2021年04月04日

オールタイム・ベストエロゲソング30(+10)

特に何かあったわけでもなく唐突に始める。実はリスト上は「オールタイム・ベスト100」まで作ったが,記事にする上で100全てにコメントをつけると長くなりすぎるのと,どこまでがエロゲか問題がつきまとう曲も中には含まれていたため,ルールを定めて100曲から改めて40曲を選び直した。ルールは以下の通り。

・18禁の商業作品で,かつ自分がプレイ済のゲームの中から30曲。
・18禁の商業ゲームながら,自分が未プレイであるゲームの中からは10曲。
・なるべく同じゲームから2曲を選ぶのは避け(例外有),同じブランドからの選曲は可能な限り少なくする。

最後の縛りの関係上,惜しくも40曲から漏れた曲がかなりある。たとえばKEYだとLight colors(智代アフター)やLittle Busters!,ねこねこソフトだとEscarlata(Scarlett)や六花のうた(ゆきいろ),何よりAugustはEternal Destiny(夜明け前より瑠璃色な),Pure Massage(Fortune Aterial),Asphodelus(穢翼のユースティア)等を大規模に断腸の思いで落選にした。ゲームブランドではないが,I'veも夏草の線路(Railway),Take on your will(同心),Sledgehammer Romance(Princess Brave),空を舞う翼(Blue-Sky-Blue)等はI'veだらけになるのを避けるため&未プレイゲーム曲が多いために泣く泣く落選にした。デンカレもDistorted Pain(ゴア・スクリーミング・ショウ),expiate sin(MDB Complete Edition),天使の褥(ク・リトル・リトル)は同様に削っている。そういうわけで,あなたが「あれが無いぞ,どうなっているんだ」と思った曲は大体落選した60曲の中に入っているか,私が聞いたことがないかのいずれかと思ってくれてかまわない。


先に書いておくと,選曲はどうしても発売年が古いものが多くなってしまうので,中央値は2006年となった。一応ねらったわけではないが2007年〜2019年まで1年に1曲以上は選出できているので,極端に古い方に偏っているというわけではないと思う(さすがに2020年・21年は勘弁してほしい)。記事化の際に本編30曲は一応順位をつけてカウントダウン形式にしたが,5位と6位の間以外はほぼ意味がなく,形式的なものである。私のエロゲ遍歴に詳しい人は何が来るのか予想しながら読むとよいだろう。いくつかは絶対に予想がつかないと思うが……
【未プレイ曲10曲をさらっと】
・キスのひとつで(小さな彼女の小夜曲):堀江晶太は天才。fengのゲームに興味が持てなくてほとんどやってなかったのだが,会社自体が無くなってしまった。
・Raison d'etre(GUN-KATANA):デンカレで一番好きな曲はこれ。『GUN-KATANA』がFPSでなければプレイしていたのだが。
・Lunatic Tears...(11eyes):ごりごりの中二病が光る曲。Lassは『3days』だけやっていて,『11eyes』はタイミングを逃してやっていない。これも会社が無くなってしまった。
・幻想楼閣(ハピメア):2014年のベストエロゲソング投票1位も納得の曲。
・櫻ノ詩(サクラノ詩):プレイ中なので,遠くない未来にプレイ済に変わると思う。そうでなくとも十分に良い曲だけども。
・Like a green(グリーングリーン2):グリグリシリーズを一切やらずにここまで来てしまったのは不覚である。
・遮光(Coda -棘- ):KOTOKOのエロゲソングで(電波ソングを除いて)一番好きなのはどれかと言われたら,「涙の誓い」かこれになると思う。他の曲と声が違いすぎて驚く。
・permit(真説 猟奇の檻):「砂漠の雪」や「Red fraction」がエロゲ曲ではないから選外なので,MELL曲から1つ選ぶならこれ。どちらかというと英語版の方が好きかな。同作品ではAutomatonも好き。
・Ever stay snow(Snow Drop):いにしえのエロゲオタクは雪が降ったらTwitterに「降りしきるみぞれ混じりの〜」と書いて投稿しなければならない呪いにかかっている。
・恋せよ乙女!(サノバウィッチ):ゆずソフトの作品も1本もやってないのだよなぁ。これか『DRACU-RIOT!』のどちらかくらいはやってもいいかなと思っている。


【本編】
30位 Jewelry tears(俺たちに翼はない,2009年)



イントロが好きすぎる。曲がめちゃくちゃ軽くて,このゲームのノリ,背景はぐちゃぐちゃに重いけど都市の喧騒がそれをかき消していく感じがよく出ていてあっていると思う。


29位 princess bride!(princess bride,2003年)



1曲だけI’veの電波ソングを選べと言われたら,まあこれだろう。プレイ済みゲームだと意外と選択肢が少なかったというのもあるけども。あとこれは反則気味の理由だが,古参ニコマスのファンとしてはしーなPのインパクトは大きいわけで……


28位 Brindiamo!(続・殺戮のジャンゴ,2007年)



本ランキングで唯一の男性ヴォーカル曲。他に入れようとしても結局ワタナベカズヒロの曲(「さめない熱」とか)になってしまう。『続・殺戮のジャンゴ』は傑作なので,虚淵玄が好きなら必修。


27位 fictional moon(彼女たちの流儀,2006年)

fripsideの隠れた名曲枠。「Red-reduction division-」ももちろん名曲なのだけれども,あちらは有名なのと,個人的にはこちらの方が好きなのでどうせならということで選出した。厳密には作中で流れず,サントラ「彼女たちの響」にのみ収録されているので,そもそもほとんどの人が聞いたことすらないと思う。なお,『彼女たちの流儀』を当時にプレイしていた人々は知っていると思うが,この頃のfripsideのボーカルは南條愛乃ではなくnao。


26位 Ageless Love(Really? Really!,2006年)

橋本みゆきの隠れた名曲枠。ゲーム自体もあごバリアのギャグがキレッキレで『SHUFFLE!』シリーズの最高傑作だと思うのだけど,『SHUFFLE!』本体に比べると圧倒的に知名度がないのでちょっと悔しい。


25位 砂の城(朱,2003年)

本当に砂漠を旅しているかのような気分になる名曲。一時期に「OUT FLOW」を狂ったように聞いていたので耳にこびりついている。ゲームの方も,ねこねこソフト作品の中だと冒険作すぎて評価が低いのだが,個人的にはむしろ好きな部類のゲームに入る。あの中央ユーラシアのオアシスの道を旅し続けているかのような感覚になれるゲームは稀有。


24位 ラムネ2017(ラムネ2,2017年)

これについては別記事で書いているのでそちらで。純粋に曲だけなら『ラムネ』よりも好きかも。作品の好み・思い入れ込みだと逆転するかな。


23位 Happy birthday to...(終わる世界とバースデイ,2012年)

これも別記事で語っているのでそちらで。とにかくEDの破壊力に全てを割り振ったゲームのED曲。



22位 星霜の轍(消えた世界と月と少女,2018年)

これも別記事で。ゲームも面白かったので未プレイで,レビューを読んで興味が湧いた方はぜひ。



21位 櫻舞う(MinDeaD BlooD DVD Edition,2006年)

1ゲーム2曲選出の例外1つめ。ゲーム自体とデンカレについては後述。この曲については,陰惨極まりない描写が続いているところから突然熱い展開が押し寄せる終盤,そのEDでこの曲が流れる。しっかりとクサメタルなのに,確かに強風で桜の花びらが舞い散っているような不思議な晴れやかさがあり,強烈な印象を残した。地獄の難易度を突破したプレイヤーと,地獄の体験を切り抜けた榊悠香をねぎらっているかのようである。


20位 ラムネ(ラムネ,2004年)

あの底抜けに明るいOPとゲーム本編の大半からの,七海ルートの急展開,最後に来るのがこの曲。健ちゃんと七海のささやかな幸福を祈るにふさわしい,儚さと力強さの同居する曲と言えよう。


19位 Last regrets(Kanon,1999年)



ご多分に漏れず人生で初めて聞いたエロゲソングが多分これだと思う。「雪,積もってるよ」から始まってこの曲が流れる最初の10分ほど,なぜにあれほど人を惹きつけたのか。


18位 春 -feel coming spring-(はるのあしおと,2004年)



新海誠の映像との結びつきがあまりにも強烈な曲。何度見ても傘が開くシーンがヤバい。精神がくすぶっている時にプレイすると尚更心がえぐられる。個人的な本作の白眉は楓ゆづきの受賞シーンなのだけれど,同意してくれる人はそこそこ多かろうと思う。


17位 キラ☆キラ(キラ☆キラ,2007年)



『キラ☆キラ』の曲は割とどれも好きだが,一つ挙げるならやっぱりオープニング。さあ今からロックをやるぞという意欲にあふれた歌。でも今聞くと『MUSICUS!』積みっぱなしで申し訳ない……という気分がしてきた。2021年中には崩します。


16位 悠遠抄(千の刃濤、桃花染の皇姫 -花あかり-,2019年)

Active Planets(Augustの専属音楽制作集団)の真価は実はED曲にあると思っていて,記憶に残るOP曲は多いがED曲は難しい。しかし,Augustのゲームは高い確率でED曲も良い。それは最新作(『あいミス』除く)でも同じで,ファンディスクのED曲でこんな名曲が来るとは思ってなかった。


15位 Rumbling Hearts(君が望む永遠,2001年)



後追いプレイ組なので体験版をプレイして衝撃を受けたというわけではないものの,それでもこのオープニングは鮮烈だった。エロゲ界の伝説である。そして,この曲を聞いた時から人生自体が「もーうー戻れないー」と言わんばかりにエロゲ沼にずぶずぶと浸かっていったのであった。あとやっぱり任意ラヂヲを思い出す。


14位 Winter bells♪(しろくまベルスターズ,2009年)



この作品のせいですっかりクリスマスは「ハッピーホリデーズ!」と挨拶する風習がついてしまった。別に無宗教に配慮とかそういうのではなく。なんというか,プレイ本数が減っても,クリスマスにとりあえずこれを言っておけばまだエロゲーマーでいられる安心感が。作中の曲なら「主よ,人の望みよ喜びよ」の使い方が秀逸。


13位 Love Cheat!(いただきじゃんがりあんR,2005年)



『いただきじゃんがりあんR』はネタゲーではなく傑作です(本ブログ何年ぶりかの何度目かの主張)。すっかり宇宙麻雀よりもムービーの方が有名になってしまって,時の流れを感じる。


12位 DESIRE(月に寄りそう乙女の作法,2012年)



ゲームのレビューはこちら。ここから『つり乙』シリーズがこんなに長く続くとは思ってなかった。シリーズが概ね終わった今に曲を聞くと,シリーズ全体の思い出が蘇るようだ。ありがとうございます,お優しいルナ様。


11位 空気力学少女と少年の詩(素晴らしき日々,2010年)



ゲームのレビューはこちら。まさか『終ノ空』がこうなって復活するとは思ってなかった。そして何度やっても第3章が精神的にきつい。それにしても,ケロQ/枕のゲームのオープニングは安定して名曲だからすごい。


10位 嗚呼 絢爛の泡沫が如く(千の刃濤、桃花染の皇姫,2016年)



ゲーム自体のレビューはこちら。Active Planetsの曲は当たり率が極めて高くて大体全部好きだが,並み居るOP曲から1曲選ぶならこれを選ぶ。エンタメ路線とシリアス路線が……上手く混ざっていたとは言い難いが,ともかくエンタメ超大作然とした本作をさらに凝縮したような,恐ろしく仕上がった曲とムービーは圧巻の出来である。Augustさんは『あいミス』ばかりに注力してないで,たまにはこれに続くようなパッケージゲームも出してほしい。


9位 鳥の詩(AIR,2000年)



1ゲーム2曲選出の例外2つめ。意外と低いのはランキングに2曲入れてしまった負い目によるもので特に意味はない。あと,単純に残った8曲がとんでもなく強い。


8位 See you 〜小さな永遠〜(とらいあんぐるハート3,2000年)

この曲はもちろん『とらハ3』を象徴する曲でもあるが,それ以上位I’veを象徴する曲としての意味合いが強いかも。


7位 マブラヴ(マブラヴ,2003年・2006年)



けっこう意外かもしれない選曲。『未来への咆哮』ではなくこちらを選出したのは,便宜上ここでOPの方を貼ったが,『マブラヴオルタネイティヴ』のEDとスタッフロールの最後に流れた「マブラヴオルタネイティヴを待ち続けてくれた方々へ」の言葉を読んで,ああ,やっと俺たちの戦いは終わったのだなという強い感慨を抱いたためである。初めてこのOPを見た時には「あなたの勇気が切り開く未来」がそんな思い意味を持っているなんて思ってなかった。


6位 Vampire(MinDeaD BlooD,2004年)



ゲーム自体ももちろん好きなのだけど,それ以上に私の女性ボーカルのクサメタル好きの歴史が幕を開けたという点で,自分史において極めて画期的な曲。ゆい様でもFukiさんでもそうだけど,重低音と激しいギターを背景にハイトーンの女性ボーカルが映えるのは最高に良い。




ここからの5曲は,古参エロゲーマーには大体予想がつくラインナップであるが,だからこそ心の古傷を開く可能性があるのでご注意を。


























5位 さよならのかわりに(この青空に約束を,2006年)

大咲美和版も,ちゃんと合唱できてる版も,実際のED版もいずれも素晴らしい。実際のED版はプレイした人ならわかると思うけど,あまりにも演出があざとい。しかし,そのあざとさが許されるくらい,呆然として泣いてしまって,気づいたらスタッフロールが終わっていた。そして茜の明るさに救われるのである。



4位 Sweet Outbreak(ネコっかわいがり!,2006年)

世界の圧倒的な理不尽さとそうするしかなかった主人公たちの葛藤とに思いを馳せ,それでも残された人たちは託された思いを持って生きるしかないのだ,やるせない。状況と裏腹に明るい曲調と歌詞が憎い。from cradle to flatlineとかいう歌詞がきつい。そうなんだよな……graveとはいかない,ただの死じゃないもんな……


3位 親愛なる世界へ(穢翼のユースティア,2011年)

ゲームのレビューはこちら。続けざまに同じようなストーリーのエンディングなので感想が同じになるものの,『ネコっかわいがり!』の方はまだ生きる希望が湧くが,こちらは一線を越えてしまっていて「もうこのまま世界は滅んだ方がいいんじゃないかな」と思ってしまうくらい理不尽さがつらい。


2位 青空(AIR,2000年)

僕らの心はまだあの夏にとらわれている。おそらく,一生。


1位 届かない恋(WHITE ALBUM2,2010年・2011年)



ゲームのレビューはこちら。また,海外まで聖地巡礼に行ったくらい思い出深いゲームでもあり。世界の存亡がかかっていた3位・4位,居場所やアイデンティティの問題だった5位,家族愛の2位と比較すると,ド直球に恋愛の痛みを想起させられるこの曲の破壊力。もちろん,本作には「After All」も「closing」も「時の魔法」もあるが,本作全体を思い起こさせるのはやはりオープニングのこの曲だった。
この記事へのコメント
沙耶の唄がお好きなのでガラスのくつあたりは入ってくるかと思っていました!
Posted by 通りすがり at 2021年04月08日 22:54
良い読みしてますね。絞り込んでいく過程の最後の方まで生き残ってました。
ついでに書いておくと,あと惜しかったのは記事中にあるものを除くと,「悠久の翼」(ef),「ZERO」(はぴねす!),「秋色」(秋色恋華),「Re:call」(できない私が,くりかえす)あたりですね。
Posted by DG-Law at 2021年04月09日 23:21
こういうランキングを作れるほどプレイしてないにもかかわらず曲だけはなぜかそこそこ聞いてるみないな人間ですが、ベスト30となるとなるほど分かりますとなるような選曲と感じました。
宇宙麻雀はさておきLove Cheat!は本当に名曲。
同一ゲームから複数曲選択するかどうかの難しさは本当によく分かります。『硝子のLoneliness』と『Perfect Tears』や『escape』と『シナリオ』を比較するのは自分には無理ゲー。
自分の既プレイ未プレイ含めてこのランキングにないなと思った曲は上記のほか『Leaf ticket』や『get the regret over』、『みずいろ』、それ散るの『days』、男性ボーカルだと『永遠の存在者』でしたね。
自分もデンカレは似たような入口『Distorted Pain』から入ったはずでしたが、いつの間にか『ワタシゴコロ』や『White Wedding』や『うちゅうがとらぶる!』あたりが好きな人間になってしまい……。
長文失礼いたしました。
Posted by ななし at 2021年04月11日 02:12
>『硝子のLoneliness』と『Perfect Tears』や『escape』と『シナリオ』を比較するのは自分には無理ゲー。
非常によくわかるたとえですw。
両方選出すると他のゲームの枠を圧迫するので避けたいが,片方選べと言われてもそれはそれで難しいんですよね。

>『Leaf ticket』や『get the regret over』、『みずいろ』、それ散るの『days』、男性ボーカルだと『永遠の存在者』
これも良い読みをしてますね。真ん中の3つはベスト100の中には入っています。「みずいろ」と「days」は特定のブランドからの選曲が多くなりすぎるという理由で削ったやつです。

>『ワタシゴコロ』や『White Wedding』や『うちゅうがとらぶる!』
その系統のデンカレを聞いてみると「本当に同一のバンドなのか」と思っちゃいますよねw。
アリプロでも同じ現象は起きますが,たまに白い系統の曲もやりたくなるんですかね。
Posted by DG-Law at 2021年04月12日 00:54