2022年06月17日
登山記録11(岩殿山,高水三山)
No.29 岩殿山
〔標高〕634m
〔標高差〕約280m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕15巻
〔県のグレーディング〕1A
〔私的な難易度と感想〕2C
大月駅を下車したら目の前に見える巨大な岩がある。それが岩殿山である。山梨県のグレーディングは1Aになっているが,これは東側から登って下りた場合であって参考にならない。普通は登りか下りのどちらかで西側のルートを通ってぐるっと一周するのだが,西側のルートがC程度の技術を要求されるので,なめてかかると普通に事故ると思う。西側ルートは例えて言うなら瑞牆山と同程度には厳しい。東側ルートも登山口が3つほどあるが,そのうち2つは崩落により通行禁止で,一番駅から遠い畑倉登山口からしか入れない。ただし,一番手前の丸山公園口は「ふれあいの館」という名のビジターセンターがあり(このふれあいの館までしか登れないのだが),ふれあいの館にそこそこ豪華な『ヤマノススメ』コーナーがあって,しろ先生直筆の色紙まで置いてあった。
そうそう,大月駅すぐの観光案内所で立派な『ヤマノススメ』聖地巡礼マップが配布されているので,聖地巡礼目的ならもらってくるべきだろう。また,登頂を確認できる写真を撮って下山後に観光案内所に行くと記念ポストカードももらえる。アニメ化していない割にやけにコラボが多いと思ったら,数年前に大規模に登山道が崩落した際,復旧のための寄付金集め等に『ヤマノススメ』がかかわっていたようだ。その名残もありコラボが続いていて,調べてみたら登頂記念グッズは復旧途中の2019年11月からやっているキャンペーンだった。なくなり次第終了なのに2年半経過してまだ続いているということは,それほど知られていないし登頂もされていないようである。もらっておいてなんだが,良いグッズなのにまだ終了していなかったことに悲しくなってしまったので,ぜひともアニメ4期には岩殿山を出してあげて集客に協力してほしい(原作が15巻で登場とかなり遠いので無理かな……)。なにせ,その『ヤマノススメ』であおいとその父親が通った登山道はまだ復旧していなくて登ることができないのだから。
岩殿山は一応,戦国時代の城址で,小山田信茂の居城であった。現在の山頂には何も残っていないが,西側ルートの痩せ尾根の名前「稚児落とし」が落城時のエピソードに由来する。城から逃げようとした女性が,子供を抱きかかえたままの逃亡は不可能だと判断して,この痩せ尾根で子供を投げ捨てていったらしい……しかし,崖の上から落とされた子供が実は生き延びていて麓の集落で育てられたという逸話も残っていて,悲劇としては中途半端である。現実の稚児落としを通ってみると,ここから落とされたら普通に死ぬだろうし,生きていた方がエピソードとしては強いので,そちらをクローズアップした命名をすべきだったようなという感想を抱いてしまった。ともあれ,険しいだけあって「稚児落とし」は非常に見応えがある絶景である。眺望は快晴なら富士山が見えるそうなのだが,我々が行ったときには見えず。それでも稚児落としの巨大な岩盤と眼下の大月市だけで十分な見ごたえがある。
あとは瑣事だが,大月市は海も無いのにここが桃太郎伝説の地であると無茶な観光売り込みを図っていて,曰く岩殿山には鬼が住んでいたのだとか。ただし,鬼自体は山賊と考えれば荒唐無稽ではなく,東側の中腹には多数の洞窟があり,小山田氏が築城する前なら確かに山賊の一団が潜んでいてもおかしくはなかったであろう。また,こうした洞窟はいかにも信仰の対象になりそうだなと思ったら,説明書きに懸造の寺院の跡があったということが書いてあって,この意味でも洞窟の多さが岩殿山の特徴の一つと言えそうである。
下山後には近くにあるということで猿橋を見に行った。日本三大奇橋の一つとされるが,日本三大〇〇にありがちなことで,3つが不安定らしい。この猿橋は幸いにも確定している2つのうちの1つである(もう1つは山口県岩国市の錦帯橋とのこと)。しかしながら我々がここに行った目的は,猿橋が東方風神録の3面道中の背景になっているからであった。実際に猿橋から見る桂川の渓流は恐ろしく綺麗で,紅葉の時期なら死ぬほどの絶景と言っても過言ではないと容易に想像できた。ここは必ずもう一度来よう。
No.30 高水三山
〔標高〕793m(岩茸石山)
〔標高差〕約550m(軍畑駅から)
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕16巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2A
奥多摩入門編として名高い高水三山。序盤はすすきの野原,中盤以降はずっと杉林が続く典型的な奥多摩の山で,眺望も山頂以外はあまり無い。じゃあ何が楽しいのかというと,3つのピークをくくっているだけあって稜線歩きが長く,稜線歩きはまあまあ気持ちいい。整備が極めて行き届いていて,多少の急登と木の根道があって転倒するリスクはあるにせよ,命の危険は全くない。トイレや水場も多い。奥多摩の山としては比較的”手前”の立地で,御岳山と並んで行きやすい。ついでに奥多摩名物,突然出てくる鉄塔や小さな寺社仏閣が存在しているのも奥多摩入門編らしさがある。もろもろを考慮すると,確かに安全にトレッキングができて高尾山や筑波山よりは骨がある絶妙なチョイスになる。かく言う私も高尾山の次に登ったのがここだった。コースタイムは5時間弱で少し長く,本当に初心者だけで行く場合はそこだけ注意が必要か。あとは人気の山なのと他の山と縦走しやすい立地もあって,天気が良ければ常に混雑している印象。
『ヤマノススメ』では16巻に登場し,あおいとほのかが2人で登頂。双眼鏡を持ってきて山頂から東京方面を眺めていたが,次の話から富士山登頂が始まってしまうので非常に印象が薄い。なんというか,登らせるタイミングを見失って無理やりここに入れた雰囲気が漂う。人気の山なのに扱いがぞんざいであるが,実際に私自身も登った印象が薄い。繰り返しになるが,奥高尾縦走路以外の奥多摩に登ったことがないくらいの人なら入門編的に挑んでみてもいいだろうが,そうでないなら特にお勧めしない。
〔標高〕634m
〔標高差〕約280m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕15巻
〔県のグレーディング〕1A
〔私的な難易度と感想〕2C
大月駅を下車したら目の前に見える巨大な岩がある。それが岩殿山である。山梨県のグレーディングは1Aになっているが,これは東側から登って下りた場合であって参考にならない。普通は登りか下りのどちらかで西側のルートを通ってぐるっと一周するのだが,西側のルートがC程度の技術を要求されるので,なめてかかると普通に事故ると思う。西側ルートは例えて言うなら瑞牆山と同程度には厳しい。東側ルートも登山口が3つほどあるが,そのうち2つは崩落により通行禁止で,一番駅から遠い畑倉登山口からしか入れない。ただし,一番手前の丸山公園口は「ふれあいの館」という名のビジターセンターがあり(このふれあいの館までしか登れないのだが),ふれあいの館にそこそこ豪華な『ヤマノススメ』コーナーがあって,しろ先生直筆の色紙まで置いてあった。
そうそう,大月駅すぐの観光案内所で立派な『ヤマノススメ』聖地巡礼マップが配布されているので,聖地巡礼目的ならもらってくるべきだろう。また,登頂を確認できる写真を撮って下山後に観光案内所に行くと記念ポストカードももらえる。アニメ化していない割にやけにコラボが多いと思ったら,数年前に大規模に登山道が崩落した際,復旧のための寄付金集め等に『ヤマノススメ』がかかわっていたようだ。その名残もありコラボが続いていて,調べてみたら登頂記念グッズは復旧途中の2019年11月からやっているキャンペーンだった。なくなり次第終了なのに2年半経過してまだ続いているということは,それほど知られていないし登頂もされていないようである。もらっておいてなんだが,良いグッズなのにまだ終了していなかったことに悲しくなってしまったので,ぜひともアニメ4期には岩殿山を出してあげて集客に協力してほしい(原作が15巻で登場とかなり遠いので無理かな……)。なにせ,その『ヤマノススメ』であおいとその父親が通った登山道はまだ復旧していなくて登ることができないのだから。
岩殿山は一応,戦国時代の城址で,小山田信茂の居城であった。現在の山頂には何も残っていないが,西側ルートの痩せ尾根の名前「稚児落とし」が落城時のエピソードに由来する。城から逃げようとした女性が,子供を抱きかかえたままの逃亡は不可能だと判断して,この痩せ尾根で子供を投げ捨てていったらしい……しかし,崖の上から落とされた子供が実は生き延びていて麓の集落で育てられたという逸話も残っていて,悲劇としては中途半端である。現実の稚児落としを通ってみると,ここから落とされたら普通に死ぬだろうし,生きていた方がエピソードとしては強いので,そちらをクローズアップした命名をすべきだったようなという感想を抱いてしまった。ともあれ,険しいだけあって「稚児落とし」は非常に見応えがある絶景である。眺望は快晴なら富士山が見えるそうなのだが,我々が行ったときには見えず。それでも稚児落としの巨大な岩盤と眼下の大月市だけで十分な見ごたえがある。
無事下山。「稚児落とし」の名のつく巨大な岩盤の見応えがあり、とんでもない鎖場があって良い山だった。 pic.twitter.com/jJCBChQRgm
— DG-Law/稲田義智 (@nix_in_desertis) April 17, 2022
あとは瑣事だが,大月市は海も無いのにここが桃太郎伝説の地であると無茶な観光売り込みを図っていて,曰く岩殿山には鬼が住んでいたのだとか。ただし,鬼自体は山賊と考えれば荒唐無稽ではなく,東側の中腹には多数の洞窟があり,小山田氏が築城する前なら確かに山賊の一団が潜んでいてもおかしくはなかったであろう。また,こうした洞窟はいかにも信仰の対象になりそうだなと思ったら,説明書きに懸造の寺院の跡があったということが書いてあって,この意味でも洞窟の多さが岩殿山の特徴の一つと言えそうである。
下山後には近くにあるということで猿橋を見に行った。日本三大奇橋の一つとされるが,日本三大〇〇にありがちなことで,3つが不安定らしい。この猿橋は幸いにも確定している2つのうちの1つである(もう1つは山口県岩国市の錦帯橋とのこと)。しかしながら我々がここに行った目的は,猿橋が東方風神録の3面道中の背景になっているからであった。実際に猿橋から見る桂川の渓流は恐ろしく綺麗で,紅葉の時期なら死ぬほどの絶景と言っても過言ではないと容易に想像できた。ここは必ずもう一度来よう。
東方風神録の三面こと猿橋に来た。秋に来たら幻想郷に迷いこんだと思える絶景になるのは容易に想像できた。 pic.twitter.com/n0EepPpZs7
— DG-Law/稲田義智 (@nix_in_desertis) April 17, 2022
岩殿山 / 稲田義智さんの天神山(山梨県大月市)・岩殿山(山梨県大月市)・丸山(山梨県大月市)の活動データ | YAMAP / ヤマップ
No.30 高水三山
〔標高〕793m(岩茸石山)
〔標高差〕約550m(軍畑駅から)
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕16巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2A
奥多摩入門編として名高い高水三山。序盤はすすきの野原,中盤以降はずっと杉林が続く典型的な奥多摩の山で,眺望も山頂以外はあまり無い。じゃあ何が楽しいのかというと,3つのピークをくくっているだけあって稜線歩きが長く,稜線歩きはまあまあ気持ちいい。整備が極めて行き届いていて,多少の急登と木の根道があって転倒するリスクはあるにせよ,命の危険は全くない。トイレや水場も多い。奥多摩の山としては比較的”手前”の立地で,御岳山と並んで行きやすい。ついでに奥多摩名物,突然出てくる鉄塔や小さな寺社仏閣が存在しているのも奥多摩入門編らしさがある。もろもろを考慮すると,確かに安全にトレッキングができて高尾山や筑波山よりは骨がある絶妙なチョイスになる。かく言う私も高尾山の次に登ったのがここだった。コースタイムは5時間弱で少し長く,本当に初心者だけで行く場合はそこだけ注意が必要か。あとは人気の山なのと他の山と縦走しやすい立地もあって,天気が良ければ常に混雑している印象。
『ヤマノススメ』では16巻に登場し,あおいとほのかが2人で登頂。双眼鏡を持ってきて山頂から東京方面を眺めていたが,次の話から富士山登頂が始まってしまうので非常に印象が薄い。なんというか,登らせるタイミングを見失って無理やりここに入れた雰囲気が漂う。人気の山なのに扱いがぞんざいであるが,実際に私自身も登った印象が薄い。繰り返しになるが,奥高尾縦走路以外の奥多摩に登ったことがないくらいの人なら入門編的に挑んでみてもいいだろうが,そうでないなら特にお勧めしない。
棒ノ折山から高水三山への縦走-2023-06-18 / 稲田義智さんの岩茸石山・棒ノ折山(棒ノ嶺)・逆川ノ丸の活動データ | YAMAP / ヤマップ
Posted by dg_law at 19:30│Comments(0)