2024年07月13日

登山記録34(阿蘇山,九重連山)

これで一度,7月頭までに登った山は全て記録化できた。以降は登った山が溜まり次第の更新になる。


No.87 九重連山(星生山・久住山・中岳)
〔標高〕1791m(中岳),1786m(久住山)
〔標高差〕約460m(牧の戸峠登山口から)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕3A+(星生山のみB-)
 大分県の南西部にある巨大な火山の連なり。多少ややこしいが,ひとまとめにして九重連山,主峰を久住山と呼ぶ。なお,久住山は名前に反して(?)最高峰ではなく,最高峰は中岳である。YouTubeの動画で予習した段階で私が好きなタイプの山だと思われ,期待に胸を膨らませて登り,まさに期待通りの山であった。今まで登った山で間違いなく五指に入れる。
 牧の戸峠から出発。少しの間は樹林帯だが,最初のピークの沓掛山を過ぎると背の低い草原になり,やがて湿地になって池塘も登場する。眺望は常によく,この日は雲海が出ていて,雲海に浮かぶ阿蘇山がこの上なく美しかった。次のピークが星生山である。星生山は回避しても久住山にはたどり着くが,九重連山ではやや珍しい岩稜型の山であり,奇岩が多く面白い。また星生山から眺める北側斜面の光景が非常に火山らしくて素晴らしいので,登って損はない。そしてこの風景を見てしまうと,その真ん中を突っ切る長者原からのルートも面白そうで,早くも再訪したくなってしまった。
 星生山を過ぎると山小屋のある久住別れ,そこから久住山へ。もちろん悪くない山だが,主峰である理由はよくわからなかった。南側から見ると一番立派な山容をしているからかなと思ったのは下山後,南麓の赤川温泉に浸かってからである。その後は天狗ヶ城を経て中岳へ。しいて言うと天狗ヶ城は登らなくてもいいかもしれない。眺望が良いが,中岳とさして変わらないからである。ただし,天狗ヶ城は名前の通りで,山頂付近は岩々の重なり具合が要塞に見え,言い得て妙な命名であった。中岳は九重連山では内側の方にあるため,遠方の眺望では久住山に劣るものの,巨大な九重連山の様子がぐるっと見えて良かった。この後は牧の戸峠に向かって下山した。人気の山なので登山客が多いが,それ以上に山域があまりにも広いため混雑している感じは全くしなかった。前述の通り,今度は長者原ルートから登ることを期して,近い内に(祖母山に挑む折にでも)再訪したい。



九重連山(牧の戸峠) / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ



No.88 阿蘇山(中岳・高岳)
〔標高〕1592m(高岳)
〔標高差〕約680m(仙酔峡登山口から)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕2B-/2C+
 言わずと知れた巨大カルデラの山。巨大すぎてどこが登山の対象としての阿蘇山なのかは難しいが,一応は中心部にある現在の火口のお鉢,その最高峰の高岳に登れば登ったことにしてよいようである。登山道は北からアプローチする仙酔峡ルートと,火口付近からアプローチする砂千里ルートがある。より人気があるのは後者だが,今回は火山警戒レベルが1に戻っていることを知らず2なら仙酔峡から行った方がいいかという判断と,スタート地点のミヤマキリシマが綺麗な時期であるということから,仙酔峡ルートで登ることとした。実際にミヤマキリシマはよく咲き誇っていて,前日に登った九重連山が未開花だったのをここで取り戻した形である。仙酔峡ルートは火口に近づく中岳を目指す道と,まっすぐ山頂を目指す仙酔峡尾根に分かれており,周回するのが一般的であるため,私は行きに中岳に向かい,下山は仙酔峡尾根を使った。しかし,登りはともかく仙酔峡尾根から下山するのは全くお勧めできない。仙酔峡ルートは,全般的には山頂付近が急峻なのと道案内の不整備からB-程度の難易度だが,仙酔峡尾根のみC+で異常に難しい。尖った,あるいはざらついた岩稜が多く,また砂も細かくてザレている。その上,激しい急登で四つ足になることを強いられる箇所もかなりある。基本的にC+の難易度だと思ったら挑まないことにしている私としては,仙酔峡尾根をルートに入れたのは非常に後悔することになった。登りなら三点確保をしながらまだ何とかなったと思うが,下りは時間をかけていくしかなかった。一度転倒しかけて普通に滑落しかけた。技術に不安がある人は周回せず,高岳から東展望所にピストンした方がいい。そもそもの話,仙酔峡ルート自体に,砂千里ルートと比較した際のメリットがスタートのミヤマキリシマしかないように思われた。しいて言えば砂千里ルートよりも空いていることくらいか。
 山の風景や眺望は流石に素晴らしく,火山らしい荒涼とした道が続き,中岳や高岳からは巨大な火口やカルデラ内に牧場や畑が広がる様子が見える。しかし,あえて難点を言えば変化がなく大味である。ダイナミックさ・大迫力が魅力なのだから変化を求めるような山ではないのは重々承知の上ではあるが,個人の好みとしては変化に富む景色を見せてくれる山の方が楽しい。加えて,火山らしい風景や火口は砂千里コースで序盤で,カルデラの大パノラマは大観峰でほぼ同じものが見られるので,深いところまで登山しなければ見られないものではないことまで考えてしまい,下山後にやや虚しい気分になった。阿蘇山は登る山ではなく眺める山で,富士山と同じ枠の百名山なのだ。
 


阿蘇山(仙酔峡) / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ