2021年01月08日
2020年秋アニメ感想
普段1クールに3・4本しかアニメを見ないのに,2020年秋クールだけ7本も見たので,感想を書き残しておく。大体はTwitterでつぶやいたので加筆修正。全面的にネタバレ。言うまでもなく個人の感想であって他人の感想を否定するものではない。上から面白かった順で,上4つは良作。5つ目は現状で普通。6・7つ目はちょっと褒めるのが難しい。
・『ご注文はうさぎですか? BLOOM』
TVシリーズとしては3期目で,原作の5・6巻と7巻冒頭のアニメ化。1・2期は割と普通の日常もので綺麗な背景とちょっと良い話と笑える話というくらいであったが,3期は良い話寄りだった上に,アニメ化による演出が完璧だったので,日常ものというよりも泣けるシリーズに仕上がっていた。原作の該当期間が10月〜翌年1月初旬であるので,作中の登場人物たちの多くが進路に悩む時期であったのは大きく,それに伴って(高校1年生組も含めて)自己を見つめ直したり,家族とのつながりを再確認したりというイベントが多かった部分であった。原作が進路や家族というデリケートな話題を入れてきたこと,それをちゃんと良い話に仕上げてきたのも驚きだったが,しかし原作は4コマ漫画であるがゆえにさらっと流れていく。このちょっとした「良い話」をここまでの感動回に引き上げたのはアニメの力だと思う。6話から11話まで毎回最終回の雰囲気を持つ泣かせ回だった。あの面々がこんなに成長して……と思わずタカヒロ(チノの父親)目線で涙腺が緩んだ人は自分含めて多かろう。12話は一転して明らかに劇場版または4期へのつなぎ回で,続きへの期待が大きい。次は中学3年生組の高校入試と卒業,卒業旅行という感じのイベントになるので,劇場版にしてしまってひとくくりにしたほうがまとまりが良いかも。
・『いわかける!』
根はストレートなスポ根で,スポーツクライミングの面白さが存分に伝わってきたから成功だと思う。登山と違って,自分でやろうとは全く思わなかったがw。一方で選手たちは別の意味でキャラが濃く,『咲-Saki-』とキャラの濃さが似てるとよく言われていて間違いじゃないと思うけど,個人的な感覚だと『咲-Saki-』よりもキャラが濃くて,ちょっと外連味強すぎたかな……もう少しおとなしくても良かったと思うけど,これは完全に個人的な感覚なので別に作品の瑕疵だとは思わない。なお,キャラだけではなくて演出が濃いのも『咲-Saki-』っぽいと言われていた理由だと思う。『咲-Saki-』も「なんで麻雀中にアーチェリーの矢が飛ぶんだよ」等と散々言われていたが,『いわかける!』のクライミング描写も割と大概だった(褒め言葉)。
・『魔王城でおやすみ』
思ってたよりもギャグが切れていて,毎回けっこう笑いながら見れたので良い印象が残っている。世界観の説明も上手く,魔王側は人間界と対峙しつつも勇者を自分たちのところまで誘導して直接対決する役割にあるというのを自覚していて,人間への抵抗と滅びゆく運命のせめぎあいが後半には見え隠れしていたのが意外と良いスパイスだった。しかも魔物たちは魔王が立つまで人間に迫害されていた節もあり,ギャグ漫画なのに背景が普通に重い。その魔王たちが施すメタ的なゲーム的バランス調整,すなわち勇者への誘導をことごとく妨害しているのが人質であるはずのスヤリス姫,という転倒っぷりもギャグとしてはかなり美味しい。そのスヤリス姫は非常にかわいかったのだけど,設定年齢が迷子になっていて,言動が幼かったり思春期だったりでちょっと混乱したのが個人的にはややマイナスポイント……とつぶやいたところ,「姫は天才かつ発達がデコボコだから……」という指摘を受け,何も言えなくなってしまった。さらに背景要素を重くしてどうするんだよ。
・『魔女の旅々』
世間的には賛否両論だが,私は実はこっちを3位にしようか迷った程度に評価している。というよりも,完走した人は概ね私に近い感想の人が多かろうと思う。そこで本作については少々長く語っておきたい。
本作は『キノの旅』っぽいとよく指摘されていたが,当方『キノ』未視聴につき比較は不可能である。3・4話くらいまでの評判が悪く,実際にちょっとまずい短編が多かったものの(原作読者の補足コメントを読むと端折りすぎらしい),尻上がりに面白くなっていった。序盤で切った人はもったいなかったかなと思う。短編に見えた作品群は実際には薄くつながっていて,それを全部11・12話で回収する流れなので,純粋な短編集というわけではない。「旅」という体験とはそのようなもので,旅人の主観とは一瞬の体験の連なりである。その体験がまた「私」を形成する。こうした価値観はOPの歌詞にもよく現れていた。
そうした旅の醍醐味としての話のつながりが見えてくるのが8話以降であるのだが,これは伏線の回収としてはタイミングが遅すぎ,また3・4話は序盤にしては話が暗すぎたので(実は話が暗いこと自体に意味があったことが12話で判明するのだが),いろんな意味で短編の並び順を間違えていたのが最大の失策だった。少なくとも3・4話と7・8話の順番を入れ替えるだけでも作品全体の印象が全然違ったのではないか。究極的に言えば『涼宮ハルヒの憂鬱』式に時系列がシャッフルされていても,3・4話であれをぶつけられるよりは視聴者が脱落せずに済んだのではないかという疑念さえわく。
本作の主人公以外の登場人物の掘り下げが薄いという批判があるが,実はそれ自体も設定上に意味があったりする。主人公のイレイナは情に脆すぎるところがあり,1話のラストで旅立つときにも母親から「自分を(何でも解決できる)特別な人間だと思うな」と戒められていた。旅人が中途半端に首を突っ込んでも良い結果を生まないからである。イレイナはその戒めを守って基本的に塩対応を心がけているので,事件が起きても深入りしなかったのが3・4話だったのだが,短編としては歯切れが悪くなってしまい,視聴者の評判が悪くなった。やはり旅行記は旅人に現地の事情に深入りさせないと面白くしにくいってことなのだろう。しかしながら,逆に戒めを破って深入りした結果,イレイナ自身が深く傷つくという話だったのが9話に出てくる。そこから振り返ると3・4話はあれで正解だったのだという見方が出てくるのは指摘しておきたい(だからこそ3・4話は9話に近い位置に置いておくべきだったと改めて思うけど)。そしてこの9話で深く傷ついたことも重要な要素として12話につながっていく。
「旅人の主観」に強く重点を置いた点や,それを踏まえた短編同士のつながりは見事で,タイトルの「旅々」も日本語として不自然としばしば指摘されていたが,これも12話で意外にもすんなり納得”させられ”,前述の3・4話が暗い理由も含めて意外なところに伏線が張られていてきちんと回収される。そのため,非常に美麗な絵と音楽も相まって,終わってみると悪い印象が残らなかった。返す返すも話の順番と,一部の短編のつまらなさが惜しい。
『安達としまむら』
散々指摘されているが,安達の挙動不審っぷりを楽しむアニメだった。挙動不審すぎてけっこう共感性羞恥を刺激されたので,そういう意味では割と苦手な作品だったかもしれない。中途半端なところで終わったこともあって現時点では評価が難しく,とはいえ2期があるなら確実に見る程度には嫌いではない。原作人気から言って2期はありそうなのでそこまで保留しておきたい。
『神様になった日』
『シグルリ』とどっちをワーストにするかは非常に悩ましかったところ。8話までは面白かったし,3話のラーメン回と4話の麻雀回はキレッキレのギャグ回で,往年のだーまえギャグが炸裂していた。だーまえはいっそのこと全12話ギャグだけでアニメを作ってみればいいと思う。ただし,このギャグも世間的に賛否両論で,往年のKeyのゲームで爆笑していた経験が無いとツボに入らないのかもしれない。この仮定が正しいなら,もうだーまえはアニメ作らん方がいいかもしれんな……。あと,絵と音楽とキャラは良かった。伊座並さんはKeyの無口キャラの系譜に並べていい。
問題はその後で,9話以降にシリアスによってから急激につまらなくなり,そのまま最終話まで転落していった。心身問題(心のありか問題)がやりたかったのならもっと哲学的に深めてから奇跡を起こさないと薄っぺらい。加えてリアリティラインがぐちゃぐちゃで,あの突然出てきたゼーレっぽい組織の存在自体とか,ゼーレっぽい組織があんな適当な襲撃部隊を出すわけないだろうという辺りで私は匙を投げてしまった(誤解なきように言っておくと生体マイクロチップ型量子コンピューターまでは物語を動かす主導的な要素なのだから別に良かった)。他にも細かい不満点が多くあるが,書くだけ体力と時間の浪費なのでやめておこう。尺が足りなくて最終話で詰め詰めになって崩壊しただけの『Charlotte』の方がましだった。一点だけ擁護しておくと,最後の展開は月宮あゆの逆向きと考えると趣はあった。本作は忘れてほしいのではなく忘れてしまった子を迎えに行く話だったのである。車椅子から歩いていくのは『AIR』のセルフオマージュとも言える。物語がちゃんとしてれば旧来の鍵っ子は号泣のシーンだったのだろう……
『戦翼のシグルドリーヴァ』
本作に対する不満要素は2つ。まずは小説版必読でアニメはその続きなら最初からそう言ってくれという。2つ目は自業自得なところもあるのであまり強く不満を訴えるつもりはないのだが,私は純粋な萌えミリアニメは割と苦手という自覚があって,しかしそろそろ克服目指して周囲も大勢見てるから今回くらいはチャレンジしてみるかという気分で見始めたが,本作がその苦手な類の萌えミリの極北のような作品であったこと。やっぱりこういう作品はnot for meなんだなという再確認ができたという意味で,比較的安い授業料で良い教訓を得られたとは思うから,そこまで文句は言わない。
後者についてもう少し掘り下げておくと,某人が言っていた「萌えミリにはどうしたって臭みが出てしまうが,それを感じさせないようにするのが制作陣の役目で,実際に『ガルパン』や『はいふり』『スト魔女』あたりではそれが機能していた。『シグルリ』は臭みが猛烈に漂ってきたので,受け付けない人は受け付けないだろう」という評価がまんまその通りで,私は『はいふり』『スト魔女』未履修ではるが『ガルパン』との比較でよくわかる。話の本筋はともかく,絵と演出とセリフが寒くてきつかった。実のところ『終末のイゼッタ』でさえも,その種の匂いをちょっと感じたので,普通のアニメオタクと比較しても私はその匂いに耐性が無いのかもしれない(当然ながら長年の接触で慣れただけで『艦これ』でも感じている)。ついでにその某人との(オンライン上での)会話で「水島努と鈴木貴昭がコラボすると上手く萌えミリ好き以外にも波及する作品になるのでは」という仮説が生まれたので,ここに書き残しておく。最後に少し擁護すると,メイン4人は間違いなく可愛かった。というよりもアズズがいなかったら多分途中で切っていた。
・『ご注文はうさぎですか? BLOOM』
TVシリーズとしては3期目で,原作の5・6巻と7巻冒頭のアニメ化。1・2期は割と普通の日常もので綺麗な背景とちょっと良い話と笑える話というくらいであったが,3期は良い話寄りだった上に,アニメ化による演出が完璧だったので,日常ものというよりも泣けるシリーズに仕上がっていた。原作の該当期間が10月〜翌年1月初旬であるので,作中の登場人物たちの多くが進路に悩む時期であったのは大きく,それに伴って(高校1年生組も含めて)自己を見つめ直したり,家族とのつながりを再確認したりというイベントが多かった部分であった。原作が進路や家族というデリケートな話題を入れてきたこと,それをちゃんと良い話に仕上げてきたのも驚きだったが,しかし原作は4コマ漫画であるがゆえにさらっと流れていく。このちょっとした「良い話」をここまでの感動回に引き上げたのはアニメの力だと思う。6話から11話まで毎回最終回の雰囲気を持つ泣かせ回だった。あの面々がこんなに成長して……と思わずタカヒロ(チノの父親)目線で涙腺が緩んだ人は自分含めて多かろう。12話は一転して明らかに劇場版または4期へのつなぎ回で,続きへの期待が大きい。次は中学3年生組の高校入試と卒業,卒業旅行という感じのイベントになるので,劇場版にしてしまってひとくくりにしたほうがまとまりが良いかも。
・『いわかける!』
根はストレートなスポ根で,スポーツクライミングの面白さが存分に伝わってきたから成功だと思う。登山と違って,自分でやろうとは全く思わなかったがw。一方で選手たちは別の意味でキャラが濃く,『咲-Saki-』とキャラの濃さが似てるとよく言われていて間違いじゃないと思うけど,個人的な感覚だと『咲-Saki-』よりもキャラが濃くて,ちょっと外連味強すぎたかな……もう少しおとなしくても良かったと思うけど,これは完全に個人的な感覚なので別に作品の瑕疵だとは思わない。なお,キャラだけではなくて演出が濃いのも『咲-Saki-』っぽいと言われていた理由だと思う。『咲-Saki-』も「なんで麻雀中にアーチェリーの矢が飛ぶんだよ」等と散々言われていたが,『いわかける!』のクライミング描写も割と大概だった(褒め言葉)。
・『魔王城でおやすみ』
思ってたよりもギャグが切れていて,毎回けっこう笑いながら見れたので良い印象が残っている。世界観の説明も上手く,魔王側は人間界と対峙しつつも勇者を自分たちのところまで誘導して直接対決する役割にあるというのを自覚していて,人間への抵抗と滅びゆく運命のせめぎあいが後半には見え隠れしていたのが意外と良いスパイスだった。しかも魔物たちは魔王が立つまで人間に迫害されていた節もあり,ギャグ漫画なのに背景が普通に重い。その魔王たちが施すメタ的なゲーム的バランス調整,すなわち勇者への誘導をことごとく妨害しているのが人質であるはずのスヤリス姫,という転倒っぷりもギャグとしてはかなり美味しい。そのスヤリス姫は非常にかわいかったのだけど,設定年齢が迷子になっていて,言動が幼かったり思春期だったりでちょっと混乱したのが個人的にはややマイナスポイント……とつぶやいたところ,「姫は天才かつ発達がデコボコだから……」という指摘を受け,何も言えなくなってしまった。さらに背景要素を重くしてどうするんだよ。
・『魔女の旅々』
世間的には賛否両論だが,私は実はこっちを3位にしようか迷った程度に評価している。というよりも,完走した人は概ね私に近い感想の人が多かろうと思う。そこで本作については少々長く語っておきたい。
本作は『キノの旅』っぽいとよく指摘されていたが,当方『キノ』未視聴につき比較は不可能である。3・4話くらいまでの評判が悪く,実際にちょっとまずい短編が多かったものの(原作読者の補足コメントを読むと端折りすぎらしい),尻上がりに面白くなっていった。序盤で切った人はもったいなかったかなと思う。短編に見えた作品群は実際には薄くつながっていて,それを全部11・12話で回収する流れなので,純粋な短編集というわけではない。「旅」という体験とはそのようなもので,旅人の主観とは一瞬の体験の連なりである。その体験がまた「私」を形成する。こうした価値観はOPの歌詞にもよく現れていた。
そうした旅の醍醐味としての話のつながりが見えてくるのが8話以降であるのだが,これは伏線の回収としてはタイミングが遅すぎ,また3・4話は序盤にしては話が暗すぎたので(実は話が暗いこと自体に意味があったことが12話で判明するのだが),いろんな意味で短編の並び順を間違えていたのが最大の失策だった。少なくとも3・4話と7・8話の順番を入れ替えるだけでも作品全体の印象が全然違ったのではないか。究極的に言えば『涼宮ハルヒの憂鬱』式に時系列がシャッフルされていても,3・4話であれをぶつけられるよりは視聴者が脱落せずに済んだのではないかという疑念さえわく。
本作の主人公以外の登場人物の掘り下げが薄いという批判があるが,実はそれ自体も設定上に意味があったりする。主人公のイレイナは情に脆すぎるところがあり,1話のラストで旅立つときにも母親から「自分を(何でも解決できる)特別な人間だと思うな」と戒められていた。旅人が中途半端に首を突っ込んでも良い結果を生まないからである。イレイナはその戒めを守って基本的に塩対応を心がけているので,事件が起きても深入りしなかったのが3・4話だったのだが,短編としては歯切れが悪くなってしまい,視聴者の評判が悪くなった。やはり旅行記は旅人に現地の事情に深入りさせないと面白くしにくいってことなのだろう。しかしながら,逆に戒めを破って深入りした結果,イレイナ自身が深く傷つくという話だったのが9話に出てくる。そこから振り返ると3・4話はあれで正解だったのだという見方が出てくるのは指摘しておきたい(だからこそ3・4話は9話に近い位置に置いておくべきだったと改めて思うけど)。そしてこの9話で深く傷ついたことも重要な要素として12話につながっていく。
「旅人の主観」に強く重点を置いた点や,それを踏まえた短編同士のつながりは見事で,タイトルの「旅々」も日本語として不自然としばしば指摘されていたが,これも12話で意外にもすんなり納得”させられ”,前述の3・4話が暗い理由も含めて意外なところに伏線が張られていてきちんと回収される。そのため,非常に美麗な絵と音楽も相まって,終わってみると悪い印象が残らなかった。返す返すも話の順番と,一部の短編のつまらなさが惜しい。
『安達としまむら』
散々指摘されているが,安達の挙動不審っぷりを楽しむアニメだった。挙動不審すぎてけっこう共感性羞恥を刺激されたので,そういう意味では割と苦手な作品だったかもしれない。中途半端なところで終わったこともあって現時点では評価が難しく,とはいえ2期があるなら確実に見る程度には嫌いではない。原作人気から言って2期はありそうなのでそこまで保留しておきたい。
『神様になった日』
『シグルリ』とどっちをワーストにするかは非常に悩ましかったところ。8話までは面白かったし,3話のラーメン回と4話の麻雀回はキレッキレのギャグ回で,往年のだーまえギャグが炸裂していた。だーまえはいっそのこと全12話ギャグだけでアニメを作ってみればいいと思う。ただし,このギャグも世間的に賛否両論で,往年のKeyのゲームで爆笑していた経験が無いとツボに入らないのかもしれない。この仮定が正しいなら,もうだーまえはアニメ作らん方がいいかもしれんな……。あと,絵と音楽とキャラは良かった。伊座並さんはKeyの無口キャラの系譜に並べていい。
問題はその後で,9話以降にシリアスによってから急激につまらなくなり,そのまま最終話まで転落していった。心身問題(心のありか問題)がやりたかったのならもっと哲学的に深めてから奇跡を起こさないと薄っぺらい。加えてリアリティラインがぐちゃぐちゃで,あの突然出てきたゼーレっぽい組織の存在自体とか,ゼーレっぽい組織があんな適当な襲撃部隊を出すわけないだろうという辺りで私は匙を投げてしまった(誤解なきように言っておくと生体マイクロチップ型量子コンピューターまでは物語を動かす主導的な要素なのだから別に良かった)。他にも細かい不満点が多くあるが,書くだけ体力と時間の浪費なのでやめておこう。尺が足りなくて最終話で詰め詰めになって崩壊しただけの『Charlotte』の方がましだった。一点だけ擁護しておくと,最後の展開は月宮あゆの逆向きと考えると趣はあった。本作は忘れてほしいのではなく忘れてしまった子を迎えに行く話だったのである。車椅子から歩いていくのは『AIR』のセルフオマージュとも言える。物語がちゃんとしてれば旧来の鍵っ子は号泣のシーンだったのだろう……
『戦翼のシグルドリーヴァ』
本作に対する不満要素は2つ。まずは小説版必読でアニメはその続きなら最初からそう言ってくれという。2つ目は自業自得なところもあるのであまり強く不満を訴えるつもりはないのだが,私は純粋な萌えミリアニメは割と苦手という自覚があって,しかしそろそろ克服目指して周囲も大勢見てるから今回くらいはチャレンジしてみるかという気分で見始めたが,本作がその苦手な類の萌えミリの極北のような作品であったこと。やっぱりこういう作品はnot for meなんだなという再確認ができたという意味で,比較的安い授業料で良い教訓を得られたとは思うから,そこまで文句は言わない。
後者についてもう少し掘り下げておくと,某人が言っていた「萌えミリにはどうしたって臭みが出てしまうが,それを感じさせないようにするのが制作陣の役目で,実際に『ガルパン』や『はいふり』『スト魔女』あたりではそれが機能していた。『シグルリ』は臭みが猛烈に漂ってきたので,受け付けない人は受け付けないだろう」という評価がまんまその通りで,私は『はいふり』『スト魔女』未履修ではるが『ガルパン』との比較でよくわかる。話の本筋はともかく,絵と演出とセリフが寒くてきつかった。実のところ『終末のイゼッタ』でさえも,その種の匂いをちょっと感じたので,普通のアニメオタクと比較しても私はその匂いに耐性が無いのかもしれない(当然ながら長年の接触で慣れただけで『艦これ』でも感じている)。ついでにその某人との(オンライン上での)会話で「水島努と鈴木貴昭がコラボすると上手く萌えミリ好き以外にも波及する作品になるのでは」という仮説が生まれたので,ここに書き残しておく。最後に少し擁護すると,メイン4人は間違いなく可愛かった。というよりもアズズがいなかったら多分途中で切っていた。
Posted by dg_law at 21:00│Comments(4)
この記事へのコメント
実は自分もこのクールは結構アニメを見ていまして、ごちうさ、いわかけ、魔女旅、あだしまは完走しています。ちなみに魔王城と神様になった日は未視聴でシグルリは途中切りだったり。他にはニジガクとおちフルとアサリも見ました。なお順位に関してはここでは言わないでおきます。
まあ見て失敗したという作品は見た中ではなかったので…。
まあ見て失敗したという作品は見た中ではなかったので…。
Posted by hts at 2021年01月09日 23:21
自分はだーまえ過去作のギャグで大笑いしてた口ですが、
今回ばかりは無理でした。
誰かが言っていた「コント」という表現が的を射ていて、
ギャグにキャラの掘り下げが全く伴っていなかったので
話が進まない困惑が先に立ってしまって……。
今回ばかりは無理でした。
誰かが言っていた「コント」という表現が的を射ていて、
ギャグにキャラの掘り下げが全く伴っていなかったので
話が進まない困惑が先に立ってしまって……。
Posted by nanashi at 2021年01月10日 19:02
htsさん
>他にはニジガクとおちフルとアサリも見ました
私が「なんでお前が見てないんだ」と言われているラインナップですねw。
この期は百合アニメが特に豊作でしたね。
>他にはニジガクとおちフルとアサリも見ました
私が「なんでお前が見てないんだ」と言われているラインナップですねw。
この期は百合アニメが特に豊作でしたね。
Posted by DG-Law at 2021年01月10日 19:21
nanashiさん
確かに,キャラの掘り下げや話を前に進める方向性は伴ってなかったですね。
後半の展開に期待をしていた視聴者層からは「あのギャグはどうでもよかったから,ちゃんと話を進めてくれ」と頻繁に言われていたので,その困惑はわかります。
確かに,キャラの掘り下げや話を前に進める方向性は伴ってなかったですね。
後半の展開に期待をしていた視聴者層からは「あのギャグはどうでもよかったから,ちゃんと話を進めてくれ」と頻繁に言われていたので,その困惑はわかります。
Posted by DG-Law at 2021年01月10日 19:24