2023年07月18日

登山関連の話題を3つ(うち2つはロープウェー)

・星野リゾートが谷川岳ロープウェーを買収 山のブランド力向上し内外へ発信(上毛新聞)
→ これは意外なところに。あの星野リゾートが,あの新幹線に見捨てられた地域を再開発するのかと意外に思って調べてみたら,星野リゾートの社長はバックカントリーが趣味で,「1年に60日はスキーを滑るようにしている」という非常にキャラの濃いスキーマニアだった。星野リゾートは典型的なリゾート地以外だといくつかのスキー場を持っていて,この人の代になってからスキー場を買収・再建する形で勢力を広げている。この方面では本気度がうかがえる。
→ 谷川岳は無雪期の登山としては大人気の山ながらスキー場としてはすっかり越後湯沢等に客をとられているイメージで,再開発のしがいはあるのかもしれない。とはいえ現状では星野リゾートのイメージにあわない谷川岳,これから開発が大変だろうなと思っていたら,こんなことをつぶやいていた。この他に「雪山プロジェクトになると経営判断の精度が落ちる傾向にあります。」「それで利益が出ればそれで良いし、出ない時には楽しく安全にパウダーを滑るで良しとします。」等とつぶやいており,やっぱりこれ,半ば趣味で買ったのでは。

→ ところで自分が谷川岳に登ったのは2022年の10月15日で(その時の記録はこれ),このニュースが発表されたのが10/13だから,かなりタイムリーだった。下山後に泊まった宿で友人たちと本件について調べていて,星野リゾートの社長のキャラの濃さに大爆笑していた記憶がある。また,星野リゾートが再開発を始める前のぎりぎりのタイミングで行っておけてよかったなとも思う。これで新旧の比較がしやすい。


・「心のよりどころ」信仰の岩にハーケン、落書き…山梨の神社困惑(毎日新聞)
→ 落書きとハーケンは論外として。また,現在の信徒の意向に合わせるべきというのも前提として。その上で言えば,日本の伝統的な修験道から言えば神聖な岩盤は,その上を修業の場とすべしということになっていて,そこ建てた庵が懸造建築の起源になっている。なお,こうした考えが生じたのは仏教が入ってきてからで,それ以前の原始的な神道では山全体を禁足地としていて人間が立ち入るものではなかったとされている。なお,いずれにしてもピークハントは日本人の関心ではなく,あくまで重要なのは奇岩や巨岩であった。こうした発想から言えば,神聖な奇岩であるから登るなというのは日本古来の宗教観らしくない気もする。ただし,ピークハント・征服感のために登るのは本旨ではないし,安全が保証できず責任がとれないから登るな,という話であれば理解はできる。
→ 私が金峰山に登ったのは2018年の秋だが(その記録がこれ),この時にはそういう話は全く出てきておらず,多くの人はよじ登っていた(私は技術に自信が無かったので登らなかった)。特に注意書きも無かったように思った。2021年7月に登らないでほしいとする看板を設置したとあるので,ここ2年ほどで禁止を強調する流れになったのだろう。
→ なお,五丈岩は本当に巨大で,他の山梨県の山の山頂から見るとそれを実感する。地図で金峰山の方角を割り出してそちらを眺めると,五丈岩が見えて金峰山が特定できるのだ。山頂の岩で特定できる山は珍しい。


・どうなる?「御岳ロープウェイ」 噴火・コロナ禍…財政悪化で運営会社撤退へ 「観光の柱」町が存続模索(長野放送)
→ 私は御嶽山も登っているのだが(まだブログに記事を書いていない),その際にはもちろんこのロープウェーを使っている。記事中にある通り,なくなるとコースタイムが2時間増えて6時間から8時間になるので難易度が上がってしまう。それでも御嶽山なら人は来るだろうから,ある程度は杞憂だと思うのだが,マイナスには違いないだろう。
・2023年の運行は6月20日から。御嶽山のロープウェイの新事業者が決定(山と渓谷オンライン)
→ こちらが続報で,無事に新事業者が(3年契約ながら)決まっていた。ただ,御嶽山を登った経験から言えば,御嶽山登山で真に大変なのはロープウェーの駅に行くまでで,また古くからの信仰の山の割には正直コンテンツに乏しい。長野県は他にいくらでもコンテンツがあるので,御嶽山登山の魅力単体で売っていくのは厳しいと思う。観光開発をがんばってほしい。