2020年02月20日

エロゲレビューまとめて(『ラムネ2』他)

前回。約11ヶ月ぶりに。

扱っているのは『美少女万華鏡4』,『すみれ』,『ラムネ2』,『ねこぱら』vol.3。『千桃』は長くなったので別に記載済。


・『美少女万華鏡4』
正直言って今までの美少女万華鏡シリーズの中で一番微妙だった。1は吸血鬼ネタでストレートな耽美と寿命ネタ,2はホラーと重ねた憧憬的美しさ,3はアンドロイドの美少女をもってきてのSF。4は双子の美少年・美少女を中心とした歪んだ家族構成をベースに,日本中心の純文学ネタ(萩原朔太郎・中原中也・高村光太郎・夢野久作・ボードレール)とサスペンスを盛り込んだ形になるが,2・3並のパンチがあったかというと,ちょっと足りなかったかなと。特に3のSFに比べると,日本の純文学ネタがフレーバーにとどまっていて,シナリオ上有効に作用していたかというとやや疑問であった。シナリオのパンチが弱いのでエロもその分ちょっとだけ弱く,そんなに背徳的だったとは思えず。登場人物全員狂気を持っているが,そのせいで一番狂っているはずの主人公の狂気がかえって霞んでしまったかも。

もっとも,本シリーズは短編・低価格の割に濃いエロと凝ったシナリオが売りで,2・3の出来が異常すぎるだけで4も値段を考えると十分すぎるほどの高水準ではあり,上記の感想はかなり欲張ったものであることは強調しておきたい。本シリーズは4の時点であからさまに次に終わる雰囲気を出していて予想はついていたものの,本当に5で終わってしまうのは寂しい。シナリオがそろそろネタ切れになろうとは思うし,仕方ないのかな。


・『すみれ』
ねこねこソフト15周年記念作品。しかし,ねこねこソフトの完全新作発売ペースが年0.6作程度であるので,3作ごとに5周年を祝っている感覚があり,正直しょっちゅう過去を懐かしんでいる気も。まあそれはそれとして。ねこねこソフト・コットンソフトの作品は,人間の心の弱さや心にすっと入ってくる優しさが特徴的であるが,本作は堂々とぼっち・引きこもりを表に出してきてのストレート勝負だった。その意味で15周年らしさは強く,試みは上手くいっていたと思う。すみれ・あかりと比べると雛姫ルートは明らかに一段落ちるが,テーマ設定から外れていたわけではないという点で,『white』『ゆきいろ』『きらおと』の時にあったルートごとのバラバラ感は薄く,今作はとりまとめが上手くいっていたのではないか。



・『ラムネ2』
2019年の夏はこれを崩そうと決意してなんとか夏のうちに終わったものの,『Summer Pockets』が犠牲になったという。籐野らん復帰と佐藤ひろ美引退の記念に発売されたものであるため,タイミングを合わせるために急ごしらえのバグだらけであったそうだが,その点2年後の冬にやったおかげでパッチがあり不満が無かった。後追いでやるとこういう良さはある。感想は……まあ普通かな……。『ラムネ』や『そらいろ』のセルフリスペクトであり,世代を経て変わったもの,変わらないものというテーマ設定は良かったものの,肝心のストーリーが短かったりインパクトが無かったりでなんとも感想に困る。セルフリスペクトという点では,たとえば雨天でバイクで走っているところを見るだけで冷や汗が出るプレイヤー心理を活用した(実際には何も起きない)日常が維持されることの大切さのアピールは,続きものだからできる演出で面白かった。あと,『ラムネ』の自身の経験と『そらいろ』の娘の経験を経たせいで仙人みたいになっている七海さんがシリアスな笑いと化していたのも割と好きである。総合するに,『ラムネ』と『そらいろ』をやってきた往年のねこねこソフトファンがやる分にはいいが(上述の「雨天でバイク」で察しが付く人は是非),一般には勧めない。最後に,挿入歌の「ラムネ2017」は名曲なので必聴。これで仲村芽衣子という歌い手を知った。ありがとう。曲だけはproject lightsのCD買えばゲームをやらなくても聞けるからこれを買え。





・『ネコぱら』vol.3
これまでのネコぱらシリーズ通り,定価3500円とは全く思えないボリューム,かわいく動くE-moteの立ち絵,濃厚なエロ,読ませるシナリオと隙の無い傑作。シナモンとメイプルでどうシナリオを作るのかと思ったら音楽ネタ,それも本シリーズの社会におけるネコの立ち位置という割とシリアスで,本シリーズの設定の根幹につながるようなところに切り込んでいったので驚いた。読ませつつもシリアスになりすぎないようなさじ加減は本当にお見事。今回で初期からいるメインのネコたちは全員攻略してしまったので,正規シリーズは次で予告されているvol.4で最後かなと思う。テレビアニメ開始の2020年1月時点でシリーズ累計270万本だそうで……正規ナンバーが3本,ファンディスク的なものが2本だから,正規ナンバーは単発で70〜80万本くらいだろうか。vol.1あたりはミリオンにのっていても驚かない。売上の9割が海外だそうであるし,本当に夢のあるシリーズに育っていった。


以下はメモとして。
・クリア済,レビュー未完成:『消えた世界と月と少女』,『Sadistic Blood』,『真愛の百合は赤く染まる』。 
・現在プレイ中または一旦停止中:『うたわれるもの 偽りの仮面』,『サクラノ詩』,『MUSICUS!』。
・(2020年中に)やる予定はある:『凍京ネクロ』,『うたわれるもの 二人の白皇』,『アメイジング・グレイス』,『Summer Pockets』,『ルリのかさね』,『ねこねこファンディスク4』。
・予約はした:『美少女万華鏡5』。