2021年07月26日
『薬屋のひとりごと』(主にねこクラゲ版)
引き続き,内容の細部をメモしておきたいものよりは,紹介したものを優先して。
・『薬屋のひとりごと』(ねこクラゲ版)1〜8巻。
→ これまたここで紹介するまでもないヒット作である。原作はなろう小説だが,異世界転生ではない。商業では小説の書籍版の他,2つの漫画化があり,月刊ビッグガンガンで連載されているねこクラゲ版と,月刊サンデーGXで連載されている 倉田三ノ路版がある。私が主に追っているのはねこクラゲ版の漫画だが,連載の進みは倉田三ノ路版の方が早く,説明もそちらの方が細かい。にもかかわらずねこクラゲ版で読んでいる理由は単純に絵の好みの問題であるので,個人の好みでどれを追ってもよいだろうと思う。どちらも1話だけ試し読みで無料公開されている。
・薬屋のひとりごと(ビッグガンガン | SQUARE ENIX)
・薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜(サンデーうぇぶり)
→ 舞台は架空の世界の中華風の帝国の宮廷,特に後宮であり,主人公はそこで働く薬師の少女である。そこで美男の宦官(しかし事情により去勢されていない)に気に入られ,持ち前の科学(主に医学・薬学)知識と高い推理力で宮廷に起こる様々な事件・陰謀を解決していく。使われる科学知識と,個別に発生したように見える諸事件の関連性の伏線の張り方・回収が絶妙で,第一部末で全部つながったときには舌を巻いた。高官同士の政治劇の背景で行われる,ブレーン同士の科学知識による殴り合いは読み応えがある。これにあわせて主人公・猫猫と(偽)宦官・壬氏の恋愛劇も進む。偏屈な才女の猫猫に対してイケメン高官の壬氏が執着して追いかけてくる王道の展開だが,二人の絡みも可愛くてよい。個人的には真面目に追っている作品としては初めて「おもしれー女」を見たので新鮮だった。これが例のおもしれー女ってやつか……!
→ 作者いわく,文明の水準は唐朝以降の様々な時代から都合の良いところをつまみ食いして設計しているとのこと。とはいえ,カカオが高級品とはいえ交易であっさり手に入る・煙草が普及している・調度品の陶磁器にどう見ても青花や赤絵がある・小説が普及している等の点から言って土台は明清期であろう。使われている科学知識も前近代の最高峰レベル,あるいは前近代に知られていてもおかしくないたぐいの現象だが,近代には入っていないので,そこだけ飛び抜けて先進的に見えるという不自然さが無いのもいいところ。見知らぬ科学知識に驚くのではなく,ここでその科学知識を使ってくるかというのを楽しむ作品である。たとえば1話で出てくる事件が「おしろいを使っている后妃が体調不良で呪い疑惑」なのだが,これを読んで「それはどう考えても鉛白では?」といぶかしんだ人はこの作品に向いている。
→ なお,科学水準に比べると些事だが,ちゃんと科挙や六部があって中国の官制が機能している描写があるのはちょっと嬉しい。また,登場人物の名前が高順だったり李白だったりする小ネタがしこまれている。
→ これだけ人気なのだから早々にアニメ化の声がかかっていそうなものだが,不思議とアニメ化しない。ドラマCDは出ていて,猫猫の声が悠木碧, 壬氏は櫻井孝宏だったので期待は高い。あと不思議なのはこれだけ人気でこの題材なのに,私の周囲で読んでいる人が全くいないということだ。後述するように,微妙に文化圏が違うからということなのだろうか。
→ なお,本作にはまっていた今年の1月頃に二次創作を漁っていたのだが,『はめふら』並かそれ以上に二次創作の作者も読者も女性で,自分にとっては割と異世界で,これはこれで楽しかった。猫猫と壬氏が本編で全然くっつかないので,せめて二次創作ではくっつけたくなるよね。わかる。
感想文が長くなったので,今回はこれのみで。
・『薬屋のひとりごと』(ねこクラゲ版)1〜8巻。
→ これまたここで紹介するまでもないヒット作である。原作はなろう小説だが,異世界転生ではない。商業では小説の書籍版の他,2つの漫画化があり,月刊ビッグガンガンで連載されているねこクラゲ版と,月刊サンデーGXで連載されている 倉田三ノ路版がある。私が主に追っているのはねこクラゲ版の漫画だが,連載の進みは倉田三ノ路版の方が早く,説明もそちらの方が細かい。にもかかわらずねこクラゲ版で読んでいる理由は単純に絵の好みの問題であるので,個人の好みでどれを追ってもよいだろうと思う。どちらも1話だけ試し読みで無料公開されている。
・薬屋のひとりごと(ビッグガンガン | SQUARE ENIX)
・薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜(サンデーうぇぶり)
→ 舞台は架空の世界の中華風の帝国の宮廷,特に後宮であり,主人公はそこで働く薬師の少女である。そこで美男の宦官(しかし事情により去勢されていない)に気に入られ,持ち前の科学(主に医学・薬学)知識と高い推理力で宮廷に起こる様々な事件・陰謀を解決していく。使われる科学知識と,個別に発生したように見える諸事件の関連性の伏線の張り方・回収が絶妙で,第一部末で全部つながったときには舌を巻いた。高官同士の政治劇の背景で行われる,ブレーン同士の科学知識による殴り合いは読み応えがある。これにあわせて主人公・猫猫と(偽)宦官・壬氏の恋愛劇も進む。偏屈な才女の猫猫に対してイケメン高官の壬氏が執着して追いかけてくる王道の展開だが,二人の絡みも可愛くてよい。個人的には真面目に追っている作品としては初めて「おもしれー女」を見たので新鮮だった。これが例のおもしれー女ってやつか……!
→ 作者いわく,文明の水準は唐朝以降の様々な時代から都合の良いところをつまみ食いして設計しているとのこと。とはいえ,カカオが高級品とはいえ交易であっさり手に入る・煙草が普及している・調度品の陶磁器にどう見ても青花や赤絵がある・小説が普及している等の点から言って土台は明清期であろう。使われている科学知識も前近代の最高峰レベル,あるいは前近代に知られていてもおかしくないたぐいの現象だが,近代には入っていないので,そこだけ飛び抜けて先進的に見えるという不自然さが無いのもいいところ。見知らぬ科学知識に驚くのではなく,ここでその科学知識を使ってくるかというのを楽しむ作品である。たとえば1話で出てくる事件が「おしろいを使っている后妃が体調不良で呪い疑惑」なのだが,これを読んで「それはどう考えても鉛白では?」といぶかしんだ人はこの作品に向いている。
→ なお,科学水準に比べると些事だが,ちゃんと科挙や六部があって中国の官制が機能している描写があるのはちょっと嬉しい。また,登場人物の名前が高順だったり李白だったりする小ネタがしこまれている。
→ これだけ人気なのだから早々にアニメ化の声がかかっていそうなものだが,不思議とアニメ化しない。ドラマCDは出ていて,猫猫の声が悠木碧, 壬氏は櫻井孝宏だったので期待は高い。あと不思議なのはこれだけ人気でこの題材なのに,私の周囲で読んでいる人が全くいないということだ。後述するように,微妙に文化圏が違うからということなのだろうか。
→ なお,本作にはまっていた今年の1月頃に二次創作を漁っていたのだが,『はめふら』並かそれ以上に二次創作の作者も読者も女性で,自分にとっては割と異世界で,これはこれで楽しかった。猫猫と壬氏が本編で全然くっつかないので,せめて二次創作ではくっつけたくなるよね。わかる。
感想文が長くなったので,今回はこれのみで。
Posted by dg_law at 07:00│Comments(0)