2024年03月01日

洗練されたUIが広がるインセンティブがないということだろうか

・父も母も最近のレジが複雑すぎて買い物に行けなくなってしまった→みんなの前で複雑なUIにまごつく怖さ
→ こういうのに比較的抵抗が無かったうちの母でさえも,セルフレジは複雑で避けていた。いろいろな店のものを体験した経験で言えば,店ごとの差が大きく,特定の系列店舗しか知らないと体験が偏るかもしれない。自分もファミマの無人レジしか知らなかったら無人レジの操作なんて簡単だろうと思いこんでいたように思う。なお,経験上で最悪だったのはアピタで,ぱっと見は都内で言うところのライフあたりと変わらないのだが,進めていくと意味不明な操作が多く挟まれて,持ち逃げを警戒しすぎて複雑になっている印象である。あれは絶対にやめた方がいい。小売業界は(できる限り簡便な方での)規格の統一と操作の単純化を真剣に検討してほしい。
→ そういえば,無人レジでネット上で文句が多いのはJRの新幹線の券売機と松屋の印象が強いが,前者はまあそうだと思う。なんで初手が指定席か自由席なのかという話で。松屋はそこまでわかりにくい印象がない。


・黄金の茶道具、3億円で落札 秀吉ゆかり?主催者「真贋保証しない」(朝日新聞)
→ 本物なら3億円だと安すぎるし,文化財に指定されていない理由がない。金の含有率は誤魔化しようがないとして,何らかの事情で文化財指定から漏れていたか,あるいは文化財としては実は大して価値がないか。どちらの可能性もありうる。前者は歴史上2回しか公開されていなかったようなので,存在自体が世間的に認識されておらず,半ば逸失されたものとみなされていた場合である。後者は,藤堂伯爵家から出てきたのは間違いないとして,1929年以前の来歴が辿れない,史料上で秀吉から高虎が拝領したものという裏付けがとれないために真贋の鑑定が困難であるという事情が推察される。来歴が正確でなければ文化財としての価値は薄くなり,値段も安くなる。また前者だとするとこれから文化庁が動くだろうし,後者ならすでに動いた後ということになる。続報が無いが,文化財の認定はかなり時間がかかるので,どちらにしてもしばらくこのままということになりそう。
→ 落札したのは茨城県の廣澤美術館とのこと。2021年開館だから新しい私設の美術館である。ヒロサワシティというテーマパークの一環で,他にゴルフ場やクラシックカーの展示,貸農園等があるようだ。上手く有名になればおもちゃと人形自動車博物館のような地位を築けるかもしれない。ちょうど現在黄金の茶道具展をやっているようなので,気になる方は行ってみてはどうだろうか。


・「バニラ」の起源について(Zenn)
>vanilla as figurative of a plain and conventional choice (without reference to sex) seems to date to the late 19c. as a noun, by 1940s (often plain vanilla) as an adjective.
→ とあり,実際に1887年の用例も見つかっており,思っていたよりもかなり古くて驚いた。ヴァニラアイスはそれよりもかなり古く,19世紀には十分定着していたようだ。「他のものが添加されていない」という意味に転化するのは便利なのでわかる。


・SNSで大炎上の土佐市移住者カフェ、現地で起こっている事の総括と問題点(Yahoo!ニュース)
・【地域おこし協力隊】高知・土佐市のカフェ"炎上"当事者の思い(NHK)
→ 最初のヨッピーさんの記事は2023年の5/24に公開で,初期の状況が非常によくまとまっている。2つめの記事はNHKの取材で,約4ヶ月後であるためにNPOの理事長が落ち着いていて,新規の情報がある。
→ 市・NPO・カフェの三者それぞれに悪いところがあるが,一番悪いのは間違いなく土佐市であろう。事前に議会で指摘されていた通り,国からの補助金1億2千万円を受け取っておきながら,補助金の要件から外れるカフェ経営を認め,その矛盾をカフェ経営者に伝えず,カフェとNPOの軋轢を解決せずに放置したとなると行政の役割を果たせていない。NPOの理事長は独裁的でカフェに対する嫌がらせが無茶苦茶であるし,当初の農家レストランの見通しも甘すぎる。しかし,土佐市の八方美人に振り回された結果としてカフェとの対立を煽られた面の方が強い。7月に開催されたトラブル解決のための三者協議も市側が「原因を究明するつもりはない」と主張したためNPOが脱退して途絶している。原因を究明すれば市が悪いのは当然なので,責任を追及されないためには話をそらすしかなかったということだろうが,それではカフェはともかくNPOは納得するまい。
・土佐市の「南風」直営へ  NPO指定管理が満了 4月から「当面の間」 NPO「納得できない」(高知新聞)
→ 最終的にカフェは9月に閉店,10月に高知市内で新規開店した。観光交流施設は土佐市の直営となる。結局,土佐市は責任追及から逃げ切り,NPOは河川整備工事の代償として実質的に獲得していた施設を取り上げられた。非常に後味の悪い結末である。