2023年10月06日

あのpixivfanbox規約変更騒動は何だったのだろうか

・サービス共通利用規約改定と「禁止商品」「要修正商品」設定のお知らせ(pixiv)
→ 昨年の11月末,pixivが実写由来の公序良俗に反する商品を禁止商品,そうではないがpixiv運営の判断でまずいと判断されたものは要修正商品と定義し,それぞれの出品禁止や要修正依頼を行うと発表していた。前者は当然という話で反発がほぼ無かったが,後者はこの規約の適用範囲が有料利用のpixivfanboxやBoothに限れていて通常のpixivには及んでいないことや,該当する具体例が「児童に対する性的搾取及び性的虐待,近親相姦,獣姦,レイプ,人または体の非合法的な切断,その他」となっていた点から,あからさまな「国際カードブランド等の規約」由来の表現規制であるとして多少の批判が生じていた。これらは公序良俗に反する表現であるが,実在の人物を用いていない以上は法に触れていない。多国籍企業が国家権力を上回っている事例と言えば,公序良俗に反するかどうかの問題ではないことがわかるだろうか。
→ しかし,それから半年以上経ってみると,多少のユーザーがpixivfanboxからFantiaに移住したり,boothから商品を撤収したりした事例が観察されただけで,結局ほとんど変化が無かったように思わえる。上記に思い切り引っかかるような商品もまだpixivfanboxで堂々と売られている。pixivfanboxとFantiaで棲み分けが生じるかもと予測を立てていたが,そのようなことは起きずに終わった。国際カードブランドからの外圧をかわすためにやっている振りをした,そのために最小限の被害で済ませたということであれば,意外とpixiv運営が上手くやったということなのかもしれない。ねらってやった大山鳴動して鼠一匹ということだろうか。一方で,pixivが禁止商品に当たるようなものを放置し続けた結果として国際カードブランドに目をつけられたのだろうと思われ,結果として強い表現規制圧力を受けることになったのは怠慢でもあろう。


・イブニング休刊のお知らせ(講談社)
→  長い付き合いながら,最近は『K2』のために読んでいた雑誌だった。多少の思い出語りをするなら,過去の連載作品でそこそこ真面目に読んでいたのは『アバンチュリエ』『インハンド』『学生/ヤング/係長 島耕作』『累』『官能先生』『創世のタイガ』『ヘルプマン!』『没イチ』『松井さんはスーパー・ルーキー』『めしにしましょう』『もやしもん』『レッド』(山本直樹)くらいか。自分が真面目に読んでいなかったものも含めて,割りと古風な,あるいは硬派な歴史漫画が多い雑誌ではあった。しかし,末期の新連載はヒットした『ふたりソロキャンプ』や,嫌いではなかった『ハードボイルドマタタビビバップ』を含めて料理漫画が増えていて,台所事情の苦しさがにじみ出ているようではあった。もう少し違う方向性に伸ばせれば延命できたかもしれないが,ヒット作に寄せると単なる隔週モーニングと化してしまう苦しさもあったかもしれない。
→ 昨今は作家に読者がつくなら雑誌で連載する意味が薄れていて,講談社ならコミックDAYS連載で問題がないという判断になる。『K2』然り,実際に多くがコミックDAYSへ移籍して連載が継続した。モーニングはまだ当面大丈夫だろうが,アフタヌーンはすぐに後を追いかねないかも。


・もう死ぬほど大好きではなくなってしまったコンテンツを、死ぬほど大好きだった時の義理みたいなものだけで何となく情報だけ仕入れていて悲しい感じ(Togetter)
→ 割りとわかる。ただ,自分としてはネガティブな感情ではなく,それはもう時間の流れで熱が失われたり,公式と方向性の違いが発生したりするのはしょうがなかろうと割り切っている。自分にとっての赤松健作品の,『ネギま!』や『U.Q.HOLDER』の後半はまさにこの状態で,それでも結末だけは見届けてやろうの精神で追っていた。あとエロゲ業界に対してもこの感情があったが,最近はとうとう情報すら収集しなくなってしまった。逆に『咲-Saki-』はまだまだちゃんと好きで追っているんだけど,自分の周囲が割りとこの状態の人が多い気がしてやや寂しいところ。
→ コメント欄やはてブで指摘されているが,最近のコンテンツは終わりがないのが終わりなので,コンテンツ受容者の側もどうしても熱を保ち続けるのが難しいのかもしれない。しかも義理で情報だけ仕入れるのは難しくないのでなおさら。これからのオタクは義理で情報だけ仕入れるコンテンツだらけになっていくのかも。