2022年12月30日

2022年の視聴アニメの感想

半ば自分用の備忘録。感想コメントをつけられるものはつけ,何も思い浮かばなかったものは作品タイトルだけ。全般的にネタバレは回避していない。

<冬>
『その着せ替え人形は恋をする』
今年面白かったアニメ4位。奇しくも『ぼっち・ざ・ろっく!』とは,引っ込み思案で能力を発揮できていない・知られていない主人公(ついでに言うと容姿への自己評価が低すぎる)が表舞台に出ていって,次第に周囲に認められて……という点で共通していた。あちらはぼっちちゃんが相当歪んでいるのに対し(悪い子ではないんだけども),こちらは五条くんがめちゃくちゃいい子で,海夢ともども応援したくなる。3話くらいまで見たところで,なるほど惚れちゃうのは海夢の側と気付き,作品名を見て得心する。男が先に惚れるのだろうという読者心理を活かした良い仕掛け。おみそれしました。

アニメが始まった当初に「エロゲが好きな女子高生って実在するんか」というリアリティラインの問題がちょっと私のTLで話題になったりもしたが,それも含めて嗜好のマイノリティがそれを表に出して何が悪いという方向を突き詰めていくのが本作であるので,作品最初期のフックとしてはあれで正解だったのだろう。問題は現実世界のエロゲ業界がそこまでの元気がないことにあるかもしれない……(自分の昨今のプレイ本数を棚に上げているので私も心苦しい)。原作も最新刊まで読んだが,これは文化祭編があまりにも熱くて良きなので2期にも期待したい。そういえば,原作が強いから絶対当たると確信して最初から制作資源をつぎ込んでいたらしいところも『ぼざろ』と共通していたかも。




『平家物語』
今年面白かったアニメ3位。アニメ化に800年かかったやつ。和風の画風,重要な場面で差し込まれる原作の詠唱など,商業作品というよりも芸術作品としての面が強い作品であったが,間違いなく面白かった。敗者の悲哀を内側から描きつつ,かつ自らは敗者ではなく,かつ物語の語り手で,かつ視聴者が結末を知っていることにもシンクロさせなくてはいけない……という非常に絶妙かつ面倒な配役に,オジリナルの登場人物びわを置いたことで本作は傑作となった。本作は何よりもそのびわ役,悠木碧の熱演が最も称賛されるべきで,何度ももらい泣きさせられた。確かに平家は悪をなしたかもしれない。しかし,その悪にさして加担していたわけではない人々にとっては,単にパワーゲームに敗れた悲運・悲劇に見舞われるのみである。しかも悪をなした張本人は病死し,周囲はそれが悪であったことも理解していて,報いを受けるターンが回ってきてしまったこともわかっているから,平家の何人かは諦めの境地に立っていて余計に悲劇性が増す。傍観者のびわは,鎮魂の祈りを捧げるために「平家物語」を語り継ぐ,と原作に戻る最終回は極めて美しい。

あとは本作の放映時期がちょうど大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の治承・寿永の乱を描く時期と重なっていて,視聴者層が重なっていたこともあり,それぞれの登場人物の描写が比較されていたのが面白かった。比較的『平家物語』は古典的な解釈が多かったのに対し,大河ドラマは斬新なキャラ付けが多かったように思う。その中で源頼朝だけは同じようなキャラだったので「解釈一致」とか言われていた。また,大河ドラマの源氏方の雰囲気が悪かったこと,対比的に『平家物語』側の平家の雰囲気が良かったことで,平家を応援してしまう視聴者が多かったのは笑ってしまった。


『薔薇王の葬列』
リチャード3世が実は身体的女性の性的マイノリティだった,という基本設定のほか,いろいろなぶっ飛び設定と展開で突き進んでいった……と書くと印象が悪いが,実際にこれはこういうものと思って見ると意外と面白かった。原作(シェイクスピアの『リチャード3世』)や原作の原作(史実)から捻じ曲げられそうな限界のラインで反復横跳びしているので,「これをやりたいならもうオリジナルでやれよ」のラインも同様に超えそうで超えていない。「リチャード3世って実子いるよな,どうすんだろ」というように生じた矛盾を他の創作で補っていく。先に史実が知られているからこそ視聴者に推測させての展開ができる。

そして思っていたよりも無理なく着地したので楽しめた。また,本作は女性向けコンテンツであり,私が普段見ないジャンルであるから,「なるほど,男性向けなら史実をこう捻じ曲げるところ,女性向けだとこう改変するのか」という新鮮な驚きがあったという意味でもけっこう面白く,完走できたところがある。ただ,2クール目に顕著だったが止め絵が多く,さすがにこれはアニメーションではなく紙芝居ではないかという回が多かったのは少し残念である。原作ファンからの「止め絵にしたって原作のこのシーンはもっと美麗なんだよ」という嘆きは頻繁に見られた。予算がなさすぎたか。止め絵を豪華な声優陣の熱演でもたせたところはあり,円盤の売上が期待できるコンテンツでも無さそうで,予算を削るのはもう作画しかなかったのかもしれない。ニコニコのコメントで「作画崩壊よりも紙芝居の方がマシ」と書かれていて,それには同意。




『ハコヅメ』
『鬼滅の刃 遊郭編』

『明日ちゃんのセーラー服』
3話で止まってる。『Birdie Wing』が消化できたら続きを見ようかなという状況。


<春>
『まちカドまぞく』2期
2期でもやっぱり思わせぶるだけ思わせぶっておいて無自覚なのでやっぱりシャミ子が悪い。ネットミームでしょ? と思わせておいて多くの視聴者にこれはネットミームが正しいと思わせる展開,物語が強いとしか言いようがない。しかしまあ何よりも原作がちゃんと完結するまで原作者の体力が持つのかどうかは心配でしょうがない……

『SPY×FAMILY』
2クール目も含めてウェルメイドな人気作で,面白かったけど,面白かった止まりという感じも。コメディとシリアスの両面がある作品ではあるのだが,両立させているというよりも不思議に混ざっているというところがあって,個人的な感覚としてはちょっと割り切れないレベルでリアリティラインが混乱している印象を受けてしまい,世間的な人気に比べると楽しめていないかもしれない。あとは話のペースがゆっくりしすぎているのが気になっている。絶対に人気が出る作品であるから原作を食いつぶさないようにしたいという意図はわかるが,もっとテンポよく進めてほしかったところ。1クール目のうちにボンドを飼うところまで進むと思っていた。

『Birdie Wing』
未視聴。今のところ,余裕ができたら見たいアニメ候補1位(2位は『明日ちゃん』,3位が『オッドタクシー』)。2023冬は多少見る本数が少なさそうだから,そこでなんとか。


<夏>
『Engage Kiss』
丸戸史明が脚本やるなら見るか,と思って見始めたら1話がつまらなくて困った作品。しかし,尻上がりに面白くなっていって,結果的にけっこう楽しめた。丸戸史明さんは序盤に説明を端折りすぎで導入が下手なのとアクション描写が不得意。前者は『冴えカノ』でも同じことをやっている。エロゲ時代はそうでもなかったと思うのだが,ラノベやアニメは勝手が違うのか。後者は必ずしも丸戸のせいではないのかもしれないが,いずれにせよバトル描写は最後まで微妙だった。丸戸にこういう感じのバトル物を書かせるなら,周りがもうちょっと補助してほしかった。

一方で丸戸史明作品の良さもよく現れていたのが本作である。三角関係・ヤンデレ・不器用な大人の女性・あばずれと一通り出てきて,特に不器用な大人枠の綾乃さんの立ち居振る舞いは毎話笑ってしまった。どれだけ類例を見てきていても飽きない,この丸戸の持ち味よ。キサラの設定も見事で,丸戸の得意な感情のすれ違いを,記憶の授受と絡めるとは。最終話に向けて不幸に不幸を重ねる展開にドライブがかかり,焦げ付きそうな摩擦熱を帯びた感情のすれ違いは,最終話で一転してコメディと化し爆発オチとして昇華した。こういうものを読ませてくれる・見せてくれるから,クリエーター丸戸はこれからも追っていくしかない。




『リコリス・リコイル』
はい,評価に困るやつ。『SPY×FAMILY』とは別の理由ながら近い評価で,間違いなくウェルメイドで面白かったのだけど,心の底から楽しんだかと言われるとそこまででもない。散々指摘されているところであるがリアリティラインがズタズタで,その原因も明確である。見せたいシーンと見せたい話が先に来ていて,それを取りまとめるための設定を緻密にする作業を放棄しているためだ。だから個々のシーンの美しさや人間関係の妙だけ見ると気にならないのだけど,12話つなげて作品として評価しようとすると,素直に評価できず,ちょっと待ってくれというノイズが表出してくる。ここで鈍感力を発揮してあげるだけの義理が本作には無い。twitterで「設定や世界観が使い捨て,二次創作的」と評している人がいて,言い得て妙である。

ともあれ,制作陣が見せたいと思っていたであろうシーンが本当にきっちりと美しかったこともあり,「ちさたき」の破壊力がすさまじく,絵師受けが良かったのは素直に嬉しいところで,少なくとも私の周囲では二次創作の質・量ともに2022年最大のヒット作だったことは疑いえない(『ぼざろ』が猛追したけど)。pixivとtwitterに流れてくる二次創作絵の収集がライフワークになっている私にとっては嬉しい悲鳴という状況であった。放映が終わってもう三ヶ月経つのにいまだもって二次創作絵が流れてくるオリジナルアニメはそんなに無い。かく言う私も,正直なところ「個々のシーンの美しさがあれだけあったのだから,ここまで来ると作品としてのまとまって無さも,もはや一つの”味”なのではないか」と考えが変わりつつあり,そのちらかり具合もだんだん愛おしくなってきた。同じような感覚になったアニメとしては非常に古いが『SAMURAI DEEPER KYO』がある。

ラスボスの真島との対決もまさにこれで,千束の「不殺の誓い」という,制作者がやりたかったのであろう設定がどうにも物語の駆動には枷になっていて,二律背反のような状況だった。にもかかわらず殺さないと止まらなさそうな真島をラスボスに持ってきてしまい,しかしこれをちゃんと終わらせられたら上記の評価は撤回できるだろう……と思って最終回を視聴していたら真島が生存していて不思議に安心した。志々雄を自己発熱で殺した『るろ剣』,最終的に狡噛に槙島を殺させた『サイコパス』はちゃんとしていた。でも,『リコリコ』はこれで良かったのではないかと最近は思っている。映画好きで千束と妙に気が合ってしまう彼は,あれはあれでキャラが立っていた。千束との再会という1シーンだけ考えれば生存は正解ということになりそう。あー,あとtwitterで流れてきた「百合に挟まっても殺されない(うざくない)男としてエポックメイキング」という意見には割りと同意する。

あと,エンディングの「花の塔」は名曲。歌詞がたきなから千束へのメッセージになっていて,できれば2番まで聞いてほしい。そう,こういうところではあまりにも光っているのが『リコリコ』という作品なのだ。




『夜は猫といっしょ』
1週間に1分半の癒やしの時間。原作含めて,本作ほど飼い猫の生態描写がリアルな作品はなかなか無い。細かいところで飼い猫あるあるに溢れている。

『よふかしのうた』
『それでも歩は寄せてくる』


<秋>
『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』
学校かと思いきや刑務所やんけという出オチで爆笑してしまったので,もう私の負けでいい。今クールもやりたい放題,人類は愚かでモルカーはかわいい,交通法規は守ろうねと毎週3分間,楽しませてもらった。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
未完結なのでまだ感想を言うには早いが(分割2クールなので終わりは遠い),とりあえず女性主人公,百合テイスト強めのガンダムが来るとは思っていなかったし,サブキャラの配置を見てもいろいろと現代風で,これをガンダムがやる意義については感謝したい。学園物であることとガンダムらしい背景の暗さが意外と抵抗なく融合しているのも良い。

『聖剣伝説 Legend of Mana』
序盤は調子良く,ゲームで描写しきれていなかった部分を上手く補完しながら進んでいた。原作のゲームが説明不足であり,アルティマニアでしか説明されていないものも多かったので,それらが本編に織り込まれたのは原作ファンが見たかったものを見せてくれたと言えよう。翻って後半は,そのまま進んでいけばいいものを,無理に女性主人公(アニメ中での名前はセラフィナ)を物語に介入させようとした結果,話の展開が原作から大きく外れていった。バトル描写が稚拙で,かつ原作通りの箇所でボスを登場させなかったのもまずかった。バトルはどうせだから主人公に片手剣の必殺技を多く打たせることはできなかったのだろうか。使う必殺技がだんだん強くなっていく描写でもあれば満足感は高かったのだが……ジュエルビーストをダイナマイトXでバラバラにするところとか,最後に宝石王に黄龍をぶっ放すところとかが視聴者の見たかったものではないか。

セラフィナが実はサンドラの協力者だったという設定も微妙である。LOMのメインストーリーのうち宝石泥棒編とエスカデ編はどちらも敵にも一理ある設定だから,主人公のうち片側を敵につかせてもよいだろうという発想はわからなくもない。とはいえ宝石泥棒編で主人公の一人をサンドラ側につかせるためには大幅な設定・物語の変更が必要で,その変更が困難であり,実際にかなり不自然になってしまった。主人公が二人いるのだから正義を相対化させたいならエスカデ編といううってつけの材料があるのに,それを使わず宝石泥棒編でやったのは失態と言っていい。本作でどうしても男女主人公を対立させたいなら,セラフィナはレディパールの旧友・協力者にするのが穏当だったのではないか。明確なラスボスが登場しなかったのも不完全燃焼に終わってしまった原因であろう。宝石泥棒編が商業的に上手くいけばエスカデ編やドラゴンキラー編のアニメ化もあるかなと思ったが,このままでは無理そうか。


『ヤマノススメ Next Summit』
今年面白かったアニメ2位。原作では比較的薄味(これはこれで悪くない)の人間関係の描写を,行間を埋めていく形で大幅に追記して濃くするというのはきらら系やCGDCT作品の王道としてすでに定着していると思う。『ヤマノススメ』もその典型であるが,いかんせん放送時間が短かったのが1・2期で,やっと3期になって成功した。そういった経緯だったから総集編という名のリメイクを行って完璧を期したかったのだろう。4期の冒頭4話を1〜3期の総集編にしてしまうのは勇気のあるチャレンジだったと思うし,その弊害として12話がちょっと駆け足になってしまったのではあるが,意図は十分に伝わってきた。4期だけ見ればよいというように人にも勧めやすくなったのもある。

この4期の白眉は各話のエンディングである。吉成鋼氏による一人原画の止め絵が流れるED映像は,氏の温かみのある絵柄,セリフが無いからこその情感,ED曲の「扉を開けてベルを鳴らそう」のゆったりとした盛り上げ方が相まって,異常なまでにエモい仕上がりになっている。物語が本編の裏話的なものになっている,5話の雪村恵(あおいの母)視点,7話のかすみさん視点は90秒で泣かせにきていて素晴らしい。8話の原作でもあまり接点がないあおいとほのかに二人旅をさせた回や,ファンの間で流行しているここな天狗説を思いっきりいじりに行った9話の鋸山も好きだ。

そうやって登山そのもののごとく文脈を積み重ねて歩いていって,万感の思いで迎える最終話,富士山へのリベンジ。こちらも感無量である。最後まで「あおひな」は尊かった。

あとは,私は登山を始めたのが2期と3期の間で,1・2期は3期が始まる前に駆け足で見て追いついた形だった。私が登山を始めたのは寺社仏閣巡りの延長線上と散歩の延長線上という意味合いが強くて,『ヤマノススメ』聖地巡礼を本格的にこりだしたのは3期が終わってからであった。これらの理由のため3期放送開始時点ではまだ登った山の数が少なく,後追いでの聖地巡礼が多かった。それに対して今期は,聖地巡礼仲間にも恵まれて,先回って登っていた山がほとんどであったから,いわゆる「解像度」が高い状態で,あおいたちに難所や眺望を重ね合わせて視聴することができた。登場人物たちと苦労や感動を共有できるのはこれほど楽しいのかと再確認させられた。これぞ聖地巡礼の最大の醍醐味であり,本作は聖地巡礼の意味が極めて深い。




『ぼっち・ざ・ろっく!』
今年面白かったアニメ1位。基本設計は『ヤマノススメ』のアニメ化同様,原作の行間をこれでもかというほど分厚くして人間関係を描写する形で,これが非常に上手くいっている。しかし,本作の強みはテーマが音楽であることそのもので,あまりにも提供された楽曲の質が高く,あわせてライブシーンの出来も最高としか言いようがない。

いろいろな切り口がある作品ではあれ,『ぼっち・ざ・ろっく!』という作品は,努力の方向音痴が,実はその努力の方向が間違っていなかったことが示されて居場所が与えられ,救済される話というのが私の理解である。やはり『着せ恋』との比較が適当で,あちらは五条くんの努力は至極まっとうなものであり,加えて五条くんは高校生の社会に打ち解けたいという積極的な欲望があったわけではない。偶然にもその能力がコスプレ衣装制作にも転用でき,それがきっかけで道が開けたというところがミソで,五条くんは引っ込み思案であれ契機があれば受け入れられやすい性格でもあった。これに対して後藤ひとりは全て逆である。社会との接点が欲しくてギターを始めたが,そもそもの性格が絶望的にコミュ障なので,ギターの腕が上がったところで意味はなかった。本来であれば性格の方を何とかするべきで,ギターの練習という選択は間違っている。

しかし,そこはギターの腕があればなんとかなってしまう懐の広さがロックというもので,「陰キャならロックをやれ」という本作の売り文句は完全に正しい。一度転がりだしさえすれば物事は好転する。彼女がほんのわずかずつ社会性を得るたびに結束バンドに居場所が生まれ,それが原動力となって彼女が結束バンドの危機を救う。あのどうしようもないコミュ障のぼっちちゃんが,というのはとんでもなく大きいカタルシスの淵源で,彼女がギターヒーローとして輝くたびに我々視聴者は喝采をあげた。我々もオタクで多少なりとも後藤ひとりの気持ちはわかるからこそ,その喝采も大きい。オタクが社会性の無さゆえに孤独に努力して,努力の結果として社会性を回復していく話,皆好きだろ。俺も好きだよ。5話も8話も泣いただろ。俺もだよ。

この構造,よく似ているのが『リズと青い鳥』である。あっちも別に傘木希美がそう望んでいたわけではないのに,鎧塚みぞれはオーボエの腕を磨き続け,一旦は孤立した。しかし,希美が戻ってきたその後に,みぞれはその腕で希美とは別の居場所を得る。努力が報われる話は美しい。これと『ぼざろ』の相違点は話の起点が逆なところだ。ぼっちちゃんがギターを始める前に虹夏や喜多ちゃんに出会っていたら,彼女は鎧塚みぞれになっていただろう。でもそれだと腕前が上がりすぎてぼっちちゃんがバンド脱退するオチになってしまう……とtwitterに書いていたら,「その問題は『ぼざろ』でも出てくる。原作を読め」というリプライが飛んできた。原作は近日中に読みます。

いよいよ長くなってきたので最後に楽曲のことに少しだけ触れて終わりにするが,本作はともかく作詞がぼっちちゃんで歌唱が喜多ちゃんという構造があまりにも強い。作中で山田リョウが指摘していたように,陽キャの極みのような子に陰キャの心理を歌わせる面白さとしても機能するし,ぼっちちゃんと喜多ちゃんの間のラブソングとしても機能するので,天才作詞家後藤ひとりが生まれてしまった。アルバム14曲でどれが一番好きかと言われると,「青春コンプレックス」。OPに使われているだけあって一番後藤ひとりがほとばしっている歌詞だと思う。twitterでとある人が言っていた「プロになった後藤ひとりが過去の自分を書いた歌詞」という解釈が好きで,確かにメロディの歌詞が全て過去形だから成り立つ解釈である。ぼ喜多の極みという点では「星座になれたら」を挙げざるをえない。歌詞の真意を喜多ちゃんがわからずに歌っていると思うと,こんなにエモいことはない。他にも語りたい曲はあるけど本当に切りがないのでこの辺で。




この記事へのコメント
着せ恋は原作既読だったのですが、このクオリティのアニメ化になると思ってもおらず素晴らしい作品でした。
明日ちゃんはフェチと美しさの詰まった作品で、着せ恋と同じ制作会社で同じ期に出てくるのが凄いなあと作品外の所でも併せてびっくりしましたね。
ぼざろは未視聴なのでなんとか追いかけたいですが、作品部門でなく制作会社部門で言うなら間違いなくCloverWorksの年だったなという印象です。
薔薇王の葬列は自分もアニメとしてどうなんだと大いに思いつつも最後まで見てしまい、非常に面白かったです。ところで作画の点では某さみだれがあまりにも…。
リコリコはもう終盤は真島さんのキャラが好きで正直見てました。あの生存ENDは2期あったら味方側なるフラグやろと。なお科博の毒展のヒガンバナ(学名リコリス・ラジアータ)には思わず反応してしまいましたね。

長文失礼しました。
Posted by kc at 2022年12月30日 01:38
>着せ恋
私の場合はけっこうアニメ化してから原作を読むパターンが多いので,そういうのはあまり経験が無いのですよね。うらやましい。

>CloverWorks
これはよく話題になっていますね。2022年は『着せ恋』『明日ちゃん』『SPY×FAMILY』で『ぼざろ』ですか(後も『くノ一ツバキの胸の内』や『シャドーハウス』他)。
すごい当たり率ですよね。

>薔薇王の葬列
やっぱりそういう感想になりますよねw。止め絵でも面白いものは面白いんだなと。某さみだれは見ていないです。すみません。(その方向の話題はちらほらと……)

>リコリコ
良いキャラですよね真島さん。私の周囲だと賛否両論かなというところですが,私も嫌いじゃないです。2期はどうなりますかね。
そういえば毒展はタイミング良かったですね。
Posted by DG-Law at 2022年12月30日 02:40
どうやら、きらら系がお好きなようですね。

「ぼっち・ざ・ろっく!」の次に放送されるきららアニメは「星屑テレパス」ですが、どうあがいても絶望しかありません。

来年ぐらいは間違いなくこうなるでしょう。

「ぼっち・ざ・ろっく!」を絶賛しているオタクは「星屑テレパス」を完膚なきまでに叩きのめす

私がこのように言う理由は、だいたい予想が付くでしょう。きらら系を見ているあなたなら。
Posted by 於かず at 2022年12月30日 11:54
たまに見かける増田の方ですかね。
きらら系はよく見ますけど,きららだから見るというほどではないのですよね。スローループとか未視聴ですし。星屑テレパスも多分見ないですね。
Posted by DG-Law at 2023年01月03日 18:26