワゴンブルク戦術は完成されてはいるが,ヤン・ジシュカも死んでいるから革新もなく,典型的なジリ貧になっている様子が描かれる。こうなると和平を考えざるをえないというところで,次巻に。
・『乙嫁語り』11巻。スミス視点でトルコ滞在,タラスと再会,再び中央アジアに向けて出発。
→ 何も考えずに読むと「タラスさんがとにかくかわいかった」だけで終わってしまう巻。だがそれがいい。
→ カルルク・アミルのご一家がどこにあるのか問題,長らく様々な推測がなされてきたが,この巻で「ブハラ近郊」としれっと正解が出てきた。さらっと流されすぎていて一読では気づかなかったぞ……作者としてやっと地理的な設定が固まったのかもしれない。時代も前巻でやっと1860年代で固まったし(多少の矛盾はあれど)。
→ 1860年代のカメラが登場。知ってはいたけどめちゃくちゃ大変である。そりゃこんなもの持って,女性連れて紛争が起きるかもしれない場所に戻ろうというのだから正気の沙汰ではない。動揺しないどころかやり方を覚えてしまうアリさんがさすがに見聞が広い。
→ アンカラに滞在しているホーキンズさんは軍属でクリミア戦争からずっといる人だった。スミスとはパブリックスクールからの付き合いだそうだが,さすがにそれがどこかまでは設定されてなさそう。
→ ホーキンズの手伝いをしているニコロフスキはクリミア戦争従軍時にホーキンズの舞台の案内をしていて,命を助け合った仲だった。あまりトルコ人っぽくない名前に聞こえたが,「ニコロフスキ」でぐぐっても『乙嫁語り』と作曲家しか出てこず。「Nikolovski」でググってみるとマケドニアに多い姓だそうで,なんとなく納得した。この人もまだまだ広げられるストーリーがありそう。「マケドニア出身」「すでに娘はすべて嫁いでいて,妻は親戚が多く不自由しない」「クリミア戦争時には通訳・案内としてイギリス軍に従軍」「テヘランの辺りまでなら友人がいる」……何者なんでしょうねこの人。
Posted by dg_law at 22:57│Comments(0)