2022年03月23日

登山記録8(雲取山,大菩薩嶺)

No.22 雲取山
〔標高〕2017m
〔標高差〕1480m(鴨沢から)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕12巻
〔県のグレーディング〕5B
〔私的な難易度と感想〕6B
2018年の夏,富士山の前哨戦として登頂……したら富士山よりも辛かったという。東京都の最高峰にして東京都・埼玉県・山梨県の県境。山頂には三県の標識があるが,東京都の標柱だけ非常に豪華で,東京都最高峰たる威厳と東京都の資金力を誇っている。対して富士山などを擁する山梨県の標柱はやる気がない。

コースタイムは鴨沢から登って6時間半,三条の湯経由でお祭に下って7時間ちょうど。合わせて13時間ほどになるので,富士山とほぼ同じである。しかし,岩場の量がそこそこ多いことや補給ポイントの少なさ等を加味すると,富士山よりも厳しいのではないかと思う。『ヤマノススメ』でも二度目の富士山の前哨戦としてあおいたちが挑戦しているが,登りは雨が振っている上にテント泊をしているので,尚更富士山より厳しかったのではないか(実際にひなたは「富士山より全然きついよねこのルート」と言っている)。滑落して死ぬような場面はほぼ無いが,ただただ長くてしんどい。山梨県によるグレーディング5Bだが,少なくとも富士山と同じ6Bが妥当だろう。

なお,私と頬付は夏場に登ったため麓の鴨沢は早朝の時点ですでに35度,ちょっと登っても全然気温が下がっていかず,大量に持ってきた水をすごい勢いで消費した。おまけに15時過ぎにはあまりに早い夕立に遭い,登山で初めてゴアテックスのアウターのお世話になった。しかし,その夕立の直前にかわりばえのしない杉林を歩いていた途中,落ちていたビニール袋を調べたら『ラヴクラフト全集』を見つけてしまったのがこの時の登山のハイライトである。山中で頬付と二人で爆笑していた。この経験はまず間違いなく一生忘れない。雲取山は魔界。そりゃ炭治郎くんも鬼舞辻無惨に襲われることくらいあるよね。



登山道の8割は奥多摩にありがちな杉林で眺望が死んでいるが,七ツ石山を過ぎた辺りからは樹木が減って多少は開けてくる。山頂付近は良い眺望で楽しい。が,同時にその辺りから道が険しくなり,岩場も出現する。残りの体力には注意が必要。



あとは雲取山と言えば平将門の迷走ルートとして話題になったことがある。鴨沢から七ツ石山に寄る登山道で登ると,これらの看板は全て確認できる。むちゃくちゃなストーリー展開がけっこう面白い。
・登山中にこんな立て看板を読まされたらこれはもう登らざるを得ないよ、というお話「楽しそう(笑)」「考えたな」(Togetter)

我々の登頂の際は富士山に先立って山小屋を経験しておくという目的があったので雲取山荘に宿泊。その日は酷暑だったためか人が少なく部屋は頬付と2人であったが,普通は他のグループと合わせて4・5人で一部屋らしい。環境は良かった。下山路では三条の湯に寄った。濃いアルカリ性の鉱泉で面白かった。



総合すると,あまりに長い登山道だが,その長さを楽しむ登山ではあろうか。『鬼滅の刃』の竈門炭治郎の出身地として聖地巡礼するには,初心者には厳しい山だが,体力に自身があるなら挑戦してみてほしい。


No.23 大菩薩嶺
〔標高〕2056m
〔標高差〕470m(上日川峠から),1160m(裂石登山口から)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕13巻
〔県のグレーディング〕2A
〔私的な難易度と感想〕2A(裂石登山口からなら3A+)
小説『大菩薩峠』で有名な山……なのだが,私は未読である。また,現在の(また小説内で)大菩薩峠とされている場所は歴史的な大菩薩峠ではないらしい。ともあれ,バスで標高1500m超まで行けてしまうので,非常に楽な登山ができる。大菩薩峠はバス停からすぐ,1時間20分ほどで着き,かなり眺望が良い。



山頂は峠から30分ほど歩くと着くが,こちらは逆に眺望が無い。ピークハントに興味が無ければ峠から少し進んだ賽の河原を観光してすぐに帰ってもいいだろう。上日川峠ルートの欠点はバスが土日にしか走っていないことと,バスが混んでいることくらいしかない。



私が行った時は上日川峠に戻ると早くなりすぎてつまらないということで,逆側の裂石登山口から下山することにした。こちらは楽すぎず,普通の登山道であった。コースタイムは3時間ほど。眺望は無いが,森林浴はまずまず気持ちいい。特に面白みは無いが,後述するような事情からこちらから降りるのも良いだろう。裂石登山口から下りると,すぐそこに雲峰寺という寺があり,武田氏縁の宝物殿がなかなか面白かった。また,裂石登山口からJR塩山駅に向かってバスに乗ると途中に塩山温泉があり,ここの宏池荘が強アルカリ性の温泉で非常に良かった。源泉が約25度でちょうどよく,40度ほどに加温された浴槽と源泉かけ流しの浴槽があるので,交互に入ることを勧められるが,確かにそれが気持ちいい。建物の外観が古く風貌がちょっと怪しいが,気にせずに入るべし。温泉を出たら最後に塩山駅か甲府駅でほうとうを食べて帰れば,綺麗に一日が終わるのでお勧め。