2021年12月25日

それにしても巨乳が史書に残るのは珍しい

・「交通事故負傷者は実際には減ってない」問題が国会で質問(紙屋研究所)
→ 手続きの煩雑さが警察の(架空の)実績作りを後押ししてしまっている事例かな。目標達成のために手続きの煩雑さが利用され,しかも手続きが煩雑なのが警察だけでなく被害者もそうなのが余計に悪い。手続きの煩雑さが原因で統計が実態とずれていくのは政策立案上非常に良くないので是正してほしいところ。自賠責の方を見れば実態がわかるならいいのでは,というのは政府が必ずしもそれを参照しないという点で成り立たない。統計データの崩れから発展途上国への転落が進む。こういう細かい部分で行政をチェックするのも立法府の機能であるはずで,本件で共産党は間違いなく仕事をした。


・日本が太平洋戦争に総額いくらを費やしたか、知っていますか(現代ビジネス)
→ 「GDPとの比率は8.8倍に、国家予算との比率は74倍」というのはとんでもない巨額だが,「米国における第2次世界大戦の戦費総額は約3000億ドル。開戦当時の米国のGDPは920億ドルなので、GDP比は3.2倍」「第1次大戦の時に英国が投じた戦費総額も当時のGDPの3.8倍程度」というのも巨額で,総力戦はどうしてもそういうことになるのだなという感想もある。アメリカについてはそれでもハイパーインフレになるどころか戦後の経済覇権を握ってしまうのだからマクロ経済は不思議である。アメリカの生産力がそれだけ供給過剰だったわけで,世界恐慌に陥った理由もわかるところだ。
→ ところで第一次世界大戦後にドイツが課された賠償金1320億金マルクは戦前のGDPの約2.5倍,国家予算の約20倍とされているが,戦費に比べると安く思えてくる。それなら連合国側は1320億金マルクくらい払ってほしいと思ってしまうだろう。ドイツ自身も敗戦国として似たような戦費を費やしていたということを考えなければ,だが。いずれにせよ数字の印象が変わった。


・アキノ前フィリピン大統領死去 米軍再駐留に道開く、61歳(時事通信)
→ 世界史上では民主化運動家で父のベニグノ・アキノと,夫の死後に運動を引き継いで大統領となった母のコラソン・アキノの方が有名だろう。記事中にある「1992年に撤退した米軍」を撤退させたのはこのコラソン・アキノ大統領であるから,息子が再駐留を成功させたことになる。目立たないが功績のある人であったと思う。それにしても61歳は若い。自身と母親の間の3人の大統領はまだ全員生きている。
→ ところで,気になって調べてみるとコラソン・アキノの前任,独裁者だったマルコスの妻イメルダはまだ生きているようだ。こちらは92歳で長寿である。ついでに,その息子ボンボン・マルコスはしれっと政界に戻っていて2010〜15年に上院議員をやっていて,2015年には大統領選に出て敗北している。前の独裁者の家族がまだ政界にいるのは懐が深いというべきか,独裁に対して鈍感なのか。


・ベトナム歴史秘話:なぜ民族の英雄は、巨乳として歴史書に記録されたのか?(Kentaro Ishiguro|note)
→ 面白い。三国時代の北ベトナムで反乱を起こした女性の趙嫗のこと。知らない人物だったが,最近は三国志コンテンツに出てくるようだ。とにかくキャラの数を増やすべくかなりマイナーな人物まで拾う傾向はあるが,なんと北ベトナムまで。
→ 巨乳とわざわざ記録されたのは,古代ベトナム北部では巨乳を女傑のシンボルとしていたという説である。確かに男性でも容姿がわざわざ記録されるのはよほど特徴であるか,それが何かしらの意味合いを持っているからである。それこそ三国志の登場人物でもよくあるものだ。

この記事へのコメント
第一次世界大戦のドイツの賠償金は協商国側がドイツに配慮してて実は500億金マルクだけしか賠償金を科しておらず残りは世論対策の見せかけの請求に過ぎなかったという説(C債券)もあります。
英語版wikipediaにはばっちりと書いてあるのに日本語版には載っていないという謎。
この説を採用するとドイツって…という感じになりますが。
Posted by iyo at 2022年01月04日 01:43
そんな説もあるんですね。
確かに,この説を採用するとさらにヴァイマル共和国さん……ってなりますね。
Posted by DG-Law at 2022年01月09日 04:00