2020年03月19日
2020受験世界史悪問・難問・奇問集（おまけ）
以下はおまけ。良問と思った問題か，紹介・コメントしたくなった問題，コメントしておいた方がいい問題を並べておいた。書くのが遅れた分，ちょっと長めに。
〔おまけ１〕慶大・経済学部
＜問題＞１ 問３ 下線部Cに関連して，ポルトガル商人が日本と明との貿易を中継するようになった背景について，取引された主な商品と，明の貿易政策に振れながら，〔解答欄B〕の所定の欄の範囲内で説明しなさい。（編註：90〜100字程度）
＜コメント＞
この問題は日本史との共通問題で，確かにそれが可能なテーマである。しかし，どちらの科目であってもいつの間にかポルトガルが出現していて南蛮貿易をやっていることになっているので，説明を要求されると盲点である上に，それだけなら単なる難問だが，ちゃんと説明をつけようとするとその材料自体は基本事項として学習していることに気づくという，非常に良いところを突いていると思う。これは私自身も解いていて目から鱗だった。さて，解答は
・明が朝貢貿易を縮小していたために，公的なルートでの中国産絹織物・陶磁器の輸出が減少していたこと。日本史選択なら1523年の寧波の乱も想起したい。
・しかしながら絹織物・陶磁器の海外需要は高かったので，後期倭寇による密貿易が跋扈し，明の海禁政策がぐらついていたこと。
・この状況下で，輸送能力の高い（＝中継貿易に有利な）ポルトガル船が東シナ海海域に参入してきたこと。
を挙げればよい。ポルトガル商人は参入当時に後期倭寇と同一視されていた。種子島にやってきたポルトガル人は後期倭寇のジャンク船に乗っていたというのは，受験生は知らないかもしれないが，歴史好きなら割と知っているエピソードかもしれない。教科書上，大航海時代と後期倭寇は全く別に学習するというのは本当に盲点だった。
〔おまけ２〕慶大・経済学部（２つめ）
＜問題＞２ 問６ 下線部Cに関連して，西インド諸島では，サトウキビのプランテーションが普及し，砂糖の輸出が増加するにともない，北アメリカ大陸のイギリス植民地からの食糧・木材の輸入が進んだ。その理由を〔解答欄B〕の所定の欄の範囲内で説明しなさい。（編註：60〜70字程度）
＜コメント＞
この問題は「モノカルチャーの概念を真に理解してます？」というのを見事に言い換えている点で，捻り方がすばらしい。一見して習ってないから解答できないと思ってしまった受験生も多そうだが，私はこれくらいなら受験生に十分に求めていい発想力だと思うし，モノカルチャーの辞書的な説明は基本事項として学習するはずである。サトウキビ＝プランテーションに特化すれば食料自給率が下がるし，何なら建材・薪炭材を生産する樹林帯も消失してしまう。なお，サトウキビを煮詰めて砂糖にするのに膨大な薪が必要だったので，そもそも砂糖生産自体に薪炭材の輸入が必要だった。モノカルチャーの恐怖は自国産品の国際価格に国家経済が左右されるから不安定になりやすい，という点がよく挙げられるが，それだけではない。真の恐怖は否応なく国際分業体制に組み込まれて経済的自立を失う，それも著しく不利な立場で，という点にもある。
〔おまけ３〕早大・政経学部
＜問題＞大問３の全部。特にBの１。
＜コメント＞
本編で扱ったように，この大問の工夫はすごい。かえすがえすも，δが範囲外にはみ出てしまったのが惜しい。以下に残りの都市の解法を簡潔に提示しておく。都市βが一番簡単で，18世紀末に東インド会社が解散していて，1830年から政府栽培制度（強制栽培制度）を導入していることからバタヴィアとわかる。したがって空欄aはオランダ。都市γは1819年に自由貿易港として開港というところですぐにシンガポールとわかる。空欄bは自然にイギリス。
ここから都市αに戻ると，「1641年以降は入港を許された外国船との貿易港」となったところと，「都市β＝バタヴィアを経由した船舶や知識人の来港も多く」というところから，オランダ船が唯一の貿易相手だったので都市αがあるのは日本。そして都市αは長崎とわかる。そうして都市αの地図を見ると�△棒襍舛療腓�あり，あからさまに出島である。�△�「旧ヨーロッパ人居住地」になっていて，�Г�1873年頃の広い居住地とは分かれているのがポイント。なお，��の旧中国人居留地は旧唐人屋敷街（現在の中華街とは微妙に位置が違う），�Δ離�トリック教会堂が大浦天主堂，�Г粒姐饋裕鐔暫呂�旧グラバー邸周辺と，現在の観光地が浮かび上がってくる。都市αとβの決定的な違いとして，オランダ人が出島に押し込められていた地図αにはプロテスタントの教会が無いが，都市βにはある。また，都市αには中国人とヨーロッパ人の居住地しかないが，都市βには他のアジア系の居住地がある。都市αには要塞がないが，都市βは要塞に囲まれている等々。都市βと都市γがよく似ているだけにこの違いは面白いところ。
なお，本編でも触れたが，地図αは左上が北（最初右と書いていたので修正した），地図γは左上が北である。それを踏まえて地図γも現在のシンガポールと見比べてみると面白い。��のタウンホールのところに現在のシンガポール議会があるし，�ΑΝАΝ┐△燭蠅龍飢颪楼銘屬�全く変わっていない。地図βだけは方角の記号があるので一番わかりやすいはずなのだが，ジャカルタの地形が変わりすぎていてよくわからなかった。
〔おまけ３〕阪大
＜問題＞非常に長いのでpdfにリンク
＜コメント＞
作った人が透けて見えるというレベルではない。先進的すぎて皆ついてこれていない感がなくはないが，知識的には範囲内に収まっており，かつ発想も受験生に可能な範囲だと思う。で，これは論評というよりも意見表明として書いておくが，この通り私はこの問題を高く評価する立場で，センター試験の出題ミスに対する解説で書いた通り，私はこの作問者とは意見が合わないこともあるが，この入試問題が論述型の世界史の入試問題の理想形の一つという点で異論はない。問３・４で歴史の多面的な見方があるということを入試問題で表現してみせた点は有言実行と言ったところ。特に問４と問７は面白かった。その上であえてケチをつけると社会主義の知識がちょっと厳しいかもというのと，これ90分で全問解けるんかなとはちょっと思ったので，それは正直に書いておく。
〔おまけ４〕東大
＜問題＞第１問と第２問の問(1)(b)
＜コメント＞
第１問は当たり前のように良問なので，解説は短く。過去に一橋大や京大がこのテーマで1840年から1900年頃で書かせているが，これを15世紀まで手前を延長させたところが非常に東大っぽい。冊封体制自体がそもそも理念型であって，とりわけ明末は理念だけが残っていくし，清はさらに実態に対して柔軟だった……というのを前史として論じさせるのは意義のあることだろう。しかし，本問もあまりにも作問者が透けて見えるな。
第２問・問(b)は辛亥革命”前”後になっている点が良い。革命「後」の独立運動を書かせる問題は多いが，「前」＝光緒新政期の藩部を書かせる問題は少ない。そのまま解答にできる教科書の記述があるのでそれを思い出せればいいのだけど，これはそんなつまらない問題ではない。本問は第１問と話題がリンクしていて，連想が効けば解答を作りやすいという構造になっている。末期の清朝は冊封体制を自ら主権国家体制に再編すべく，冊封国を近代的な保護国（属国）に衣替えしようとしていた（この清末の外交は第１問の作問者の著作に詳しい）。一方で朝鮮には開化派のように清朝から自立を図る動きもあって，その綱引きに日本が介入する形で日清戦争が生じたという解釈がある。清末の藩部についてもこうした冊封国と概ね同じ状況であって，清朝にとって都合のいい冊封体制の”近代化”は藩部にとって受け入れられるものではなかった。本当にこういう重ね合わせの意図で作られた問題なら非常に美しいのだが，真相は不明である。
〔おまけ５〕一橋大
＜問題＞第１問
＜コメント＞
これは悪問とは言いがたいよ，という意味合いでコメントを出しておく。というかこれ，考えてみるとルターはひどいやつですよ。「人間は『聖書』を通じて個人個人で神とつながるべきだから，ローマ教皇を筆頭とする聖職者なんて不要」と言っておきながら，ドイツの農民たちがルターと違う解釈を提示すると，「お前らの解釈は間違っている」とか言い出す。自由な解釈を許すと言っておきながら，自分と違う解釈は誤りと言い出すダブルバインド。要するに，ルターと農民の意見の相違はルター自身の発した福音主義（と万人祭司主義）から生じたということと，ルターが解釈違いを認めなかった（推しに対する解釈違いによる同担拒否を起こした）ということが，問題の要求している「相違が生じた理由」であろう。ルターの宗教改革はあくまで信仰上のものであったのに対し，ドイツ農民たちは社会改革まで進めようとしたという違いの内容は教科書に記述があるものだし，上述の「理由」は教科書・用語集の内容に史料の読み取りを組み合わせれば，一橋大受験生の思考力で解答を出せる水準のものだろう。むしろ史料がルターと農民の主張の違いが聖書解釈の違いに起因することを上手く示していると思う。
＜問題＞１ 問３ 下線部Cに関連して，ポルトガル商人が日本と明との貿易を中継するようになった背景について，取引された主な商品と，明の貿易政策に振れながら，〔解答欄B〕の所定の欄の範囲内で説明しなさい。（編註：90〜100字程度）
＜コメント＞
この問題は日本史との共通問題で，確かにそれが可能なテーマである。しかし，どちらの科目であってもいつの間にかポルトガルが出現していて南蛮貿易をやっていることになっているので，説明を要求されると盲点である上に，それだけなら単なる難問だが，ちゃんと説明をつけようとするとその材料自体は基本事項として学習していることに気づくという，非常に良いところを突いていると思う。これは私自身も解いていて目から鱗だった。さて，解答は
・明が朝貢貿易を縮小していたために，公的なルートでの中国産絹織物・陶磁器の輸出が減少していたこと。日本史選択なら1523年の寧波の乱も想起したい。
・しかしながら絹織物・陶磁器の海外需要は高かったので，後期倭寇による密貿易が跋扈し，明の海禁政策がぐらついていたこと。
・この状況下で，輸送能力の高い（＝中継貿易に有利な）ポルトガル船が東シナ海海域に参入してきたこと。
を挙げればよい。ポルトガル商人は参入当時に後期倭寇と同一視されていた。種子島にやってきたポルトガル人は後期倭寇のジャンク船に乗っていたというのは，受験生は知らないかもしれないが，歴史好きなら割と知っているエピソードかもしれない。教科書上，大航海時代と後期倭寇は全く別に学習するというのは本当に盲点だった。
〔おまけ２〕慶大・経済学部（２つめ）
＜問題＞２ 問６ 下線部Cに関連して，西インド諸島では，サトウキビのプランテーションが普及し，砂糖の輸出が増加するにともない，北アメリカ大陸のイギリス植民地からの食糧・木材の輸入が進んだ。その理由を〔解答欄B〕の所定の欄の範囲内で説明しなさい。（編註：60〜70字程度）
＜コメント＞
この問題は「モノカルチャーの概念を真に理解してます？」というのを見事に言い換えている点で，捻り方がすばらしい。一見して習ってないから解答できないと思ってしまった受験生も多そうだが，私はこれくらいなら受験生に十分に求めていい発想力だと思うし，モノカルチャーの辞書的な説明は基本事項として学習するはずである。サトウキビ＝プランテーションに特化すれば食料自給率が下がるし，何なら建材・薪炭材を生産する樹林帯も消失してしまう。なお，サトウキビを煮詰めて砂糖にするのに膨大な薪が必要だったので，そもそも砂糖生産自体に薪炭材の輸入が必要だった。モノカルチャーの恐怖は自国産品の国際価格に国家経済が左右されるから不安定になりやすい，という点がよく挙げられるが，それだけではない。真の恐怖は否応なく国際分業体制に組み込まれて経済的自立を失う，それも著しく不利な立場で，という点にもある。
〔おまけ３〕早大・政経学部
＜問題＞大問３の全部。特にBの１。
＜コメント＞
本編で扱ったように，この大問の工夫はすごい。かえすがえすも，δが範囲外にはみ出てしまったのが惜しい。以下に残りの都市の解法を簡潔に提示しておく。都市βが一番簡単で，18世紀末に東インド会社が解散していて，1830年から政府栽培制度（強制栽培制度）を導入していることからバタヴィアとわかる。したがって空欄aはオランダ。都市γは1819年に自由貿易港として開港というところですぐにシンガポールとわかる。空欄bは自然にイギリス。
ここから都市αに戻ると，「1641年以降は入港を許された外国船との貿易港」となったところと，「都市β＝バタヴィアを経由した船舶や知識人の来港も多く」というところから，オランダ船が唯一の貿易相手だったので都市αがあるのは日本。そして都市αは長崎とわかる。そうして都市αの地図を見ると�△棒襍舛療腓�あり，あからさまに出島である。�△�「旧ヨーロッパ人居住地」になっていて，�Г�1873年頃の広い居住地とは分かれているのがポイント。なお，��の旧中国人居留地は旧唐人屋敷街（現在の中華街とは微妙に位置が違う），�Δ離�トリック教会堂が大浦天主堂，�Г粒姐饋裕鐔暫呂�旧グラバー邸周辺と，現在の観光地が浮かび上がってくる。都市αとβの決定的な違いとして，オランダ人が出島に押し込められていた地図αにはプロテスタントの教会が無いが，都市βにはある。また，都市αには中国人とヨーロッパ人の居住地しかないが，都市βには他のアジア系の居住地がある。都市αには要塞がないが，都市βは要塞に囲まれている等々。都市βと都市γがよく似ているだけにこの違いは面白いところ。
なお，本編でも触れたが，地図αは左上が北（最初右と書いていたので修正した），地図γは左上が北である。それを踏まえて地図γも現在のシンガポールと見比べてみると面白い。��のタウンホールのところに現在のシンガポール議会があるし，�ΑΝАΝ┐△燭蠅龍飢颪楼銘屬�全く変わっていない。地図βだけは方角の記号があるので一番わかりやすいはずなのだが，ジャカルタの地形が変わりすぎていてよくわからなかった。
〔おまけ３〕阪大
＜問題＞非常に長いのでpdfにリンク
＜コメント＞
作った人が透けて見えるというレベルではない。先進的すぎて皆ついてこれていない感がなくはないが，知識的には範囲内に収まっており，かつ発想も受験生に可能な範囲だと思う。で，これは論評というよりも意見表明として書いておくが，この通り私はこの問題を高く評価する立場で，センター試験の出題ミスに対する解説で書いた通り，私はこの作問者とは意見が合わないこともあるが，この入試問題が論述型の世界史の入試問題の理想形の一つという点で異論はない。問３・４で歴史の多面的な見方があるということを入試問題で表現してみせた点は有言実行と言ったところ。特に問４と問７は面白かった。その上であえてケチをつけると社会主義の知識がちょっと厳しいかもというのと，これ90分で全問解けるんかなとはちょっと思ったので，それは正直に書いておく。
〔おまけ４〕東大
＜問題＞第１問と第２問の問(1)(b)
＜コメント＞
第１問は当たり前のように良問なので，解説は短く。過去に一橋大や京大がこのテーマで1840年から1900年頃で書かせているが，これを15世紀まで手前を延長させたところが非常に東大っぽい。冊封体制自体がそもそも理念型であって，とりわけ明末は理念だけが残っていくし，清はさらに実態に対して柔軟だった……というのを前史として論じさせるのは意義のあることだろう。しかし，本問もあまりにも作問者が透けて見えるな。
第２問・問(b)は辛亥革命”前”後になっている点が良い。革命「後」の独立運動を書かせる問題は多いが，「前」＝光緒新政期の藩部を書かせる問題は少ない。そのまま解答にできる教科書の記述があるのでそれを思い出せればいいのだけど，これはそんなつまらない問題ではない。本問は第１問と話題がリンクしていて，連想が効けば解答を作りやすいという構造になっている。末期の清朝は冊封体制を自ら主権国家体制に再編すべく，冊封国を近代的な保護国（属国）に衣替えしようとしていた（この清末の外交は第１問の作問者の著作に詳しい）。一方で朝鮮には開化派のように清朝から自立を図る動きもあって，その綱引きに日本が介入する形で日清戦争が生じたという解釈がある。清末の藩部についてもこうした冊封国と概ね同じ状況であって，清朝にとって都合のいい冊封体制の”近代化”は藩部にとって受け入れられるものではなかった。本当にこういう重ね合わせの意図で作られた問題なら非常に美しいのだが，真相は不明である。
〔おまけ５〕一橋大
＜問題＞第１問
＜コメント＞
これは悪問とは言いがたいよ，という意味合いでコメントを出しておく。というかこれ，考えてみるとルターはひどいやつですよ。「人間は『聖書』を通じて個人個人で神とつながるべきだから，ローマ教皇を筆頭とする聖職者なんて不要」と言っておきながら，ドイツの農民たちがルターと違う解釈を提示すると，「お前らの解釈は間違っている」とか言い出す。自由な解釈を許すと言っておきながら，自分と違う解釈は誤りと言い出すダブルバインド。要するに，ルターと農民の意見の相違はルター自身の発した福音主義（と万人祭司主義）から生じたということと，ルターが解釈違いを認めなかった
Posted by dg_law at 00:27│Comments(9)
この記事へのコメント
阪大と東大の作問者について知りたいです、
ヒントください…！
ヒントください…！
Posted by 院生 at 2020年03月19日 19:31
それぞれの問題のテーマ設定がご本人たちの研究している地域やテーマにドンピシャなので，それを意識して大学の歴史学をやっている教員一覧から探せば，割とすぐに見つかると思います。特に阪大は一瞬かと。東大は教員の数が多い上に歴史学をやっている研究室が細分化されているのでちょっと探しにくいかもしれませんが。
Posted by DG-Law at 2020年03月19日 23:12
阪大は日本史においてももっと盛り上げてほしい。。。
Posted by おおおおんづけ at 2020年05月16日 10:33
阪大の入試問題の日本史，びっくりするほど手抜きなんですよね。200字×４問で難易度も高くない。
内部で得点調整がされていないなら，日本史で受けた方が間違いなく楽ですね。
入試問題に気合を入れると他科目より難易度が上がってしまい，ともすれば受験生に敬遠されうるという矛盾はちょっと悲しいですね。
内部で得点調整がされていないなら，日本史で受けた方が間違いなく楽ですね。
入試問題に気合を入れると他科目より難易度が上がってしまい，ともすれば受験生に敬遠されうるという矛盾はちょっと悲しいですね。
Posted by DG-Law at 2020年05月16日 18:23
センター政治経済でナチスが出題されたことについては世界史側からはコメント無しでしょうか。。。是非とも稲田氏のコメントを請いたく存じます。
（倫理）政治経済の問題としても、出題意図(ナショナリズム)としても、確かに出題は有効に成立するのですが、この出題方法だとやはり世界史A(世界史Bじゃない気がする)でお願いします、としか私は思えないのですね。（実際解くのに必要なのは世界史Aの知識と思われるし）
＃＃リード文に工夫をかさねてワイマール憲法を問わせる問題なら申し分無い（しかも良問の）政治経済問題なのですが。。。工夫が足りないとしか感じないですね。消去法で解けるとは言っても、センター試験で出題すべきではない奇をてらった系の問題とも感じてますね。（どこかの会社の政治経済の教科書にそのように書いてあるなら不問にしますが。ちなみに詳説政治経済研究にはナチスの台頭により事実上ワイマール憲法は廃止された、となっており、私がここで問わせたい認識（≠出題）と一致していますね。なお、「ナチスの台頭により事実上ワイマール憲法は廃止された」認識が受験政治経済だけのローカルルールで受験世界史的にははっきりと事実誤認、であれば私の指摘は取り下げますが。。。そのあたりも受験世界史研究者側からのコメントを請いたい理由です。私はあくまで受験日本史／受験政治経済研究家なので。）
（倫理）政治経済の問題としても、出題意図(ナショナリズム)としても、確かに出題は有効に成立するのですが、この出題方法だとやはり世界史A(世界史Bじゃない気がする)でお願いします、としか私は思えないのですね。（実際解くのに必要なのは世界史Aの知識と思われるし）
＃＃リード文に工夫をかさねてワイマール憲法を問わせる問題なら申し分無い（しかも良問の）政治経済問題なのですが。。。工夫が足りないとしか感じないですね。消去法で解けるとは言っても、センター試験で出題すべきではない奇をてらった系の問題とも感じてますね。（どこかの会社の政治経済の教科書にそのように書いてあるなら不問にしますが。ちなみに詳説政治経済研究にはナチスの台頭により事実上ワイマール憲法は廃止された、となっており、私がここで問わせたい認識（≠出題）と一致していますね。なお、「ナチスの台頭により事実上ワイマール憲法は廃止された」認識が受験政治経済だけのローカルルールで受験世界史的にははっきりと事実誤認、であれば私の指摘は取り下げますが。。。そのあたりも受験世界史研究者側からのコメントを請いたい理由です。私はあくまで受験日本史／受験政治経済研究家なので。）
Posted by おおおおんづけ at 2020年06月21日 09:47
センター政経となると，さすがに守備範囲外なんですよね。
センター試験の問題は社会科は７科目全部解いているんですが（日本史Aと地理Aだけさすがにやってない），範囲の内外や妥当性を判断するとなると，やはり世界史が専業で，日本史・地理はまだコメントできるかもしれませんが，公民はさすがに知識も経験もなさすぎるので。
純粋な受験世界史的観点から言えば，「ナチスの台頭により事実上ワイマール憲法は廃止された」という文が４文の正誤文判定で出てきたら，８割の可能性で正文と思いつつも即断せずに保留して，周囲の文と比べると思います。即断しない理由は２つあり，１つは（説明不要のことですが）ヴァイマル憲法を殺したのは全権委任法であって，ナチスの台頭は主語としてやや曖昧であること。もう１つは，受験世界史上は「事実上廃止された」とは言わずに「死文化した」とか「空文化した」という言い回しをすることです。言っていることはほぼ同じなのですが，死文化したと言わないということは「廃止」という語のニュアンスになにか含むところがあるのかな，と思ってちょっと躊躇するかな，というところです。
センター試験の問題は社会科は７科目全部解いているんですが（日本史Aと地理Aだけさすがにやってない），範囲の内外や妥当性を判断するとなると，やはり世界史が専業で，日本史・地理はまだコメントできるかもしれませんが，公民はさすがに知識も経験もなさすぎるので。
純粋な受験世界史的観点から言えば，「ナチスの台頭により事実上ワイマール憲法は廃止された」という文が４文の正誤文判定で出てきたら，８割の可能性で正文と思いつつも即断せずに保留して，周囲の文と比べると思います。即断しない理由は２つあり，１つは（説明不要のことですが）ヴァイマル憲法を殺したのは全権委任法であって，ナチスの台頭は主語としてやや曖昧であること。もう１つは，受験世界史上は「事実上廃止された」とは言わずに「死文化した」とか「空文化した」という言い回しをすることです。言っていることはほぼ同じなのですが，死文化したと言わないということは「廃止」という語のニュアンスになにか含むところがあるのかな，と思ってちょっと躊躇するかな，というところです。
Posted by DG-Law at 2020年06月22日 22:22
詳細なコメントありがとうございます。
＞ヴァイマル憲法を殺したのは全権委任法
私は世界史の研究者でないので、この流れはわかりませんでした。（私は中学校レベルの世界史知識と思ってください。だから世界史の研究は一切出来ません。）
(現行の)政治経済用語集は未所持なので全権委任法の（重要度の）判別がつきませんが、詳説政治経済研究には一切記載ないことから考えても、政治経済科目としては、難関私大か範囲外かいずれかでしょう。
であれば、本問は受験政治経済側のローカルルールを問うただけの問題と理解致します。
＃＃裏の意図が多分にありそうな出題方法／形式ですが。
＞ヴァイマル憲法を殺したのは全権委任法
私は世界史の研究者でないので、この流れはわかりませんでした。（私は中学校レベルの世界史知識と思ってください。だから世界史の研究は一切出来ません。）
(現行の)政治経済用語集は未所持なので全権委任法の（重要度の）判別がつきませんが、詳説政治経済研究には一切記載ないことから考えても、政治経済科目としては、難関私大か範囲外かいずれかでしょう。
であれば、本問は受験政治経済側のローカルルールを問うただけの問題と理解致します。
＃＃裏の意図が多分にありそうな出題方法／形式ですが。
Posted by おおおおんづけ at 2020年06月23日 21:52
阪大世界史
http://www.kodairen.u-ryukyu.ac.jp/new/new_106gm.html
報告５：田中忍（兵庫県立芦屋高校）
「入学前教育としての大学入試「世界史」問題」
ここで言及されてましたね。
http://www.kodairen.u-ryukyu.ac.jp/new/new_106gm.html
報告５：田中忍（兵庫県立芦屋高校）
「入学前教育としての大学入試「世界史」問題」
ここで言及されてましたね。
Posted by おおおおんづけ at 2020年07月26日 14:56
早稲田大・政経学部の話を含めて，どういう話をしていたかはちょっと気になりますね。
オンラインだったので参加してもいいかなと思いつつ，いろいろ作業していたら申し込みしそびれてました。
阪大は，この研究会まで見据えて，あの入試問題にしたんでしょうね。上手いですね。
オンラインだったので参加してもいいかなと思いつつ，いろいろ作業していたら申し込みしそびれてました。
阪大は，この研究会まで見据えて，あの入試問題にしたんでしょうね。上手いですね。
Posted by DG-Law at 2020年07月28日 01:04
