2021年07月25日
最近読んだもの・買ったもの(『桐谷さん』・『東京城址女子高生』・『フリーレン』)
超絶多忙な時期が過ぎたのでそろそろ漫画の書評も再開させたいが,8ヶ月くらいやっていなかった結果として洒落にならないくらい積まれてしまった。漫画の書評の目的は自分用の(特に歴史漫画の)備忘録が半分,お勧めが半分として書いていたのだが,実のところ前者の意味合いが強いものは書くのに時間がかかり,後者はさくさく書けるので,書評積み消化の意味合いでひとまずお勧めしたいものだけここに書いていくことにしたい。
・『桐谷さんちょっそれ食うんすか!?』1〜11巻。
→ 主人公の美少女高校生の桐谷さんが,周囲の大人や生徒を巻き込みながらゲテモノ食いの道を邁進する漫画。基本的に1話完結。ゲテモノの範囲は皆様ご想像の通りで,最初はカエル・ヘビ・深海魚・コオロギあたりの定番メニュー(?)から始まって,バロット・ざざむし・キビヤック等,次第に範囲が広がっていく。私の印象に残ったのは豚の睾丸(1巻),鯨の膵臓(2巻),豚のキンツル(2巻),豚の脳みそ(3巻),ウーパールーパー(6巻),珪藻土(7巻),猿(10巻)等。猿が一番やべぇなと思った。人それぞれのアウトの境界線が如実に出てくる漫画と言えそう。単に見た目がやばいものというだけでなく,たまにセイタカアワダチソウ(9巻)やウッドアップル(10巻)のような違う変化球が来るのも良い。
→ CGDCTといえば往々にして作者の実体験記になりがちなところがあるが,本作に限って言えばむしろ作者はこれ全部ちゃんと食べてるんだよなと思うと敬意を表するしかない。なお,単行本にはきっちりと実写版の写真が掲載されている。
→ 私もウサギや蜂の子などのレベルでなら食べたことがあるが,本作で登場するものはほとんど食べたことがない。先行して食べていて勝ったと思ったのはワラスボくらい,唯一まだ作中で登場していなくて先行して食べたことがあるものというと雷鳥くらいかな……それもすぐに出てきそうだけど。
→ アニメ化待ってます。ビジュアル的に史上最もアニメ化が難しそうなCGDCTだけど,大丈夫大丈夫なんとかなるって。
・『東京城址女子高生』1〜4巻(完結)。
→ これは完結前に紹介すべきだった。女子高生たちが(主に)東京都内の廃城・城址を巡って散歩する漫画。あまりにもネタがマニアックすぎるので連載が続くのか心配だったが,4巻まで寿命が持ったのはすごいと思う。そのマニアックさゆえに,城址散策の面白さが万人受けするものではないという自覚があって,作中で「理解されないのもまあ良し」という態度が貫かれていたのもCGDCTとしては比較的珍しい。そもそも主人公の女子高生カップルの片割れからして,最後まで歴史そのものにはほとんど興味を持たない。まあ,もう片割れは太田道灌に恋する典型的な子ではあるのだが……
→ そもそも都内にそんなに城址があったっけ? 江戸城と八王子城とお台場と……残りは? という人はなかなか鋭い。1巻に「今までただの公園とか何もない広場とか見てきたから,石垣残ってるだけですごいと思うようになっちゃったわ……」というセリフがあるように,探訪される城址はだいたいが何も残っていない。虚無である。その虚無に感じ入ってみたり,知識で穴埋めしてみたりというのもまた城址散策の楽しみであろうか。城址によらず東京は何気ないところに歴史が埋もれているので油断ならないのだが,その中でも城址にクローズアップして紹介し続けたところは目のつけ辺りが良い漫画だったと思う。次の書評も参照されたい。
・女子高生と一緒にレッツ登城!『東京城址女子高生 1,2巻』(山田果苗 作)感想(Call of History ー歴史の呼び声ー)
・『葬送のフリーレン』1〜5巻。
→ なんかもういまさら自分が紹介するまでもないほどの人気漫画であるが……勇者一行が魔王を倒した約80年後,勇者一行にいた不老不死のエルフのフリーレンが,ある目的を持って新たな仲間たちとともに過去の足跡をもう一度たどる旅路の物語。メタネタが多い昨今ではありそうで無かったジャンルであり,金の鉱脈を掘り当てたという感がある。
→ ある程度は平和になって様変わりした世の中,約80年の時間経過を感じさせる出来事,そして自分と同様に歳をとらず過去に囚われた魔族の残党たちといった要素を交えて,フリーレンの旅は進んでいく。フリーレンは,当時の冒険では勇者ヒンメルはじめとする人間たちにさしたる興味をもたなかった風であったのに,ヒンメルら人間たちが亡くなると自分が興味を持っていたことを初めて自覚し,だからこそ当時の自分たちの足跡を追った旅をする。そこに80年越しの情感がある。この情感こそが本作の物語を進める原動力になっている。フリーレンがしばしば口にする「勇者ヒンメルならそうしたと思う」というセリフを,本作が完結するまで,我々はあと何回読むことになるだろうか。
・『桐谷さんちょっそれ食うんすか!?』1〜11巻。
→ 主人公の美少女高校生の桐谷さんが,周囲の大人や生徒を巻き込みながらゲテモノ食いの道を邁進する漫画。基本的に1話完結。ゲテモノの範囲は皆様ご想像の通りで,最初はカエル・ヘビ・深海魚・コオロギあたりの定番メニュー(?)から始まって,バロット・ざざむし・キビヤック等,次第に範囲が広がっていく。私の印象に残ったのは豚の睾丸(1巻),鯨の膵臓(2巻),豚のキンツル(2巻),豚の脳みそ(3巻),ウーパールーパー(6巻),珪藻土(7巻),猿(10巻)等。猿が一番やべぇなと思った。人それぞれのアウトの境界線が如実に出てくる漫画と言えそう。単に見た目がやばいものというだけでなく,たまにセイタカアワダチソウ(9巻)やウッドアップル(10巻)のような違う変化球が来るのも良い。
→ CGDCTといえば往々にして作者の実体験記になりがちなところがあるが,本作に限って言えばむしろ作者はこれ全部ちゃんと食べてるんだよなと思うと敬意を表するしかない。なお,単行本にはきっちりと実写版の写真が掲載されている。
→ 私もウサギや蜂の子などのレベルでなら食べたことがあるが,本作で登場するものはほとんど食べたことがない。先行して食べていて勝ったと思ったのはワラスボくらい,唯一まだ作中で登場していなくて先行して食べたことがあるものというと雷鳥くらいかな……それもすぐに出てきそうだけど。
→ アニメ化待ってます。ビジュアル的に史上最もアニメ化が難しそうなCGDCTだけど,大丈夫大丈夫なんとかなるって。
・『東京城址女子高生』1〜4巻(完結)。
→ これは完結前に紹介すべきだった。女子高生たちが(主に)東京都内の廃城・城址を巡って散歩する漫画。あまりにもネタがマニアックすぎるので連載が続くのか心配だったが,4巻まで寿命が持ったのはすごいと思う。そのマニアックさゆえに,城址散策の面白さが万人受けするものではないという自覚があって,作中で「理解されないのもまあ良し」という態度が貫かれていたのもCGDCTとしては比較的珍しい。そもそも主人公の女子高生カップルの片割れからして,最後まで歴史そのものにはほとんど興味を持たない。まあ,もう片割れは太田道灌に恋する典型的な子ではあるのだが……
→ そもそも都内にそんなに城址があったっけ? 江戸城と八王子城とお台場と……残りは? という人はなかなか鋭い。1巻に「今までただの公園とか何もない広場とか見てきたから,石垣残ってるだけですごいと思うようになっちゃったわ……」というセリフがあるように,探訪される城址はだいたいが何も残っていない。虚無である。その虚無に感じ入ってみたり,知識で穴埋めしてみたりというのもまた城址散策の楽しみであろうか。城址によらず東京は何気ないところに歴史が埋もれているので油断ならないのだが,その中でも城址にクローズアップして紹介し続けたところは目のつけ辺りが良い漫画だったと思う。次の書評も参照されたい。
・女子高生と一緒にレッツ登城!『東京城址女子高生 1,2巻』(山田果苗 作)感想(Call of History ー歴史の呼び声ー)
・『葬送のフリーレン』1〜5巻。
→ なんかもういまさら自分が紹介するまでもないほどの人気漫画であるが……勇者一行が魔王を倒した約80年後,勇者一行にいた不老不死のエルフのフリーレンが,ある目的を持って新たな仲間たちとともに過去の足跡をもう一度たどる旅路の物語。メタネタが多い昨今ではありそうで無かったジャンルであり,金の鉱脈を掘り当てたという感がある。
→ ある程度は平和になって様変わりした世の中,約80年の時間経過を感じさせる出来事,そして自分と同様に歳をとらず過去に囚われた魔族の残党たちといった要素を交えて,フリーレンの旅は進んでいく。フリーレンは,当時の冒険では勇者ヒンメルはじめとする人間たちにさしたる興味をもたなかった風であったのに,ヒンメルら人間たちが亡くなると自分が興味を持っていたことを初めて自覚し,だからこそ当時の自分たちの足跡を追った旅をする。そこに80年越しの情感がある。この情感こそが本作の物語を進める原動力になっている。フリーレンがしばしば口にする「勇者ヒンメルならそうしたと思う」というセリフを,本作が完結するまで,我々はあと何回読むことになるだろうか。
Posted by dg_law at 07:00│Comments(0)