2022年04月28日

登山記録9(鋸山,丹沢大山,大持山)

No.24 鋸山
〔標高〕329m
〔標高差〕325m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕13巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2A+
石切場として長期間開発されていたため,人工的な奇観が生まれたことで有名な山。千葉県は最高標高が沖縄県よりも低い(408m)県であるため,329mでも千葉県内ではそれなりに標高が高い部類に入る。登山道は浜金谷駅側からと保田駅側からに大きく分かれているが,浜金谷駅側から登るのが主流。保田駅側からは鋸山中腹に建てられた大規模寺院の日本寺がある。なお,保田駅近隣の寿司屋で「保田駅側が本来の日本寺の表参道なのだから,こちらから登るべき」と主張された。しかし,登山としては保田駅側よりも浜金谷駅側から登った方が面白いので,日本寺自体が目的というわけでもなければ浜金谷駅側から登るべきだろう。

浜金谷駅から登るとさらに道が2つに分かれ,比較的緩い車力道と関東ふれあいの道に分かれる。ついでにロープウェーも通っている。私は関東ふれあいの道から登ったが,車力道の方が観光名所が豊富なのでこちらから登った方がよさそう。関東ふれあいの道は道中の眺望が良いが,それは合流後にも見られるのであまりメリットがない。ロープウェーも山頂駅からの登山道が険しいのであまり意味がなさげ。ちょうど合流地点(標高180m)くらいからは石切場跡になっていて,非常に見応えがある。

コースタイムは3時間半くらいで難所も特に無く,石切場付近はすべて階段で舗装されている。しかし,階段の傾斜が急でアップダウンもかなり激しいため,獲得標高は標高差の倍の600mくらいになるから,それほど楽な登山ではない。スニーカーで十分登れるが,運動不足なら太ももの筋肉の心配はした方がいい。なお,標高300m地点に展望台があって,東京湾が一望できる(上掲Twitterの3枚目)。そこから奥に山頂があるが,登山道が特に面白みがないし眺望も無いので,ピークハント目的でなければ行く意味がない。展望台で引き返して問題ない。なお,下山してから気づいたのだが『ヤマノススメ』でのひなたとここなはこの展望台で引き返しており,しろ先生が「山頂はむっちゃ地味」と補足していた。聖地巡礼の意味でも山頂は行かなくてよさそう。

展望台から保田駅側に下山すると日本寺に入る。拝観料をとられるが,回避しようとすると大きく迂回することになるので注意が必要(関東ふれあいの道の正規ルートがこの迂回路で,おそらく関東ふれあいの道の事実上の通行料が発生するのを避けるためにこの迂回路が設定されたものと思われる)。日本寺は大規模な石窟寺院で見応えがあるから,よほど拝観料をとられたくない場合以外は迂回しなくてよい。ただし,この日本寺は創建が18世紀末で,しかもそこから長く放置され,戦後の高度経済成長期になってから大規模な造営が進んだため歴史が浅く,権威付けのために胡散臭いエピソードを山ほど盛っているのが一周回って面白い。開山からして聖武天皇の勅詔と実際の18世紀末から1000年以上盛っていて,空海や良弁が修行に来たことになっている。一番笑ったのは源頼朝が植えたとされるソテツ(樹齢800年)。当時は実際には開山してないのだから寄った可能性は極めて低いだろう。

下山後は漁港が近いだけあって美味しい寿司屋があるから探してみてほしい。アジが名産らしい。鋸山の数少ない欠点は東京からちょっと遠いことで,内房線の本数がそれほど多くないので旅行は計画的に。『ヤマノススメ』では飯能から行っているわけだけど,よく日帰りしたな。



鋸山 / 稲田義智さんの鋸山の活動データ | YAMAP / ヤマップ




No.25 丹沢大山
〔標高〕1252m
〔標高差〕850m(ケーブルカー麓駅から)
〔百名山認定〕三百名山
〔ヤマノススメ〕14巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2A
丹沢の入門編,気軽に行ける観光地。コースタイムはケーブルカーを使わなかった場合で4時間半ほど,ケーブルカーを使うと1時間くらい減る。整備は極めて行き届いていて高尾山並だが,標高差の大きさを見ればわかる通りに階段や登山道はそれなりに急で体力は必要。眺望はケーブルカーだけで行ける中腹の阿夫利神社が一番良いので,眺望を楽しむだけなら登山不要。麓は信仰の山らしく豆腐屋と,猪鍋屋が多い。私が行った時は豆腐屋に寄ったが,次に丹沢に行った時は猪鍋を食べたい。




No.26 大持山(ウノタワ)
〔標高〕1294m
〔標高差〕930m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕10巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕3B-
 天気が曇りそうだったので眺望を期待しなくていい山ということでここをチョイス。しかし,実際にはこの日は快晴でもったいないことをした。『ヤマノススメ』の聖地ということでもなければまず選ばない山であるが,実際に登山として面白かったかと言われると微妙である。足元だけで言えばスニーカーでも登れるレベルだが,道の整備がひどくて完全に野に帰っていた箇所もあり,急坂や突発通行止めも多くて登山慣れは必要と感じた。完全に封鎖されている登山道も多くて,2022年春現在で言えば名郷バス停から鳥首峠を通るルートか,武甲山側から下ってくるルートの2つ以外は通行禁止である(したがってリンクを貼ったサイトのルートはそのまま通れない)。その鳥首峠を通るルートもボロボロで,これだけひどいのは関八州見晴台以来であったから,やはり原因は埼玉県の整備にありそう。武甲山は整っていたのでやる気がないわけではないと思いたい。なお,『ヤマノススメ』ではあおいとひなたが積雪期にチェーンスパイクを履いてあっさり登っていたが,あおいの体力でチェーンスパイクであの急坂は無理だと思う。原作の不自然ポイントを発見できたのは,残念聖地巡礼の数少ない収穫であった。
 目的のウノタワは「鵜の田沼」とも書くように山中に突然沼の跡地らしき広場が出現する。観光名所になりうるかと言われるとそこまで広いわけではなく,単に広場という以外に特徴も無いから厳しい。そこから50分登ったところに大持山のピークがある。眺望がそれほどあるわけではないのでピークハント目的か,武甲山まで縦走する目的以外で立ち寄る意味は無いだろう。……そもそも大持山を登る人はアニメ未登場の聖地に登ってしまうような奇特な『ヤマノススメ』原作オタクか,埼玉県の山を全部制覇しようとしている極まったハイカーのいずれかだけだろうから無用な助言だろうが。



なお,名郷バス停から行くルートでは,リンクを貼ったサイトにもある通り,白岩集落という廃村を通り抜ける形になる。私は本物の廃村を間近で見るのは初めてであったので,けっこう印象深かった。また,武甲山との競争に負けたらしき石灰岩の露天掘りの廃鉱と廃工場もあって,こちらも面白かった。むしろこれらを見に行く目的で大持山登山を計画すべきかもしれない。



天神山・横倉山・大持山 / 稲田義智さんの大持山天神山(埼玉県秩父市)横倉山(埼玉県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ