2019年11月05日

最近読んだもの・買ったもの(『可愛いだけじゃない式守さん』他)

・『可愛いだけじゃない式守さん』1・2巻。
→ 不幸体質の主人公(和泉くん)と,それを守る彼女(式守さん)のカップルを描いたラブコメ。本作は式守さんが普通に可愛い→主人公にとんでもない不運が訪れる→式守さんが颯爽とガード→式守さんかっこいい(→たまにその後で和泉くんに褒められて照れてしまい可愛いに戻る),という流れの単話完結だけでほぼ構成されている。優しくて気配りができる和泉くんだからこそ起きる不運に対して守りがいがあり,式守さんは自然と守ってしまうし,和泉くんは頼ってばかりいられないとばかりに背伸びするも,かえっていじらしく式守さんは余計に守りたくなる,というという無限ループが心地よい。この二人にはいつまでもこうあってほしいと思わせられる良いラブコメである。基本的には式守さんのかっこよさが良いと思ったら買い,という作品だと思う。
→ これは男女逆でも成り立ちうる話だと思うが,男が守る側だと常にかっこいいになってしまってなかなか可愛いに振れないから,難しいかもしれない。
→ なお,1巻末で早くも式守さんが和泉家に呼ばれてご両親に会うというイベントがあるが,和泉くんの不幸体質は母親譲りであることがわかるので,和泉くんのご両親はまさに式守さんたちの逆パターンであったのかも。母も息子も不幸体質であるので一家揃ってお付き合いというものに対するハードルが低く,式守さんが(彼女自身の性格もあるが)すぐに和泉家に溶け込んでしまったエピソードも良かった。この温かいご家庭があったからこそ,和泉くんは不運に負けずに優しい子に育ち,式守さんに会うまで何とか生きてこられたのだなと。和泉くんの不運はけっこう即死級のものが多いので……





・『火ノ丸相撲』27巻。鬼丸・大包平戦,刃皇・三日月戦,鬼丸・三日月戦,火ノ丸の五條家訪問。
→ 千秋楽に向けての準備期間。大包平戦では無道(狂気)を御すことを,三日月戦ではあらゆる技を使う今の火ノ丸のスタイルの再確認。これらを乗り越えた先の集大成として,千秋楽の相手・太郎太刀,優勝決定戦1戦目の相手・兄弟子の冴ノ山,そして刃皇再戦と終局に向かっていく。
→ 大包平の特性,脇が閉まっていて絶対に中に入らせない,一撃必殺の場面だけ開いて特徴的な小手投げをうつというのは非常に玄人好みな設定で面白い。これが高校生編の時点で出ていたら大包平の印象が強くなっていたと思うのだが(高校生編の大包平は千尋にやられる役でしかなく国宝としてはもったいなかった),これは贅沢な注文か。
→ 三日月・大典太・大包平は大相撲編になってからの方がキャラとして面白い。大典太は兄,大包平は童子切と刃皇の影から脱して個性を確立した。逆に三日月は高校生編で一度屈折したために,その後はまっすぐ育ってそのまま大人になった。作中では描かれなかった楽しそうな高校生活の様子が想像できる。こういうのは作中の時間が長く流れる作品の醍醐味であろう。


・『ゴールデンカムイ』19巻。ソフィアの脱獄,流氷の上の追走劇,アシㇼパと杉元の再会,キロランケの死で樺太編完結。
→ アシㇼパはとうとう暗号の謎の解き方を思い出した。が,読者の間ではまだ考察している人は少ない。まあ,今出ている情報で正解にたどり着けるかもわからんしな……
→ アシㇼパが気づいたことを察して金塊の情報を聞き出そうとする尾形。尾形は金塊自体には全く興味が無く,しかし誰かが金塊を入手して有効活用しようとするのは面白くないので自分で手に入れようとしていると思われ,相変わらず捻じくれている。おまけにアシㇼパが人を殺めたことがないことにもこだわってチャンスを逃す辺りも実に尾形。徹底して人を信用していないのが裏目に出た。
→ キロランケがウイルクを殺したのは何やら仲違いがあったらしく,真相がわかるのはソフィアだけ。そのソフィアは一行に捕まらず,しばらくの間は独自行動をとるようなので,これの真相はかなりの期間明かされないことになりそう。
→ キロランケと尾形は網走監獄潜入作戦前に杉元を裏切る算段で秘密の協力関係に入っていたわけだが,彼らの利害の一致するところが無い。まあ,尾形はその方が面白そうと言って乗りそうだし,キロランケも尾形のそういうところを見抜いて協力を持ちかけていそうではある。この辺の裏話もどこかで明かされることを期待したい。