2024年07月11日

登山記録32(石巻山,豊橋自然歩道)

No.83 石巻山
〔標高〕358m
〔標高差〕約320m(石巻神社から)
〔百名山認定〕ー
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕1A+
 地元の山で,帰省のついでに登っておいた。父親が石巻山だけ随行すると言い出したので,スローペースでの登山となった。道は意外と急登で,父は苦労していた。中腹の石巻神社からは豊橋市街地がよく見えるので,豊橋市民は自宅の位置を探してみるとよい。そのまま登り続けると山頂付近だけ多少の岩場があるので少し注意が必要。とはいえ大したものではなく,どの程度の岩場・鎖場かはYAMAPの記録を参照してほしい。父もこわごわながら登りきって登頂。山頂はそこそこ樹木があり,眺望は悪くはないが抜群というわけでもなく,豊橋市街は中腹からの方がよく見えたというところで察してほしい。ゴールデンウィークの前半に登ったのだが,登山者はかなり多かった。地元民に愛されている。この後は危ない道がなくなる中腹まで父親の下山を見届けてから,私は豊橋自然歩道へと向かった。
 



No.84 神石山(豊橋自然歩道)
〔標高〕325m(神石山)
〔標高差〕約270m(葦毛湿原から)
〔百名山認定〕ー
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕3A
 さて石巻山から裏手にまわるとしばらくは舗装された車道が崩壊した何とも言えない道が続く。蛇も多いこの道を通らないために,石巻山経由で豊橋自然歩道に向かうのは避けた方が良い。一点だけこの道の美点を挙げると,裏側から見た石巻山が見える。表側の石巻山は穏やかな森林の山という感じであるが,裏側の石巻山はゴツゴツとした岩の山という表情であった。
 しばらく荒れた車道を進むと大知波峠廃寺跡に着く。ここは眺望が良く,浜名湖を見通せる。以後,豊橋自然歩道は10〜20分に一度くらいのペースで樹林帯が切れ,浜名湖の眺望を眺めながらの気持ちの良い登山となる。樹林帯が完全になくなることもないので日差しを防ぐことはでき,バランスがとれている。道も非常によく整備されており,技術を使う場面もなく道に迷う場面もなく,難易度はAとしてよい。また,大知波峠廃寺跡からゴールの葦毛湿原まで歩くと距離はかなりあるが,静岡県側か愛知県側かを気にしなければエスケープルートも多い。力尽きそうになったら下山しよう。
 大知波峠廃寺跡から豊橋自然歩道を進んでいくと,まず霊屋の峰というピークがあり,YAMAPのルートとしては登ることになっているが,全く眺望がないので無視してよい。そのすぐ後に豊橋市民には馴染み深い多米峠がある。真下にトンネルが走っているはずだが,これはよく見えなかった。さらに進むと中尾根パラダイスという絶景スポットがあり,少し寄り道になるが,これはできれば寄った方がよい。豊橋自然歩道最大の絶景スポットであり,浜名湖が一望できる。中尾根パラダイスから本筋に戻り,浜名湖を横目に進んでいくと,この豊橋自然歩道の主峰の神石山があり,ここからは正面に遠州灘が現れる。神石山を過ぎると葦毛湿原はあと少しで,遠州灘に付き合ってもらいながら無事に下山されたい。地元ながら非常に楽しめる登山道であった。
 さて,実はこの登山道,豊橋市(愛知県)側は「豊橋自然歩道」と呼び,湖西市(静岡県)側は「湖西連峰ハイキングコース」と呼んでいる。そう,豊橋市と湖西市で領有権争いが生じているのだ。よく整備されているのはその余波と思われ,競い合うように両方の看板が多く立っている。簡単に調べてみたところ,このような記事も見つかり,豊橋自然歩道の方が歴史が古く,後から湖西市が乗っかってきたようだ。そもそも湖西連峰という名は俗称で,本来この県境の山地は弓張山地と呼ぶとのこと。であればなるべく豊橋自然歩道と呼びたいところ。しかし,すれ違った登山客は湖西市側から登ってきた人が多いように見えた。また,2022年10月には豊橋市が管理が行き届かないという理由で豊橋自然歩道の廃止を提唱しており,市民の反対で撤回されたという騒動も起きていたようだ。であれば湖西市が整備を引き継ぐべきという考えもあり,難しい。
 最後にゴール地点の葦毛湿原について。「東海のミニ尾瀬」とも称されるすばらしい湿原……だったのだが,昔よりも明らかに水量が減少している上に森林に侵食されていた。豊橋自然歩道を放棄したがっている豊橋市もさすがに葦毛湿原の保全には力を入れているようで,いたるところに樹木伐採や水路保全の記録の看板が立っていた。豊橋市が気を抜いた途端に消滅しそうな危険性を感じるので,気になる人は早いうちに行っておくことを勧める。



石巻山から多米峠を通って葦毛湿原へ / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ