2020年06月11日

最近読んだもの・買ったもの(『虚構推理』他)

・『虚構推理』1〜6巻。要するにアニメ化されたところまで。
→ 岩永琴子さんが可愛かった……以外の感想に乏しいのだが,もうちょっとなにか書こう。
→ 実は私はミステリとSFがちょっと苦手で,割と何を読んでも「そうはならんやろがい」と思ってしまって作品に入り込めなかったりする。SFでいうなら『Stein's Gate』くらい「タイムリープによるループをさせたいのであってSF的なギミックはそれっぽければいいんだよ」感があれば乗り切れるのだけど。あるいは『うみねこのなく頃に』のように,むちゃくちゃでルール無用であることを前提としつつ解いてみろと言われるのも,それはそれで納得できた。
→ ひるがえって『虚構推理』であるが(以下ネタバレ有),おそらくミステリに慣れた読者であれば「真相が先にわかってて,むしろ間違っているけど説得力だけはある仮説を後出しさせるのか,ちょっと珍しいな」のような感想になるのだろうが,私からすると「後出しで出てきた仮説,そうはならんやろがい」になってしまって,結局受け入れがたかった。確かに4つ目の仮説は七瀬かりんがサイトの管理者であるというオチが強く,論証の粗はともかく「その方が面白い」と思わせる強さはあり,ネットの掲示板とは”それ”で動いてしまうという性質があるから,”六花さんとのネットバトルとしては”あれで正解だと思う。しかし,読者視点での納得できる仮説だったかというのは別問題である。「そうはならんやろがい」が私の中に残ってしまった時点で,楽しめなかったという意味で私の負けなのだろう。それでもミステリ苦手が克服できなかったという,苦い敗戦であった。
→ そういうわけなので,7巻以降を読むかどうかはちょっと悩んでいる。ミステリとは関係なく,つまり個々の事件とは無関係に,琴子と九郎の行く末が気になってしまっているのだ。6巻までも,この互いが互いを気遣うすれ違いカップルの話としては,かなり面白かった。あとは冒頭に書いた通りで単純に岩永琴子のキャラ造形は抜群に良い。どうしたものかね。





・『東方Project人妖名鑑 宵闇編』
→ 雑誌『東方外來韋編』収録の「東方Project人妖名鑑」の再録。収録キャラはレイマリ,紅魔郷・永夜抄・萃夢想・花映塚・緋想天・地霊殿・星蓮船・ダブスポ・神霊廟・深秘録・紺珠伝・憑依華。要するに単純な作品時系列順ではない。逆に言えば妖々夢・風神録・輝針城・天空璋・鬼形獣・秘封・三月精等の書籍系。雑誌の方で鬼形獣まで追えたらもう1冊出してとりあえず完結,というところだろうか。変にちぐはぐにせずに時系列順に追って,地霊殿くらいまでのキャラで前編にしてほしかったと思うが,前半に人気キャラが多いので後編が売れなくなることを危惧したと思われる。
→ 絵師のコメントが追加されている……以外の追加要素がない。画集としては優秀だが,それにしては2,000円は厚さの割に高い。雑誌を全部保存しているなら買わなくていいだろう。作品順を時系列にしないくらい売上を気にするなら,もうちょっと雑誌からの追加要素を増やしてほしかったところ。




・『アルテ』13巻。アルテが投獄されて,アスセナにより脱獄させられるまで。
→ アルテがいつかはフィレンツェを離れることになるという進路はありえたが,こんなに唐突にそうなるとは思っていなかったので,非常に意外であった。レオはまだしも,ダフネやアンジェロは全く知らない間にこうなったわけで(ヴェロニカさんは察してそう),14巻でその様子が描かれるかと思うと今からしんどい。作中時間で何年後かにフィレンツェに戻ってくることになる展開を予想しておこう。シルヴィオ・パッセリーニ枢機卿が亡くなるのが作中時間から7年後(1529年),あるいはフィレンツェから追放される5年後(1527年)あたりが目安になるだろうか。
→ なお,シルヴィオ・パッセリーニはこの追放される直前に16歳のヴァザーリをフィレンツェに招いてアンドレア・デル・サルトの工房に入れるという美術史上重要な役割を果たしている(この師弟関係は初めて知った)。『アルテ』は実在の有名画家は,登場人物の台詞にしか登場させていない(単なる歴史上の人物は多く登場しているのに)というこだわりがあるので,後に唯一ちゃんと登場する実在画家としてヴァザーリだけ登場するという展開も面白いかもしれない。『アルテ』世界の『芸術家列伝』に唯一記載がある女性画家,とかで。

この記事へのコメント
『虚構推理』の7巻以降に関してですが、ネタバレに配慮しつつ回答しますと、ご心配には及ばないと思います。
同じく6巻までのミステリ部分をうまく楽しめなかった人間からの意見です。
ご心配であれば7巻を物は試しと読んでから、あらためて判断を下しても悪くはないかと思います。
Posted by 通りすがり at 2020年06月11日 22:03
虚構推理については「小説⇒漫画」から「漫画のために原作を書き足す」に移行した7巻以降のほうがむしろしっくり来ているというのが私見です。
より「キャラもの」感が強くなっていますので。7〜8巻のような軽い内容でも不快感が強ければそれ以上は付き合う必要はないと思いますがもう1、2冊は試してみてもよろしいのでは。

原作小説第1作の時点では「相変わらずだなこの作者w」で済んだものが漫画ではちょっと苦しさが目立ち、アニメでは完全に「いや無理だわこの流れ」になってしまったのは自分の頭が悪いせいもあるとは思いますが、あんまり小説以外には向かない話だったようにも思うのです。
Posted by alt at 2020年06月11日 23:03
お二方とも有益なアドバイスありがとうございます。
では,7・8巻もとりあえず読んでみようと思います。
Posted by DG-Law at 2020年06月12日 14:48