2022年08月06日
早稲田大・文学部&文化構想学部・世界史の入試問題で掲載された西洋美術作品リスト
<序>
大学受験では,大学・学部・日程ごとの傾向をつかむことが重要とされ,こと世界史においてそれは記号選択や論述の量といった出題形式と,出題される時代・地域・分野の偏りと解される。中世・近世ヨーロッパ史の出題が確実にある一橋大や,中国史の出題割合が高い名古屋大や立命館大などがその代表例であろう。その中で今回クローズアップするのは,早稲田大の文化構想学部・文学部では西洋美術史を扱った出題が必ず存在し,多くの作品の図版が掲載されるという点である。しかも,ほぼ必ず最後の大問にまとまって置かれているところまで定型で,これは極めて特徴的である。文化史の出題が多い傾向を持つ入試問題自体がさほど多くない中,さらに細分化された西洋美術史から必ず出題されるというのは類例を見ない。文学部に進む者は中国思想を志そうが社会学を志そうが西洋美術史は必ずたしなんでおくべしという強い意識が見られる。なお,例のモノクロで青磁・白磁を判別させる問題が出たことがあるように,東洋美術史の作品掲載も無いわけではないが,数年に一度程度であり,西洋美術史に比べると格段に出題頻度が劣る。早稲田大の文化構想学部・文学部の入試問題において西洋美術史は特権的な地位を占めている。
そこで,完全な興味本位で本稿は入試問題で掲載されている西洋美術史の作品をリストアップしてみることにした。注意点として,本稿は実際の問題を分析しているわけではない。たとえば2022年の入試問題では《ヴィーナスの誕生》の作品名が問われているが,これはボッティチェッリという作者名のみがヒントで,《ヴィーナスの誕生》の図版は掲載されていない。本稿ではこうした文字のみの出題をカウントしていない。こういうのまでカウントして「〇〇が出やすい!」という分析をするのは高校教員や予備校講師の皆様の仕事なのでそちらに譲りたく,本稿の目的ではない。また,受験生が本リストを暗記するのは推奨しない。たとえば,このリストにはテオドール=ルソーやプッサンの名前が登場するが,これらは直接出題されたわけではなく,関連して別の画家や様式が問われている。つまり,彼らを知らなくても解答に支障がない。とはいえ,掲載されている作品の時代・地域・様式に関連した出題が多く,明確な相関関係があるので,本リストが受験対策として役立たないわけではない。大雑把な傾向をつかむことはできよう。
<調査対象とリスト>
調査期間について。早稲田大学の文学部系統は長く第一文学部と第二文学部であったが,実はどちらも地歴で受験ができなかった。2003年に第一文学部で小論文に代わって世界史または日本史が課せられるようになった。また2007年に組織改編があって第二文学部が廃止となり,文学部と文化構想学部の二学部体制となって,どちらの学部も世界史または日本史が必須となった。このため調査範囲は2003年以降の(第一)文学部と,2007年以降の文化構想学部になる。したがって全20年間・36日程分である。直近5年以内の掲載のものは赤色,第一文学部時代の掲載は緑色,残った2007-17年の掲載は黒色とした。例によって,livedoorブログの設定の都合でExcelの表を直接貼り付けられないので,文字データがほしい人のために,はてなブログの方にもリストを貼っておく。様式分類などは半ば便宜上そうした画家もいるので,「なんでマネが印象派なんだよぶっ◯すぞ」というような文句はご容赦いただきたい。それも含めて趣味的なまとめである点はご理解いただけると幸いである。良い絵がいっぱい載ってるなーという感じで読んでほしい。
以下のリストを見てもらえばわかる通り,緑色がほとんどなく,つまり第一文学部時代は作品を掲載する傾向は無く,文学部・文化構想学部体制になってから生まれたということがわかる。また,赤字になっている作品が多いことから推測できるように,実は作品を大量に掲載するようになったのは2017年度以降である。最後の大問で西洋美術史の作品を載せる伝統自体は15年ほどの伝統があるものの,直近6年ほどで傾向が少し強まったと言えるかもしれない。
<分析と感想>
ぱっと見でイタリア=ルネサンス・17世紀オランダ美術・印象派・キュビスムの4つが圧倒して多い。このうちキュビスム以外は教科書上の扱いも比較的大きく,他大学でも出るから不思議ではないが,キュビスムは完全に「傾向」と言える。この4つの中でも印象派作品の掲載は目立ち,ポスト印象派も含めると36日程で21枚の掲載で,特に直近5年は文学部か文化構想学部のどちらかで必ず(ポスト)印象派が掲載されている。適当な(ポスト)印象派の絵画が見たければ,文学部・文化構想学部の問題冊子の最後のページを開けばよさそうだ。
画家別に言えば,最多はマネの8枚,次点がピカソとミケランジェロの6枚である。ビザンツ様式から6枚掲載されているのもかなり多い。作品別で見ると3枚が最高で複数の作品が該当する。6枚掲載のミケランジェロが《アダムの創造》と《ダヴィデ像》に偏っていることに注目に値する。教科書的によく載っているのは《最後の審判》であるが,易しすぎるから避けられているのだろうか。同様にピカソも教科書的には《ゲルニカ》しか習わないが,4作品掲載と散っている。これも《ゲルニカ》は易しすぎるという判断だろうか。
8枚登場のマネは《笛を吹く少年》が3枚とやや多いのが面白い。もちろん《笛を吹く少年》もマネの代表作であるが,美術史上でより重要なのは《草上の昼食》と《オランピア》である。まあ,マネの場合は以前論じたような状況であるので,美術史上の重要性に比してどの作品も大して教科書や資料集に載っていないから,何を載せても大差は無いのだが……それにしても,《モニエ通りの舗装工事》のようなマイナーな作品を用いているのは相当に出題者のこだわりが現れている。実際の入試問題を解いてみると《モニエ通りの舗装工事》はパリ市大改造を行ったセーヌ県知事「オスマン」を問うための素材で,実際の出題は西洋美術史に全くかかわっていないから,本当に載せたかっただけなのではと思う。(なお,作問者と思しき方が『CE建設業界』という日本土木工業協会の機関誌の連載記事で《モニエ通りの舗装工事》を取り上げていたのを見つけたので,かなり強い思い入れがありそう。)
逆に明らかに少ないのが18世紀末から19世紀半ばの美術,新古典主義・ロマン主義・写実主義・自然主義あたりである。私もリストアップしてみて,ダヴィド・アングル・クールベが36日程で各1枚しか掲載されていなかったことに驚いた。写実主義・自然主義は印象派からすると隣接する様式であるから,余計に少なさが目立つ。
美術史学やそれに類する研究室にいる教員の専門分野は,早稲田大のホームページを見ればわかる。彼らの専門分野を総合すると,ビザンツ美術,ロマネスク美術〜バロック期のイタリア美術,印象派〜20世紀美術というところになる。ここから考えるとイタリア=ルネサンス,印象派,キュビスムの掲載が多いのは当然で,ビザンツ様式が多いのも納得がいく。一方, 17世紀オランダ美術の掲載が多いのは教員の専門分野と全く重ならない面白い現象である。美術史上の重要性から言えば別におかしくはないとはいえ,その理屈だと新古典主義〜自然主義が少ない理由に説明がつかない。教員のどなたかが「専門分野ではないけど大好き」だったりするのだろうか。
最後に,その他に個別に興味深い作品を取り上げておく。まず,古代ギリシアの《エルギン=マーブル》。これは2022年に出題され,例の企画で難問に分類した。この他に,教科書・資料集にあまり載っていない作品を直接出題したために難問判定が下されたのはベラスケスの《ブレダの開城》で,2012年の出題。これは作品を知らないとベラスケスかルーベンスかの判断は不可能だろう。とはいえ作品がマイナーすぎて難問になったのはこれらと後述するコルビュジェの合わせて3つだけで,この特徴的な西洋美術史の出題からの難問は比較的少ないと言える。アンドレイ=ルブリョフは15世紀前半に活躍したロシアの代表的なイコン画家であるが,タルコフスキーが映画化したことの方が有名かもしれない。
ユディト=レイステルは17世紀のオランダで活躍した女性画家で,2022年の問題に登場した。この年の文化構想学部のこの大問のテーマが女性画家であったためで,ヴィジェ・ルブランとベルト=モリゾも同様に2022年である。この大問は解いていて面白かったので,またこういう出題を期待したい。なお,ユディト=レイステルの作品は2018年の上野の森美術館のフェルメール展で来日しているので,本ブログの読者でも見たことがある人が意外と多いのではないか。ロマン主義の掲載が少ないのは前述の通りだが,にもかかわらずカスパー=ダーヴィト=フリードリヒが出ているのはちょっと嬉しい。2021年の文化構想学部の掲載で,出題は「この画家は文学史上のハイネと同じ様式に分類されている」というヒント付でロマン主義を問うものであった。言うまでもなくフリードリヒ単体では範囲外なので,詩人ハイネのヒントがなければ難問であった。《雲海を見下ろす散策者(雲海の上の旅人)》は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のパッケージ絵のアレ。
ディエゴ=リベラはメキシコ壁画運動の画家で,受験世界史ではシケイロスの方が見るから非常に珍しい。メキシコ壁画運動は以前は範囲外だったのだが,慶應大があまりにもシケイロスを出題したために教科書に掲載されるようになり,範囲内になってしまった。このディエゴ=リベラが出題された時も「ディエゴ=リベラやシケイロスが壁画運動を展開した国はどこか」という出題であった。岡本太郎が2018年の文学部,ディエゴ=リベラが2019年の文化構想学部の掲載なので,この2年間は早稲田大の一部で局所的なメキシコ壁画運動ブームだったのだろう。コルビュジェは2017年の出題で,2016年に国立西洋美術館が世界遺産になったことを受けての時事問題である。厳密に言えば範囲外だと思われるが,時事ネタだからセーフにするかどうか悩み,結局収録にしたという経緯があったのを覚えている。正答率がどの程度だったかは今でも気になっている。
大学受験では,大学・学部・日程ごとの傾向をつかむことが重要とされ,こと世界史においてそれは記号選択や論述の量といった出題形式と,出題される時代・地域・分野の偏りと解される。中世・近世ヨーロッパ史の出題が確実にある一橋大や,中国史の出題割合が高い名古屋大や立命館大などがその代表例であろう。その中で今回クローズアップするのは,早稲田大の文化構想学部・文学部では西洋美術史を扱った出題が必ず存在し,多くの作品の図版が掲載されるという点である。しかも,ほぼ必ず最後の大問にまとまって置かれているところまで定型で,これは極めて特徴的である。文化史の出題が多い傾向を持つ入試問題自体がさほど多くない中,さらに細分化された西洋美術史から必ず出題されるというのは類例を見ない。文学部に進む者は中国思想を志そうが社会学を志そうが西洋美術史は必ずたしなんでおくべしという強い意識が見られる。なお,例のモノクロで青磁・白磁を判別させる問題が出たことがあるように,東洋美術史の作品掲載も無いわけではないが,数年に一度程度であり,西洋美術史に比べると格段に出題頻度が劣る。早稲田大の文化構想学部・文学部の入試問題において西洋美術史は特権的な地位を占めている。
そこで,完全な興味本位で本稿は入試問題で掲載されている西洋美術史の作品をリストアップしてみることにした。注意点として,本稿は実際の問題を分析しているわけではない。たとえば2022年の入試問題では《ヴィーナスの誕生》の作品名が問われているが,これはボッティチェッリという作者名のみがヒントで,《ヴィーナスの誕生》の図版は掲載されていない。本稿ではこうした文字のみの出題をカウントしていない。こういうのまでカウントして「〇〇が出やすい!」という分析をするのは高校教員や予備校講師の皆様の仕事なのでそちらに譲りたく,本稿の目的ではない。また,受験生が本リストを暗記するのは推奨しない。たとえば,このリストにはテオドール=ルソーやプッサンの名前が登場するが,これらは直接出題されたわけではなく,関連して別の画家や様式が問われている。つまり,彼らを知らなくても解答に支障がない。とはいえ,掲載されている作品の時代・地域・様式に関連した出題が多く,明確な相関関係があるので,本リストが受験対策として役立たないわけではない。大雑把な傾向をつかむことはできよう。
<調査対象とリスト>
調査期間について。早稲田大学の文学部系統は長く第一文学部と第二文学部であったが,実はどちらも地歴で受験ができなかった。2003年に第一文学部で小論文に代わって世界史または日本史が課せられるようになった。また2007年に組織改編があって第二文学部が廃止となり,文学部と文化構想学部の二学部体制となって,どちらの学部も世界史または日本史が必須となった。このため調査範囲は2003年以降の(第一)文学部と,2007年以降の文化構想学部になる。したがって全20年間・36日程分である。直近5年以内の掲載のものは赤色,第一文学部時代の掲載は緑色,残った2007-17年の掲載は黒色とした。例によって,livedoorブログの設定の都合でExcelの表を直接貼り付けられないので,文字データがほしい人のために,はてなブログの方にもリストを貼っておく。様式分類などは半ば便宜上そうした画家もいるので,「なんでマネが印象派なんだよぶっ◯すぞ」というような文句はご容赦いただきたい。それも含めて趣味的なまとめである点はご理解いただけると幸いである。良い絵がいっぱい載ってるなーという感じで読んでほしい。
以下のリストを見てもらえばわかる通り,緑色がほとんどなく,つまり第一文学部時代は作品を掲載する傾向は無く,文学部・文化構想学部体制になってから生まれたということがわかる。また,赤字になっている作品が多いことから推測できるように,実は作品を大量に掲載するようになったのは2017年度以降である。最後の大問で西洋美術史の作品を載せる伝統自体は15年ほどの伝統があるものの,直近6年ほどで傾向が少し強まったと言えるかもしれない。
<分析と感想>
ぱっと見でイタリア=ルネサンス・17世紀オランダ美術・印象派・キュビスムの4つが圧倒して多い。このうちキュビスム以外は教科書上の扱いも比較的大きく,他大学でも出るから不思議ではないが,キュビスムは完全に「傾向」と言える。この4つの中でも印象派作品の掲載は目立ち,ポスト印象派も含めると36日程で21枚の掲載で,特に直近5年は文学部か文化構想学部のどちらかで必ず(ポスト)印象派が掲載されている。適当な(ポスト)印象派の絵画が見たければ,文学部・文化構想学部の問題冊子の最後のページを開けばよさそうだ。
画家別に言えば,最多はマネの8枚,次点がピカソとミケランジェロの6枚である。ビザンツ様式から6枚掲載されているのもかなり多い。作品別で見ると3枚が最高で複数の作品が該当する。6枚掲載のミケランジェロが《アダムの創造》と《ダヴィデ像》に偏っていることに注目に値する。教科書的によく載っているのは《最後の審判》であるが,易しすぎるから避けられているのだろうか。同様にピカソも教科書的には《ゲルニカ》しか習わないが,4作品掲載と散っている。これも《ゲルニカ》は易しすぎるという判断だろうか。
8枚登場のマネは《笛を吹く少年》が3枚とやや多いのが面白い。もちろん《笛を吹く少年》もマネの代表作であるが,美術史上でより重要なのは《草上の昼食》と《オランピア》である。まあ,マネの場合は以前論じたような状況であるので,美術史上の重要性に比してどの作品も大して教科書や資料集に載っていないから,何を載せても大差は無いのだが……それにしても,《モニエ通りの舗装工事》のようなマイナーな作品を用いているのは相当に出題者のこだわりが現れている。実際の入試問題を解いてみると《モニエ通りの舗装工事》はパリ市大改造を行ったセーヌ県知事「オスマン」を問うための素材で,実際の出題は西洋美術史に全くかかわっていないから,本当に載せたかっただけなのではと思う。(なお,作問者と思しき方が『CE建設業界』という日本土木工業協会の機関誌の連載記事で《モニエ通りの舗装工事》を取り上げていたのを見つけたので,かなり強い思い入れがありそう。)
逆に明らかに少ないのが18世紀末から19世紀半ばの美術,新古典主義・ロマン主義・写実主義・自然主義あたりである。私もリストアップしてみて,ダヴィド・アングル・クールベが36日程で各1枚しか掲載されていなかったことに驚いた。写実主義・自然主義は印象派からすると隣接する様式であるから,余計に少なさが目立つ。
美術史学やそれに類する研究室にいる教員の専門分野は,早稲田大のホームページを見ればわかる。彼らの専門分野を総合すると,ビザンツ美術,ロマネスク美術〜バロック期のイタリア美術,印象派〜20世紀美術というところになる。ここから考えるとイタリア=ルネサンス,印象派,キュビスムの掲載が多いのは当然で,ビザンツ様式が多いのも納得がいく。一方, 17世紀オランダ美術の掲載が多いのは教員の専門分野と全く重ならない面白い現象である。美術史上の重要性から言えば別におかしくはないとはいえ,その理屈だと新古典主義〜自然主義が少ない理由に説明がつかない。教員のどなたかが「専門分野ではないけど大好き」だったりするのだろうか。
最後に,その他に個別に興味深い作品を取り上げておく。まず,古代ギリシアの《エルギン=マーブル》。これは2022年に出題され,例の企画で難問に分類した。この他に,教科書・資料集にあまり載っていない作品を直接出題したために難問判定が下されたのはベラスケスの《ブレダの開城》で,2012年の出題。これは作品を知らないとベラスケスかルーベンスかの判断は不可能だろう。とはいえ作品がマイナーすぎて難問になったのはこれらと後述するコルビュジェの合わせて3つだけで,この特徴的な西洋美術史の出題からの難問は比較的少ないと言える。アンドレイ=ルブリョフは15世紀前半に活躍したロシアの代表的なイコン画家であるが,タルコフスキーが映画化したことの方が有名かもしれない。
ユディト=レイステルは17世紀のオランダで活躍した女性画家で,2022年の問題に登場した。この年の文化構想学部のこの大問のテーマが女性画家であったためで,ヴィジェ・ルブランとベルト=モリゾも同様に2022年である。この大問は解いていて面白かったので,またこういう出題を期待したい。なお,ユディト=レイステルの作品は2018年の上野の森美術館のフェルメール展で来日しているので,本ブログの読者でも見たことがある人が意外と多いのではないか。ロマン主義の掲載が少ないのは前述の通りだが,にもかかわらずカスパー=ダーヴィト=フリードリヒが出ているのはちょっと嬉しい。2021年の文化構想学部の掲載で,出題は「この画家は文学史上のハイネと同じ様式に分類されている」というヒント付でロマン主義を問うものであった。言うまでもなくフリードリヒ単体では範囲外なので,詩人ハイネのヒントがなければ難問であった。《雲海を見下ろす散策者(雲海の上の旅人)》は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のパッケージ絵のアレ。
ディエゴ=リベラはメキシコ壁画運動の画家で,受験世界史ではシケイロスの方が見るから非常に珍しい。メキシコ壁画運動は以前は範囲外だったのだが,慶應大があまりにもシケイロスを出題したために教科書に掲載されるようになり,範囲内になってしまった。このディエゴ=リベラが出題された時も「ディエゴ=リベラやシケイロスが壁画運動を展開した国はどこか」という出題であった。岡本太郎が2018年の文学部,ディエゴ=リベラが2019年の文化構想学部の掲載なので,この2年間は早稲田大の一部で局所的なメキシコ壁画運動ブームだったのだろう。コルビュジェは2017年の出題で,2016年に国立西洋美術館が世界遺産になったことを受けての時事問題である。厳密に言えば範囲外だと思われるが,時事ネタだからセーフにするかどうか悩み,結局収録にしたという経緯があったのを覚えている。正答率がどの程度だったかは今でも気になっている。
Posted by dg_law at 21:31│Comments(2)
この記事へのコメント
お疲れ様です。ル・コルビュジエですが、時事問題でも難問だとは思います。
私の知ってる人達は殆ど解けてませんでしたね。
私の知ってる人達は殆ど解けてませんでしたね。
Posted by 名無し at 2022年08月11日 14:42
やっぱりそうですよね。難問に認定にしたのは間違いではなかったようです。
Posted by DG-Law at 2022年08月15日 23:51