2020年05月17日
『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』1巻の細かい感想
他県から豊橋に引っ越し・転校してきた女子高生の主人公と,異常なまでに豊橋と東三河を愛している高校の先輩たちを中心とした日常ものである。三刷まで増刷され,AmazonやTwitterで感想を探しても地元民に大好評,誤りの指摘等を全く見ない。コロナ禍のせいで本書が出版されてからまだ一度も帰省していないのだが,駅前の精文館でめちゃくちゃ押されていたらしい。その様子は見たかった。
さて,本書を元豊橋市民が「あるあるwwwwww」と言いながら読んだので,以下に感想をネタの逐次的に書いておく。本書を手元に置いて参照し,一緒に「あるある」しながら読んでくれてもいいし,この感想を読んで購入の判断をしてくれてもかまわない。このブログを読んだ東三河民は,買って読んだなら自分のブログやTwitterで私の拾いきれていないネタを拾うことをお願いしたい。
以下,本文からの引用は青字。
たとえば,
〔1話〕
>「ら? らだけで確認言葉になるの?」
三河弁の鉄板ネタその1。なるんだな,これが。ただまあ方言とはそういうものであって,関西弁の「ええやん」が異様なまでに多義語になるのと同じ現象ではある。三河弁だと,元は語尾に「ら」「だら」をつけるのだが,しばしば手前の文が全て省略されて「だら?」「だらー」だけで返事がなされる。ここからさらに「だ」が欠落すると「ら」になるが,さすがに「だら」くらいは言う人の多いと思うw。東三河の女子高生は1分に5回は「だらー」と言っている説,割と信憑性が高い。
こんな感じで。
>豊橋は530運動発祥の地
>「ゴミゼロ運動って発祥の地があったんですね」
小学校まで他県にいた身として言わせてもらうと,残念ながら530運動自体の知名度がそこまで高くないので(広まっていないわけではない),発祥の地は知られていないというよりも興味を持たれていないというのが正確なところではないかと……
>「私はボランティア部 部長の吉田ちぎり」
「吉田」は豊橋の古名。東海道五十三次にも吉田宿として登場する。ちぎりは「千切」で,豊橋の市章。吉田藩松平家の家紋が由来だそうな,これは知らなかった。この部長の三河弁はさすがに訛りすぎであるが,『ラブライブ! サンシャイン』でも静岡県民に「さすがに花丸ちゃんレベルに『ずら』って言うのはお婆ちゃん世代だけ」って突っ込まれていたので,創作の強調ではよくあることだろう。吉田先輩,アニメ化したらCVは野川さくらでお願いしたい。にゃっほ〜
ついでに主人公の名前は国元ほのか。「ほのか」は穂の国から来ていると思われ,穂の国は飛鳥時代頃に豊橋・豊川辺りを支配していたとされる「穂国造」から。穂の国は東三河を指すフレーズとして2010年代になってから盛んに宣伝されているイメージ。調べてみると1995年から使われだしたようだ。東三河のご当地萌えキャラの穂の国娘でも,豊橋の子の名前は「豊橋穂乃火(ほのか)」であった。……そう言えばこの企画って今どうなったんですかね。私の押しは東栄星鬼ちゃんです。
もう一人のボランティア部の先輩の名前が安曇潤なのだが,これは元ネタがわからなかった。ぐぐってみたら渥美半島の古い表記が安曇らしいので,これかな。
>尾張と三河には見えない溝がある
>出身地を聞かれたときに「愛知? ああ名古屋のことですか」って言われた時のやるせなさ
「三河」という単位なら,最強のあるあるは多分これ。西三河に比べて東三河は浜松に親和性があるので,尚更ね……名古屋のことは嫌いじゃないしリスペクトしているし,夕飯で東京資本の店と名古屋資本の店で迷っていたら後者に入ってしまう程度には応援もしているが,こと三河を名古屋と混同されると,まあ切れるよね。非横浜市民の神奈川県民とか,非神戸市民の兵庫県民とか,同ネタは日本全国に多数ある。
>ほいこれがピレーネ
このお菓子,実は本書を読むまではっきりとは知らなかった。そう言えば食ったことがあるような。親族や何人かの友人に聞いてみたところで言うと,おそらく駅前中心の文化かなと。
〔2話〕
>放課ってなんですか?
三河民の鉄板ネタ。高校を卒業するまで放課が方言とは気づかないやつ,あるいは「実は方言」ネタとして有名になりすぎて知ってるやつ。かく言う自分は小学校まで他県民だったのだが,「昼放課」等の表現に不思議と違和感がなかった。なんでだろう。
>豊橋はうずら卵の全国トップクラスの産地
>うずらカッター(3話)
豊橋市民ならキャベツと一緒に誰でも知っているやつ。そばに入れて食うと美味いと思うのだが,他地方に広まってないのよな。なお,トップクラスというよりも,全国生産量の70%を占めているので,ぶっちぎりでトップと言った方が正しい。
そして満を持しての登場のうずらカッター。あまりにも鉄板ネタすぎて登場した瞬間に爆笑してしまった。独特な形をしているので,気になった他県民・他市民の方はググってみよう。
>超有名チョコ菓子,黒い雷神ことブラックサンダー
ブラックサンダーは,実は私が上京してしまってから全国化したので,個人的にはそんなに地元感が無い。フルグラ入りが一番美味いと思う。
〔3話〕
>「袋さらこっち持ってきて」
鉄板ネタとは言えないまでも,三河弁ネタとしてはたまに見るやつ。この「さら」は「ごと」の意味。主人公の「袋皿?」という疑問はごもっとも。
〔4話〕
>血が死んだ
三河弁の鉄板ネタその2。これは私が豊橋に引っ越してきて,まさに主人公のようなリアクションをし,母親に「どういう意味?」と聞いて爆笑された記憶がある。「血が死んだ」の字面のインパクトがすごい。
>今日のおやつはデセール
これも知らなかったお菓子。どうやら自分は豊橋の洋菓子に無知らしいぞ?
〔5話〕
>名古屋ならジャンピングばばあ,豊橋ならホッピングばばあ
確かにあったなそんなのwwwwwwwww。私は多分母親から聞いたのだと思う。多米峠の有名な都市伝説で,驚異的な跳躍力で峠を走る車を追いかけたり飛び越したりする。何も乗っていない説とホッピングに乗っている説がある。自分が最初に聞いたのは後者。実は日本全国に同じような都市伝説があるらしく,Wikipediaにも記事がある。
このネタを拾ってくる辺り,この作者の豊橋愛と知識は本物。
>豊川信用金庫の略称
豊橋信用金庫が「とよしん」なので,混同されるのを避けるために「かわしん」と呼ばれるというネタ。地方信用金庫の呼び方はけっこう独特なので,他の地方でもなぜにこの略称になった,みたいなやつはある……というのをどこかで読んだ記憶。
>チャオのあんかけスパ
豊橋市民のソウルフードの一つなのだが,個人的にはピリ辛ソースが苦手であんまり好きじゃないんだよな……すまんな。
>難読地名
個人的に一番好きなのは「曲尺手(かねんて)」。嵩山(すせ)も難読だよな。多米(ため)と飯村(いむれ)はあまり難読のイメージが無かったけど,言われてみると普通には読めない。かく言う私自身も「雲谷(うのや)」は読めなかったので修行が足りない。
あと難読ではないが,大池公園のある「向山(むかいやま)」を都民の友達を連れて通りがかった際に,彼が「むこうやま」と読んでいて,都民にあるあるな読み間違いであるなと思ったりした。豊橋市民の皆さんも練馬区に行った際は注意しよう。 → 練馬のは読みが「こうやま」らしい。
〔6話〕
>冬キャベツの生産量は豊橋が日本一
豊橋市民なら皆知っている。小学校の社会科で習う(らしい,私は小学校時代は他県民なので伝聞形)。市内南側の郊外に出ると一面がキャベツ畑になる。「冬」がついているのは,夏に収穫するキャベツも含めると群馬県に敗北を喫する可能性が生じるため。データを見ると,なかなか熾烈な争いをしている。
>田原の電照菊,豊橋の胡蝶蘭・エディブルフラワー,豊川のバラ
これも小学校の社会科で習うやつ。「電照菊」ってなんだよと思われるかもしれないが,読んで字のごとく電気で人工的に照らして生産される菊のこと。本作ではいまのところさらっと紹介されただけだが,深堀りできるネタであるので,そのうち田原に出張してがっつり紹介するのではないかと思われる。
>八雲だんご
チョコマントは知らなかった。いつの間にそんなものが。
〔7話〕
>のんほいパークの池の人面魚
私はこの都市伝説も母親に聞いた気がする。ホッピングばばあとどっちがメジャーなのだろうか。ググってみたら,公式がネタにしていた。
のんほいパーク自体も,直近でサーバルキャットが入ったこととかも含めてネタの宝庫であるので,2巻以降で深堀りするのではないだろうか。
>たまり醤油
我が家,醤油にはこだわりが無かった。この話題パス。
>五平餅
東三河の,というよりは三河・南信・岐阜のソウルフード。大好き。ただ,私の場合は実家で食べているというよりは,登山で長野県まで行ったら食べている感じ。狭い中でけっこう地域差はあって,行った先のものを食べると新たな発見があって面白い。それだけに,『半分、青い。』や『君の名は。』で話題になった時,それは岐阜県だけにあるものじゃないんだ……と歯がゆい気持ちになった人は多いと聞く。
私の中のスタンダードは,楕円形で平べったく,木串に刺さっていて,味付けは八丁味噌。いろいろ食べてもやっぱりこれ。
>半殺し
米を粒の形が分かる程度に潰すこと。うちの母親以外でこの方言を使っている人を初めて見た。しかし,ググってみるときりたんぽの製造過程でも使う用語らしく,しかも北関東・東北太平洋側ではぼた餅そのものを指して「半殺し」という用法もあるらしい。方言というよりも特殊な調理・料理用語であって,似たような食べ物がある地域では伝わる全国区の言葉だったりするのかも。
>焼きたてのちんちん
これ方言だったんか……「ちんちんに熱い」って言わない?
〔8話〕
>八丁味噌
これがあるからかろうじて西三河・尾張との連帯感を保てている感ある。無かったらいよいよ浜松にくっついてしまう感じが。
>愛知の第二都市はどこだ問題
これは豊橋市民同士というよりは,他の三河民とよく話題になるやつ。20世紀末まではなんだかんだで豊橋が人口第2位で第二都市と言い張れたが,平成の大合併により豊田市・岡崎市・一宮市に抜かれて5位にまで転落してしまった。他はともかく豊田市はやりすぎ。
結果として,工業力に優位のある豊田市・岡崎市にうちが第二都市と主張されると,現在の豊橋市としてはちょっと苦しい。煽られた時は「誰が貴様らの自動車を売ってると思ってんだ,三河港止めるぞコラ」と返事をしよう。作中の「豊橋には東名のICが無い」という煽りに対して「岡崎は新幹線の駅が無い」という返しは完璧。
なお,「でも浜松市が静岡から独立したらついていくでしょ?」と言われて,吉田先輩が「当たり前です!」と返事をしているが,浜松様がそうなさるなら本当についていきますと答える豊橋市民は多かろうと思う。んで,「そういうところにナンバー2を名乗ってほしくない」と言われてしまうとぐうの音も出ません。
>(徳川家康は岡崎出身という煽りに対して)
>八代将軍吉宗は豊橋出身
お,そうだな。まあ郷土の英雄と言えばこの人だろう。個人的には宮城谷昌光を挙げるけど。中日の藤井選手を挙げる人もいそう。
〔9話〕
八丁味噌回。DG家,醤油と同様に味噌も「八丁味噌ならなんでもいい」とこだわりが無かったので語れることがなにもない。パス。他の人頼んだ。
〔10話〕
>喫茶店のモーニング
正直「愛知県の喫茶店の朝飯は量がおかしい」と世間に騒がれるようになるまで,そんなに特別視されていなかったような。私はてっきり尾張の文化だとさえ思っていたのだけど,豊橋発祥説もあるのね。初めて知った。
>豊橋西駅・本駅
「豊橋駅西口」のこと。「西駅」等という名前の駅は無い。普通に西口と呼ぶ人もいる。本駅は「東口」のこと。これはDG家は普通に「東口」と呼ぶ。
豊橋市民はご存じの通り,東口が豊橋市の表玄関で,西口は事実上の新幹線ホーム直行出入り口と化している。東口は繁華街だが,西口は普通に住宅街。こういう駅の片側に繁華街が集中するのは日本の地方都市でありがちで,おかげで初めて行く駅に降りて反対側に出てしまった時の絶望感といえば,共感する人も多いかと思う。そういう意味では豊橋駅も,事情を全く知らずに新幹線で来ると,自然と西口に出てしまうトラップあるな。
>南ジャス
どんだけローカルネタだよ。うずらカッターに続いて爆笑してしまった。なお,「南ジャス」でググるとちゃんと正解が表示される。Googleは賢いなぁ。
同様の理屈で,今でもたまに「AMC」とか「日航ホテル」って言ってしまうのだが,私だけでないならこのネタは2巻以降に出てくるのかな。
〔11話〕
>国道1号・42号・259号
車に乗らないので何も言えることがない(一応その名は聞いたことがある)。パス。
>「車校」
自動車免許教習所の呼び名は日本全国ばらばらでものすごくバリエーションがある……というインターネット記事を読んだことがある気がした。確かに私も車校って呼んでた。
>名鉄名古屋駅の乗り換えホームの恐怖
名古屋駅,駅の構内自体はさして複雑でもないのに……というよりも逆にそれでああいうことになっているのかも。ホームを増やして解決,とはいかないんですかね。
>市電(ちんちん電車)
珍しいとはよく言われるものの,地元にあるとかえって珍しさがよくわからず,ありがたみがさして無い説。若者は市電の範囲くらいなら自転車で行ってしまうので,あまり乗らないかも(つまり高校生までしか豊橋にいなかった私は意外と乗った回数が少ない)。まあ,市役所に行くのには便利。実際に乗るのは2巻に続く。
書き上げてみて思ったのは本書のネタの豊富さである。最初「豊橋でそんなに漫画にすることある?」と思っていたのだが,南ジャスとか多米峠のホッピング都市伝説を拾うレベルならネタは無数にあるわ。何より手筒花火とヤマサのちくわという2大コンテンツが全くの手つかずであるし,のんほいパークに足を踏み入れていないし,そもそも市役所にも豊橋市公会堂にも吉田城にも行っていない。これは今後に期待大ですわ。
>「ゴミゼロ運動って発祥の地があったんですね」
小学校まで他県にいた身として言わせてもらうと,残念ながら530運動自体の知名度がそこまで高くないので(広まっていないわけではない),発祥の地は知られていないというよりも興味を持たれていないというのが正確なところではないかと……
>「私はボランティア部 部長の吉田ちぎり」
「吉田」は豊橋の古名。東海道五十三次にも吉田宿として登場する。ちぎりは「千切」で,豊橋の市章。吉田藩松平家の家紋が由来だそうな,これは知らなかった。この部長の三河弁はさすがに訛りすぎであるが,『ラブライブ! サンシャイン』でも静岡県民に「さすがに花丸ちゃんレベルに『ずら』って言うのはお婆ちゃん世代だけ」って突っ込まれていたので,創作の強調ではよくあることだろう。吉田先輩,アニメ化したらCVは野川さくらでお願いしたい。
ついでに主人公の名前は国元ほのか。「ほのか」は穂の国から来ていると思われ,穂の国は飛鳥時代頃に豊橋・豊川辺りを支配していたとされる「穂国造」から。穂の国は東三河を指すフレーズとして2010年代になってから盛んに宣伝されているイメージ。調べてみると1995年から使われだしたようだ。東三河のご当地萌えキャラの穂の国娘でも,豊橋の子の名前は「豊橋穂乃火(ほのか)」であった。……そう言えばこの企画って今どうなったんですかね。私の押しは東栄星鬼ちゃんです。
もう一人のボランティア部の先輩の名前が安曇潤なのだが,これは元ネタがわからなかった。ぐぐってみたら渥美半島の古い表記が安曇らしいので,これかな。
>尾張と三河には見えない溝がある
>出身地を聞かれたときに「愛知? ああ名古屋のことですか」って言われた時のやるせなさ
「三河」という単位なら,最強のあるあるは多分これ。西三河に比べて東三河は浜松に親和性があるので,尚更ね……名古屋のことは嫌いじゃないしリスペクトしているし,夕飯で東京資本の店と名古屋資本の店で迷っていたら後者に入ってしまう程度には応援もしているが,こと三河を名古屋と混同されると,まあ切れるよね。非横浜市民の神奈川県民とか,非神戸市民の兵庫県民とか,同ネタは日本全国に多数ある。
>ほいこれがピレーネ
このお菓子,実は本書を読むまではっきりとは知らなかった。そう言えば食ったことがあるような。親族や何人かの友人に聞いてみたところで言うと,おそらく駅前中心の文化かなと。
〔2話〕
>放課ってなんですか?
三河民の鉄板ネタ。高校を卒業するまで放課が方言とは気づかないやつ,あるいは「実は方言」ネタとして有名になりすぎて知ってるやつ。かく言う自分は小学校まで他県民だったのだが,「昼放課」等の表現に不思議と違和感がなかった。なんでだろう。
>豊橋はうずら卵の全国トップクラスの産地
>うずらカッター(3話)
豊橋市民ならキャベツと一緒に誰でも知っているやつ。そばに入れて食うと美味いと思うのだが,他地方に広まってないのよな。なお,トップクラスというよりも,全国生産量の70%を占めているので,ぶっちぎりでトップと言った方が正しい。
そして満を持しての登場のうずらカッター。あまりにも鉄板ネタすぎて登場した瞬間に爆笑してしまった。独特な形をしているので,気になった他県民・他市民の方はググってみよう。
>超有名チョコ菓子,黒い雷神ことブラックサンダー
ブラックサンダーは,実は私が上京してしまってから全国化したので,個人的にはそんなに地元感が無い。フルグラ入りが一番美味いと思う。
〔3話〕
>「袋さらこっち持ってきて」
鉄板ネタとは言えないまでも,三河弁ネタとしてはたまに見るやつ。この「さら」は「ごと」の意味。主人公の「袋皿?」という疑問はごもっとも。
〔4話〕
>血が死んだ
三河弁の鉄板ネタその2。これは私が豊橋に引っ越してきて,まさに主人公のようなリアクションをし,母親に「どういう意味?」と聞いて爆笑された記憶がある。「血が死んだ」の字面のインパクトがすごい。
>今日のおやつはデセール
これも知らなかったお菓子。どうやら自分は豊橋の洋菓子に無知らしいぞ?
〔5話〕
>名古屋ならジャンピングばばあ,豊橋ならホッピングばばあ
確かにあったなそんなのwwwwwwwww。私は多分母親から聞いたのだと思う。多米峠の有名な都市伝説で,驚異的な跳躍力で峠を走る車を追いかけたり飛び越したりする。何も乗っていない説とホッピングに乗っている説がある。自分が最初に聞いたのは後者。実は日本全国に同じような都市伝説があるらしく,Wikipediaにも記事がある。
このネタを拾ってくる辺り,この作者の豊橋愛と知識は本物。
>豊川信用金庫の略称
豊橋信用金庫が「とよしん」なので,混同されるのを避けるために「かわしん」と呼ばれるというネタ。地方信用金庫の呼び方はけっこう独特なので,他の地方でもなぜにこの略称になった,みたいなやつはある……というのをどこかで読んだ記憶。
>チャオのあんかけスパ
豊橋市民のソウルフードの一つなのだが,個人的にはピリ辛ソースが苦手であんまり好きじゃないんだよな……すまんな。
>難読地名
個人的に一番好きなのは「曲尺手(かねんて)」。嵩山(すせ)も難読だよな。多米(ため)と飯村(いむれ)はあまり難読のイメージが無かったけど,言われてみると普通には読めない。かく言う私自身も「雲谷(うのや)」は読めなかったので修行が足りない。
あと難読ではないが,大池公園のある「向山(むかいやま)」を都民の友達を連れて通りがかった際に,彼が「むこうやま」と読んでいて,都民にあるあるな読み間違いであるなと思ったりした。
〔6話〕
>冬キャベツの生産量は豊橋が日本一
豊橋市民なら皆知っている。小学校の社会科で習う(らしい,私は小学校時代は他県民なので伝聞形)。市内南側の郊外に出ると一面がキャベツ畑になる。「冬」がついているのは,夏に収穫するキャベツも含めると群馬県に敗北を喫する可能性が生じるため。データを見ると,なかなか熾烈な争いをしている。
>田原の電照菊,豊橋の胡蝶蘭・エディブルフラワー,豊川のバラ
これも小学校の社会科で習うやつ。「電照菊」ってなんだよと思われるかもしれないが,読んで字のごとく電気で人工的に照らして生産される菊のこと。本作ではいまのところさらっと紹介されただけだが,深堀りできるネタであるので,そのうち田原に出張してがっつり紹介するのではないかと思われる。
>八雲だんご
チョコマントは知らなかった。いつの間にそんなものが。
〔7話〕
>のんほいパークの池の人面魚
私はこの都市伝説も母親に聞いた気がする。ホッピングばばあとどっちがメジャーなのだろうか。ググってみたら,公式がネタにしていた。
じ、人面魚〜💨#のんほいパーク #豊橋 #動物園 #鯉 #人面魚 https://t.co/QIJYwjqbGh pic.twitter.com/ZoV3jT1rX5
— 豊橋総合動植物公園(豊橋のんほいパーク (@non_hoi_park) May 24, 2017
のんほいパーク自体も,直近でサーバルキャットが入ったこととかも含めてネタの宝庫であるので,2巻以降で深堀りするのではないだろうか。
>たまり醤油
我が家,醤油にはこだわりが無かった。この話題パス。
>五平餅
東三河の,というよりは三河・南信・岐阜のソウルフード。大好き。ただ,私の場合は実家で食べているというよりは,登山で長野県まで行ったら食べている感じ。狭い中でけっこう地域差はあって,行った先のものを食べると新たな発見があって面白い。それだけに,『半分、青い。』や『君の名は。』で話題になった時,それは岐阜県だけにあるものじゃないんだ……と歯がゆい気持ちになった人は多いと聞く。
私の中のスタンダードは,楕円形で平べったく,木串に刺さっていて,味付けは八丁味噌。いろいろ食べてもやっぱりこれ。
>半殺し
米を粒の形が分かる程度に潰すこと。うちの母親以外でこの方言を使っている人を初めて見た。しかし,ググってみるときりたんぽの製造過程でも使う用語らしく,しかも北関東・東北太平洋側ではぼた餅そのものを指して「半殺し」という用法もあるらしい。方言というよりも特殊な調理・料理用語であって,似たような食べ物がある地域では伝わる全国区の言葉だったりするのかも。
>焼きたてのちんちん
これ方言だったんか……「ちんちんに熱い」って言わない?
〔8話〕
>八丁味噌
これがあるからかろうじて西三河・尾張との連帯感を保てている感ある。無かったらいよいよ浜松にくっついてしまう感じが。
>愛知の第二都市はどこだ問題
これは豊橋市民同士というよりは,他の三河民とよく話題になるやつ。20世紀末まではなんだかんだで豊橋が人口第2位で第二都市と言い張れたが,平成の大合併により豊田市・岡崎市・一宮市に抜かれて5位にまで転落してしまった。他はともかく豊田市はやりすぎ。
結果として,工業力に優位のある豊田市・岡崎市にうちが第二都市と主張されると,現在の豊橋市としてはちょっと苦しい。煽られた時は「誰が貴様らの自動車を売ってると思ってんだ,三河港止めるぞコラ」と返事をしよう。作中の「豊橋には東名のICが無い」という煽りに対して「岡崎は新幹線の駅が無い」という返しは完璧。
なお,「でも浜松市が静岡から独立したらついていくでしょ?」と言われて,吉田先輩が「当たり前です!」と返事をしているが,浜松様がそうなさるなら本当についていきますと答える豊橋市民は多かろうと思う。んで,「そういうところにナンバー2を名乗ってほしくない」と言われてしまうとぐうの音も出ません。
>(徳川家康は岡崎出身という煽りに対して)
>八代将軍吉宗は豊橋出身
お,そうだな。まあ郷土の英雄と言えばこの人だろう。個人的には宮城谷昌光を挙げるけど。中日の藤井選手を挙げる人もいそう。
〔9話〕
八丁味噌回。DG家,醤油と同様に味噌も「八丁味噌ならなんでもいい」とこだわりが無かったので語れることがなにもない。パス。他の人頼んだ。
〔10話〕
>喫茶店のモーニング
正直「愛知県の喫茶店の朝飯は量がおかしい」と世間に騒がれるようになるまで,そんなに特別視されていなかったような。私はてっきり尾張の文化だとさえ思っていたのだけど,豊橋発祥説もあるのね。初めて知った。
>豊橋西駅・本駅
「豊橋駅西口」のこと。「西駅」等という名前の駅は無い。普通に西口と呼ぶ人もいる。本駅は「東口」のこと。これはDG家は普通に「東口」と呼ぶ。
豊橋市民はご存じの通り,東口が豊橋市の表玄関で,西口は事実上の新幹線ホーム直行出入り口と化している。東口は繁華街だが,西口は普通に住宅街。こういう駅の片側に繁華街が集中するのは日本の地方都市でありがちで,おかげで初めて行く駅に降りて反対側に出てしまった時の絶望感といえば,共感する人も多いかと思う。そういう意味では豊橋駅も,事情を全く知らずに新幹線で来ると,自然と西口に出てしまうトラップあるな。
>南ジャス
どんだけローカルネタだよ。うずらカッターに続いて爆笑してしまった。なお,「南ジャス」でググるとちゃんと正解が表示される。Googleは賢いなぁ。
同様の理屈で,今でもたまに「AMC」とか「日航ホテル」って言ってしまうのだが,私だけでないならこのネタは2巻以降に出てくるのかな。
〔11話〕
>国道1号・42号・259号
車に乗らないので何も言えることがない(一応その名は聞いたことがある)。パス。
>「車校」
自動車免許教習所の呼び名は日本全国ばらばらでものすごくバリエーションがある……というインターネット記事を読んだことがある気がした。確かに私も車校って呼んでた。
>名鉄名古屋駅の乗り換えホームの恐怖
名古屋駅,駅の構内自体はさして複雑でもないのに……というよりも逆にそれでああいうことになっているのかも。ホームを増やして解決,とはいかないんですかね。
>市電(ちんちん電車)
珍しいとはよく言われるものの,地元にあるとかえって珍しさがよくわからず,ありがたみがさして無い説。若者は市電の範囲くらいなら自転車で行ってしまうので,あまり乗らないかも(つまり高校生までしか豊橋にいなかった私は意外と乗った回数が少ない)。まあ,市役所に行くのには便利。実際に乗るのは2巻に続く。
書き上げてみて思ったのは本書のネタの豊富さである。最初「豊橋でそんなに漫画にすることある?」と思っていたのだが,南ジャスとか多米峠のホッピング都市伝説を拾うレベルならネタは無数にあるわ。何より手筒花火とヤマサのちくわという2大コンテンツが全くの手つかずであるし,のんほいパークに足を踏み入れていないし,そもそも市役所にも豊橋市公会堂にも吉田城にも行っていない。これは今後に期待大ですわ。
Posted by dg_law at 02:30│Comments(4)
この記事へのコメント
『他県から豊橋に引っ越し・転向してきた』
が気になるんですが、やはりこれも誤変換ではなく愛知の方言で、他県者は特校警察とかが厳しく思想を取り締まってるんでしょうか。
が気になるんですが、やはりこれも誤変換ではなく愛知の方言で、他県者は特校警察とかが厳しく思想を取り締まってるんでしょうか。
Posted by シダー近藤 at 2020年05月18日 08:41
ただのお茶目な誤字だよ!w
ご指摘ありがとうございます。直しました。
ご指摘ありがとうございます。直しました。
Posted by DG-Law at 2020年05月18日 17:59
ちなみに共通語と思われがちな方言御三家は多分この3つだと思います。
1.捨てるという意味での投げる(主に東日本)
2.片づけるという意味での直す(主に西日本)
3.4日後という意味でのしあさって(北日本・中日本・九州etc)
なお自分も1と3はかつては方言とは分からずに共通語だと思って使っていました。
1.捨てるという意味での投げる(主に東日本)
2.片づけるという意味での直す(主に西日本)
3.4日後という意味でのしあさって(北日本・中日本・九州etc)
なお自分も1と3はかつては方言とは分からずに共通語だと思って使っていました。
Posted by hts at 2020年05月23日 00:15
「しあさって」はほとんどの地域で通じるので,もはや方言とは呼べな「さそうです。
1と2は私は使わないですね。割と方言として有名な気はします。
1と2は私は使わないですね。割と方言として有名な気はします。
Posted by DG-Law at 2020年05月23日 22:57